No.338593

異聞~真・恋姫†無双:三八

ですてにさん

前回のあらすじ:祭さんと腕を組みながら、陣に戻った一刀は、賊徒たちの鎮圧に鮮やかに成功する。
手法は色々問題があるとしか思えない方法であったが。そして…豚の丸焼きが彼らを待っている。

人物名鑑:http://www.tinami.com/view/260237
(11/23 加筆)

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2011-11-23 22:22:41 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:7742   閲覧ユーザー数:5543

この作品はキャラ設定等が一刀くんを中心に、わりと崩壊しております。原作重視の方はご注意下さい。

時代背景等も大きな狂いがあったりしますので、

『外史だから』で許容できない方は全力でブラウザバックを連打しましょう。

 

オリキャラも出ますので、そういうのが苦手という方も、さくっとまわれ右。

 

一刀君とその家系が(ある意味で)チートじみてます。

物語の展開が冗長になる傾向もすごく強いです。(人、それをプロット崩壊という)

 

この外史では一刻=二時間、の設定を採用しています。

それでもよろしい方は楽しんで頂けると幸いです。

 

 

「ごめんなさい。雪蓮の挑発にたやすく乗った俺が悪かったです」

 

「結果から言えば、確かに最上の結果、と言えるけれど。貴方は私達の代表。

その身の大切さをもっと自覚するべきね」

 

その大切な代表は、今貴女の座椅子になっているのですが・・・と突っ込む暴挙は決して冒さない。

最近のお説教の時の決まり事になりつつあるので、どこか慣れた感じすらあるし、

寄りかかってくる華琳の暖かさと、髪から漂うどこか甘い香りも、

俺は好きでしょうがないので、喜んでこの体勢を受け入れているから。

 

「そうです! 華琳殿の言う通り! もっと御身を大切にして頂かなくては困ります!

公覆殿との模擬戦も死線の境にあったというではありませんかっ!」

 

すわ般若のような形相と怒気が篭った声色で、愛紗も俺に苦言を呈している。

が、愛紗にしても俺の片腕をしっかりホールドしたままの格好での発言だから、

迫力が半減どころか、傍目には俺の座椅子を取られて、拗ねた上での発言にも見えかねない。

 

つまり、俺からすると上目遣いも加わり、別の意味で破壊力が半端無い。

腕に意識的に当てられた、温もりと柔らかさと張り具合が見事に融合している、

彼女の凶器も相まって『効果は抜群だ!』

 

・・・お説教と銘打ちながら、俺の理性をごりごりと削り落としにかかってくる

この愛しい彼女さん達はホントに俺の攻め方をよぉ~く判っていらっしゃるようだ。

 

うがああああ! 華琳、息子が反応してるの判っておきながら、細かく臀部を動かすんじゃありません!

俺の両腕は二人にロックされてるし、衆人監視の元だから、下手に何も出来ないし、

ちくしょう、遊んでる! 遊んでるなっ!

 

「ふふふ・・・。一刀には叱るよりもこちらの方が効くものね」

 

「皆の目がありますし、暴走は厳禁ですよ。ご主人様」

 

楽しそうに、ひそひそと俺たちだけに聞こえる声量で話す二人。愛紗にしても先程の怒気は演技とでもいうのか・・・。

 

「あ、後で覚えてろよ・・・」

 

「楽しみにしてるわ」

 

「ふふっ、ご主人様の氣に満たされる感覚も少しずつ判ってきていますから、ご遠慮なくどうぞ。

心配したのは本当ですよ。だから、その分罰として私たちにたくさん寵愛を頂きませんと」

 

・・・むしろ、喜んでって奴ですね。駄目だ反撃にもならねぇ・・・。

 

「そろそろ、愛理がこちらに来ることだし、加わってもらうとしましょうか」

 

「風も朱里も負けじとくることでしょうし、ちょうどいいお仕置き代わりになりますね」

 

生殺しもいいところだ!

第一、ロックされた俺の身体は、君たち女性武将の力に勝てるわけもなく、

自由に動かせるのは首から上のみという状況で、

さらにとことん焦らされて、俺の精神力を削り取るというのか・・・。

 

「ゴメンナサイ・・・ナマゴロシはツライです。ハンセイするのでユルしてクダさい・・・」

 

十八歳の男の子には、説教よりも生殺しが辛いのであります。

おまけに反撃したら喜ばれるって、どう見ても俺の負けという・・・。

 

・・・俺は泣いた。

 

 

「なんだかサメザメと涙を流す一刀さんを見ているとゾクゾクするのはなぜでしょうね~♪」

 

「いい笑顔じゃのう、少軒・・・。黒さと爽やかさを同時に感じさせるとは見事なもんじゃ」

 

「そう言う公覆さんだって、黒さと妖艶さを同時に演出してる素晴らしい笑顔じゃないですか~」

 

「しょうがなかろう。嗜虐心をそそる顔をする北郷が悪い」

 

張勲の奴め、何時の間に北郷に誑かされよったのか・・・。

とはいえ、今回の我らの独立が容易になったのは確かじゃ。

 

既に南陽に穏、建業周辺は権殿に思春、亞莎が配属されており、

任地の管理も袁術からほぼ丸投げされておる状態じゃから、地域の豪族の取り込みも確実に行っておるし・・・。

 

・・・ん?

記憶を取り戻せば判るが、まるで、これでは張勲が我らの独立を支援しておる状況ではないか。

任地での監禁状態でなく、実質太守としての権限すら渡している・・・!

 

「張勲・・・お主、何を考えておる」

 

「私が望むのは、お嬢様の幸せ、ってことですよ~。それ以外はいりませんし、手に入れば『ラッキー』でしたっけ?

・・・そういうものなんです。ただ、一刀さんは甘くないでしょうから、保護して頂く為にも、

私は多少は頑張らないといけないですかね~」

 

飄々とした口調の張勲だが、内容はとんでも無いことを言っておる。

これでは袁家の支配権などよりも、袁術個人さえ無事であれば・・・!

 

「あら~? 私だってつかむべきは女の幸せ、他は二の次なんだけど? 少軒。

それに貴女、記憶取り戻してるでしょ。隠し事は良くないわよ?」

 

剣呑になりかけていた雰囲気を掻っ切るように、策殿が軽い口調で割って入ってこられた。

じゃが、張勲が記憶を取り戻している、というのは、一度我らに敗れたことを覚えているというのか?

 

「だが、持ちうる情報を有効活用するという観点からすれば、少軒の話し方は正しい。

実際、祭どのは疑念を持ちながらも、会話の主導権を完全に奪われていたからな」

 

「断金のお二人には叶いませんね~。だけど、そういうこと大っ広げに言っちゃ駄目ですよ?

乱を招いちゃいますから。それに~、一刀さんの商業都市建設は私が手伝いますから、

伯符さんたちは孫呉の復興を頑張ってもらわないと~♪」

 

「大丈夫! 蓮華に任せるから! 私は乱の鎮圧で大怪我を負って、実質引退ってことにするわ!」

 

「無茶苦茶だ、雪蓮・・・どうやったら、この程度の乱でお前が大怪我を負うのだ・・・」

 

なんと晴れやかな笑顔で爆弾発言をされるか、策殿。冥琳も苦労が絶えんわい。

が、策殿の前の生き様を思えば、儂の取るべき道は決まってくるのう。

 

「向こうの御遣いにやられたとでもするしかあるまい。儂は当面、権殿を支える。穏や亞莎を借りるが構わんかの?」

 

「祭殿!?」

 

「孫呉の血を絶やすわけにはいかぬ。文台殿との誓いでもあるゆえな。冥琳、お主はしかりと北郷を捕まえておれ。

儂は種さえもらえればそれで構わぬゆえな、ハッハッハ!」

 

完全に固まって、言葉が出ない策殿に冥琳。じゃが、張勲だけは即座に口を開きよった。

・・・覚悟をした者の瞳じゃな、あれは。あの目つき、どこか北郷に似ておる。

才が及ばずとも、覚悟で補わんとする、諦めを知らぬあの目。

 

「私が言うのも筋違いと思いますけど、公覆さんはそれでいいんですか?」

 

「お主は袁公路の為に殉じる。儂は孫呉の血筋に殉じる。そういうことじゃ」

 

「・・・一刀さん次第ですけど、長いお付き合いになるかもしれませんね」

 

「・・・そうじゃのう。さて、豚のいい匂いがしておる! まずは孺子どもに振舞うとしようぞ!」

 

「了解ですよ~♪ 皆さん、ちゃっちゃと切り分けてしまって下さい~♪

あ、つまみ食いは厳罰ですから~」

 

こ奴がすぐにいつもの軽い調子に戻れるのは、もはや技術の一環じゃの。

北郷も曹操や関羽を連れて、子供たちと共に団欒の輪を作っておる。

・・・張勲が一瞬、北郷を眩しそうな目で見よったのは、後で突っ込んでやるとしよう。

 

「まずは、この大地の恵みを皆で味わおうとしようぞ! 酒もさっさと出さんか!」

 

自然と皆に笑顔が広がっていく。

向こうの指導者たちはさすがに縛り上げたままじゃが、先程まで敵対していた者たちが、

北郷や子供たちの笑顔に絆され、少しずつ輪に加わり、気づけば大宴会の様相を呈していく。

 

遅れて到着した袁術も、絶妙な豚と米の味わいに舌鼓を打ち、

張勲が見守る中、子供たちと駆け回っておる。

 

つかの間の平和な時間が確かにそこには出来上がっておった。

北郷・・・あ奴が作り上げる、不思議な心地よい空間は、兵も民もなく。

儂はかつての呉の民を思い出し、幸せな酔いに身を任せる。

 

彼奴が帰らずに済む身であれば、そう思わずにはいられぬほどに。


 
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