No.338895

双子物語-19話-

初音軍さん

過去作より。高校生編。姉妹交互の視点で話が動きます。動きが
大きいのは妹の方で問題があっちからこっちからと身動きが
取れない状況となっています。
中途半端な切り方をしているので読みにくいやもしれません。

2011-11-24 18:12:25 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:970   閲覧ユーザー数:360

 

雪乃「私が生徒会?」

 

 誰にともなく私は反芻するように呟くと生徒会長は優しく微笑みながら頷く。

 

生徒会長「ええ、あなたのためになると思って」

雪乃「なんで私のためになるんでしょうか?」

 

 すると、クラスメイトの一人が資料を持ってきた。私の家系の書類で、こと細かく

書いてある。ここはそういうことにも厳しく取り締まっているのだろうか。

しかし、聞けば非難するためのではなく。知られた場合の私の立場のためだという。

 

生徒会長「宵町県先生を知ってる?」

雪乃「え、なんでその名前を」

生徒会長「理事含めて、あの方に頼まれたから」

 

 いや、ほんとに何者なんだあの人は。そう思いながらも少し過保護に感じる私は

断ろうとしたときに、生徒会長は別の言葉も持ち出してきた。

 

生徒会長「確かにそれもあったけど。今は純粋にあなたに興味があるからかも」

雪乃「興味?」

生徒会長「普通なら生徒会に媚売る子がほとんどなのだけど、貴女がまるっきり

   真逆の行動をとるものだから面白くてね」

 

 ただ、仕事をするだけでなく相手を遊ぶように試すとはいい性格をしている。

言われてみればこの学園からすれば私は異端なのかもしれないけど。

 ここに来るときに決めたことがある以上、私はここにいられないし、居たく

ないのだ。だから、どんなことを言われても私の気持は揺るがない。

 

雪乃「そうですか。残念ですが、私は生徒会には関わりませんよ」

生徒会長「この学園は平和そうで、けっこうきつい生徒もいるのよ。貴女をそんな子

   たちから守ってあげられるのよ」

雪乃「しつこいですね。要りませんよ」

生徒会長「そう…」

 

 諦めたように目を瞑って一息つく生徒会長。私にも譲れないものの一つや二つはある。

ましてや今日初めて会った人間に頼るわけにはいかない。彩菜だってがんばっている

はず。だから私は楽な道を辿るわけにはいかないのだ。

 

雪乃「では、失礼致します」

 

 静かにドアを閉めて私は寄宿舎に戻る道を歩いていった。

 

* * * * * * * * * * * * * 

 

 ギィッと音を立てて椅子を半回転させて窓の外に視線を向け、美沙に告げる生徒会長。

 

生徒会長「美沙、説得できなかったわ。ごめんなさい」

美沙「いえ、会長。ありがとうございます」

生徒会長「あの子、強かったわね」

 

 少しクスッと笑っていつもよりも楽しげに生徒会メンバーがいる方に振り返って

笑顔を見せる。

 

生徒会長「美沙のこととは別に生徒会に欲しい人材だったわね」

 

* * * * * * * * * * * * *

 

 ドッと疲れた。部屋に戻った私は制服を着たままベッドに倒れこんだ。シワになるか

と思ったが、それ以上に疲れが上回ったみたいだ。けっこう重圧を感じる生徒会長だった。

こんな体力のない私があんな体力勝負な役職に就けるわけがないのだ。やりたくもないし。

 それか、彩菜みたいな人を惹きつける人間であったなら可能だろう。あの子の太陽の

ような眩しい笑顔にはたまにだけど、私もやられるときがある。そういえば、彩菜は

今どうしているのだろう。あの時から笑顔を見たことがないから少し心配している。

誰か、私の代わりに彩菜を成長させてくれる人がいてくれることを心の中で祈った。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

春花「彩菜、今日はどこかに遊びにいかない?」

彩菜「どうでもいい…」

 

 正直遊ぶ気分ではないから素っ気ない態度をとるが春花はそれでも熱心に誘って

くるものだから、少し押される形で付き合うことにした。

 

春花「それでねぇ~」

 

 最初は軽い気持ちで付き合ってしまったが、私が今まで付き合った中で一番きつい

ことが判明した。春花は純粋に処女で乙女であることに途中で気づいたのだ。

雪乃に振られてから、特に何も感じることなく体も許していたけれど、こんないかにもな

チャラチャラした娘が何もしない、したことないなんて思わなかったから、余計に

罪悪感を味わうことになっている。しかも、ママから冷やかされるし。

 

春花「ちょっと、話を聞いてる?」

彩菜「あっ、聞いてなかった。何の話?」

春花「ひどい、今度は聞いてよ!」

 

 こんなひどい私と付き合わなくても、いくらでも良い相手なんかできそうなのに

どうして、私なんかを選んでくれたのかが、まだ理解できずにいた。こんな綺麗な

子を汚し続けているのが、最近苦痛に感じている。だが、それとは別にこういう

日常が徐々に楽しく感じている私も確かにそこにいる。

 しかし、あれだ。春花は遊ぶパターンをあまり持っていないため、同じような

場所に行くことが多くなってきている。特に多いのはカラオケだ。楽しいは楽しい

のだが、ここ最近はそのペースが増えすぎるのは少々退屈だ。

 だって行くことになったら、カラオケ、家家、家カラオケとかそんなペースですよ?

もっと行くとこあるでしょう。たまにゲーセンとか行くけどお嬢さまである春花には

合わなかったみたいで、おろおろしていたっけ。それはそれで可愛かったが。

 

春花「今度はちゃんと聞いてた!?」

彩菜「ああ、犬が女の子に痴漢していた男をセクハラで追い払う子供向けアニメの

  ことだろう?」

春花「そうそう、あれ面白いよね」

彩菜「それ、面白いか…?」

 

 なんか言っていてよくわからない内容だったけど…。とにかく騒いだりはしゃいだり

するのはさすがに疲れた。私は久しぶりに家から少し歩いた場所にある土手に向かう

ことにした。後ろから犬のように春花もついてくる。夕焼けがあり、生える芝や雑草

たちが輝いて目に映る。そこで、どこかの兄弟がキャッチボールをしているのが見えて

少し羨ましかった。なにに羨ましかったのだろう。この頃は純粋に雪乃と向かい合えた

から? 兄弟仲良くしているから? それともまだ野球に未練があるから?

どれだかわからないが、春花が懸命に埋めてくれた穴がまた少し空いた気がした。

 

春花「彩菜」

彩菜「春花…」

春花「え?」

彩菜「ありがとう…」

春花「…うん」

 

 そういうと春花はそっと私の後ろから優しく手を回してくれた。これからどうすれば

いいのか。まだ検討もつかなかったけど。このままの気持ちだと、またお互いを傷つける

ことになるのではないかという不安も胸に溜まっていた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 生徒会の件があってからというもの。何かしら因縁をつけたがる相手が現われ始めた。

むしろ、あの人たちと関わらなければ普通の日常を送れていたかもしれないのだ。

全く、私はこういう人に縁があるのだから悲しい。なんでそう思ったかというと。

今日はちょっと遅めに教室に入ると少しざわめく声が気になりながらも席につくと

机に落書きがしてあったのだ。多少私に対する嫌味な言葉も混じっていた。

 

雪乃「またか…」

 

 こういうのを見ているとなにが楽しいのかと疑問に思いながら、優しい人間なのか

跡を残したくないのか、消しゴムをかけると簡単に消えてくれたのでこれじゃあ

嫌がらせにならないなと、逆に微笑ましく感じた。

 しかし、こういうのに過剰に反応するのが他人というわけで。同じクラスでルーム

メイトである瀬南が気になったのか私に声をかけてきた。

 

瀬南「大丈夫か?」

雪乃「なにが?」

瀬南「机の」

雪乃「ああ、それなら消したよ」

 

 まだ何か言いたそうな瀬南だったが、先生が先に教室に入ってきたので途中で言葉を

切って自分の席に戻っていった。こういうのは無視するのが一番なのだ、反応するから

喜ぶ連中も出てくる。本当に気にしていないから、普通にしているのがいい。

 授業もほとんど終わって休み時間に廊下を歩いていると、こそこそと話し声がするのが

聞こえた。私が近づくとボリュームがあからさまに上がって聞こえるのは当然といえば

当然なのだが、私の悪口であった。それこそ、今までに数え切れないほどの悪口を

叩かれた身としてはそれもなんとも思わないのだが。それよりも、連中を通過したときに

瞬間に見えた掲示板の紙の方が気になって一度、戻って確かめた。

 

雪乃「なっ…」

 

 一年生の上級生のためのイベントのお知らせだった。歓迎会みたいなものだろうか。

それにしても、やる種目が全て一年生。こちらの方が私にとっては少し抵抗がある。

 内容はコスプレ大会。しかも、女子校だから男装中心である。悪趣味な生徒もいたもの

である。しかし、これは教師達も見物するみたいだから、この悪趣味なのは教師達の

可能性も否定できない。しかし、クラスで数人立候補・推薦を立てて行うみたいだ。

 ちょっとした劇でもするのだろうか。詳しいことはあまりかかれていないから

想像することしかできないのだが。クラスで数人ということもあってあんまり重く

受け止めなくてもいいかと思った。

 だが、そんな気楽な気持ちもあっという間になくなるわけで。終わりのHR中に

張り紙のことが話しにあがり、本日中に参加する生徒を決めるみたいで、こういうことに

迅速に行動されても嬉しくないのだが。

 

先生「では、立候補と推薦で票を取ります…」

 

 誰も立候補する者などいないだろう。しかし、推薦となると話は別になる。ただでさえ

浮いている私をよしとする人は多くないだろうし、そうなると嫌がらせに票が集まること

必死。だが、それを防ぐ術は持ち合わせていないから私は覚悟をしながら時間を待った。

 

 案の定、半分以上の票が私に入った。その中で見覚えのある名前も見かけたから驚愕

する。私が固まっているうちに滞りなくHRが終了して皆、それぞれの行動に出て教室

から出ていく。私といえば残っていたルームメイトと二人きりで票のことについて

語った。

 

雪乃「どういうこと?」

瀬南「いやぁ、ちょっと見てみたかったなぁって。さぞかっこいいんじゃないかと」

雪乃「こういうのってからかいとか、面白おかしくってのが定番じゃない。かっこいい服装なんて用意していないわよ。多分」

瀬南「そうかなぁ、ゆきのんに入れた子らの半分くらいは雪乃の姿を見たいって言ってた

よ。そういや、生徒会の子も挙げてたなぁ。将来有望やないの」

雪乃「まぁ、御期待には応えられないとは思うけど…。やるだけやってみるわ」

 

 そう言うと喜ぶ瀬南の口を塞いで視線で威圧をかけると少し顔を赤らめて少し大人しく

なった。こうなると、この子も可愛いものだけど。なんか部屋と違ってコンタクトつけて

るし。ていうか、黙っていれば可愛いというやつだけど。言ってやろうかと思ったが

言うと余計に煩くなりそうだから黙って教室を出た。

 外に出ることなく、そのまま寄宿舎に戻る二人。いつもより遅かったせいか、外の色が

ほんのり赤く暗くなってまた違った光景を観ることができた。そんなときふと思ったこと

を後ろにいた瀬南に投げかける。

 

雪乃「そうだ」

瀬南「なに?」

雪乃「さっきのゆきのんってなにさ」

瀬南「気づくの遅っ…!」

 

 ツッコミを入れられつつ、少し話しをしながら部屋の中に入っていった。あまり

気にしていないつもりだったが、食事も終わり、寝る時間になってもいつもより

眠りに入る時間が遅かった気がする。そのせいか、一風変わった夢も見てしまった

のだが、起きるころには忘れていそうな類の夢であった。

 

 

 イベント当日。クラス代表として二人選出されるこのイベント、私のクラスでは私と

もう一人は、と探していると。なにやら瀬南が私の方に向かっているではないか。

当事者以外立ち入り禁止のはずだが、と。瀬南にシッシッとやると苦笑しながら私に

説明を始める。

 

瀬南「実は、もう一人は私」

雪乃「はぁっ?」

 

 そんな話は聞いていませんでしたが。まさかとは思うが、みんなグルになって

私のいないところで話を進めているのではないかと勘ぐったりもしたのだが、瀬南の

説明で先生の黒板を消す速度が速かったため、呆然としていた私は気づく余裕がなかった

のではないかと思われる。どっちにしろ、急なことだから驚いていると説明が始まる。

 

2年「ルールは至って簡単!いかに上級生を喜ばす演技ができるか!以上!」

 

 熱弁振るう説明をする先輩の言葉は短すぎてよくわからなかった。つまりは何だ?

上級生を楽しませる動きをしないといけないのか。問答無用に用意された男装衣装と

女装衣装を手渡され、瞬時に男物の服を押し付けられると瀬南は小悪魔の笑みを

浮かべながら手でどうぞといわれる。マヂか…。

 そして、着替えながら耳元で瀬南の意見を聞くと。

 

瀬南「私をお姫様抱っことかしてみない?」

雪乃「こんな虚弱捕まえてよくいうわ。できるかっ、そんなこと」

瀬南「じゃあ、もう一つは」

 

 もう一つの意見を耳元で囁かれると私の着替える動きが止まり、思い切り瀬南の

後頭部をぶっ叩いた。そして必死に声を殺して瀬南に叫ぶ。

 

雪乃「そんなことできるか…!」

瀬南「せやかて…」

 

 真っ赤になる私の顔を見やるとからかうような表情で喜ぶ瀬南の顔。正直ムカツク。

冗談ならこんなことは止めて欲しいものだ。しかし、本人からは冗談という意思を感じ

とれなかった。頭をさすりながら瀬南は私の胸をくすぐる言葉を口にする。

 

瀬南「何事も負けたくないやろ? 勝つためにすることや…!」

雪乃「勝つ…ため?」

瀬南「しかもこれによって、例のイジメまがいなことされずに済むかも」

雪乃「…」

瀬南「それに負けたところで何のデメリットもないんや。試す他ないやろ」

雪乃「はぁっ、わかったわ…」

 

 なんか上手く丸め込まれた気がしなくもないけど。ここまできたらやれることは

やっておきたい。しかし、やることがアレでは少々戸惑いはあるのだが、瀬南は

そのことに対して聞く耳を持たないみたいだから諦めた。

 前半の組を見ているとどうやらファッションショーのように歩いていって

ターンする場所で何かやっているみたいだ。ちょうどそこんとこだけ一番

見えやすいようになっているようだ。体育館丸々借りて何をやっているんだ。この

学園の人たちは…。イベント用の服装に着替え、瀬南に視線を向けると瀬南はどうやら

ドレスを着ていたようだ。こっちはタキシードのような紳士系なのだが。

 

瀬南「…」

雪乃「どうしたの?」

瀬南「このまま駆け落ちでもしよか?」

雪乃「おいっ」

瀬南「冗談やて、でもかっこええなぁ」

雪乃「そう、嬉しくないけど」

 

 そんな掛け合いをしているうちに、自分たちの出番がやってきてしまった。

あれっ、でも意外と最初ほどの緊張がほどよく和らいでいる気がした。

 時間もなかったから、何も言わずに私と瀬南は前の生徒と同じようにその場所へ

向かった。

 

 鬱だ…。イベントが盛況のうちに無事終わりを告げ、新入生たちはそれぞれの表情で

達成感を味わったようなそんな顔をしている。私はというと、頭が真っ白になって体育館

裏の壁に額をつけ固まっていた。あの時、キスする振りとか瀬南が言うからそれほど

気にせず真ん中までいって顔を近づけたとき、瀬南の腕が私の頭の後ろに手が伸びて

思い切り引き寄せたのだ。その時の周りの反応を見る余裕などなく、私は頭に血が上って

いくのを感じた後に瀬南の頬に張り手を打ってその場から逃げたのだった。そして、今に

至るわけである。

 

雪乃「あの時の感触がまだ残ってる…。しかし、思い切り張ってしまったから瀬南に

悪かったかなぁ。いやでも、いきなりあんなことしでかすから同情の余地はない」

 

 一人悶々としていると、背後から声をかけられた。いつも聞きなれている声だから

すぐにわかる。おそらく複雑な顔をしているであろう私はしょうがなく、瀬南のいる

方へ振り返ると張り手くらった瀬南はなんともないように笑顔で私を見ていた。

 しかし、はっきりと残っている頬の手形。少し赤くなっているが本人は気にしていない

ようだ。爽やかな風が吹いている中、私は何を言おうか迷っているときに瀬南から言葉が

先に出た。

 

瀬南「イベント大成功やったよ」

雪乃「へっ?」

瀬南「うちらの優勝ということ」

雪乃「順位付けなんてあったんだ…」

 

 色々言いたいことはあったが、とりあえずそのことを瀬南に言うと緊張の糸が切れた

ようで、まるで操り人形の糸が切れたように私の足は崩れ、地面にひざがつき、手で

支える、それはまるで土下座のポーズみたいで、離れてみていた女子達が興奮気味に

黄色い声を上げていた。一体、どんな風に見えているのだろう。驚きを隠せない瀬南は

心配した顔をして手を差し伸べる。ああ、何も考えないで喋らなければ本当に瀬南は

美少女に見えるのに、邪な心があるばかりにオヤジみたいなことをしようとするのが

勿体無いように感じた。

 

瀬南「ごめんな、ついムラムラしてやってもて」

雪乃「黙れ」

瀬南「…」

雪乃「ぷっ…」

瀬南「?」

雪乃「いいわよ、もう過ぎたことだし。終わったらお腹空いちゃった」

 

 だから、悪いと思ったら奢ってね。の言葉に一気に血の気が引く瀬南。それは

そうだろう。なにせ、私はフードファイター並に食が進むのだから。でも、少しは

反省して欲しい私なりの罰であった。これでしばらく、瀬南は自分のお金を自由に

使えなくなるのではないかと思われる。

 それからというもの、何かしら私の顔を見ると上級生から声をかけられている。

好意的なのは良いのだが、ここまで急接近されると逆に怖いというか、何かあるんじゃ

ないかと裏を疑いたくなるのはおかしくはないはずだ。ついでに同級生からもけっこう

好意的に接してくれるのは正直ありがたかった。あんまりドロドロとした学校生活は

もうこりごりだったから。幸い、頭は悪くないほうなのでクラスメイトたちの勉強とか

教えているうちに、今までにないくらい友達ができていた。友達ができる感覚というのを

この年で初めて知ったような気がした。それでも、どこか今まであった人たちよりは

軽い感じがするけど。一般でいう友達というのはこんな感覚なのだろうか。

 テレビの話をしたり、好きなアイドルの話をしたり、他愛のない話とは言うけど

ここまで楽しく感じないのは不思議な気分である。だが、頼られたりする分には

悪い気がしないので全体的に考えて、これは良い事なんだと思うことにした。

 全てが順調にいったかと思いきや、それまでおとなしくしていた、私にちょっかい

を出していたあの生徒がいきなり立ち上がって叫んだ。

 

女子生徒「みんな、だまされちゃだめよ!こいつの実家はヤクザの家系なんだから!」

 

 その一言で、辺りは静けさが訪れたのだった。

 

 


 
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