「うふふ~♪」
「………あの~…」
「「「………“じと―――”」」」
「………雪蓮…さん?」
「ん~、なに~♪」
「…もう少し体を離してもらえるとありがたいんだけど………」
「え~~♪いいじゃない♪」
「………三人の視線が非常に痛いんですが………」
戦が終わって合流した一刀たちは、袁術の城へ向かっていた。
今はその道中なのだが、なぜか一刀は雪蓮と一緒に馬に乗っていた。
一刀の前に雪蓮が座り、一刀の胸に背中を預けるように、一刀にもたれかかっていた。
そんな二人の姿を冥琳・祭・穏の三人はじと目で見つめていた………
「あら♪でもこれはちゃんと勝負して、私が勝ったんだも~ん♪」
「「「くっ(うっ)!!」」」
戦が終わって合流してすぐ、雪蓮は一刀になぜ戦で冥琳の傍だったのか問い詰めた。
一刀から理由を聞いた雪蓮が冥琳・祭・穏を集めて、袁術の城まで一刀と一緒に馬に乗れる権利を賭けて勝負を持ちかけた。
三人とも、一刀と一緒に馬に乗れるということで、すぐその勝負に乗ってきた。
勝負は公平にと言うことで再び『じゃんけん』でとなった。
雪蓮も一刀に『じゃんけん』を教えてもらい、三回勝負で四人によるじゃんけん大会が行われた。
その結果は三回とも雪蓮の一人勝ちであった………それで現在の状況にいたっているのである。
「そ・れ・に♪『北刀』もホントは嬉しいんでしょ♪…さっきから腰の辺りに…♪」
雪蓮はそんなことを言いながら、さらに密着するように一刀に体をすり寄せていく。
「いっ!?………それは………この状況じゃぁ………」
「「「『北刀』(さん)っ!!!」」」
「はいっ!!(もう勘弁してくれ~)」
一刀は思わず背筋をピンッと伸ばして返事をしてしまう。
「あはははっ♪」
そんなやり取りをしながら、袁術の城へと馬を進めるのであった。
しばらくして、一刀たちは袁術の城の前に到着した。
「それじゃ行ってくるわね♪」
雪蓮は城へ入り袁術の元へ向かった。
玉座の間で雪蓮は袁術と対面していた。
「袁術ちゃんのお望み通り、黄巾党の本隊を殲滅してきてあげたわよ。……これで満足よね?」
「うむうむ、ご苦労なのじゃ。」
「それじゃ、本隊は殲滅したことだし、分隊の方はあなたたちに任せたわよ」
「うむ、任されたのじゃ」
「………よかったら、私たちも手伝ってあげましょうか?」
「なっ!?それはじゃな…」
「孫策さんの手をお借りしなくても、すぐに殲滅してみせますよ。ねっ、美羽様♪」
「そっ、そうなのじゃ!孫策の手を借りずとも妾たちだけですぐに殲滅できるのじゃ!」
「そうだそうだぁ~」
「(やっぱりおかしいわね…)それじゃあお手並みを拝見させてもらうわ」
「うむ。……ご苦労じゃったの孫策よ。もう下がってよいぞ」
「そう。じゃ失礼するわ」
雪蓮は踵を返して、玉座の間から出て行った。
「………孫策………すまなかったのじゃ………………」
「………美羽様………」
「………七乃………妾は………」
「………大丈夫です。美羽様は私が………」
(…やっぱり何か隠してるみたいね…)
雪蓮は玉座の間を出た後、少し身を潜めて二人の様子をうかがっていた………
(…一人で考えても仕方ないし、早く一刀たちの所に戻りましょ…)
そして雪蓮は一刀たちの元へ帰って行った。
「あっ、おかえり。雪蓮」
「ただいま~」
「して、策殿。なにかわかったのかのぉ?」
「う~ん、何か隠してることはわかったんだけどね~…」
「ふむ。…ここではなんだから、ひとまず館に帰りましょう」
「ここだと筒抜けになってしまうかもしれませんね~♪」
「そうね。それじゃ、帰りましょ」
一刀たちは館へと帰って行った。
館に着いた一刀たちは、一旦自分の部屋に戻ってから、雪蓮の部屋に集まった。
「皆集まったわね?」
「「「「うん(ええ)(うむ)(はい~)」」」」
「で、袁術ちゃんたちのことなんだけどね………」
雪蓮は玉座の間での様子、玉座の間を出た後でのことを皆に説明していく。
「う~ん、確かに何かを隠しているみたいな感じだな」
「そうなのよ。それに、私たちの知っている袁術ちゃんとは何か違うのよねぇ」
「私たちの知っている…とは?」
「私たちの知っている袁術ちゃんって、すっごい我が儘なお嬢様って感じだったじゃない?」
「たしかにそうね」
「でも、こっちの袁術ちゃんって、ホントに申し訳なさそうにしているのよ…」
「う~む…もしやあやつらも儂らと同じというのは?」
「なきにしもあらず………ってとこでしょうかぁ」
「俺は違うと思う」
「どうしてですか~?」
「だって、袁術たちは雪蓮に一度追い詰められて、雪蓮に対して恐怖心が強いはず…」
「して?」
「恐怖心を抱いてる相手を前にして、怯えずに堂々とするのってなかなか難しいことじゃないかな。それに……」
「それに?」
「今この状態は俺が願ったからだけど、その願いに袁術たちは………」
「あっ!そっか…」
「だからって、それは無いって言い切れるわけじゃないけど、その可能性は低いかなって…」
「うむ。しかしまだどういう状況かは、わかっておらんのでは?」
「そうねぇ………冥琳、何かいい方法って思いつかない?」
「そうだな………張勲に直接聞いてみてはどうだ?」
「張勲ちゃんに?」
「ええ。玉座での様子を聞くに、張勲は何かを全て知っているはず。袁術は主とは言えまだ子供だしな。それに袁術のことを常に思っているようだからな」
「でも、それならどうやって聞き出すの?」
「今度袁術の城に行ったとき、張勲と二人になる時機を見計らって、向こうから話してもらうように誘導するのはどうだ?」
「そうね。それしかなさそうね」
「ではでは、みなさ~んもう夜も遅いことですしこの辺で~♪」
「「「「そうね(だな)(じゃな)」」」」
それぞれ自分の部屋へと戻って行った。
一刀は自分の部屋に戻ってきて、寝台に横になると、今の話を思い返していた………
「袁術と張勲か………」
“コンコン”
「んっ?誰か来たのか…」
一刀が思いを巡らしていると、ノックをする音が聞こえた…
「は~い、どうぞ~」
訪ねてきた人物に部屋に入るように促しながら、寝台の縁に腰掛けるように起き上る。
「お邪魔するわね」
「雪蓮か。どうしたんだこんな時間に?」
「ん~、ちょっとね。…隣いいかしら?」
「うん。…おいで」
「ありがと♪」
雪蓮は一刀の隣に腰掛けると、少し一刀にもたれ掛りながら話し掛ける。
「…ねぇ、一刀…あなたはどうしたいの?」
「んっ?何が?」
「袁術ちゃんたちのことよ」
「ああ………俺は…二人が何か困っているのなら助けてあげたい…かな」
「ふふっ♪やっぱり一刀は優しいわね♪」
「そうかな?」
「そうよ♪それにいい男だもん♪………そんな一刀だから好きになったんだし………」
「雪蓮………」
「私は一刀がそうしたいなら協力するわ」
「…ありがと。雪蓮」
「いいのよ。…さてっと、もう部屋に戻るわね」
「雪蓮っ!」
「きゃっ!?」
自分の部屋に戻ろうと雪蓮が立ち上がろうとした時、不意に一刀が雪蓮の手を引っ張ったため、雪蓮はバランスを崩して、一刀の方に倒れ込んでしまった。
一刀は倒れ込んできた雪蓮を優しく抱きしめた。
「ちょっと!?…どうしたの急に?」
「ごめん………もう少しこのままで」
「………うん」
雪蓮は一刀に身を任せるようにして、優しく返事を返す。
静かな時間が少し過ぎていく………
「雪蓮………俺は……俺は雪蓮のことが好きだ!雪蓮を愛してる!」
「一刀………」
「ごめんね。急にこんなこと言って…」
「ううん…謝ることなんてないの………すっごく嬉しいよ…一刀に告白してもらえたんだから………」
一刀に答える雪蓮の目からは涙があふれていた…
「私も………私も一刀が好きよ!愛してるわ!」
「雪蓮………」
「一刀………」
二人の顔がゆっくりと近づいていき、唇が重なり合う………
「「………んっ………」」
そのまま二人は寝台へと倒れ込んでいった………
「ねぇ一刀、………きて」
「………いいのか?」
「……うん。…ホントは…前から誘ってたんだから…」
「そうなのか?」
「そうよ♪…女の子の母親を探した日だって……あの時は冥琳に捕まっちゃったけど………それに戦の前も………」
「…そうだったんだ……気づかなくてごめん…」
「………いいのよもう」
「雪蓮………」
「一刀………」
月明かりが差し込む中、二つの影は一つになるように重なり合っていった………
一刀と雪蓮は初めて心から繋がることができたのだった………
<座談会>
作者:う~~~~~ん・・・
一刀:んっ?
作者:う~~~~~ん・・・
一刀:おいっ!?
作者:おおっ!これは失礼しました。
一刀:いや、気付けばいいけど・・・なに唸ってんだ?
作者:いえ、第六話を普通に書いてたら序章並に短くなってしまいまして…
一刀:それは書き直したんだろ?
作者:はい。書き直しながら今後の展開もざっくりとですが考えていたんですよ。そしたら・・・
一刀:そしたら?
作者:一刀が雪蓮様達と結ばれるシーンが全く出てこなかったんです・・・
一刀:なんで?
作者:いえ、最初はもうちょっと引っ張ってあるシーン辺りから・・・と考えていたんですが・・・
一刀:が?
作者:それだと話が合わなくなってしまうことに気付きまして・・・そうなると全く出てこなかったんです・・・
一刀:なるほど。それで今回の話に至ったと言うことか。
作者:はい。急遽、軌道修正したため、読んでくださる方に満足していただける内容になったかどうか・・・
一刀:それで唸ってた訳か。
作者:その通りです。
一刀:しかし、もう書いてしまったんだし後は・・・
作者:読んでくださる皆様の判断に任せるしかありません・・・
一刀:だな。それじゃもう時間のようだし俺はこの辺で。
作者:はい。私もこの辺で・・・皆様、お楽しみいただけましたら嬉しい限りです。
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この作品は真・恋姫✝無双の二次創作となっております。
第六話になります。
袁術主従も引き続き登場ですが、ついにあのお二人が・・・
なぜこのような内容になったのかは<座談会>の方で・・・
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