作られた外史
それは新たな外史の始まり
乱世の真っただ中に降り立つ一筋の光
この光に乗った青年が、この乱世の世を静めてくれるであろう
この予言にある者は喜び、ある者は怯え、ある者は激怒した
今、外史に新たな1ページが刻まれる
第3話 見知らぬ地
チュンチュン、チュンチュン・・・
一刀「ん、んん~・・・」
川の流れる音
心地よい木々の葉がこすれる音
何より、美味しい空気
俺の部屋はこんなに住みやすかったのか……
一刀「ん?」
おかしい。
川なんて流れてないし、俺の部屋に植物は無い。まして空気なんて変わらないはずだ。
なにより、背中がゴツゴツしていて痛い。
一刀「ん~…?」
まだ寝惚け眼ではあったが、目の前に広がるは見慣れたはずの部屋ではなく……
一刀「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
木々が生い茂る森の中にいた。
しかも近くには川が流れていた。
一刀「……」
茫然とした。
一刀(昨日は及川のバカと話をしてその後は布団にもぐってちゃんと寝たはず……)
考えても分からないことばかりだった。
周りを見ても及川のバカはもちろん、他にも誰もいなかった。
でも……。
一刀「あれ?」
そこには昨日準備した旅行用バッグ、それから……
一刀「なんでここにこれが?」
そこには夏休みの地獄の修行の際、じいちゃんから北郷流免許皆伝の証としてもらった『黒刀【白王虎】』がそこにあった。
一刀(こいつはじいちゃんのところにおいてきたはず……)
とりあえず、一刀は怪我をしていないか自分の体を見た。
一刀「なんでフランチェスカの制服を着てるんだ?ちゃんと寝間着に着替えたはずだ」
ますます頭がこんがらがってきた。
一刀(一体ここはどこだよ・・・なんでここに俺はいるんだよ)
だいたい30分は大の字で空を見ながら考えていたのではないだろうか。
一刀(携帯は圏外だし、見たこともないところだし……とりあえず誰か人でも探すか)
歩きだして数十分……
歩けども歩けども木しか無く、道も現代のように整備されている道などない。
今いる場所がどこかの山の中だとしても、歩いていれば舗装された道、あるいは登山客の為の山道があるはず。
なのに、何も無い。今通ってきたところは獣道と言われる動物が通るようなところで、決して人が通るようなところではない。
それでも、祖父との修行で山の中を走り回った経験もある一刀は、苦も無く歩いていく。
一刀「だ、誰もいない……なんで人っ子一人いないんだ?」
???「キャーーーーーーーーーーー」
???「助けてくれぇーーーーー」
一刀「なんだ!?」
一刀は悲鳴の聞こえてきた方に向かって走り出した。
一刀「えっ……?なん…だよ、これ…」
一刀は目の前の光景に自分の目を疑った。
目の前では、家が焼かれ、人が死に、賊と思われる奴らから逃げ惑う住民たち。
なかには賊から村人を救おうと立ち向かうも数の暴力には勝てずに殺されてしまう者もいた。
賊1「殺されたくなければ金品全部よこせ~」
賊2「ギャハハハハ、食料も全部よこしな」
賊3「男は殺せ!女は連れてけ!」
お頭「ん?こいつはいい女だ。こいつはおれがもらうぜ」
娘「いやぁぁぁぁぁぁ、誰か、誰か助けてください!」
賊4「いやがっても駄目だよ~。もうお前は俺の女だからな」
娘「そ、そんな……」
賊2「お頭の女好きが始まったぞ」
賊3「全く、お頭は金より女な人だから仕方ないさ」
お頭「くっくっく。おれが終わったらお前たちにも回してやるさ」
賊1「ありがてぇ」
娘は周りを見た。
しかし、見えたのは賊によって斬り殺された死体や、賊から逃げていく人、金目の物を持って笑っている賊、他の娘を捕まえて今にも犯そうとしている賊、賊、賊、賊……。
周りにはほとんど賊か死体しか見えなかった。
それでも娘は
娘「誰かぁぁぁ、助けてぇぇぇ!!」
今の自分に出せる最大の声、喉が潰れてしまうのではないかと思えるほどの大声で助けを呼んだ。
助けに入ろうとする一刀であったが、足が前に出ない。手は腰の黒刀へと伸びている。しかし、その手も震えている。身体が言うことを聞かない。まるで自分の身体ではないように。自分が行かなくてはあの娘は、村の人達は死んでしまう。自分が賊を倒さなければ。斬らなければ。殺さなければ。
『一刀よ、お前に人を殺めてでも誰かを守る覚悟はあるか?』
そして……
賊1「おい、ちょっと覗いてこねぇか?」
賊2「やめとけって。あとでお頭に怒られるぞ?待ってればおこぼれはもらえるんだからよ」
賊1「そうは言ってもよ~。最近は襲った村に良い女がいなくて御無沙汰なもんでよ」
賊3「お前は美人にしか反応しないから面倒なんだよ」
賊1「おれは…」
ザシュッ
賊1「へっ?」
賊1は急に宙に浮いたようになり、目の前には頭のない身体がいた。
そして硬いものに当たったと同時に意識が途絶えた。
賊「「何だ!?」」
賊2「誰だテメェは?」
一刀「……」
賊3「誰だって聞いてんだ「ザシュッ」…ひぃぁぁぁ!」
賊3が無視した一刀に斬りかかると、賊3は剣を振り下ろした。
しかし、その振り下ろした腕には持っていたはずの剣は無く、その剣を持っていたはずの自分の腕が肘から先ごと無くなっており、数m先に落ちてきた。
一刀「…この世には2種類の人間がいる」
賊2「く、来るなぁぁぁ」
一刀「…お前たちのような生きている価値のない悪党にも教えてやろう」
賊2「た、助けてくれ!おれ達はお頭に言われて仕方なく…」
賊2は弁明をした。
しかし、今の一刀には何も聞こえていない。
賊2は頭を貫かれた。
一刀「おれにとって、敵か味方か…だ」
一刀「あと、1人…」
お頭「なんだか外が騒がしいな?」
もう娘の目には生気が宿っていなかった。
もう諦めたのだ。
声を出せども一向に助けは来ない。
もう殺された方が楽になる。
そんな気持ちでいると、何やら外が騒がしくなっていた。
これは助けがきたのかと思い、目に生気が宿り、外に駆け出そうとしたが出来なかった。
賊は扉を見たまま震えている。簡単に逃げだせたはずである。
しかしそれでも逃げ出せなかった。娘も出ようとした扉から何かを感じ、飛びだせなかったのだ。
扉のむこうから得体のしれない何かが、逃げようとしても足が動かない。
目が扉から離せない。
口の中がカラカラになった。
感じる。
『死』を。
自分が死ぬ考えしか出てこない。
あの賊もそうなのだろう。全く動けていないことが分かる。
というか、そうだという確信がある。
こんな殺気を受けてまともに動けるものはいない。
その時、扉から1人の男が入ってきた。
一刀「……」
一刀は賊を見て、娘を見た。
そして、賊に歩み寄っていく。
一刀「お前がこの村を襲っていた賊の頭か?」
お頭「…うっ…あっ」
やっと出せた声は聞こえるかどうか分からない声量であり、一刀はそれを否定と捉えた。
一刀「ふむ。違うと言うのであれば、なぜ血で汚れている?」
お頭「こ、これは…」
一刀「お前は否定出来ない立場にいる。なぜならば、ここに血濡れの剣があり、血濡れの男が1人、そして衣服が乱れている女性が1人。更に決定的なのは、お前がこの娘を襲うところを遠めながらにおれは見ていたからだ」
娘「……」
娘は一刀をただただ見つめるだけだった。
あんな殺気を出しているのはどんな人物なのか?もしかしたら人間じゃないのかもしれないとさえ考えていたからだ。
そして扉から入ってきたのは見るからに細く、この賊に簡単に殺されてしまうのではないかと思わせるような体格をしていたからだ。
お頭「だ、だったらどうしたっていうんだ!?お、おれにはまだ仲間がいるんだ!ここに連れてきた仲間は少しだけだ!根城に行けばまだ500人の仲間がいるんだ!おれがここで殺されても、あいつらがおかしいと思えばここに来るぞ?へへっ、さぁ、どうするよ?おれを逃がせばここは助けてやるぜ?」
賊は一刀の殺気を浴びながらも虚勢を張り、逃げようと必死だった。
一刀「お前を逃がすだと?笑わせるな!!」
お頭・娘「「ビクッ!!」」
一刀「お前を逃がせばまたこの村と同じ運命を辿る村が出てくる。だったら元凶は元から断つべきだと、そうは思わないか?」
お頭「こ、この野郎~!!」
お頭は一刀の言葉を聞き、頭に血が上り、一刀に斬りかかっていた。
ザシュッ
お頭は上半身と下半身が別れを告げ、この世からさよならを告げた。
一刀「悪・即・斬!」
一太刀の元に賊を斬り、娘を救った。
一刀「う、うぇぇぇぇ」
一刀は最後の賊のお頭を斬り、周りを確認してから娘の元へ戻ってくると気持ち悪くなり、吐いた。
娘「だ、大丈夫ですか?」
一刀「ご、ごめんね…心配掛けて。人を斬ったのって初めてだから……。それよりも君は大丈夫かい?」
娘「は、はい。助けていただきありがとうございました。何かお礼がしたいのですが・・・」
一刀「い、いやお礼なんてしなくて…も」
バタンッ
娘「えっ…?」
一刀は急に倒れた。
あとがき
何とか宣言通りに間に合いました。
今やってる仕事が忙しくて中々執筆が出来ません・・・。
辞めたい・・・。
全然楽しくない。
社会が甘くないってことは分かってるつもりだけど、ここまで楽しくないのか?
今月で辞めようかな・・・。
内容はもう少し長くしてみようと思います。
来週の金曜日に投稿出来るように頑張ります。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
次もよろしくお願いします。
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仕事が忙しくてなかなか執筆出来ません。
では第3話改訂版です。どうぞ。
※2/17すみません!あとがきを書き忘れていましたので、修正しました。
※2/24内容を少し変えました。