No.342657

外史異聞譚~幕ノ三十七~

拙作の作風が知りたい方は
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2011-12-03 08:13:43 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:3022   閲覧ユーザー数:1495

≪漢中鎮守府/関雲長視点≫

 

蒸風呂、というものを役人に案内されて体験したところで私達は夕刻の市場に足を運ぶ事になりました

 

伯珪殿もお誘いしたのですが「気分が優れないので夕餉まで横になる」と言われ、いささか心配ではありましたが捕縛された二人の様子を見に行った星が様子を見る、との事で気にはしつつも鎮守府下へと繰り出した、という訳です

 

「あかすり、だっけ?

 あれすごいねえ…」

 

この蒸風呂というもの、理屈は非常に簡単なのだそうで、焼いても割れない石を熱し、その上に水をかけて蒸気を作り出すことで室内を蒸すというものです

この漢中では邑でも3~4種類の蒸風呂があり、利用する人の年齢や体調に応じて負担が少ないように考えられているのだとのこと

無理をするとかえって体調を崩すこともあるため、管理は鎮守府の役人が行い、その指示に従って利用されている、とのことです

 

ここで桃香さまがおっしゃった“あかすり”なるものですが、なんでも糸瓜を利用した束子で蒸風呂から出たところで身体を擦るというもので、月に1~2度行うのが推奨されているとのことです

少し肌がヒリヒリするのですが非常に気持ちがよいものでした

 

「でも、普通のお風呂の方が好きだな~…」

 

鈴々の言葉に全員が苦笑しながら頷きました

 

「でも、一部の貴人のためではなく、毎日用意をしようと思ったらあのような形になるんでしょうね」

 

朱里が顎に指を当てながら頷いている

朱里が最初に気にしたのは、蒸風呂にかかる費用たっだようです

 

これには役人も真面目に答えてくれて、設備投資にはそれなりにかかるが、維持費は湯を沸かしてその温度を維持するよりは安価である、と返答が返ってきたようです

一般家庭で盥に湯を張る程度の規模ではなく、民衆に開放する事を前提にしたから蒸風呂を普及させたのだ、と説明されたと言っておりました

あかすりとやらも健康と衛生のために推奨しているもので、疲労が抜けやすい事から兵士や農民・職人には非常に評判がいいとのことです

 

入浴後には水分補給が必須とのことで、漢中で流行している果実の蜜漬けを水で割ったものを供されました

酒が飲める人間には麦酒の方が好まれるらしいのですが、夕餉の席があるので今回はこちらで、と言われて口にしたのですが、非常に甘くてすっきりしておりました

 

平原では非常に高価なものなのでその点を尋ねてみたところ、高価ではあっても民衆に手の届かない程のものではない、とのこと

壺ひとつとなれば流石に相当なものですが、このようにして扱う分には漬けた果実も無駄にならないとの事で、それなりの価格で楽しめるのだそうです

 

皆、入浴後の気怠さはありましたが、それでも市を見てみたい思いが強かったのでそのまま繰り出す事となりました

 

その感想は一言、ただ圧巻である、これに尽きます

 

桃香さまの評判を聞いて平原にもそれなりに人民が集まるようになっていましたが、この盛況は予想を遥かに超えています

歩きながら説明されたところ、行商や露店を開ける時間帯や場所は厳密に定められていて、許可証がなければ屋台や露店は開いてはいけない決まりになっているそうです

スりや置き引き、無許可営業の監視も含め、市場にはかなりの警備兵が常に導入されていると説明されました

 

「これは今の平原では無理ですね…」

 

雛里が難しい顔で呟いています

私も同意はするのだが、どの辺りが無理なのかを尋ねたところ

 

「法と律を明確に矯めて街を整備し、それらを徹底して官民に周知させなければ成立しないからです

 これは民が官に絶対の信頼を置いている事の証明でもあります」

 

「大通りを見たところ、露店を開けない行商に対して商品の買取を行なっているお店も見受けられました

 多分、飽和状態にある行商人の流入をそういった形で一定の利潤を保証することでも商売が成り立つくらいには、漢中は発展しているという事ですね」

 

朱里の目も普段とは違い真剣なものです

 

軍師のふたりは、目を皿のようにして街並みや市を観察しています

ぶつぶつと呟きながらなので、思考に没頭しているのでしょう

 

逆に桃香さまや鈴々は、平原では目にすることがない珍しいものを見ては感嘆の声をあげ、漢中で流行っていると言われている屋台の軽食などを見ています

 

こうして皆の後ろでその様子を眺めながら、私はどうしても考えるのです

 

漢中は確かに素晴らしい

しかし、やはり何かが違う

我らが掲げる理想のひとつの終着点を天譴軍もまた目指しているのは間違いなく、彼らに桃香さまが歓迎されているというのに、この違和感は一体…

 

ともすれば溺れてしまいそうな繁栄を目の当たりにしながら、私はこの違和感をどうしても振り払えずにいるのです

 

 

果たしてこれは、本当に桃香さまが、私達が望んだ明日なのだろうか

 

ずっと彼らに対して抱えてきたものが大きくなるのを止められぬまま、私はこの場に立っています

≪漢中鎮守府/趙子龍視点≫

 

風と共に蒸風呂を使わせてもらった私は、麦酒なるものを遠慮なく馳走になり、さっぱりとして伯珪殿の部屋へと赴きました

 

どうにもあの御仁は考えすぎて自滅するきらいがありますからな

少しは気楽に構えればよいものを…

 

風は市場にいけなかった事は残念なようでしたが、案内を頼んで鎮守府内の散策に赴いたようです

なんでも

「建物をじっくり観察すれば、その人為が理解できるものなのですよ~

 ふふふ」

などと申しておりましたので、風なりに思うところがあるのでしょう

 

先の捕縛を“貸し”と考え、滞在中は存分に歩き回るつもりのようです

 

あれに好き放題されるとは、天譴軍も難儀なことだ

自業自得と言えるがな…

 

私はそう皮肉っぽく考えながら、伯珪殿の部屋に乗り込みます

 

乗り込んだのですが……

 

 

………これは予想以上に酷い

 

 

仮にも客分であるのに、布団を引っ被ってくるんと丸くなっているというのは、女としてもいかがなものであろうか

さすがに呆れた私は、袂に忍ばせてあった徳利を出して卓に座ると、一口それを楽しんでから声をかける事にしました

 

「伯珪殿、いい年をした女子が、いくらなんでもそれはないのではありませぬかな?」

 

くるんと丸まっていた布団がもそもそと動き、ちらっと伯珪殿の顔が見え申した

どうも泣き腫らしたようでありますが、私はそれには気付かぬ振りをしておきます

 

「伯珪殿が怖くて仕方がない幽霊が出た訳でもありますまいに

 一体どうしたというのです」

 

ちなみにこれはいつものように、私が適当な事を言っているだけでありますな

こうすると、大抵は皆元気よく反論をしてくるので次が話しやすくなるというのが主な理由です

いや、楽しんでないかと言われれば、それはそれで困るのだが…

 

しかしながら、普段と違い伯珪殿は再びもそもそと布団に潜り込みます

 

これはかなり重症ですな…

 

「まあ、これを肴に一献というのも趣はありませぬが珍しくはあるからよいのですが」

 

すると、布団の中からぼそぼそと返事が返ってきます

 

「よりによって今一番顔を見たくないやつが来るなんて…」

 

む?

私はそこまで伯珪殿に嫌われるような事をした覚えはないのですがな

まさか、未だに私が客将のまま北平を辞した事を根に持っているとか……

 

なんとなくありえそうではありますが、それが理由でこうなるようなお人ではないはずなのですが

 

「おやおや、嫌われてしまいましたか

 しかしながら、そこまで嫌われる理由は聞いてみたくはありますな」

 

桃香樣とは違う方向ではありますが、伯珪殿も“おひとよし”という言葉がよく似合う人柄です

少なくともこうまで落ち込んだ姿を衆目に曝すような方ではないはず

 

だとすれば、その原因は先程“落し物”と称して戻った時に何事かあった

 

そう考えるのが自然でありましょう

 

再びちらっと布団から顔を出した伯珪殿は、私を恨めしげに見つめております

 

…………こう、庇護欲と苛虐欲を同時にそそられる、なんとも言えぬ風情でありますな

 

いかんいかん

今は流石に自重せねば、本気で恨まれかねん

 

「………なあ子龍」

 

「なんですかな?」

 

自分に言い聞かせるように発せられた呟きに、意識して軽く応える事で先を促します

 

「もしさあ、私が本当に本気で、お前に残って欲しいってあの時言ったら、お前ならどうした?」

 

この言葉に私は即答はできませなんだ

なぜなら、伯珪殿の人為はそれなりに理解していたつもりでありますし、この愛すべきおひとよしは、最終的には自分より周囲を優先するだろう、そう私は確信していたからです

 

「………難しい質問ではありますが、あの時点ならやはり申し訳ないが、北平を去ったでありましょうな」

 

「………やっぱりそうかあ」

 

再び布団に引っ込む伯珪殿から視線を外し、私は少し物思いに更ける

 

はたして私は、今の伯珪殿の問いを本気で検討したことが今まであっただろうか?

 

答えは否

 

なぜなら、その人物は私が見てきた中でも、桃香さまをはじめ、曹操・孫策に及ばず、その理想も目的も私が身命を賭けて仕えるには値しない小さなものである

 

これに関しては今でも即答できる

 

人物や器量に関してはまあ問うまい

しかし、その大望や理想といった部分に関しては、この趙子龍、決して譲る事はない

 

この槍を大陸の真の平和の為の一助に

 

これを譲る事はできぬ以上、いかに伯珪殿に世話になったといえど、身命を賭けて仕えるという選択肢は存在しなかった

 

故にその言葉を真剣には捉えず、笑い話で済むようにしてきたのは事実なのだ

 

「そうだよなあ…

 あたしは北平ひとつで精一杯で、とてもじゃないけど大陸の平和とか、考えたこともなかったもんな……」

 

布団の中で力なく笑う伯珪殿に、私は絶句する

 

酒に酔って弱音を吐き出す事はあっても、こうまで後ろ向きな方でもなかったはずなのに、一体何があったというのか…

 

呆然とする私に、伯珪殿の力ない声が告げてきます

 

「すまんが子龍、夕餉の席には戻るからさ……

 もう少しだけほっといてくれないか………?」

 

私はかける言葉もなく、部屋を後にします

 

すると、何故か風がそこに立っておりました

 

彼女には珍しく、他人を非難する色がその瞳に浮かんでいる

 

「割合子龍ちゃんも残酷ですね~」

 

流石に軽口で応える気分にはなれず、私は僅かに視線を逸らします

 

「まあ、子龍ちゃんのそういうところは私は好きですけどね~

 肝心なところに嘘がつけないのは、残酷ではありますが優しさだと思いますし」

 

「ほほう……

 これは嬉しい事を言ってくれる

 私も仲徳殿の解りづらい気遣いや優しさは大好きなのだがな」

 

そうしてにやりと笑う私達は、ある意味似たもの同士なのだろう

 

「さて、時間も空いてしまったのでな、よければ夕餉まで一献どうかな?」

 

ここで素直に伯珪殿について語るには、お互いいささかひねくれていると言えるからな

 

ならば今は流すのが道理というものだろう

 

私の言外のそれが伝わったのか、風も頷く

 

「酒肴がメンマでなければお付き合い致しましょう~」

 

「なに!?

 まだメンマの素晴らしさが理解できぬというのか!」

 

「いえいえ~

 私はそこまでメンマ愛していませんし…」

 

「なんという不届きな……

 よかろう、夕餉までたっぷりとメンマの素晴らしさについて語って進ぜよう」

 

こうして軽口を叩きながら私達は部屋を後にした

 

 

確かに伯珪殿の事は気にはなったが、それはそれ、これはこれ

 

風にはメンマの素晴らしさを理解させずばなるまい

 

そう硬く決意しながら

≪漢中鎮守府/北郷一刀視点≫

 

さて、問題は相変わらず山積みだが、とりあえず目下の懸案を片付けることとしようか

 

俺は緊急で円卓を招集し、現在張文遠と共に外遊に出ている伯達ちゃんと謹慎中の三名を除く全員と会議をしている

 

懸案はただひとつ、郭奉孝の扱いについてだ

 

かの曹操に全幅の信頼を置かれ、赤壁に際しては「郭奉孝さえ生きていれば」と言わしめた稀代の策略家である

郭奉孝が夭逝する事がなければ、曹魏の未来は全く違ったものになっただろうと考える歴史家は数多い

 

しかも、子敬ちゃんの話を聞くに、既に曹操に傾倒しているというのが明白で、こちらに取り込むのはかなりの難事を極めると言える

 

そして、ここで困ったことがひとつある

 

天律に添えば間諜など捕まった時点で即斬首なのだが、郭奉孝本人はその意味ではいまだ遊説の身なのである

自らが考える仕官先の為に情報を仕入れてから、というのはむしろ当然の事で、それを理由に足止めはできても明確に罰する律が現在の天譴軍に存在していないのだ

 

これは俺にとっても痛恨事といえる

 

難癖をつけて処分する訳にもいかず、開放して漢中を出てから処分するのが無難かと思えるが、ここに実は少なくない不安が残る

 

それは、俺が“修正力”とか“英雄補正”と勝手に呼んでいる、外史そのものの意思である

 

俺が異常ともいえる状態で戦力を蓄え経済を発展させ、実質戦力をひた隠しにしてきたのも、これが怖いからというのが本音だ

 

やるからには対処する暇など与えてはならない

 

一気に、そして圧倒的にやらねば、必ず手痛い仕返しがくる

それを確信しているからだ

 

そのような状況にあって程昱と郭嘉が懐に飛び込んできてくれたのは僥倖以外の何者でもないんだが、今度はその獲物の大きさに見合う檻がない、というジレンマを抱えている、という訳だ

 

「こちらの素顔を見せた以上、開放するという選択肢はないと考えますが」

 

元直ちゃんの言葉はもっともで、俺も流石にそれは考えていない

 

「可能なら謀殺したいところですが、劉備の目があまりにも邪魔な状況ですね

 彼女が私達と歩む姿勢を見せている以上、後の禍根となるような対処を執れないのは厳しい状況です」

 

義によるものではあっても刺客という立場に立った事もある元直ちゃんの方針は、こういう場合は一貫して荒っぽい

俺も本当はそうしたいのだが、謀殺した場合にどういう経路でそれが漏れるかは予測すら不可能と言えるので、俺は絶対にそれを執る事ができない状態なのだ

 

「う~ん……

 天譴軍憎し、に凝り固まられるのも困りもんだけど、そこは手遅れと考えて長期苦役にでも放り込む、しかないかね……」

 

公祺さんが難しい顔をしながらそう呟くが、なかなかに難しい

 

令則さんの不在はここでも響いている

結局のところ、天律を最も熟知しているのが令則さんな訳で、こういう場合に適切なアドアイスができる人間が他にいないのだ

 

こうして俺達が頭を悩ませていると、遅れていた皓ちゃん明ちゃんがやってきて着席する

 

『おまたせー』

「今日の議題は何なのかな?」

「今日は簡単な話だといいな?」

『元ちゃん達は楽がしたいのー』

 

………な、なんて正直なんだ

思わず呆れる俺だったが、やはり憎めないのがこの子達のキャラクターだと思う

 

「あうあう…

 間諜の疑いがあるって事で捕縛した郭奉孝について、なんです」

 

巨達ちゃんの説明に、元ちゃん達はあっさりと答える

 

『簡単かんたん』

「それはなんにも問題なし」

「難しいことなんにもなし」

『こちらで抱えて使い捨てにしてしまおう』

 

俺を含めて訝しげな顔をする座に向かって、元ちゃん達は説明をはじめる

 

「罪科は明白」

「しかし天律では裁けない」

「だったら律の範囲で使えばいい」

「律の範囲で死んでもらおう」

『具体的には外交特使として働いてもらう』

「涼州に貴重な人材は送れない」

「裏切られるのが前提であればいい」

「こちらの腹はどう転んでも痛まない」

「成功したなら開放してやればいい」

『その時は曹操の下に走られてもこちらは十全』

 

………なるほど、そのテがあったか!

 

涼州に対する工作が難航しているのは、こちらが十分な人材を送る事が難しいくらいに相手の感情が悪いからだ

ならば、有能この上ない人間を送り付けてこちらの政治工作をさせればいい

 

元々が失敗を前提とし、その為の大義名分を用意しておけば、こちらは最後の一手を打つ事ができる

 

元々が間諜としての疑いを理由に捕縛した郭嘉だ

 

裏切られた場合はどう転んでもこちらの不利益はない

 

そして、相手が涼州であれば、どのような策を用いられようとも“今回だけならば”俺達の勝ちは絶対に揺るがない

 

「なるほどねえ

 確かに涼州相手はたった一度きりの“全力”な訳だし、小細工なんか間に合うはずもない、か」

 

『褒めてほめてー』

 

忠英さんの頷きに皓ちゃん明ちゃんが満面の笑顔で応える

 

「いや、私が言うのもなんですが、これは郭奉孝に心底同情します

 失敗なり裏切りなりを大前提に送られるのもそうですが、あの才気は失敗をよしとはしないと思いますからね

 こりゃあ酷い

 くきゃきゃきゃきゃ!」

 

子敬ちゃんの言葉にブーイングを飛ばす二人だが、俺も心底そう思う

 

やはり、これから先は俺がやれる事はそう多くはないだろう

大陸史に燦然と輝く彼女らの知略智謀は、やはり俺が及ぶところではない、という事だ

 

「結論は出たようですが、反対の方はおられますか?」

 

懿の言葉に全員が首を横に振る

 

「我が君、皓ちゃん明ちゃんの策は満場一致で可決されました

 これよりは細部の打ち合わせに入りたいと思います」

 

「うん、そうしてくれ

 しかし、もう俺が及ぶところじゃないなあ…」

 

俺は正直な気持ちを言ったんだが、なぜか全員の視線が白い

 

なんで?

 

「拙者がいうのもなんですが、こと政治闘争と人心掌握に関しては、一刀殿には及ばぬと皆が言うと思いますぞ」

 

儁乂さん、それは決して褒めてないよね?

 

「まあなあ…

 アンタが仕込んだ結果、皓ちゃん明ちゃんがこうなったんじゃないか、とアタシは思うよ

 どうやって責任取るんだか…」

 

え?

これって俺のせいなの?

 

「あうあうあうあう………」

 

目は口ほどにものを言う、とはこの事なんだろうか

巨達ちゃんの視線がものすごく痛い

 

「我が君の寝言はいつもの事ですから無視すると致しましょう

 では、夕餉の席までに進められるだけ話を進めるとしましょうか」

 

寝言って、司馬懿さん!?

最近アナタ、なにげに俺に惨くないか!?

 

 

こうして、精神的にフルボッコにされた俺が泣き濡れるのにも構わずに会議は再び進行していく

 

泣きながらも出てきた案にいくつか補足を入れたんだけど、周囲の「それ見たことか」と言う視線がとても痛くて辛かったのを、多分俺は忘れないと思う

 

 

ああ、俺にも少しは優しさが欲しい………


 
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