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Destiny/Domhan Eagsula(デスティニー/ドムハン エアグスラ)  第5話    集う英雄

BLACKさん

この物語は作者が「Fate/Zero」を見た影響で「Fate/Stay night」の話を基に作った作品です。
基となった話はアニメ化されてないルートをメインとしているため、ネタバレが嫌な人はあまりお勧めできません。
また話によっては原作のシーンなどを見ながら作っている場面もあり、原作で出てきたセリフと全く同じやほとんど同じなところもあることをご了承ください。
なお、サーヴァントにつきましてはクロスオーバー的にまったく別の作品からの参加となっています。

2011-12-05 16:02:16 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:1141   閲覧ユーザー数:1130

 

恵生がエリオを拾って一夜が明ける。

 

「う~ん……」

 

恵生がエリオがいるとされる部屋の襖を開ける。

 

「エリオ君、気分はどう?」

 

恵生が部屋を見てみるとエリオの姿はなかった。

 

「あれ、勝手に帰っちゃったのかな」

 

恵生が部屋の外に出てみると庭の方で走りこんでいるエリオがいた。

 

「エリオ君」

「あ、セイバーのマスターさん、おはようございます」

「エリオ君、体は大丈夫なの?」

「はい! おかげさまで!」

 

エリオは元気よく答えた。

 

「よかったよかった」

「本当に昨日の怪我人なんですか? あの子」

 

そこに右策もやって来る。

 

「まあ体力はものすごくあるみたいだね。

それはそうとご飯にしましょ、エリオ君!

ご飯は?」

「もらいます! ああそれとご飯、多く作ってください!」

 

そして恵生と右策は朝ご飯を作るのであった。

 

 

 

第5話    集う英雄

 

 

 

 

恵生と右策とエリオが朝ごはんを食べ終える。

 

「ご馳走様でした」

「す、すごい……」

 

エリオが多く作ってほしいと言うので恵生は本当に多く作った。

ご飯は10合くらい炊いたのだが、そのご飯はすべて空になったのだ。

 

「本当にありがとうございます」

「…あ、恵生先輩そろそろ」

「そうね、もうすぐ学校ね」

「学校ですか」

「エリオ君はどうするの?」

「いえ、僕学校は行ってないので」

「そう、じゃあ家で大人しく待っててね。勝手に家から出て行ったら許さないから」

「は、はい」

 

恵生と右策は学校の制服に着替え、出かけようとする。

 

「それじゃあ行ってくるね。あ、そうだ」

 

恵生は何かが書いてある紙をエリオに渡す。

 

「これ見といてね」

「はい」

「それじゃあ、行ってくるね」

 

恵生と右策は学校へと出かけて行った。

 

「何が書いてあるんだろ?」

 

エリオはその紙を見てみる。

 

『セイバーには家にいるように言っておいてね。

 

それと二人で勝手に戦わないように。

 

後は勝手に家を出ていくことは本当に許しません。

 

 

                   八子空 恵生』

 

「…………」

 

エリオは思わず黙り込む。

 

「とりあえずセイバーはどこにいるんだろう」

 

エリオは家の中を探そうとすると道場を見つける。

 

「もしかしてあそこかな?」

 

エリオが道場の扉を開けると道場の片隅にセイバーがいた。

 

「セイバー!」

「来たか、ランサー!」

 

セイバーは剣を抜く。

 

「ま、待ってください! 僕は戦いに来たんじゃなくてセイバーに伝えたいことがあって来たんです」

「何を伝えたいんだ?」

「これです」

 

エリオは恵生からもらった紙をセイバーに投げ渡し、セイバーは受け取る。

 

「………これは恵生の字だな」

「そう言うことです」

「とりあえずは分かった」

 

セイバーは剣を収める。

 

「俺は構わんがお前はどうするんだ?」

 

セイバーがエリオに尋ねた。

 

「とりあえず許可なしでマスターの元に戻れそうにないのでここに残りますけど……」

 

エリオはその後の言葉を濁す。

 

「どうした?」

「いえ、僕いつも昼は特訓をしてるのでできれば特訓をしたいのですが…」

「特訓だと?」

「はい、いいでしょうか?」

 

セイバーは少し考え、考えた末答えを出す。

 

「構わん」

「ありがとうございます」

「本当ならここでお前を倒しておきたいところだが、恵生の言葉だ。従わんわけにはいかんだろ」

 

セイバーは再び道場の隅に行き、そのまま立ち尽くしていた。

そしてエリオは道場を出て、朝やっていた庭の走り込みを再び始めた。

 

 

恵生と右策は普通に学校についた。

恵生と右策は1学年違うため、二人はそれぞれの学年の階へと向かい、自分達の教室に入った。

 

「あれ、茜雫は?」

「さあ」

 

恵生は茜雫の姿がないことにすぐに気づいた。

教室の扉が開くとそこから入って来たのは小坂彬渡であった。

 

「!」

「小坂、おはよう」

「ふん」

 

彬渡はそっぽを向いた。

 

「八子空、お前小坂と何かあったのか?」

「さあ?」

 

恵生にとってはそっぽを向かれる理由が分からなかった。

それから昼休みになる。

 

「さてと…」

 

恵生がお弁当を出そうとすると……。

 

「八子空」

 

彬渡の方から声をかけてきた。

 

「小坂」

「ちょっと屋上に来い」

 

彬渡の誘い方は喧嘩するから屋上に来いとみたいなものであった。

 

「いいよ」

 

恵生は特に考えず、弁当箱を持って彬渡について行った。

 

 

「それでなんか用?」

「なんか用? じゃないだろ! なんで学校に普通に来てるんだ!?」

「なんでって学生として当然でしょ」

「当然って……俺達は聖杯戦争参加者! 殺しあう敵同士なんだぞ!」

「いいじゃない、普通に学校に行ったって……、それに聖杯戦争は基本は夜にやるものでしょ。

こんな昼間からやったら目立つわよ。それでもやりたいの?」

「いや、別に今からやろうなんて思ってねえよ。俺もアーチャーは家に置いてきて……」

「マスター」

 

するといつの間にか彬渡の上にアーチャーが飛んでいた。

 

「アーチャー! 家にいろって言っただろ!」

「ですが、マスターのことが心配で……」

「だからな…、何度も言ってるが聖杯戦争はよほどのことがない限り昼間はやらないから、安心しろ!

だから家に帰れ! 分かったな! 帰らなかったら令呪使ってでも帰らせるぞ!」

「分かりました」

 

アーチャーは霊体化して彬渡の家に帰っていった。

 

「ふぅ…」

「そっちも大変みたいね」

「まったくだ。あいつは記憶喪失らしく俺ですら真名を教えてくれないからな。

けど記憶喪失のくせに妙にスイカを好んでやがると来た」

「スイカ?」

「ん、ああそうだけど……まさかお前あいつの真名に覚えが…」

「ううん、そうじゃなくて私あのアーチャーと仲良くなれるかもって」

「は?」

「だって私もスイカすんごく好きだもん」

 

スイカ好き仲間として仲良くなりたいと思う恵生。

 

「はあ………」

「あ、そう言えば昨日の夜ランサーのエリオ君を拾ったんだ」

「ランサーを!? な、なんで?」

「う~んそれがセイバーがエリオ君から聞いた話なんだけど、キャスターに襲われたみたいなの」

「キャスターに? ランサーとキャスターなら普通に考えるとランサーの方が有利のはず…」

「それがどうもキャスターの真名がベガって言ってたの。シャドルー総帥の…」

「ベガ!? あのベガのことかよ?」

「そうみたい、それならエリオ君の怪我の理由もなんとなく分かるかな~って…」

「ベガか……ベガ相手はすごくまずいぞ……」

「どうしたの?」

「相手はあのベガだ、他人を洗脳するなんてお手の物だし、力だって並みのサーヴァント……あのバーサーカーと化してる呂布でさえ倒せるかどうか……」

「そうなんだ…」

 

恵生はそんなことを聞いてあることを考えた。

 

「ねえ、一緒に手を組まない?」

「手を?」

「うん、そのベガって奴を倒すまででいいからさ。そうすればこうやって学校でいがみ合う必要ないじゃない」

「う~ん」

 

彬渡は考える。

ベガはかなり強力な相手、いくら強力な宝具を持つアーチャーと言っても記憶喪失と言うハンデがある。

ベガを倒すには複数のサーヴァントの協力は不可欠ともいえる。

 

「分かった、協力関係結成だ」

「ええ」

 

二人は握手をする。

それから二人は昼ご飯を食べる。

 

「それでもう一つ提案があるけどいいかな?」

「なんだ?」

「ベガを倒すには私のセイバーに小坂のアーチャー、そんで今家にいるエリオ君」

「ランサーも頭数に入れてるんだな」

「エリオ君のマスターは最近放任主義になってるみたいだって言ってたの、エリオ君が嫌じゃなかったら協力してもらおうと思ってるの」

「そう簡単に協力してくれるか?」

「とりあえず協力してくれることを前提にして三人なんだけど、正直不安なんだよね」

「まあ相手はシャドルー総帥だ、用心に越したことはないな」

「それで出来ればあの呂布って女の子をバーサーカーにしてるルフィリーヤスって子の協力も欲しいんだよね」

「ルフィリーヤス……あのアンベルツインの…」

「その子しかいないでしょ」

「無理だろ、あいつはお前を目の敵にしてるんだぞ」

「そうだけどさ……、けど力だけならあの呂布って子の方が上だと思うんだよね。

それにキャスターのことを知らなかったら知らなかったで困るだろうし、警告くらいはしようかな~って」

「やめておけ! 殺されるだけだぞ」

「それは行ってみないと分からないよ。仮に殺されることがあったとしたら私の誠意が足りなかったってことだろうな」

「お前……自分の命が惜しくないのか?」

「正直惜しくない」

「お前、壊れてるぞ」

「かもね」

 

そして昼食を終え、そのまま放課後になり、恵生は帰ろうとする。

 

「右策を待ってもいいけど、右策の部活は終わらないかな」

 

右策は剣道部の人間であり、剣道部の練習はかなり長いのだ。

 

「とりあえず買い物して帰ろうかな」

 

恵生は商店街で買い物をする。

とりあえずかくまっているエリオの分も考え大量の買い物をしていた。

 

「こんなものでいいかな」

 

そんな時、自分の腰辺りをつつく感覚がくる。

 

「うん?」

 

つついてきたのはルフィリーヤスであった。

 

「こんにちはお姉ちゃん」

「ルフィリーヤス」

 

 

恵生は買い物袋を持ったままルフィリーヤスにつられるがまま近くの公園まで行った。

 

「ねえお姉ちゃん」

「何? ルフィリーヤス」

「フィリーでいいよ」

「それじゃあフィリー、お願いがあるんだけどいいかな?」

「何? 大人しく殺されてくれるの?」

「そんな気はないわよ。それに殺すって言っても今はダメじゃない?」

「そうだね、今はバーサーカーもいないし。で、お願いって何?」

「うん、桐生神社って知ってる?」

「知ってるよ、それが何?」

「そこにキャスターが陣取ってるんだけど、そのキャスターが…」

「ベガでしょ。シャドルー総帥の…」

「知ってるの」

「知ったのは昨日だよ。かなり強そうだよね」

「そうなの、それで君とバーサーカーの力を借りたいんだけど、ダメかな?」

「……ダメだよ、僕とお姉ちゃんは敵同士なんだから」

「敵同士っか……、それは悲しいな…。

あ、さっき君のことフィリーって呼んでって言ってたよね、じゃあ私も恵生でいいよ」

「エミか……うん、エミ」

「けど残念だな、協力してくれないなんて…」

「そうだね、そのお詫びに僕の居城の場所を教えてあげるよ」

「え?」

「じっとしてて」

 

椅子に座っていた恵生の頭にフィリーは自分の頭を当てる。

すると恵生の頭にはある森の映像が流れてくる。

そしてその森の奥には一つの城があった。

 

「あ……」

「城が見えた? そこが僕の住んでる城なんだ」

「そっか」

「ねえエミ、よかったらでいいんだけど、明日も会えるかな?」

「明日? 今のところ特にないからいいよ」

「やった! じゃあ、明日ここの公園で待ってるね」

「時間は今くらいしか空いてないからね」

「うん」

 

フィリーはそのまま帰っていった。

 

「交渉は失敗……けど諦めない!」

 

恵生は買い物袋を持って帰っていった。

 

 

 

幕間

 

 

 

 

 

 

恵生とフィリーの様子を見ていた者が一人いた。

霊体化し、気配遮断をしていたアサシンであった。

 

「随分とお人よしですね、八子空恵生」

「そのようだな」

 

そしてもう一人いた。終死郎であった。

 

「またあなたですか、気持ち悪い」

「それは本音だとしてもやはり口にして言うべきではないな」

「すみません、そういう性根なもので」

「ふん、そうか」

 

終死郎は思わず笑みを浮かべる。

 

「なんですかその笑みは、気持ち悪い」

「これはすまなかったな、してお前はどうするんだ?」

「どうするとは?」

「キャスターの話だ。今回のキャスターはかなり厄介だ、場合によっては監督役の俺は全マスターにキャスター討伐の命を出すこともある。

その前に動いてもらうなら構わんと言うことだ。

それでお前はどうするのだ、アサシン。

いや、吸血忍者のセラフィム」

「!!!!」

 

アサシンは自分の真名を見破られたことに驚いた。

 

「最初にお前を見てすぐに分かったよ」

「さすがは監督役と言ったところですか」

「俺はこう見えても様々な作品を見ていてな…。お前が出ている作品、かなり好きだぞ」

「それはどうも、気持ち悪い」

「ふん、それでアサシン、いや今はセラフィムと呼ぼう。答えは?」

「私は主の命により傍観者に徹するのみです」

「そうか。だがもしかしたらお前のマスターにもキャスター討伐の命を出すことがあるとお前のマスターに伝えておけ」

「それは分かりました」

「それではな、また会おう、アサシンのサーヴァント、セラフィム」

 

終死郎は立ち去っていった。

 

「また会いたくはありません、気持ち悪い」

 

終死郎の去り際を見ていつものようにつぶやくセラフィムだった。

 

 

 

 

 

幕間終了

 

 

 

 

 

「ただいま~」

「あ、おかえりなさい」

 

エリオが出迎えた。

 

「ただいま、エリオ君のために大量の買ったよ」

「あ、ありがとうございます」

「右策はもう少ししたら帰って来ると思うけど、ご飯をつくね。エリオ君も待っててね」

「はい、あとそれと……」

「何?」

「君付けじゃなくていいですよ」

「そう、じゃあエリオ」

「はい」

「これでいいね、それじゃあエリオ、ご飯を作るから待っててね」

「はい!」

 

そして恵生がご飯を作る。

エリオはご飯が出来るのを待っていたが、エリオは恵生にあることを口にする。

 

「あのセイバーのマスターさん」

「恵生でいいよ」

「じゃあ恵生さんで」

「はいはい、それで何?」

「僕はこのままいていいのでしょうか?」

「いていいんだよ、それとも何? 本当は殺しあう仲だから居たくないって?」

「それもありますけど……僕は一度恵生さんを殺したんです」

「ああ、罪悪感って奴ね。でも気にしなくていいよ、こうして生きてるんならそんな罪悪感抱かなくても」

「けれど…」

「あのね……」

 

恵生は食事の準備の手を止めて、座っているエリオの所にやって来る。

 

「私は正義の味方を目指してるの」

「は、はあ…」

「その正義の味方の人が許してあげるって言ってるの、だから許す! いいね!」

「は、はい!」

 

恵生の何とも言えない雰囲気にただ返事をしただけのエリオ。

 

「それでこれはまったく別のお願いなんだけど……」

「?」

「このままキャスター……ベガを倒すのを手伝ってくれない?」

「キャスターのですか…」

「ええ、ベガが私の知ってるとおりだったらすごくまずいと思うから…。エリオやエリオのマスターが嫌と言わなければだけど……」

「マスターなら好きにしろと言いますよ。むしろキャスターは出来れば倒して来いと言ってましたし…」

「それじゃあ後はエリオ次第ってことね。どう?」

「………ここまでしてくれたお礼もありますし、手伝わせていただきます!」

「それじゃあ決まりだね」

 

こうしてキャスター討伐隊にエリオも加わり、協力するサーヴァントは三人になった。

 

 

幕間

 

 

 

 

 

 

恵生がフィリーと出会い、帰っている時のことであった。

とある建物の地下室ではあることが行われようとしていた。

 

「ねえあなたの令呪、まだあるわよね」

「………」

「それで私をまたライダーのマスターにしなさい!」

「でもお爺さんが……」

「あの爺の言葉を待つ必要なんてないわよ、最近はあの爺ふらふらしてて家に帰ってないじゃない」

「そうだけど……」

「とにかく令呪をよこしなさい! 姉弟でしょ……」

「……」

「あなたは私の言うことを聞いていればいいの! 今まで通りにね!」

 

そう言うとその者の令呪が再び消費されると同時に令呪の本が作り出される。

 

「それでいいのよ…、ライダー!」

「なに?」

 

そこにセイバーに倒されたはずのライダーが姿を現す。

 

「傷の回復は?」

「おかげさまで、もう出来てるわ」

「そう、ならいいわ」

 

そして本を持ったものは立ち去っていった。

 

「姉さん……」

 

 

 

 

 

幕間終了

 

 

 

 

 

右策は部活を終えて帰って来た。

 

「右策、おかえり」

「ただいま、恵生先輩」

「ご飯は今出来上がったところよ。エリオ君もまだいるから三人で食べよっか」

「はい」

 

そして三人は晩御飯を食べ終える。

 

「「「ご馳走様でした」」」

 

それから三人はそれぞれのことをし、夜中になる。

 

「恵生、今日の夜の見回りはどうする?」

 

セイバーが恵生を訪ねに部屋に来た。

 

「やっぱり今日も見に行った方がいいかな。残ったサーヴァントはアサシンだけで、出来ればアサシンの協力も欲しいし…」

「だがアサシンと会ったら、戦いになるかもしれないぞ」

「その時はその時かな。可能な限りは殺さないようにして話を聞いてもらう。これが基本かな」

「了解した」

 

二人は家を出て行こうとすると……。

 

「あの、恵生さんにセイバー」

 

エリオがやって来た

 

「エリオ」

「僕も連れてっていいですか?」

「…恵生、どうする?」

「いいよ、一緒に居た方がアサシンを探せる可能性あるし」

「ありがとうございます」

 

そして三人で夜の見回りをしに出かけた。

 

 

「何にもないね」

「はい」

「だが気を付けろ、アサシンは気配遮断がある。こちらを見張っている可能性もなくはないぞ」

「その考えはさすがだと言っておこう」

 

三人の前にある人物が現れる。

終死郎であった。

 

「裏影さん、なんでこんなところに?」

「あ、あ……」

 

エリオの態度がよそよそしくなる。

 

「……まさか!」

「さすがセイバー、お前の考えてるとおりだ。戻れ、ランサー」

「はい」

 

するとエリオは終死郎を守るように立つ。

 

「え、まさか……」

「そうだ、このランサー、エリオ・モンディアルのマスターが俺と言うわけだ」

「そんな……」

「何故嘘をついていた、マスターであることを」

「嘘はついていない。聞かれなかっただけだ。それに監督役と言うのは本当だ」

「つまりは監督役をしながら陰でこっそりマスターをしていたということか」

 

セイバーは剣を抜く。

 

「ああそうだ、だが今日は戦いに来たんじゃない」

「じゃあエリオ君を迎えに来たの?」

「いや、そうでもない」

「では何しにやって来た」

「キャスター、ベガ討伐の協力だよ」

「協力」

「ああ、さすがに今回のキャスターであるベガは色々厄介でな、もし厄介なことを起こすような真似があったらこちらとしても全マスターに討伐令を出すところだ。

だが俺が見た限り、お前達は自主的にキャスター討伐を考えているようだからな。

仮にも俺もマスターだ。そのため、こうやって正式な協力を申し出に来た。

だが監督役と言う本来の身分を越えることはいささかよくない。

それで協力はするが俺は表立ったことはしない。その代わりにランサーをお前達に預けると言うことにした」

「そう言っておいて、残った令呪で俺達を内側から滅ぼすってこともあるぞ」

「そうだな」

 

終死郎は令呪の付いた手を見せる。

 

「見ての通り令呪は残り一つだ」

「?」

「ランサーに命じよう。キャスターを討伐するまでの間、他のマスターとサーヴァントととは一切衝突せず協力せよ」

 

終死郎が令呪で命令を下すと令呪は消える。

 

「分かりました」

 

エリオは再び恵生達の所に戻っていった。

 

「これなら信用できるだろ。俺にはもう令呪はない」

「確認させてもらうぞ」

「構わん」

 

セイバーが近づき、終死郎の両手を確認する。

 

「確かに……、いいだろう」

 

セイバーは剣をしまう。

 

「それではな、何かあったらまた教会に来るといい」

 

終死郎は去っていった。

 

「それじゃあ、エリオ」

「はい、改めてよろしくお願いします」

 

恵生とエリオは握手を交わし、改めて協力関係を築いた。

 

 

 

幕間

 

 

 

 

 

 

その様子を見ていた老人が一人いた。

 

「ランサーはセイバーについたか」

「あの気持ち悪い神父は我が主にもキャスター討伐をしてほしいと言ってきてますが……」

 

セラフィムがその老人に伝える。

その老人とは真浦賢蔵であった。

 

「……」

「それでどうしますか?」

「我らは傍観だ」

「分かりました。しかしなぜ、傍観なのでしょうか? 事実上監督役は討伐の命令を出したようなものです。それなのにですか?」

「だからこそじゃ、監督役が危険視するほどの者……、もしかしたら儂の思う通りになってくれるかもしれんしの…」

「主の思う通り…」

「そのためにもお主を失うわけにはいかんからの。

奴らがキャスターとの戦いを始めた時、監視を頼むぞアサシン」

「分かりました」

 

セラフィムはただ頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

幕間終了

 

 

 

 

 

 

今回明らかにされた情報

 

 

サーヴァント名「ランサー」

マスター    裏影終死郎

真名      エリオ・モンディアル(出典作『魔法少女リリカルなのはStrikerS』)

男性

 

クラス保有スキル

 

「対魔力」B          魔力の乗った攻撃に対して防御が働く。対魔力はランクと同格以上でないとダメージを与えることは難しい。(魔力が乗ってない攻撃でダメージを与えることは不可能ではない)

 

個人スキル

 

「千里眼」C          遠くを見通せる力。ランクが高いと透視や未来予知が出来るがランクCでは無理。

 

「心眼」 C          物事の真偽を見たりする力。

 

所有宝具

 

「ストラーダ」         宝具ランクB

 

 

エリオの持つアームドデバイス。デバイスのため意思を持っている。

 

 

必殺技

 

ソニックムーブ

 

ランクA  魔力を纏い、高速移動を可能とする。

 

 

 

サーヴァント名「アサシン」

マスター    真浦賢蔵

真名      セラフィム(出典作『これはゾンビですか?』)

女性

 

クラス保有スキル

 

「気配遮断」A+        どんな結界内でも探知されずに侵入可能。気配遮断中は探知不可能だが大がかりな攻撃は出来ない。

 

個人スキル

 

「単独行動」B         魔力供給が無くても現界出来る。Bランクだと1週間は現界可能。

 

「戦闘続行」A         致命傷でもしばらくは動くことが可能。完全一撃の技でないとすぐには倒れない。

 

「千里眼」 B         遠くを見通せる力。ランクが高いと透視や未来予知が出来るがランクBでは無理。

 

 


 
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