No.371381

外史異聞譚~外幕・孫呉ノ弐~

拙作の作風が知りたい方は
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2012-02-01 14:12:00 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2244   閲覧ユーザー数:1420

≪???/華陀視点≫

 

今の俺はソウルブラザー(魂の兄弟を天の国ではこう呼ぶらしい。なんというか、実に素晴らしいというか、おかしな言葉のはずなのにしっくりくるのが不思議だ)である一刀の頼みで、周公謹達と一緒に長沙に向かっている

 

俺が同行している理由はなんとも奇妙な話で、一刀が言うには

「華陀が一緒に行けば無血で太守は退くと思うんだよね

 後はゴットヴェイドォォォ!!の理念や方針、それと俺達が今やっている事を華陀の口から語ってくれるだけでいい」

という話らしい

 

本当は師匠も来るはずだったんだが、やはり漢中を動けないという事で非常に落ち込んでいた

 

まあ、師匠はあれで椅子に座ってふんぞり返っているよりも、本来なら旅に出てゴットヴェイドォォォ!!の教えを広めたいらしいからな

それを言うと俺もそうなんだが、これは俺自身の判断でゴットヴェイドォォォ!!の奥義を極めるための旅に出るよりも、今は一刀が齎した知識や技術を融合させ、更なる高みを目指すべきだと考えている

 

いつかは旅に出るだろうけどな

 

同時に旅立った甘興覇と周幼平とかいう二人は、孫伯符がいる建業に向かい、そこで兵馬を整えてから長沙に向かう事になっている

合流地点は廬江で、これは一刀達が漢室に願い出て孫家軍に場所を提供する、という事だ

 

俺としては戦争など、死傷者が出るだけの代物なので反対するしかないんだが、俺が周公謹と共に長沙に先に乗り込む事で戦争は回避できる、と断言された以上、それを信じるのがソウルブラザーの心意気だと思っている

 

むしろ、ずっと気になっていた事があり、俺は周公謹に向かってそれを問い質す事にする

 

「周公謹、これは俺の見立てなのだが、もしかしてお前、胸を病んではいないか?」

 

俺の言葉に彼女は訝しげな顔になる

 

「私が胸を…?

 いや、そのような事はないと思うが」

 

いや、そうは言うが、確かに彼女からは病魔の気配がする

今は大きいものではないが、これを放置しては確実に死に至る、それだけ強力な病魔が潜んでいる、その気配が

 

俺としてはこれを絶対に見逃す訳にはいかない!

 

「そうか……

 では周公謹、服を脱いで俺に胸を見せてくれ!」

 

「………」

 

何故だ?

どうして彼女はそんな冷たく殺気を放って無言でいるんだ?

 

「ひとつ尋ねるが…」

 

「なんだ?

 遠慮なく言ってくれ」

 

「いきなり、服を脱いで胸を見せろとはどういう意味だ?」

 

どういう意味も何も、病魔をより正確に見つける為に決まっている

天下の美周郎は理に秀で物事に聡いと聞いていたが、違ったのだろうか?

 

まあ、説明するのも医者の義務だが、病魔はゴットヴェイドォォォ!!の中でも、奥義を身に付けた、それも一部の者にしか見えないものだ

 

これは俺が説明不足だったという事だな

 

だから俺はきちんと説明をする事にした

 

「もちろん、見て触って確かめる為だ!」

 

???

何故だ?

さっきより更に視線の温度が下がった気がするんだが…

 

「ほほう…?

 そうかそうか

 見て触って確かめる、とな……?」

 

「ああ、当然だ!

 そうでなくてはどこがどう感じるのか、お前にも解らないと思ってな!」

 

病魔を見る事はできなくとも、ゴットヴェイドォォォ!!の奥義の中には病魔が巣食う部分に手を当てて“気”を流し込む事により、病魔がいる事を患者に自覚させることができる、という奥義が存在する

この奥義は直接肌に触れ、病魔が巣食うのが内腑であるならば、より近いところに触れなければ効果を発揮できないという欠点があるのだ

 

だと言うのに、周公謹の視線の温度はどんどん下がっていく

 

おかしい…

俺はきちんと説明しているのに、どうしてなんだ!?

 

周公謹は、徐に真白な九条に分かれた皮鞭を取り出した

 

その顔はなんというか、たまに俺が治療しようとした女性の患者が怒ったときと全く同じ、壮絶な笑顔に満ちている

 

「そうかそうか…

 私の胸を触って感じさせたいか……」

 

………知らず、俺のこめかみや背を汗が伝う

 

「………ちょっと待て、周公謹!

 お前は勘違いをしている!

 俺がやろうとしているのは病魔に関してであって…」

 

「問答無用!!

 言い訳は後で聞いてやる!

 今はその不埒な言動を、この白狐九尾で叩き直してくれるわっ!!」

 

危険を察した俺は、次の瞬間部屋から飛び出した

 

 

 

 

およそ半刻もの間、周公謹の皮鞭(白狐九尾というらしい)から逃げ続けた俺は、ようやく先の誤解について弁明する事ができた

 

「なるほど……

 そういう事なら貴様の言い方が悪すぎる

 そもそも、上腑を診るのであれば背中でも構うまい」

 

「………なるほど

 そう言われれば確かに」

 

頷く俺に周公謹は苦笑する

 

「まあ、そういう事なら名医と評判の華陀に診てもらう事そのものに否やはない

 健康であるに越したことはないのだからな」

 

ほれ、という感じで長い髪をたくし上げ背中を見せる周公謹

 

俺は、呼吸を整えながら慎重にその背に手を当てると、秘言と呟きながら病魔を炙り出す為に気を流し込む

 

「……っ!!」

 

胸を押さえ息を詰まらせる周公謹に、俺は確信する

巨大な病魔が息を潜めて彼女の胸に巣食っている、と

 

「このまま治療に入るが、構わないな?」

 

「……その前にひとつ教えてもらおうか

 この妙な痛みが、お前が言う“病魔”なのか?

 私にはお前が気を用いるなりして無理にそう錯覚させているようにしか思えんのだが」

 

俺はそれに医者として持てる誠実さの全てを込めて答える

 

「まあ、そう思われるのも無理はない

 しかし、これはゴットヴェイドォォォ!!の名に賭けて誓おう

 そのようなくだらない小細工は一切ない

 これは放置しておけば、いずれお前が常に感じるようになる痛みだ

 そして、この痛みを感じるようになる頃には、もう手の施しようはなくなっているだろう

 誓って言おう

 俺は医者としてお前を治したい」

 

しばし俺の目を見ていた周公謹は、納得したように頷くと再び背を向ける

 

「よかろう

 ここはお前を信じる事にしよう

 もし信じたのが過ちであったなら、それは私の耳目が歪んでいた、という事だな」

 

そう言って髪をあげて背中を見せてくれるのは有難いのだが…

 

「いや、すまん

 この病魔は背中からでは退治できん

 こちらを向いて胸を見せてくれると有難いんだが……」

 

なんとも言えない沈黙が部屋を支配する

 

 

念の為言っておくが、きちんと病魔は退治した事はいっておこう

≪???/周公謹視点≫

 

実のところ、華陀に

「胸を病んでいる」

と告げられた事は私にとって意外でもなんでもなかった

 

幼少の頃より時折咳き込む事があり、日常に障りはなかったとはいえいささか気になってはいたのだ

 

文台樣と共に周家にやってきた雪蓮と出会ってからはそのような事も滅多になくなりはしたが、それでも年に数度、突発的に咳き込む事はやはり続いていた

この事もあり、私は武よりも知の道を選んだともいえる

もっとも、雪蓮の器と武才を目の当たりにし、私は雪蓮を一生支えようと決めた事もその理由なのだが

 

そして確かに、華陀の鍼を受け入れた瞬間、胸の奥でつっかえていた小さな何かが弾け飛んだような気がする

心なしか呼吸もより大きくできるようになったようだ

 

「………まだ実感はないが、とりあえず不調はないようだ

 礼は言っておこう」

 

華陀とても天譴軍の人間だ

全てを正直に話す事など出来はしない

しかし、医者としての義務と使命感からの行動だとすればいささか心苦しくはあるな

 

………胸を見られたのだし、それで相殺という事にしてもらうとしようか

 

私が内心で苦笑していると、華陀は絶対に黙認できない事を言い出した

 

「治療は早めの方がよかったから今行なったが、落ち着いたら静養してもらうぞ」

 

「……なんだと?」

 

ここからの華陀の説明は要約するとこのような感じだ

 

病魔が巣食っていた期間が長いため、内腑が本来の力を取り戻すには時間をかけるしかない

その為には心身を休ませなければならず、適度な運動こそ必要だが軍師や将軍のような激務を認める訳にはいかない

完全に職務を放棄するのは無理だとしても、一定期間は第一線から離れてもらう

もしそうしなければ病魔に復活する機会を与えてしまう事になる、と

 

この内容から一瞬天譴軍の罠かとも考えたが、自分の身体の事だ、自分で理解できている

恐らく華陀の言う事は本当であり、華陀は医者として当然の事を言っているのだ、と

 

だから私はこう聞かざるを得ない

そして、返答によっては華陀の善意を無視するしかないのだ

 

「それで、一体どれくらいの期間を休養に当てればいいと言うのだ?」

 

「完全に職務から離れて、空気と水の良い場所で静養するなら、薬石を用いて三ヵ月は欲しいところだ。内腑に残る損害は、素人が思っているより遥かに回復に時間がかかる。第一線から退いて最低限の職務を行う場合は最短でも半年は見て欲しい。当然、その場合も旅は避けてもらいたい」

 

「ふむ……

 要は心身に負担をかけずに、規則正しい生活が要求される、という事か」

 

その通り、と大きく頷く華陀に私は思考せざるを得ない

 

この事を黙っているのは簡単だが、そうなれば雪蓮は絶対に怒るだろう

 

とはいえ、この大事な時期に私が建業で最低限の職務しかこなせない、となれば、どう考えても孫呉は破綻する

いや、破綻とまではいかぬだろうが、本来半年で済むところを2年かけて行う事になる、という事だ

 

この大事に、私が静養するなどという選択肢はない

そう考えたところで、華陀がとんでもない事を言い出した

 

「ゴットヴェイドォォォ!!の教えには、本来患者に関する事柄は秘する、というものがあるが、今回はそれを破らせてもらうぞ」

 

「……なんだと!?」

 

「あんたの顔を見てると、大人しく静養する気が全くなさそうなんでな

 職務を放棄しろとは言うつもりもないが、せめて周囲には快癒に向けて合わせてもらわねばならん

 長くても1年だ、ここは我慢してもらうぞ」

 

到底承服できぬ言葉に、一瞬華陀を殺して秘密を守るべきかと考え、すぐにその考えを打ち消す

 

華陀は長沙攻略に際して無償で物資その他を供与する条件として私と同行させるよう、天譴軍が求めてきたものだ

つまり、私は華陀の安全に関して責任を負わねばならない

これを違えた場合、最悪は約束されていた支援が全て白紙になる事も有り得るのだ

 

そこまで考えた時、ふと閃いた事を私は確認する事にする

 

「そういえば、お前はどうして私の病に気付いたのだ?」

 

華陀はこれになんでもないという風情で答える

 

「確信を持ったのは一緒に旅をしてからの事だが、一刀に言われていてな

 『恐らく周公謹は胸を病んでいるはずだから、気を付けて見ていて欲しい』

 と」

 

言われなくとも気付いたとは思うが、と呟く華陀に、笑いが口から漏れてくるのを抑えられなくなる

 

「そうか…

 天の御使いがな……

 ふふふ…

 ふふふふふ……

 あはははははははは!」

 

「急にどうした!?」

 

華陀が驚くのも当然と言えるが、これが笑わずにいられようか

 

なるほど、思えば天譴軍のやりようは確かにこうだ

 

相手に利益を与えつつ、その数倍の利益を得る

相手がいらぬと判断したものを拾い集め、それを純金へと変える

相手が欲しいものを与えつつ、一番欲しいものは与えない

 

これはもう、見事と敬服するしかない

 

「いや、よく理解した

 ここは医者の言に従うとしよう

 流石に完全休養は無理だが、完治が見込めるまでは無理はしない

 約束しよう」

 

本当にこれには敬服する

なに、こうなれば私を救った事を後悔させてやろう、などという野暮な事は言わん

最低でもこの事を天に向かって呪う程度には悔しがってもらわねば割に合わぬというものだ

 

急に機嫌がよくなった私を訝しみながらも、華陀も安堵したように頷いている

 

そんな華陀に向かい、私は機嫌よく言葉を投げかける

 

「漢中に戻った時には是非天の御使いにこう伝えて欲しい

 この命を救う機会をくれたことに、本当に感謝している、とな」

 

 

礼といってはなんだが、天の御使いにご披露するとしよう

 

この周公謹の“本気”がどういうものかをな…

≪揚州・建業/呂子明視点≫

 

先だっての書状より時を置かずして、思春樣と明命ちゃんが建業へと戻ってきました

 

私達に口頭で伝えられたのは、廬江を橋頭堡とし、そこを冥琳樣との合流地点として、長沙を攻略して欲しい、という事です

冥琳樣は、天譴軍の人……とは言っても正確には天譴軍ではないそうなのですが、お医者さんの華陀という人と一緒に使者として赴き、その後に合流する予定だとの事です

 

非常に危険な任務を冥琳さまに強いたという事で雪蓮さまがかなり暴れたんですけど、それは祭さまがなんとか宥めてくださいました

 

「もし冥琳になにかあったら、長沙の奴ら鏖にしてやる」

 

南海覇王を片手に酒を呷りながらそう呟く雪蓮さまに、さすがの祭さまも近づくのをやめました

 

ともかく、揚州の平定を後回しにして急ぎ廬江へと軍を進める準備をはじめた私達でしたが、それから数日もしないうちに、今度は冥琳さまから書状が届きました

正確には華陀ってお医者さんのものです

 

この書状には冥琳さまが胸を病んでいて、その治療を行なったこと

治療は成功したが、しばらく休養が必要なこと

快癒までには1年は見て欲しいという事が書かれていて、他に冥琳さまの筆で療養は長沙で行いたい旨が記されていました

 

これを見て全員が絶句した訳ですが、雪蓮さまはむしろ納得したように頷いています

 

「なるほど、ね……

 これは確かに嫌な予感もする訳だわ…」

 

不機嫌そうに呟く雪蓮さまですが、その瞳には安堵の色があるのが判ります

 

「全く…

 冥琳が胸を病んでいたなんて気付かなかったわよ…」

 

そう小声で呟くのを、優しい目で見詰める祭さまがいました

 

「確かに孫呉としては一歩どころではない後退と言えるじゃろう

 しかし…」

 

「ええ、江東の平定が10年遅れたって、冥琳には代えられないわ

 簡単に代えが利くような子じゃないんだから…」

 

難しい顔をしながらそれに答えたのは穏さまです

 

「まさか、こういう手段でお師匠様を動けなくするとは思いませんでしたね~

 とはいえ、ある意味最高の支援をいただいたとも言える訳ですし…」

 

「当然じゃない!

 そりゃあ冥琳はちょっとおっかないし勉強しろって五月蝿いけど、なんといってもお姉さまの親友なんだもん!」

 

小蓮さまの言葉に、みんなが一気に和みます

 

「とはいえ、冥琳樣が建業ではなく長沙を選んだ以上、我々も急がずばなりますまい」

 

思春さまの言葉に、全員の表情が引き締まります

 

「ん~……

 冥琳が動けないとなると、どうしても穏にはこっちに居てもらわないとならなくなるんだけど、厳しいなあ…」

 

「多分、お師匠様の事ですから、長沙で合流すれば策は用意してくれてるとは思うんですけどね~」

 

「とはいえ、これ以上天譴軍に蓮華樣ひとりを置いておく訳にもいかんじゃろ…

 心配なのもありはするが、あのご気性じゃ

 無理をしておらぬかが一番気にかかる…」

 

「蓮華樣、お労しい…」

 

「お可哀想なのです…」

 

「蓮華姉さま……」

 

口々にそう呟くみんなを見て、私はひとつの決断をしました

今の孫呉は絶対に穏さまをはじめ、みんなを欠く事はできない

そうであるならば…

 

「あ、あの!」

 

「なんじゃ?」

 

祭さまの言葉と同時にみんなの視線が集中したので、思わず縮こまってしまいましたが、私は精一杯の勇気を振り絞って伝えます

 

「あの!

 漢中に行ってからの事は私がなんとかしますので!

 なので他のみなさんはここに残ってください!!」

 

『え?』

 

「あの、だから…

 天譴軍に対する言い訳は私がなんとかしますし、阿蒙に戻る事になったとしても、蓮華樣は必ずお守りします!

 だから…

 だからここは私に任せていただけませんか!!」

 

必死でそう伝えた私の前に、厳しい顔をしたまま雪蓮さまがやってきます

雪蓮さまはすーっと私の顔に向かって手を伸ばしてきて…

 

私は思わず目を瞑ってしまったんですけれど、次の瞬間、そっと頬を撫でる感触がしました

 

おそるおそる目を開けてみると、そこには優しく笑う雪蓮さまのお顔があって…

 

「……馬鹿ねえ

 蓮華だって孫家の娘だもの、そういう覚悟はとっくにできてる

 だから、貴女は阿蒙に戻るなんて、そんな事は言わなくていいの

 そんな事をしなくたって、貴女に対する私達の信頼は揺るぎはしないんだから」

 

「雪蓮さま……」

 

有難くも勿体ないお言葉に、思わず目が潤みそうになったんですけど、それにみんなが止めを刺してくれました

 

「本当に、いきなり何を言い出すかと思えば…

 そんなじゃからひよっこのままじゃと言うに…」

 

祭さま…

 

「本当よね~

 亞莎が阿蒙に戻ったなんてなったら、逆に蓮華姉さまが落ち込んで帰ってこれなくなっちゃうわよ」

 

小蓮さま…

 

「そもそも、今更お前を阿蒙に戻すのなら親衛隊から出すはずがなかろう

 精進が足らん」

 

思春さま…

 

「亞莎ちゃん、真面目過ぎです

 少しは肩の力を抜かないと駄目だと思うのです」

 

明命ちゃんにそれは言われたくないかも…

 

「そういう事ですよ~

 軍師はまず、みんなを信頼する事が大事なんですよ~

 でないと策を任せられないんですから」

 

……はい、穏さま!

 

嬉しくって涙を隠すように袖で顔を覆う私に向かって、雪蓮さまが言ってくれます

 

「よし!

 それじゃあ私達の命運は亞莎に託した!

 私の勘もそれがいいって言ってるし、思うように全力でやってきなさい!!」

 

「はい! ありがとうございます!!」

 

 

こうして、私は即日、単身で漢中へと向かう事になりました

 

江東で頑張るみんなのために、長沙で身命を賭ける冥琳さまのために、そしてひとり漢中で戦っている蓮華さまのために

 

 

これからどんな苦しくて厳しい戦いになるとしても、私は頑張れる

 

 

今の私は少しだけ大人になった、そんな気がします


 
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