No.341524

真・小姫†無双 #33

一郎太さん

#32に王冠がついてた!TINAMI改変以降初めての王冠だぜ。
ありがたやありがたや。

という訳で#33です。どぞ。

2011-11-30 17:02:59 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:7872   閲覧ユーザー数:5562

 

 

 

【CAUTION!】

 

 

この作品を読むかどうかは自己責任です。

 

気分を害しようと、それは自己責任です。

 

お金がないのも自己責任です。

 

彼女がいないのも自己責任です。

 

それでもいいという方は、文頭に

 

『(* ´Д`)ハァハァ』

 

と荒い息を書き込んでからコメントしてください。

 

ただし色々と否定的な※はなし。

作者の心が痛むから。

 

ではまた後書きにて。

 

 

 

 

 

 

 

#33

 

 

軍議の間に沈黙が落ちる。誰も口を開かない。否、開けない。遅れてやってきた1人と1頭は『いつもの』ように定位置につき、会議はまだ始まらないのかという表情で王を見つめる。

 

『………………』

 

その視線を追って家臣の皆も、王に視線を送った。

 

「えと…冥琳?」

「………」

 

孫策は隣に立つ呉の大軍師に助けを求めるように問うが、相方は瞳を伏せ、まるで『王の御意に』と言わんばかりにその言葉を無視する。

 

「………祭?」

「………」

 

反対側の宿将に向き直るが、彼女もまた、『我らは手足。頭の指示なくば動かん』と言うかのように瞳を伏せている。

 

「雪蓮姉様、始めないの?」

「え?あ、あぁ…そうね」

 

末妹の言葉に、ようやく軍議は開始された。

 

 

 

 

 

 

「武将で言えば、北郷と呂布が厄介じゃな。虎牢関でチラと見ただけじゃが、呂布に関しては黄巾の噂が本当ならば、相当のものぞ。そして呂布を抑えた北郷も、同等以上の力を持つという事になる」

「そうですねぇ。袁術や張勲はいいとしても、諸葛亮と鳳統は伏龍鳳雛と称される程の、名門水鏡学院の稀代の学士と噂されていますしぃ」

 

黄蓋と陸遜が、それぞれ武官・軍師としての意見を出す。武官に関しては孫家の方が、数が少ない。孫策と黄蓋が一刀と恋を抑えたとしても、他にも名だたる将はいる。ただし、それは彼らの認識だ。武官で言えば連合後に愛紗が加わり、智将にしても詠が加わっている。智による差で詰めるしかないのかと周瑜は考えているが、今は動物園で働いているねねを加えれば、智将の数は4人と4人。数に差はない。

それでも全員で一致している意見がある。それは戦わないという選択肢などない、という事だ。だからこそこうして集まっているのだが、建設的な意見は出ない。

 

「ねぇ、ちょっといいかな」

 

と、そこで手が上がった。誰も触れようとしなかった将、孫尚香だ。

 

「何かあるのですか、小蓮様?」

 

孫策の頬がヒクついている事に気づいた周瑜が、同様の表情で問いかける。一応進行役だと自分を何とか納得させているようだ。

 

「えと、信じてくれるか分からないんだけど……」

『?』

 

いつもの彼女の溌溂さからは想像できないほど大人しげに、おずおずと切り出す。皆が疑問符を顔に浮かべていた。

 

「その…周々が、意見があるって………」

 

申し訳なさそうに伝える少女の横で、周々(?)は腕を組んで仁王立ちしていた。

 

 

 

 

 

 

「がる、がるる、がるるるっ」

「えっと、南陽に動物園ってのがあって、周々のお友達がそこにいるらしいの」

 

何を言っているのか分からない白虎の言葉を、シャオは通訳する。

 

『………………………』

 

皆が何とも言えない表情で1人と1頭(?)を見る。

 

「がるるるぅ、がるろりるるる……がるっ」

「で、その友達曰く、『南陽の将はまだいる』らしいんだ」

「なんだと?………明命?」

 

聞いていないぞ。そう言わんばかりの突き刺すような視線で、周瑜は周泰を見据える。

 

「ひゃぅっ!?……我々が調べ上げたのは、報告に上げた通りですぅ!」

「だが……いや、そうだな。お前以上の細作はいない。信じるさ」

 

縮こまる部下に、周瑜は頭に昇りかけた血を理性で抑え込む。

 

「もう、冥琳も睨まないの。でね、友達が言うには、武官では劉備のところにいた関羽がいるらしいよ」

「そうなの?連合の時に劉備に挨拶に行った時に話した限りでは、主を裏切るような娘には見えなかったんだけど」

「もしかしたら劉備軍を取り込んだのかもしれぬぞ?」

「いや、それはない。もしそうならば、趙雲の名も同様に上がるはずだ。そうだろう?あー………周々?」

「がるっ」

 

周瑜は口籠りながらも、周々(のような生物)に問いかけ、首肯を受けた。

 

 

 

 

 

 

「で、関羽なんだけど、明命が分からなかったのも無理ないよ。なんでも、将軍にはまだついてなかったみたい。でも、気になる噂があって………」

「がるがるるるろりさいこうるるるる」

「最初は仕官に来た関羽を断ったらしいの」

「それは凄いですねぇ。劉備軍は関羽さんと趙雲さんでもっていたようなものですよぉ?そんな実力者を迎え入れないとは……よほどの事情でもあったのでしょうかぁ?」

 

シャオの通訳に、陸遜が首を傾げた。

 

「がるる、がるっ」

「え、言っていいの?」

 

何やら揉めているようだ。シャオは周々(?)の言葉をそのまま言っていいものか迷っており、また周々(?)さっさと訳せと言わんばかりに、腕(?)を組んで口を閉じた。

 

「えーっと……って、言えないよ!シャオにそんな恥ずかしいこと言わせないで!というかそろそろ皆の視線がキツイんだから、いい加減ネタバラシしなよー!」

 

と、突如シャオはぷくぅと頬を膨らませ、周々(?)に向き直りがなりたてた。

 

「なんだよ、仕方がないなぁ」

『え゙!?』

 

その時、孫策軍の心(シャオ以外)がひとつになった。

 

 

 

 

 

 

「シャオ、とりあえず俺の荷物持ってきてもらっていいか?これ落としても半裸だからな。あと水と布もくれ」

「もう、しょうがないなー」

 

周々(?)に乞われ、シャオは出て行った。一度部屋に置いてきた荷物を取りに行ったのだろう。

そして、周々(?)は孫策に向き直る。

 

「久しぶりだな、孫策」

『え゙っ!?』

 

1人と1頭の遣り取りと見ていた将が、今度は主を一斉に振り返る。数万の視線に慣れている孫策と言えど、このような懐疑的な視線に晒された事もないだろう。彼女はビクっと肩を震わせて、そして両手を振って否定する。

 

「ちょ、待って!私知らないから!?」

「何を言ってるんだ?忘れたとは言わせないぞ、俺と過ごした熱い夜を。戦の火照りが治まらず、かといって周瑜殿もおらず、俺のところに来たじゃないか」

「いやいやいや、知らないから!何の話をしてるのよ!!………って、ちょっと待ってよ。なんで距離をとるの、冥琳?」

 

見れば、周瑜だけでなく他の者も、その列は玉座から若干距離が開いている。

 

「いや、そんな事はないぞ。ただ、断金の交わりと思っていたのは私だけだったのだなと感慨に耽っていたところだ」

「何言ってるのよ!!」

「孫策こそ約束を忘れた訳ではないだろう?」

「貴方は口を閉じてなさい!………何の約束よ」

「言ったじゃないか。自分の妹を抱かせてやるから、俺の妹を抱かせろ、と」

 

サァ…と音もなく距離が拡大する。

 

「いやいやいや、そんな事言ってないわよ!蓮華も何視線を泳がせてるの!?」

「いえ、その…シャオと私のどちらを売ったのかと考えてました……」

「売るって言うな!」

「シャオだ」

「策殿……」

「ドン引きですぅ…」

「虎と…小蓮様………」

 

かねてより共にあった黄蓋は溜息を吐き、陸遜は涙目になっている。何を想像したのか、諸葛瑾は頬を赤らめ鼻血を垂らしていた。

 

「だから何の話だ、って言ってんでしょ!貴方の妹を抱くなん、て……あ」

「思い出したか?」

 

何かを思い描き、そして孫策は力尽きたかのように玉座に腰を落とした。

 

 

 

 

 

 

「………貴方、北郷でしょ」

 

どれだけ俯いていたか、孫策はゆっくりと顔を上げると、周々(?)に向かってこの場にはいない筈の男の名を口にした。

 

「北郷、だと?なぜ袁術の将が此処にいる?」

 

主の言葉に周瑜は眼を光らせ、甘寧はそっと腰に提げた曲刀に手をかける。

 

「がる?」

「なんで虎に戻ってんのよ!!いい加減正体を現しなさい!」

 

呆けてみたが、ダメだったようだ。と、そこへ。

 

「お待たせー。ほら、一刀、水と布。さっさと身体拭いてよ。皆の眼が怖いんだからさー」

 

侍女に身体を拭く道具、そして荷物を持たせた小蓮が戻ってきた。黄蓋や甘寧はひとまずと殺気を治め、孫策はさっさと誤解を解いてくれと言うかのように睨み付けている。

 

「へーい」

 

言われるがまま侍女と小蓮に手伝われるまま、周々(?)は身体の色を落としていった。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、さっぱりした」

 

皆が茫然と憮然の間の視線を無言でむけるなか、それを無視して身体を清めた俺は伸びをする。

 

「きゃぁ!一刀、危ないよ!」

「あ、忘れてた」

 

両脚のカギ爪を外していなかった。

 

「という訳で、南陽からのお客さん、一刀君です」

『………………』

 

畏まって自己紹介するが、まだパンツ1枚だ。黄蓋や陸遜はいい身体だと舌なめずりをし、周泰と呂蒙は真っ赤になって顔を手で覆って………指の隙間からバッチリ見ていた。諸葛瑾は濁々と鼻血を流し、妄想の世界に逃避している。

 

「だから一刀、服着ないと!」

「あぁ、悪い」

 

いそいそと小蓮から手渡された服を身に纏い、ようやく落ち着いたところで俺は再度口を開いた。

 

「久しぶりだな、孫策。約束通り、お前の妹を貰い受けに来たぞ」

「もうそのネタはいいから!………で、わざわざ単身乗り込んできて何をするの?いま私たちは会議中なんだけれど。悪いけど後にしてくれない」

 

本来なら話そうとしていた内容を億尾にも出さず、孫策はスラスラと嘘を並べ立てる。

 

「そりゃ悪かった。ちょっとスカウトに来ただけだから、すぐ終わらせる」

「すかうと?」

「あぁ、いや………引き抜きだな。良さそうな武将をうちに貸して貰おうと思って」

「そんな事させる訳ないでしょう?それに、うちの者も嫌がるわ」

 

俺の言葉に、孫策は鼻で笑う。

 

「じゃぁ、もし本人がいい、って言ったなら連れてっていいんだな?」

「無理矢理言わせなければね」

 

くくく、言質は取ったぞ。

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

という訳でフラグを立てておわる。

 

明日もこの時間位に投稿できると思うぜ。

ちなみに#34は自分でもおもしろいと思えるくらいの出来だから、期待しないで待っててください。

 

さて、勉強だ。

 

バイバイ。

 

 


 
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