No.344630

真・恋姫†無双~とある外史の妖術使い~10

ですてにさん

拠点でござる! 拠点でござる!
これが終わったら、さっさと黄巾吹っ飛ばすぜオラー!

でも、次回も拠点かもな。出てないヒロインがいるし。

2011-12-08 00:20:43 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:6411   閲覧ユーザー数:4578

おはようございますこんにちはこんばんはおやすみなさい、北郷一刀です。

いや、どの時間帯なのか判らないから、って電波を受信したんだけど、何のことかさっぱり判らぬ。

 

まずは、諸葛謹(子瑜)こと…朱羅さんが仲間になってからの一ヶ月間をダイジェストで振り返りたいと思う。

 

というか、飛ばし飛ばしで行かないと、色々、冨野、もとい、刻の涙が見えそうだからね!

 

「はうあぅ…今文字通り、気持ち良いことをしてますよ? はぁ…」

 

おっと朱羅さん! それ以上はイケない! まだいっちゃイケナイんだ!

というわけで、回想スタート。

 

 

○覇王様の忙しい日常

 

陳留、汝南、南陽(宛)───。

この三都市が現在、曹孟徳の支配地である。

汝南、南陽については書類上は袁公路が太守となっているが、

無理やり書かせた委任状により、彼女が治めることが公になっている。

 

寿春より南東は予定通り、孫家に圧しつけた。

委任状も以下略の為、結果、孫家は華琳に大きな恩を売られたことになる。

 

ちなみに諸葛謹は元々、孫家に仕えていたようだが、

袁家に組み込まれた際に在野の士に戻っている為、一刀の元に仕えることは問題なかった。

内々に苦情…いや、あれは懇願というべきだろう、孫呉の未来の大都督から切々とした訴えがあったのだが、

華琳はバッサリ切って捨てて、胃潰瘍になりたくなければこっちに来なさいと引き抜きすらかけたという。

 

周公謹の才能を早死で失うのは世の損失と考えたゆえの言動だが、

断金の絆を分かつことが出来るはずもなく、結局は有耶無耶の内となったらしい。

 

「…急に三都市の統治となると、どうにも目の回る忙しさよね…」

 

愚痴りながらも、竹簡に加える筆は止まることのない華琳である。

恐ろしい早さの決断で次から次へと案件を裁いていく。忙しいと言いながらも、実際には余力を残しつつの執務である。

 

「今日は旦那さまも開墾に出られてますから、人手がどうしても足りませんね」

 

同じく、華琳に判断を仰ぐ竹簡を振り分ける作業を休むことなくこなしながら、

自身の決済分についても逐次筆を入れ続ける、朱羅の姿がある。

 

元々、慢性的な内政官不足の孫呉の出である。華琳に及ばすとも、やはり余力を残してのお仕事中であった。

 

「いつの間に『旦那さま』なんて言うようになったの、朱羅」

 

「はうあぅ…、れ、練習なんです…。すっ、少しずつ、心と身体がちゃんと慣れてから、寵愛を頂くという話で…」

 

「へえ、あの一刀がねぇ。いつの間にそんな慎重派に…。

ただ、晩に貴女の可愛い声が、一刀の部屋から漏れていることが何度もあるのだけど?」

 

ちなみに、華琳の部屋と一刀の部屋は隣接している。

強権発動によるものだが、一刀がなんせ優秀な恋人達の力も借りて、卓越した農政や民政を発揮した為、

能力主義の華琳の部下達としては、一部を除いて何も言えなくなっていた。

さらに、華琳さまの旦那としてはあれくらいの器量が無いと駄目だろうってことで、歓迎する向きも一部にあったりする。

 

「はうあう…身体も少しずつ慣らして頂いているんです…。

あの自分がおかしくなりそうな感覚も少しずつ、受け入れることが出来るように…」

 

(なるほど。快楽を知らずに受け入れるのも、逆に恐怖、か。

ただ、少しずつあの悦びを身体に教えられる朱羅は、もう一刀から離れられないでしょうに…)

 

ある意味、罪深いやり方だと、華琳は思う。

一刀にすれば、自分達の命を最優先する為に、慎重に事を進めているだけだろうが、

朱羅からすれば、こうじっくり開発されてしまうと、選べと言われても拒否する考えなど吹き飛んでしまっているだろう。

 

(雛里は強引に行ったのと対照的ね…ほんとに錯覚だったら皆死んでいたというのに。

あの思い切りの良さは、孔明とは対照的かもしれない。稟に雛里、二方面を完全に任せられる軍師の存在は大きいわ)

 

「か、華琳さま…きゅ、休憩ですか…?」

 

思いに耽り、手が止まってしまった華琳に、垂れた猫耳の下から声がかかる。

…正しくは猫耳フードを被った荀文若=桂花、その人である。

華琳が袁紹の元で燻っていた彼女を、空から強襲し強引に攫ってきたという、漢らしい引き抜き方であった。

ちなみに、袁紹の元では突然行方不明になった、という扱いのようである。

 

頭から湯気が出そうな様子で、彼女は目一杯だったことが判る。

彼女は確かに優秀であるが、記憶持ちの公式チートに、殺人的な人材不足が当たり前の文官を前にすれば、

いまだ記憶を取り戻していない、経験不足の彼女が同じ次元で仕事をやろうと思えば、

全力で業務に取り組むしかないのである。

 

「…えぇ、休憩にしましょうか。桂花。悪いけど、隣の部屋からシュークリームとお茶を持ってきてくれる?」

 

「はい、華琳さまぁ♪」

 

垂れていた猫耳がピンと張り、軽やかな足取りで隣室に一時退室する彼女を見ながら、華琳は嬉しそうに呟く。

 

「さすが我が子房。いきなり大規模の内政の中心に置かれても、必死に付いてきている。可愛いものだわ」

 

「旦那さまにある程度伺ってはいますが、桂花さん達の記憶を戻したりはなさらないのですか?」

 

『はうあぅ』と言った口癖が出る時は、朱羅が照れていたり、気が緩んでいる時であり、普段は逆に殆ど出ないのが常である。

華琳ともこの一か月近くの付き合いで、気心が知れてきたこともあるのだろう。

時折、口癖が出るのが、華琳にしても悪くない気分であった。

 

「一刀の取り巻きが増えるのは当面ごめんだわ。そうでなくとも、既に私達を含めて五人でしょ。

現状で二日に一回なのに、これ以上蝶が増えるのは、貴女も困るのではなくて?」

 

「はうあぅ、た、確かにそうです…旦那さまの食事を作るのも楽しいですし」

 

「そうそう。精が付きつつ、一方で偏り過ぎないように…なんて、毎晩二人で唸るのも楽しみだもの」

 

太守としては考えにくいことであるが、

華琳は一刀及び契約を結んだ(もしくは結ぶのが確定している)妻たちの六人の食事を完全に管理し、しかも自ら調理している。

食材は一刀から望むものが手に入る。調理を趣味とする彼女からすれば、いい気分転換であった。

朱羅も所謂『家庭料理』が得意と知ってからは、二人がお互いの料理を教え合いつつ、厨房に立つのが日常となっている。

 

余談であるが、雛里は主に軽食、間食の担当である。

 

「昨日は牡蠣の揚げ物でしたから、鰻もいいかもしれません」

 

「肝吸いもつけましょう。水出しの用意、お願いしてもいいかしら?」

 

「はい、ではすぐに仕込して戻りますので」

 

昼は覇王、夜は妻として。自ら望んだ日常を、大忙しに華琳は過ごしている。

そんな彼女の味覚が少々狂うのは、少しだけ先の話。

 

 

○私の「旦那さま」

 

朱羅こと諸葛謹(子瑜)は、当初彼を「興味深い」と思った。

 

雛里を容易く手籠めにしたと思えば、仕官先の長である華琳と対等に話し、

雲のような掴みようのない存在の星と共に、子供のように悪さをし、

いとも簡単に蕩けるような言葉を放ち、契約を結んだ女性達に愛を囁きながら、なんとも引き込まれる表情をするのに、

風の色じかけに純情な少年のごとくアタフタと慌てる。

 

妖術使いというが、とてもそうは見えない、ある意味俗人の代表格であるような一刀に、

なんとなく好意は持ったのは事実。警戒心を持ちにくい彼の言動は天性のものだと感じたから。

 

なんせ真名を許したのも、今の主君たる華琳や風たちが先。

民に自然に受け入れられ、またそれを良しとする彼の飾らない振舞いに、力を無闇に行使しない穏やかな性格に接し、

『この大陸に数多いる女傑を受け入れ、しかも引きつけられる男児といえば、このような方であろう』と

彼女自身、一刀に対する信用は二、三日で置けたものの、そもそも異性ということもあり、元が女学院の出である朱羅である。

真名を許す切欠が中々無いまま、気付けば十日が経過していた。

華琳に強引に引き込まれて、共に彼の食事を作る立場になっても尚…というのが現状。

 

元々、異性に強く自分を売り込む術など知らぬ朱羅であるし、

自分が目を通した艶本には閨での振舞い方は描かれていたが、そこまでの経過の辿り方は書いていなかったのである。

 

「あわわ、私ですか? バーンとぅ! 全てをぶつけただけですよ?」

 

などと首をかしげながら、可愛くメタ発言をする、一刀に対しては完全に人が変わってしまった妹分の雛里は頼りにならず。

自然体で接することが出来る、風・星・華琳は参考にならず。

いっそ、外交官としての演技を貫いてみるかとも思うが、一刀を前にすれば丸裸にされる予感しかしない。

そして、その予感は、一刀に寄り添う女性陣を見れば、おおよそ間違いのないものであった。

 

赤心をひたむきに見せる者に、演じ続けるというのは、非常に困難なことであるから。

 

…そう、彼女が前向きな悩みを抱える中、事件は起こったのである。

 

「死ねーっ! ほんごぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

「のわぁ!? 子瑜さんが一緒にいるのに何考えてるんだ、春蘭!」

 

開墾地に赴き、現地で作業を進めつつ、農政の相談をしていた一刀と朱羅に突然やってきた災厄。

七星餓狼を全力で振り下ろし、朱羅を咄嗟に抱え、

行動速度を上げる風属性の簡易な術式を何とか唱えて必死に避けるものの、荒れ地に次々クレーターが作られていく。

 

「ええい! ちょこまかと避けるな! 大人しくこの一撃を受けろ!」

 

「受けたら真っ二つになって死ぬわ! 第一、他の人巻き込んで、何考えてるんだ!

朱羅や他の人たちまで吹っ飛ばしてどうするんだ!」

 

あまりに痛烈な剣撃が巻き起こす暴風に巻き込まれた作業者たちに、何とか浮力の術式を一気に展開し、

二次被害を出来るだけ抑えるものの、このままでは開墾地として使い物にならなくなるのは目に見えていた。

 

「お前を斬ってから考えるわ! 華琳さまを誑かせたお前は万死に値するっ!」

 

「だからって、俺以外の人を巻き込んだっていうのか…?」

 

「華琳さまが私にとっては至上だ! それ以上もそれ以下もあるか!」

 

「…もう一度だけ言う。その怒り『だけ』の為に、俺以外の皆を巻き込んだというのか…?」

 

「なっ…! この氣はまるで…か、華琳、さ、ま…?」

 

温和な彼が本気で怒り、ためらいなく負の感情を解き放てば。

華琳の覇気に比肩し得る、今の彼の魔力が闇の属性に染まり、一気に肥大する。

 

それは、華琳が狂気の際で得た、あの禍々しい覇気に、近しい存在。

 

「うがぁあああああああ!!!!!!」

 

魔力が渦を巻き、制御を失い。真っ先にすぐ傍にいた朱羅を巻き込まんとする。

 

だが、すぐ傍にいる朱羅には、一刀が慟哭しているようにしか見えなかった。

この男性の心は、啼いている。

自分のせいで、朱羅や作業を共にしている民や兵士たちが傷つく事を、ひどく責めている、と。

 

(このままでは、壊れてしまう。今の狂った世の中では優しすぎる、この人の心。

…おどけたように見せていても、人が傷つくのを何より恐れる、この方を)

 

守りたい。朱羅はただそれだけを思った。

暴走する魔力が自分の服を細かく切り裂き、頬を、腕を、脚を斬りつけ、血が流れようとも。

 

「『旦那さま』、啼かないで下さい。私はここにおりますから。…ちゃんと傍におりますから。

朱羅は、貴方の元を離れません。ずぅーっと一緒です」

 

大人の男女として、隷属の契約を結ばねばならないことは聞いていた。

むしろ好都合だ、とすら思った。逆に主が命じない限り、必ず傍にいなければならないということ。

彼の心を守るのなら、それが一番ではないか。

 

抱き寄せ、一刀の手を取り、強引に押し付けるように自らの胸に触れさせた。

それを境に…ゆっくりと魔力の暴走は、収束していく。

 

「暖かくて、柔らかいでしょう? 貴方はだらしなくとも、この膨らみに埋もれているのがお似合いです。

そんな悲しい顔をして、自身を切り裂くような魔力を暴走させるのは、似合いません」

 

「し…ゆ…さん…?」

 

続けて抱き寄せた。彼の耳を双丘の形を歪ませながら、強引に心音が聞こえる位置まで引き寄せる。

 

「聞こえるでしょう? 貴方に守られて、直に触れられて、喜んでいる音です。旦那さま、朱羅って呼んで下さい。

きっとこの鼓動がもっと早くなりますから」

 

「しゅ…ら…」

 

身体を雷鳴が貫いたような、それは歓喜だったのか、驚愕だったのか。

自らを捧げたい、と決めた男に、自身の真名を呼ばれる喜び。

 

「はやく、なった…でも、しゅら、ないて、る…?」

 

「嬉しくても、女は泣くんです。心が喜びに震えて、涙を流すんですよ…」

 

自身と一刀を中心に、光が生まれ、広がっていく。

それは辺り一面を満たし、幾度か瞬くように輝き、やがて静かに消えた。

 

朱羅と一刀は身体を預け合った格好のまま、膝をつき、そのまま意識を失うのだった。

 

*********

 

急激な魔力の膨張を察知し、急行した華琳たちは後に彼らに語った。

 

あの光は、朱羅や一刀だけでなく、間近で暴走した魔力の直撃を受け倒れこんだ春蘭を含め、傷負った者達を須く癒し、

穿たれた大地を元の形に戻し、静かに収束した。

 

原因は説明できるものではないが、朱羅の隠し持つ属性と一刀の魔力が精神感応したのか、

特殊反応を起こしたとしか思えないということ。

 

「ただ、二人の心が昂ぶった結果、偶然として良い結果に出ただけでしょうから、再現を図ろうとは思えないけどね」

 

再現しなくとも、いずれ治癒魔法の術者が二人誕生するから…問題は無い、と覇王さまは、

風や星、雛里にどこか嬉しそうに語ったと言う。自身にはどうしても持てない属性だったから、僥倖である、と。

 

…加えて、少し下世話な事を言うなら。

 

その晩、二人は事に及ぼうとしたのだが、昼間の勇気はどこへやら、朱羅はあまりの緊張にガチガチになってしまい、

結局、時間をかけようと決めた一刀の提案で、裸身でありながら、

そのまま取り留めの無い会話を交わし、やがて寄り添って眠りについたという。

 

彼らはその後、約二十日ほどをかけて、ゆっくりと身体と心を解していき、夕食に鰻の丼が振舞われた晩であったというが…、

無事に例の契約を結ぶ事が出来たそうである。

 

下腹部に浮かび上がった印をそっと撫でながら、再び嬉し涙を流した彼女の姿があった、のかは一刀のみが知る事である。

 

 

○雛里んの魔女っ子修行♪

 

名実共に魔女っ子となった我らが雛里ん。

一刀に造ってもらったマジックステッキ(先端に宝石埋め込んだ、ただの樫の杖)を振るって、

自らの使用できる術の属性を片っ端から確認中である。

 

仕事? 毎日、おっそろしい速度で片付けて、それ以降は緊急時以外明日以降のみ受付、で突っぱねていると覇王様が嘆いていた。

桂花が罵声を浴びせても、『あわ? 消しましゅよ?』などと物騒な事を本気でしようとしたので、それ以降はある意味平和らしい。

 

元々の才能に加え、妄執染みた向上心が生まれたのはいいが、全てが一刀絡みで、

さらに、一刀の為にとなると、普段の引っ込み思案がぶっ飛んで、色々豪快で強引な性格に…

 

(文章はここで途切れている…)

 

 

「あわわっ! 色々ひどいでしゅ!」

 

「そうですよ~風の拠点が無いのです~」

 

「私のメンマ探求伝も無いのだが」

 

そんなわけでおまいらは次回です。ちょっと待ってろ。

この自由人どもめ!(褒め言葉)

 

というかメンマ探求伝だけで1ページ描くのは無理!

次回は雛里ん拠点からな!

 

なぁ兄ちゃん。なんで、この外史こんなにカオスなん?


 
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