No.345900

真・恋姫†無双~とある外史の妖術使い~11

ですてにさん

拠点でござる! 拠点でござる!
これが終わったら、さっさと黄巾吹っ飛ばすぜオラー!

でも、次回も拠点かもな。出てないヒロインがいるし。

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2011-12-11 02:03:13 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:7014   閲覧ユーザー数:4932

ダイジェストの続きと行ってみよう。

 

「だ、旦那さまぁ・・・。わた、しは、私は、もう・・・っ!」

 

おっと朱羅さん! これ以上は夜想曲で奏でるべき内容だ!

俺も貴女の艶姿に釣られて、そろそろ限界だから、少しだけ待ってくれ!

 

というわけで、回想スタート。

 

 

○雛里んの魔女っ子修行♪○

 

名実共に魔女っ子となった我らが雛里ん。

一刀に造ってもらったマジックステッキ(先端に宝石埋め込んだ、ただの樫の杖)を振るって、

自らの使用できる術の属性を片っ端から確認中である。

 

仕事? 毎日、おっそろしい速度で片付けて、それ以降は緊急時以外明日以降のみ受付、で突っぱねていると覇王様が嘆いていた。

桂花が罵声を浴びせても、『あわわ? 消されたいのでしゅか?』などと物騒な事を本気で行おうとしたので、それ以降はある意味平和らしい。

 

元々の才能に加え、妄執染みた向上心が生まれたのはいいが、全てが一刀絡みで、

さらに、一刀の為にとなると、普段の引っ込み思案がぶっ飛んで、色々豪快で強引な性格に…。

 

なぜか一度見たような感覚を味わった貴方は目が疲れているので、ブルーベリーサプリを100粒飲むといいと思う。

 

まぁ、とにかく雛里んは覚醒して、能力も性格も大きく変化しているのだ。

但し、身体は相変わ…(文章はここで途切れている…)

 

「あわわ、失礼な人でしゅ。しかし、なんで私は光の属性が使えないのでしょうか…」

 

雛里んの今の悩み。

それは魔法を放つ時の演出効果で、光をきらきら瞬かせながら、カッコ可愛く術式を放ちたい、というものだった。

 

ちなみに、雛里が確認した使用可能な属性は、水。そして…。

 

「うう、どうしてもこれじゃ華琳さんの漆黒の覇気と被りましゅ…」

 

病み属性だった。正しくは病み。いや違う、『病み』。なぜか変換できない。

まぁ、とにもかくにも、キラキラどころか、どす黒いものが雛里の周りを漂っているようにしか見えない。

…魔女っ子どころか、『滅びの魔女』みたいな二つ名がつきそうである。

 

雛里と契約を結んだ一刀は、ちゃんと闇属性の術が解放されていた。

ちょっとした安らぎや深い睡眠を与えるものから、それこそあっさり大多数を仮死状態にもっていける大魔法まで。

それ以上はおっかなくて、一刀も試していなかった。

術式の試験に立ち会った華琳も『これ以上は禁呪、ってことにしましょう…それがいいわ…』って遠い目をしながら呟いたらしい。

 

つまり、契約者にこれだけの力を齎した、雛里んに潜む病み属性の力はとにかくヤヴァイものらしい。

ゆえに、一刀も華琳も彼女が練習に励むのをむしろ推奨しているところがある。制御してもらわないと国が滅びかねない。

 

「光は俺も使えないみたいだから、別に良くね?」

 

契約を果たして、使用属性に制約がかかった一刀。

ともあれ、華琳のお陰で火・水・風・土の上級魔法までは難なく行使できるし、特殊属性の治癒魔法も使用できる見込みが立っている。

朱羅の魔力共鳴を見た華琳が、治癒魔法の行使条件として、特殊属性の光と、水か土の二属性の術者であると感づいたからである。

…ようするに、朱羅と契約結べば解決よね、ってことらしい。

 

一刀と契約を結んだ女性は基本不死なので、治癒魔法の概念は本来必要無いのだが、

大多数の自国の民や兵士たちが天寿を全うできるようになるのは良いことである。

 

余談であるが、闇属性と水や土が使える(=華琳とか、雛里?)術者は、

治癒は出来なくとも、病魔の進行を止めたり、出血を止める、といった手立ては出来る。

光が再生を司るのなら、闇は安らぎや無・停止を司る。行き過ぎれば命の停止=死、になるが、

病魔・外傷による出血の進行停止、のようなやり方は可能である。

 

この辺りは応用力が豊かな華琳さんや、この大陸では考えにくい概念を持つ一刀、

妄s…いや、空想力に秀でる稟などの、意見交換から判明したものである。

 

稟は一刀に真名を許した。

なぜなら彼の手がける漢方薬は胃の痛みを和らげ、かつ、鼻血の出血量をも抑えてくれる優れモノだからである。

『貴方が神か…っ!』とか、彼女は言うものの、

魔力も混ぜた漢方薬を処方しても、鼻血が出るのは止められないのであり、稟の妄想力がどれだけすごいものかという証明でもある。

それに、稟の胃の痛みは一刀のせいでもあり、彼にとっては代償行為なのだ。

 

「だけど、ご主人様は炎を細かく散りばめて、臨場効果を高めたりできるじゃないでしゅかぁ…!」

 

帽子を両手で押さえながら、涙目で切々と訴える雛里ん。

紳士たる一刀は迷うことなく、音速を超える早さで自らの腕の中に、雛里を引き込み、

本能の命ずるまま、もふる。

 

「涙目の雛里んは愛らし過ぎる…もふもふもふもふもふもふもふもふ…」

 

「あわわわわわわ…っ! ご、ご主人様、くっ、くすぐったいでしゅぅ…」

 

そんなことを言いながら、内心喜んでいるものだから、雛里も本気の抵抗などしていない。

自分の普段の振舞いが、彼の本性のどこかを刺激してやまないことなど、雛里にはとっくにお見通しなのである。

 

ゆえに、口癖も、彼女元来の照れ屋で引っ込み思案なところも。彼の前では、隠すつもりも無かった。

むしろこれで活力をもらって、彼がいない所では黒雛里んとして、辣腕を振るうのである。

単純な公私の切り替えだ、と雛里は考えていた。

 

「そんな愛らしい雛里んに、その杖に細工をしましょう。えんちゃんと~」

 

杖の宝石に向かって、何やら魔力を送り込む一刀。

途中からは真剣な顔をしているから、細かい調整を行っているのであろう。

 

「よしっ…! いい仕事が出来たと思うぜ…! 雛里ん、杖を軽く振るってみな」

 

「あわわ、はいでしゅ」

 

雛里が軽く杖を振ると、彼女の周りで綺麗な水玉が多数包み込むように浮かび上がる。

シャボン玉を想像するといい。あれを魔力で水玉に置き変えて、雛里の周辺に散らしているのだ。

 

「綺麗です…」

 

噛むことも忘れた雛里んが、見惚れてぽそりと呟く。

 

「雛里は水の術師だろ? 雛里が魔力を込めれば、自身を守る様に、細かな水流が自分の周りをくるくる回り続けることもできる」

 

まぁ、よくあるファンタジーの水の精霊を考えてみるといい。きっとそんな感じだ。

 

「ありがとうございます…。ご主人様の為に、私もっと勉強します。術の修練もします。

あわわ…よ、夜の実践も…少しずつ、が、頑張りましゅ…!」

 

「そんなに恥ずかしいなら、無理に言わなくても大丈夫なのに。だけど、ありがとな、雛里ん」

 

小柄な彼女は、一刀の腕の中にすっぽり包まれてしまっている。

ただ、彼女の知識とたゆまぬ向上心は、確かに一刀の力になっていて、愛らしい外見は癒しであり、

精神面で十二分に一刀を支えているものだった。

 

一刀の言葉に本当に嬉しそうに微笑む雛里。愛する男の言葉を幸せの原動力として、これからもさらに励むのである。

…少女は、大人の女性へと孵化を果たしていた。

 

「何呑気に仕事サボってるのよ! ちょっとは働きなさいよね!」

 

「あわわ、自分の余裕が無いからって八つ当たりするのは見苦しいですよ。

私は今日の業務をとっくに終えていますし、ご主人様も本日の新規の開拓分を終えて、こちらにいらっしゃいます。

文句を言われる義理はありませんよ、華琳さんの子房を自負する文若さん♪」

 

噛み癖など何処へやら、である。無邪気な笑顔を浮かべながら、放たれる言葉は辛辣そのもの。

 

「華琳さま、でしょーが!」

 

「私は『さま』づけをしなくて良いと許可を頂いています。確か、貴女の目の前でも確認を取りましたね?

…ああ、若年性痴呆ですか。免官も止むを得ませんね、残念です♪」

 

一刀の腕に頬擦りしながらの余裕の発言である。

元来、雛里と桂花の力量に大きな差があるわけではない。むしろ政務においては桂花に一日の長がある。

 

だが、この差は一体なんだろうか。

 

あえて、表現するならば。歪んだ愛情から生まれた情熱の向けた先、か。

桂花は華琳の寵愛を得ることに主に注力し、雛里は一刀の支えになるべく、研鑽することに主に注力した。

 

元々、とてつもない才の持ち主である二人である。

たった二週間、されど二週間。それだけで差がくっきりと表れる。一刀はむしろ二人の才に改めて舌を巻く思いであった。

 

「な、な、な…っ!」

 

が、桂花の表情が怒りに染まり、顔色が真っ赤に変わるのを見やり、一刀は口を開く。これ以上はさすがに不味かった。

 

「雛里。言い過ぎだ。それ以上言うなら、しばらく夜は呼んであげない」

 

「!…は、はいです…」

 

一瞬でしゅんとする仕草すら愛らしいのも困りものだと思いつつ、雛里の頭を軽く撫でてから、一刀は桂花に向き直った。

 

「桂花」

 

「な、なによ、あんたが軽々しく私の真名を…呼ぶんじゃ…」

 

返事はなぜか弱弱しい。一刀の呼びかけた言葉遣いの真剣さを真に受けたからなのか。

 

「華琳が許した。君も渋々ながら認めてくれただろう? 聞いたよ。男の中では随分マシな奴だって、褒めてくれてるって」

 

「ななななななななっ…! んで私がアンタを褒めるはずがっ!」

 

表情の変化が明らかに一刀の言動を認めているのだが、本人は必死で気付かない。

雛里は驚愕する。ご主人様の一言二言で、彼女のこんな表情を引き出せるとはと。

 

「華琳はこうも言っていたよ。突然の大勢力の政務の中核を任されながら、良く付いてきてくれていると。

袁紹も確かに大勢力だけど、華琳のように、こんな精密な内政など行っているはずもない」

 

「知ったかぶり、するんじゃ、ないわよ…」

 

「わかるさ。俺が主に携わる農政面一つをとっても判る。華琳は天才だ。その彼女を補佐するのには、王佐の才が必要。

俺は、華琳の心に寄り添うことはできても、側近として彼女の覇業を支えるのは不可能だ。

俺は、桂花や雛里に比べれば、ありきたりな凡人以外の何者でもない」

 

雛里はとっさに叫びそうになった。そんなことはない、と。

けれど、彼女の唇にはそっと一刀の指が当てられており、その発言を許さない。

 

「どの口が言うのよ…妖術使いは元来忌み嫌われるものと知りながら、荒れた大地の耕作化に惜しげも無く、その能力を使い、

赤心を持って、兵や民の信頼を勝ち取った『天の御遣い』…。私は男は大嫌い。それでも、アンタの実績は認めざるを得ないのよ」

 

「・・・・・・」

 

「憐み? 情け? 同情? 反吐が出るわ。瞬く間に実績を築き、華琳さまの御心をつかみ取ったアンタに私の何が判るのよっ!」

 

地面にぽたり、ぽたりと、水滴が染み込んでいく。

 

悔し涙を流しながらも、真っすぐに一刀を見据え、本心をぶつける桂花の姿。

自分に向けられる何時ものやっかみなどではなく、彼女の心の叫びを今、自分の主人が引き出している。

 

「うん、わからないよ。名門たる荀家の名を背負って生きる重圧なんて、平民の俺には想像がつくはずないからね」

 

一見、突き離すような言葉なのに、どうして優しさに溢れているのか。

 

「だけど、確実に判ることがある。桂花は、必死に頑張ってる。どうやったら華琳の役に立てるか、それだけを考えてる」

 

方向性が少しずれただけのことだと、一刀は知っている。桂花の才も、想いも…かつて、ずっと間近で見てきたのだ。

 

「わか…った、ような、口を…」

 

「うん、外れならそれでいいんだ。俺の思い込みだからさ」

 

「…後ろ、向きなさいよ。私が言うまで、口を開かないこと。あんたの耳は何も聞こえない。いいわね」

 

「ん。わかった」

 

ほにゃ、っと一刀は微笑み、すっと背中を曝け出す。

 

「馬鹿よ。このまま刺されたら、一巻の終わりじゃない。…背中、借りるからね」

 

しばらく、少女の泣き声が彼の背中に響き続けたけれども、彼はそれを知らない。

見ていないし、聞こえてもいないのだ。

 

雛里は華琳から彼の過去を聞いていた。けれど、彼がそれを桂花に明かすことは無く。

ただ、見守っていることは気付いていた。それだけに、苛ついた。彼に突っかかる彼女が。

他の将や兵に当たり散らす彼女を必死に庇って周り、それすら知らず、守られている彼女が。

 

『一刀にしか出来ないことよ。雛里も腹が立つと思うけど、耐えてちょうだいね』

 

悲しそうにそう言った華琳の言葉も知らずに。

 

悔しかったのだ。雛里はただ、ただ、黙って罵倒されるご主人様を見るのが、悔しかった。

 

黙って、そっと撫で続けてくれる、愛しい『ご主人様』の代わりに、雛里は、思いっきり泣いた。

 

**********

 

「だからっ! そのやり方じゃ非効率的でしょうがっ!」

 

「あわわ! 斬新過ぎるやり方を理解するのが困難な大多数の民の反感を買えば、長期に渡って遺恨を残しましゅ!」

 

「北郷に慰撫させれば済む話でしょっ!」

 

「ご主人様に丸投げしてばかりじゃ、これ以上領土が広がった時にどうしようもありません!

それにご主人様がしんどいじゃないですかっ!」

 

「一番、生産的なのは雛里だってわかるでしょうがぁああああ!!!! 第一、この男が簡単に倒れるタマなもんですかっ!」

 

喧々囂々と真っ向から対立している、雛里と桂花。

一刀の為、華琳の為。お互いの才をぶつけ合い、次々に提示される政策は、曹魏の領土を確実に富ませていく。

 

「お互い認め合ったのはいいんだけど、毎日あれじゃ血管切れなきゃいいんだけど」

 

「大丈夫、許容範囲よ。いざとなれば、私と一刀が後ろから抱き締めればそれで止まるわけだし」

 

「…競い合うように才を磨いていますから、出てくる策も常に優れたもの。

自身の中心に置く視点の違いも、いい方向に出ていて、どんどん精練されていきますから、

私ももっと勉強しないと、置いて行かれてしまいます」

 

「心配無いわ、朱羅はまだまだ経験が違う。彼女たちの策を一番良いやり方で開花させてあげられるのは、慢心などしない貴女」

 

「うん、内政面の長を朱羅が務めているから、逆に安心してあの二人が突っ込んだ話をしてるって所もあるだろうしね」

 

「はうあう…旦那さまも華琳さまも、あんまり煽てないで下さい…」

 

天才・華琳を国主に仰ぎ、天性の調和能力を持つ・一刀が国主や女性陣の心を支え、

内務の長・朱羅は、才あれど癖のある才女たちを巧みにまとめ上げ、才女たちはその保護下で能力を最大限に発揮する。

 

元々、軍部は優秀な武官二人がしっかりと頂点におり、

遊軍を任せられる星がおり、稟が軍師としてその軍勢を最大限に生かす戦術を取れる。

元来、軍略を得意にしている雛里も、戦となれば一方面を完全に任せることが出来る軍師である。

外交面や謀略面はスペシャリストともいえる、風がいる。

 

さらにあの女学院から、徐元直、向巨達も朱羅の正式な要請を受け、曹魏に近日中に仕官する。

軍事・謀略が得意分野の徐元直、政務を得意をする向巨達。・・・既に人材面は磐石であった。

 

「あとは兵士や民の数・・・でしょうけど、黄巾党を束ねてしまえば問題なし。

まぁ・・・私たちが一斉に孕みさえしなければ大丈夫でしょう」

 

「ぶふっ!?」

 

「・・・確かに皆が身重となってしまうと、侵攻や迎撃に支障が出ますね。

はうあぅ・・・ただ、皆旦那さまの子供は欲しい、と思います・・・」

 

「飄々としている星ですら、それは否定しないものねぇ。あ、ちなみに、私予定より二週間遅れてるから」

 

「ごふっ! ごふっ!」

 

「あらあら、気管にでも茶が入ったの、一刀?」

 

「狙って言ってるだろ!? ・・・ごめん、朱羅。背中撫でてくれてありがとう」

 

「はうあぅ・・・と、当然の役割ですから・・・」

 

「仲睦まじいことね」

 

「しれっと言ってるけど、華琳さん、貴女がこの集団の中心だからね! 他人事みたく言っても無駄だからな?!」

 

「ええ、その怒りは私に劣情をぶつければいいのよ。甘んじて受け止めてあげるわ」

 

「舌なめずりしながら言われても、なんか台無しだよ華琳・・・」

 

オチも無いまま、この項は終わる。

 

 

○天撃の星さん。だって神速だとカブるしね○

 

「おい、相手をしろ、星!」

 

「またか、春蘭どの・・・私はこの通り、一杯やってるところなのだが」

 

朱羅と一刀の襲撃事件があってから、漆黒の覇気の兼ね合いで隷属する必要がなくとも、

契約は有効だから一刀が死ねば私は死ぬのよ、と自分の主から聞かされた春蘭。

 

いや、特殊能力のせいで、実際にはその誓約すら無効化もしくは弱体化されているかもしれないのだが、

華琳は一刀と共に果てる満々であり、自分の能力の微調整の研究に余念が無い。

 

・・・実際、それは一国の長としてどうなんだって突込みを、外史の神は入れたいところなのだが、

おそらく突っ込みをいれると、夢枕で呪い殺されるのが確実なので、そこは自重するものである。

 

さて、鬱憤の晴らし所が無くなった春蘭に対し、引き受ける形になったのが星である。

さすがにミンチにされたら自己修復するのに時間がかかるだろうが、なんてあって不死である。

いや、不死なのは、それこそ風や雛里でも同じなのだが、あの辺りは禁呪を使ってでも、春蘭を消しかねない可能性がある。

 

『お兄さん(ご主人様)に仇名す人は身内であろうが抹消すべき』なんてサラッと言うのである。

 

一刀に泣きつかれ、華琳に懇願までされては是非も無し。

毎日一瓶の至高のメンマの引き換えに、泣く泣く役割を引き受けたのである。

あれ? ・・・泣く泣く?

 

「失礼な。決して面白がってとか、メンマに釣られただけとか、そんなことは無いぞ?」

 

頼むから地の文に突っ込みするメタぶりは勘弁願いたいものである。

 

「私を無視するな! 一体誰と話しているのだ!」

 

「ふふふ、乙女には秘密の百や二百あるものですぞ」

 

「そんなことはどうでもいい!」

 

いいんだ。・・・いいのかな?

 

「お前を倒せば、あの男を八つ裂きにしても良いのだ! 今日こそ勝たせてもらう!」

 

「・・・いや、主を殺せば華琳どのも殺されるわけなのですが・・・聞いておりませぬな。

仕方ない。先生、お願いします!」

 

言うと同時に自分の愛槍『龍牙』の刃を天にかざして、日光を反射させる。

 

「くっ、目くらましかっ!?」

 

「どぅれ、仕方があるまい。このワシが成敗してくれる」

 

正常な視覚に戻った、春蘭の前には、いつもよりも着衣を着崩した星の姿。

 

「・・・何がやりたかったのだ?」

 

「用心棒はかくあるべきと主から聞きだしてな。前口上の修練だ」

 

「なるほど、前口上は決まると惚れ惚れするからな!」

 

「さよう。ではこの酔拳でお相手しよう」

 

そう言いながら、徳利からまた一口。本当に旨そうに口に含む星だが、春蘭にしてみれば挑発行為以外の何物でもなく。

 

「ふざけるなっ! 大剣の私相手に素手で相対するだとっ・・・!」

 

「てい」

 

「痛っ・・・っ!?」

 

動きを捉えることも出来ず、凸ピン一発。春蘭の額がみるみる赤くなっていく。

 

「これは私の5ぱーせんとの力だ」

 

「ぱ、ぱーらめんと?」

 

「ふふ、天の世界の言葉だ。さて、次は10ぱーせんとだ」

 

ビシッ! 同じところを狂いなく打ち抜く。・・・凸ピンで。

 

「いつつつつつ・・・っ!」

 

「ふふふ、見えぬだろう? これが私と貴公の実力差ということだ」

 

実際には加速の術式を使っているだけだが、教える義理も無いので、星はそういうことにしている。

元々、速度に定評のある武人だった彼女だから、こういう速度上昇系の術は風属性というのを差し置いても、

すごぶるあっているのだ。

 

「な、なんだと・・・」

 

「さらに! 秘儀! 分身の術っ!」

 

「なっ! 私の周りを全て星に囲まれているだとっ!?」

 

残像が見えるぐらいに早く移動しているだけ・・・と、言葉に書くのは簡単だが、明らかに人間業で無いのは確か。

得意属性+得意術ゆえ、消費魔力がほぼ十分の一、というのも彼女は経験からわかっているので、

悪乗りし放題なのである。

 

「これでも私の(術を加えた)速さは30ぱーせんと程度・・・くくく・・・」

 

「?・・・どれほどすごいのか、よくわからん」

 

「ふぅ、張り合いの無い・・・三割、程度ということだ」

 

「なっ、なんだと!? この早さで三割程度の能力というのか!?」

 

「ふふふ、そうだろう、そうだろう。これこそが『神速』というものだ」

 

「…はっ! い、いかんぞ、星! 神速の二つ名は、よくわからんが駄目だ!」

 

ぴたっ。星がその言葉に不意に分身を止める。春蘭の前に座り込み、うんうん唸り始めた。

 

「ふむ・・・よく判らないが、春蘭殿の制止は心に響き渡るものがある。なぜかその二つ名は使ってならぬ気がするな」

 

「うむ、武人の本能と言おうか。全身が警鐘を鳴らすのだ」

 

「ただ、春蘭どのは『魏武の大剣』という立派な二つ名をお持ちだからな、私とて映える二つ名が欲しいものだ。

あ、一献どうかな」

 

「・・・むむむ、閃光は秋蘭と重なるからなぁ。あ、すまんな、頂く」

 

元々仲自体は悪くない二人である。酒を共にすることもちょくちょくあるのだ。春蘭の額が真っ赤なままなのはご愛嬌だ。

 

「ただ、星はその速さを生かした二つ名がいい。神速が使えないのは痛いな・・・」

 

「名乗って駄目なら奪ってしまえホトトギス・・・む、この電波は風の仕業だな」

 

「・・・風はすごいらしいな。なんか知らんが、アイツに逆らえばこの国にはいられなくなるぞ、って秋蘭も言ってるしな。

なんでガタガタ震えていたのかは判らんが」

 

「あー、風はこの国の全ての者の弱みを握っているだろうからなぁ。他国の重要な人物についても同様だろう。

いや、誇張表現でもなく、敵に回しては絶対にいかんよ」

 

「『情報を制する者はすべてを制すのですよ~』などと幻聴が聞こえるぞ。これが、電波、なのか。・・・むむむ。風はすごいな」

 

「なんと魔力の無い春蘭どのにまで電波を受信させるとは・・・風め、どこまで・・・む?

『全てはお兄さんの意向に沿うだけですよ、ぐふふ・・・』って判った! 判ったから、私の秘蔵のメンマ壷だけはどうか、

お助け、いやそんなご無体な…おおぉ、余は信じとうない…おぉ…」

 

「神懸かった星を言葉だけで沈めるとは…まるで天の一撃だなぁ」

 

「ティンとトキタアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」

 

「うわぁ!? ど、どぅ、どうしたのだ星! 急に大声を上げるな!」

 

突然の大声もそうだし、その閃きの掛け声は某社長なのでほんとに自重して頂きたい。

混沌(カオス)な外史でも最低限の規律が・・・え? 貂蝉さん、無いわよん、って、え? マジで?

 

「それだ春蘭どの! 私は天撃の星! うむ、さすが春蘭どの! 直感や閃きだけの世界に伊達に生きておらぬな! 感心した!」

 

「そ、そうか? いや、そんな明け透けに褒められると、て、照れるぞ」

 

いや褒めて無いよ春蘭さん…。騙される貴女は愛すべき馬鹿だからいいんだけどさ…。

それに、そのネーミングセンスでいいのか、星さん。

 

「これで、いいのだ!」

 

 

すまん、風さんや。力尽きた。

あんさんはお気に入りだから、単独で一話つくるわ…。

 

秋蘭や稟辺りが出てないから、相手役で出てもら…え? お兄さんを出せ?

 

いや、出したらオールスターフラグにしか…げっ!

なんでそのネタを貴女が持ってるんですか! それを表に出されたら私の人生終わります!

 

くそぅ、明日とかにこっそり追記して拠点さくっと終わらせてや…

え、ははは嫌だなぁ冗談に決まってるじゃないですかぁ!

 

え? 異聞でも、メインヒロインの自分の出番が少ないから、次回は出せと?

いや、あっちのヒロインは黒華り・・・ひ、ひぃ! そ、そのネタまで出さないで! 作者が死ぬ!(社会的に)

 

爆乳長髪を左遷してでもですか!?それって嫉妬神アイs

 

 

彼の手帳の文字はここで途切れており、紙面は血飛沫で文面を読む事もなかなかに困難だったという・・・。


 
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