No.376971

司馬日記11

hujisaiさん

その後の、とある文官の日記です。

2012-02-12 21:54:56 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:20229   閲覧ユーザー数:13031

11月23日

今度こそ誤解の無きよう、私と袁紹殿らと立会いのもとあらためて田豊殿と沮授殿より一刀様へ仕官の申し出を行った。

しかし、一刀様が朗らかに微笑まれたまま思いもよらぬことを仰った。

『うん、二人とも有難う、俺の方からも是非お願いしたいよ。あ、でも、仕事はホントに仕事だけだからね?その…昨日言われたような事は絶対無いから!ほんとに、君らに夜来いとか、そんなの絶っっっっ対無いから!仕事でしか呼ばないから!プライベ―…えっと、個人的な、私的な事では一切接触したりしないから!だから、安心してね』

これを聞いて田豊殿と沮授殿は凍りついたかのように固まってしまった。一刀様と共に登用に尽力された袁紹殿も顔面蒼白になっており、おそらく私も青い顔をしていただろう。

彼女らは肩を震わせながら平伏して『あ…有難き幸せ…』と言いながら嗚咽を漏らし、そのまま泣き出してしまった。

何が起きたのか分からず呆然とされる一刀様に袁紹殿が耳打ちし、一刀様と両名を残して私達は退室することにした。

私はこの後彼女らと業務についての打ち合わせをしなくてはならないので扉の外で待機しようとしていると、文醜殿が『アニキ、自分がどうやってあいつら釣ってきたのか忘れちゃってんのかねぇ…たまにああいう信じられない事するよなぁ』

と言いながら顔良殿と帰っていかれた。

 

半刻ほどすると涙の跡をつけたままの二人がそれぞれ自身の右頬、左頬を押えながら、雨後の陽光のような笑顔で退室して来たので仕事の打ち合わせをした。

聡明な彼女らだが偶に色っぽく溜息をつきながらぼうっとされてしまうのでいまいち捗らず、後日細部の打ち合わせを行うこととした。

…約束の日を覚えていてくれているだろうか。

 

11月24日

職場の休憩時間中に子廉様らが一昨日のひどい誤解をさせてしまった件について話せ話せと仰るのでやむなく話すとやはり笑われてしまった。変な風評が立ってしまっても困るのでそれについてはあまり他言しないで下さいね、と言った所で廊下から誰かがどたどたと此方へ走ってきた、それもつい最近聞いたような足音で。

その足音は私達の職場の前で止まり、

『蜀の劉封と!』

『関平です!こちらの司馬懿さんが、初夜でいきなり後ろまでこなした剛のぐふっ!?』

『れ、玲紗?うぐっ!?…きゅぅ』

彼女らがそんな事を言いかけようとした所で反射的に絞め落してしまった。

 

すぐに我に返り、外傷はつけなかったとは言え蜀の王女とその義妹を気絶させたことを元直に丁重に詫びながら彼女らを引き渡そうとしたところ、逆に『迷惑をかけて申し訳ないわ』と謝られ劉封殿と関平殿を王室とは思えない掴み方でずるずると引きずっていった。

謝る相手を間違えたのだろうかと後で関羽殿に直接謝罪したところ、深いため息と共に『蜀ではよくある事なので気遣い無用だ』と言われやはり逆に謝られた。どうやら彼女らは筋金入りの問題児のようだ。

こうしてみると我が上司は他人に迷惑はかけていないあたり、彼女らよりは大分ましなのではと思えた。むしろ

『真っ赤な顔で瞬殺する仲達、面白かったわぁ。ひょっとして図星だったのかしらね?』

『まさか、この娘じゃそんなお強請り無理無理、がちがちに緊張して人形みたいに転がってただけに決まってるじゃないの』

などとにやつく子廉様や子孝様達の方が困った方々なのだろう。

 

11月28日

今日は下着展示会の日だ。

私の担当は先日集められた者達と一緒で、「乙」の広間で午前中のみだった。

一刀様以外の男子禁制ではあっても下着姿での給仕はやはり恥ずかしかった。

秋蘭様、文遠殿などの重臣の方々の他、子廉様と子丹お嬢様、それに元直がやって来た、私を見にきたとの事だ。二人してにやついて

『仲達が着てるの見ちゃったら、これは買いたくないわぁ』

『比べられたくないわよねぇ、それにあの白いお尻に黒い刺繍の下着、あれに一刀様もやられたのねぇ』

『なに言ってるんですか、一刀様はやられる側じゃなくてやる側じゃないですか』

『あら、そうだったわねぇ』

等と言っていたが、そろそろこの方々も御自分の身分を弁えて下品な言動はお控え願いたいものだ。

それぞれ子孝様と子敬はどうしたのかと聞くと「丙」の間に行っているとの事だった。

ちなみに私の担当の間には一刀様はいらっしゃらなかった、粗末なものをお見せできず決して残念ではなかった。

 

午後は目を肥やす為他の展示を見学することとしたが、「甲」の間は事前審査付きの許可制らしく私は入れなかった為「丙」の間に行ってみた。

席について暫く給仕を受けて気づいた、どうやら「丙」の間は特別に胸が豊かな『もでる』を集めているようだ。

呉の陸遜殿などは溢れてというか、こぼれてしまわないか見ていて不安になるようなものを着用していたが、そのようなあやうさがあった方が一刀様のお好みに適うのだろうかと考えた。

また何故か劉備様まで下着姿で楽しげに厳顔殿、黄忠殿、黄蓋殿、元常様らの卓に給仕をされていた。

 

12月1日

士載が三国合同新人研修で友人が出来たと報告してきた。

名を姜維、字を伯約というそうで知勇に優れ、蜀の諸葛亮の秘蔵っ子らしくさもありなんと思われる。

姜維は女子と見まごう美しい顔立ちをしていたが長身であり、自身の事は男だと言ったという。

一刀様を深く敬愛しており、それを切欠に仲良くなったとのことだ。

良き友人は大事にし、また学ぶべきところがあったら同輩と言えども敬して学ぶようにと士載に言ったところ士載は深く頷いていたが、傍で見ていた士季は生温かげな笑みを浮かべて

『…まぁそのうちあいつの尻尾つかんでやりますから。あんなんで誤魔化せるとか思ってたら大間違いですよ、何考えてんでしょうね蜀は』

とにやついていた。

士季に良い友人が出来るか多少心配だ。


 
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