No.341174

魏エンドアフター罪を背負いながらも…… 三話

DOWANNGOさん

三話目投稿しま~す。

2011-11-29 18:33:42 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:3389   閲覧ユーザー数:2926

「かずぴ~それどう言う意味なん?」

 

俺が及川達に『俺があっちでは自分が北郷一刀だと明かさない』と言ってしばらくの沈黙が流れたと

思うと及川がそう尋ねて来た。

 

「そのままの意味だ。

俺はあっちでは顔を隠して自分が北郷一刀だと言うことを『そう言うことじゃない!』……」

 

「あっちでは曹操達がお前のことを待ってるんだぞ!それを何で……!」

 

及川はそう言いながら俺の胸倉を掴んできた。

こうなることは予想出来た。

こいつは見た目は軽い奴だが優しい奴だ。

今まで俺達の外史を見ていて俺達の絆の深さを知ってるんだろう。

だからこそこう言う鼓動を取る。

 

「及川、俺は罪を背負ってる。

今まで俺は外史を否定してきた。

それは外史の人々の生き様を否定してきたということだ。

そんな最悪の罪を背負っている俺が華琳達の所に帰って幸せになって良いと思うか?」

 

「当たり前だ!お前が悲しねば曹操達も悲しむ!お前は曹操達が悲しむ道を進もうとしてるんだぞ!」

 

「それでも俺は……『ちょっとごめんなさい、外史の否定派が動いたみたいよ』!」

 

貂蝉がそう言ったのを聞いて外史の映像を見るスクリーンを見る。

そこには外史の否定派が外史に降り立った映像が流れていた。

 

「及川!この話はまた今度だ!取りあえずあっちでは俺は『刃』と名乗る!

それに合わせろ!」

 

俺はそう言ってそこら辺に置いてあった仮面とマントを取り次元の亀裂へと飛び込んだ。

及川が何か言っていたが及川の言葉は聞こえなかった。

第三者視点

 

一刀が外史へと飛んだ頃。

華琳達は洛陽で集まっていた。

今日は三国の平和式典の日。

そして、一刀が元の世界に帰った日である。

今日になると魏の国民は笑顔を無くす。

昨日まで笑っていた者も悲しそうな顔をするのだ。

 

「しょうがないわね……」

 

華琳はそう言って小さく笑う。

そうしょうがないのだ。

『今日』は……自分達の太陽が沈んでしまった日だから……

 

「皆、辛そうね」

 

そう呟いたのは呉王『孫伯符』真名を『雪蓮』

彼女達は今まで魏の様子を見ていた。

今までの魏はまるで敗戦国の様だった。

仕事で失敗したり、風邪で倒れたと聞いて見舞いに訪れてみれば床で一刀の名前を必死に呼んでいたりした。

それ程までに彼女達と一刀の絆は深かった。

 

「そうですね……」

 

雪蓮の呟きに反応したのは蜀王『劉玄徳』真名を『桃香』

彼女もまた魏の様子を今まで見ていた一人だ。

 

「華琳達を救えるのはあの子だけよね……」

 

「一刀さんですか……」

 

四年前のあの日、三国の間での戦が終わった時彼女達は少しだけ話したことがあった。

この大陸がどうなって行くのか本当に色々なことを話した。

それに呉にとっては彼は大恩人だ。

周瑜こと冥琳が病で死ぬことを一刀が教えてもらい華陀に見てもらうと確かに病に犯されていた。

華陀曰く『後もう少し見るのが遅かったら死んでいた』とのこと。

更に一刀は長江の下流に華陀を配置させ黄蓋を救った。

彼には数えきれない恩がある。

だが、その恩を返す前に彼は帰ってしまった。

 

「ホント……早く帰って来て欲しいわよ……そして、彼女達を救って欲しいわ」

 

この四年間の間に華琳達と雪蓮達の絆は深まった。

そして彼女達の悲しい顔を見ているのがだんだんと苦痛になってきた。

だから……誰か早く彼女達を救って欲しい。

もう、彼女達の悲しむ顔は見たくない。

 

「なら、死ぬか?」

 

「え?っ!」

 

ドゴォォォォォッン!

 

その場に轟音が鳴り響く。

その瞬間、その場に居た者は轟音のした方を向く。

まず始めにしたのは雪蓮の身の心配。

あの轟音を聞く限り、何かの鈍器が振り降ろされた音だ。

しかも、相当巨大な鎚。

その鎚に潰されたのならば助からない。

だが、轟音が鳴り響いた元に雪蓮は居なかった。

何とか避けたのだ。

もし、彼女に鋭い勘が無かったら今頃彼の彼女の体は原型が分からない程に潰れていただろう。

 

「あ~、避けられたか~殺す気でやったんだけどな~」

 

そう言って敵は頭を掻く。

敵の手には顔良の鎚よりも巨大な鎚。

その鎚は三国一の力を持つ流々や季衣でも軽々と振える様な代物では無い。

 

「あなたは誰?」

 

雪蓮は威圧しながらそう尋ねた。

その威圧感は並の者ならば一瞬で戦慄し戦闘の意思を無くす。

だが、目の前の敵はそんな様子は一切見せずに答えた。

 

「俺は嘉元、お前達の生き様、死に様、全部ひっくるめて否定する者だ。

孫伯符、夏候妙才、周公謹、お前等を殺すのが今回の俺の任務だ。

殺させてもらうぜ?」

 

「「「!」」」

 

嘉元がそう言った瞬間全員が気付く。

この男には敵わない。

だが、一名を除いてはこの場にこの男に敵う者が居た。

その者は武器を構えながら前に出る。

 

「『飛将軍 呂奉先』か……中々の相手だな」

 

そう、武器を構え前に出たのは『飛将軍 呂奉先』真名を『恋』

三万の賊相手に傷一つ付かずに勝った者。

現時点で三国一の武将。

 

「良いね~楽しいじゃねぇか……

他の奴の邪魔はゆるさねぇぞ……さぁ、来いよ!」

 

その言葉を聞き恋は嘉元に襲い掛る。

嘉元は軽々とそれをかわす。

 

「はぁ~結構速いな……だらぁっ!」

 

「っ!」

 

嘉元が鎚を振り降ろすと恋はそれをかわして見せる。

それを見て恋は戟を振う。

嘉元は鎚の柄から手を離しそれを避ける。

 

「俺の本当の武器は無手なんだよ。

悪いな……騙してて」

 

嘉元はそう言うとあまりにもすごい速さで拳を突き出した。

恋は戟を盾にして防ぐ。

 

「因みに言っとく。

俺の手は気を纏わせてるから斬っても斬っても斬れねぇからな」

 

「……そんなことを言う?」

 

「言っても負ける気はしねぇからだよ」

 

嘉元がそう言った瞬間恋の体が宙に浮いた。

そして、その体は何度も何度も空中で弾みそして、地面に恋の体が落ちた。

 

「やれやれ……お前を殺すことは計画に入って無いんだけどな~

ま、どのみち逝くことになるんだ。

先だろうが後だろうが変わらねぇが……先の方が絶望は少ない。

先に殺してやんよ」

 

そう言って嘉元は鎚を持つ。

その瞬間三国の武将達は一斉に嘉元に襲い掛る。

 

「「「恋に手を出すなぁぁぁぁぁぁぁっ!」」」

 

そう怒鳴りながら襲い掛るが……

 

「遅いぜ」

 

嘉元がそう言った瞬間嘉元の体が消え三国の武将達が倒れた。

 

「さてと……遅くなったな。

呂布、じゃぁな、楽に逝けよ」

 

そう言って嘉元は武器を振り上げる。

呂布は目を瞑った。

すると、瞼の裏にある光景が映る。

優しい笑顔で自分を撫でてくれる優しい人。

自分にはこんな記憶は無い筈だが何故だがこんな時でも安心できた。

そして……その安心の中、鎚は振り降ろされた。

 

 

 

 

 

 

 

だが、一向に予想した衝撃は来ない。

恋は恐る恐る目を開ける。

目の前には鎚を片手で受け止めている者が居た。

その者の顔は仮面で見えない。

が、何故だか先程瞼の裏で見た光景と同じ様な安心があった。

 

「お前誰だ?」

 

嘉元は鎚の柄から手を離し距離を取る。

それを見た仮面を被り顔を隠している者はこう言った。

 

「俺は刃、『北郷一刀』をこの外史に戻す為にここに来た」

その名乗りを遠くの影から聞いていた少女が居た。

その少女は帽子を深く被り顔を隠している。

 

「ふぅ~ん……何だか面白そうだな~

北郷君が自分の身分を隠してるなんて……

はてさて………どうなるかな~?」

 

少女はそう言った瞬間その場から姿を消した。

あり得ない。

それが今の嘉元の心の中だろう。

自分の鎚の重さはゾウの五十頭分。

それを片手で受け止めるなど自分でも不可能。

それを目の前の(声からして)男はやって見せた。

 

「刃とか言ったかぁ?てめぇも管理人か?」

 

「ああ、肯定派だ。つまりお前達の敵だ」

 

「そうかよ、たく……何か面倒な奴が来ちまったな……」

 

嘉元はそう言いながら頭を掻く。

それを見た一刀はこう言った。

 

「なら、退くか?一応言っておくが後から俺の仲間がやってくるぞ」

 

「……しょうがねぇわな。退くわ」

 

嘉元はそう言うと鎚を背中に背負い姿を消した。

それを見た一刀は後に居る曹操達に向かってこう言った。

 

「先程も名乗ったが俺の名は刃だ。

この世界に『北郷一刀』を戻す為に来た。

取りあえずこれ以上の話は城で行う」

 

刃がそう言うと及川、貂蝉、卑弥呼が走って来た。

 

「勝手に動くなや~……刃」

 

及川は刃と言った時に不快感を顔に浮かべたがどうやら刃と呼ぶことにしたらしい。

 

「これからどうするのだ?」

 

「取りあえず城に行ってこいつ等と話すつもりだ。

お前等、呆然としてないでさっさと行くぞ」

 

一刀がそう言うと三国の将達は全員頷き歩き出した。

一刀side

 

洛陽の城の玉座の間

 

 

城に着いた俺達は話をする為に玉座の間に居る。

何と言うか俺はここに居るのに俺を戻す話をするのは妙な気分だ。

 

「それで?まず最初にあなた達は何者なのかしら?」

 

玉座の間に座っているのは華琳と桃香と雪蓮(魏の国以外の国の武将の真名は俺が消えた時に預かった)。

俺は華琳から放たれている覇気に耐えながら話し始めた。

 

「それに答えるには面倒な解説をしなければならないが良いか?」

 

「構わないわ」

 

「感謝する。俺達は(説明中)と言うことで外史を管理する者達だ」

 

カッコ内では三文字だけだけど実際に説明するとすごく面倒だった。

 

「成程ね……それで?何で一刀は消えたのかしら?」

 

「分からん」

 

「「「……はい?」」」

 

華琳達は聞き間違いだと思ったのかもう一度聞き直す。

だけど、何度聞き直しても答えは同じだ。

 

「分からん。

外史とは可能性の世界。

そんな世界では何でもありの筈なのに何故か外史はそれを良しとしなかった。

その理由は管理人である俺達でも分からない」

 

俺や及川や貂蝉、それに卑弥呼も上級管理人なのだが外史の全てを把握していない。

把握出来ているのは外史と言う概念を創った神のみだ。

俺は管理人時代に一度だけ会ったことがあるが何故か思い出せない。

 

「……管理人って案外約に立たないのね」

 

「……面目ない」

 

本当のことを言われてしまい俯いてしまった。

 

「それより、あなた達はどれ位強いのかしら?」

 

気になるのはしょうがないことだろう。

助っ人に来た奴が足手纏いだったら嫌だろう。

 

「分からないな。

俺は自分の武を軽々しく前に出す様なことはしない。

何なら試してみるか?」

 

実際どれくらいのレベルなのか分からない。

及川は『呂布は絶対に超えてる』って言ってたけど本当に超えてるのか分からない。

だって呂布だぞ?飛将軍だぞ?

戦った瞬間ボコボコにされるのが目に見えてる。

それに情報源が及川だって言うのが怪しいんだ。

 

「そうね……明日『天下一品武道会』と言う大会が開かれるからそれに参加しなさい」

 

俺もどれくらい成長したのかを確認したいしな……

 

「良いだろう。こちらからは俺と……及川お前も出ろ」

 

「ええ~!」

 

及川は文句を言っているがこればかりはしょうがない。

俺は及川にしか聞こえないように小声で言う。

 

「これは俺達の実力を見ているんだぞ?

最低でも二人以上は出さないといけないだろうが。

そんな中で貂蝉か卑弥呼を出してみろ。

相手は卒倒するだろうが」

 

「むぅぅぅぅ……しゃぁないのぉ……」

 

渋々だが及川は納得してくれた。

貂蝉と卑弥呼が出たそうな顔をして腰をくねくねさせていたが一瞬で記憶から消した。

 

「こちらからの出場者は決定した。

及川、鍛練するから付き合え」

 

「めんど~……」

 

俺はめんどくさそうにしている及川の首を掴んで鍛練をする為に中庭に連れて行った。


 
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