「トウモのおかげで疲れが取れた、礼を言う」
「いえいえ、そんなたいそうなことはできてやせんぜ」
あの日・・・見知らぬ地に降り立ち、賊に襲われ返り討ちにし、トウモの知り合いの鍛冶屋で過ごしてから既に一ヶ月
「あまりたいそうなことはいえないが・・・」
「わかってます、賊はもう・・・やめます」
「ああ、無駄に死ぬことはないからな・・・では」
「あの・・・北郷様はどちらへ?」
「大陸を見てくる・・・元気でな」
「はい!お気をつけて!」
トウモと別れ、鍛冶屋を手伝ったときの路銀とやらを懐に仕舞い、簡単な地図を見ながら行き先を考えていた
「俺の知っている世界ならば・・・・劉備、曹操、孫策・・・会っていや、見てみる価値はあるな・・・」
地図を見ながら、まずは北に行こうと思いつつ背中の双剣(刀)をなでる
「一通り手に入れた・・・賊程度なら殲滅できるな・・・」
準備運動みたいな行動をして、俺は走り始める
徐々に早く、軽く、すべてを置いていくように
通常の人間ならば一日の4分の一でも走れば限界だろう・・・
だが、俺は家柄が家柄だったため軽くなら三日は休みなく走り続けることができる
やはり、特殊な環境で育ったからだろうな・・・持久力が凄いらしい
あまり実感ないのだがな
走り続けて半日、国境?のようなところに着たが、さてどうするか
そのまま通過してもいいが、少ない路銀が減るのは間違いない
「唯でさえ少ないのにむやみに減らすこともないな」
誰にも聞こえないつぶやきを一つし、夜になるまで待つことにした
・・・数時間後
あたりが真っ暗になり、明かりがなければ足元すら見えないほどの闇
行動を開始するには十分だ
暗闇に紛れ、国境を突破する
そもそも国境といっても、戦をしてるわけではないので最低限しかいないだろう
見張りが3人・・・・門に2人
中に関しても、せいぜい10人かそこらだろう
気配を消し、見張りの一人の動きを真似し、誰にも悟られぬように・・・・突破した
モチロンその場はさっさと離れるに限る
ただ荒野を走るだけなんだがな・・・・
街に着いたのは朝方、シーンと静まり返る街を城壁の上から見下す
「いい街だ・・・が、ごちゃごちゃしているな」
区画が旨く整理されてないのだろう、所々曲がっている道だったり行き止まりになっていたり
アレでは何かあったときに困るだろうと思いつつも目的の場所に移動する
この時期、曹操がいるであろう。陳留へ
あの街から三日後には陳留には着いたがあいにく曹操は遠征で居ないと門番に言われた
やはり、この時期は足固めの真っ最中か・・・
しかたがないのでとりあえず入った店で飯を食うことに・・・
給仕「いらっしゃいませ、ご注文は何にしましょう?」
「そうだな・・・コレで足りる料理を君のお勧めでもらおうか」
そういいながら路銀をすこし大目に出し、給仕の子の目を見る
給仕「はい!?あっあの・・・」
驚きと困惑か・・・無理もないか、いきなりこんなことを言う客などいないだろうからな
「ごめんごめん、あんまり君がかわいいからつい意地悪をね」
いたずらっこみたくおどけてみた
まったく自分らしくもないな・・・
給仕「は・・・はぁ・・・その私のお勧めでいいのですか?」
おや、困惑は自分が選ぶことに対してらしいな・・・
「うん、いいよ・・・できれば美味しいのがいいけど・・・」
まぁ大丈夫だろう、あの子の目を見れば何も心配ないな
給仕「では、少々お待ちを」
そそくさと厨房へ引っ込んでいった
待ってる間暇だなと思ってるとチビッコが俺の後ろに座り、大量に注文していた
「あと肉まんも」
ちらっと見ただけだが・・・結構小柄だぞ・・・一体その体のドコに頼んだものが入るんだ?
一人無意味に唸ってると『おまたせしました~』と給仕の子が帰ってきた
「旨そうだね・・・では、いただきます」
今までの癖は中々直らないな・・・
給仕「あの・・・どうですか?」
おどおどしながら聞いてくる・・・自信はないのか?
「そんなに心配しなくてもいいよ・・・美味しいよ」
俺の言葉に給仕が笑顔になる
「うにゃ?・・・琉流?」
背中から聞こえてきたのは誰かの真名だろうか
「へっ?・・・季衣!?」
給仕が驚いて背中のちびっこに返事するが・・・
「何でここにいるんだよ!城にいるって書いたじゃないか!」
「あんなの冗談だと思うわよ!大きなお屋敷もお城って間違うくせに!」
仮にも飲食の場で大喧嘩をし始めるのはどうかとおもうぞ
どこから出したのか聞き出したいほどの鉄球と円盤を軽々扱い互いに避けるたびに被害が増えてる気がする・・・間違いじゃないよな?
そんな中でお構いなしに食事を続けてるわけだが・・・
最後の警備兵が円盤にあたり吹き飛ばされた、ゴシュウショウサマ
最後の肉まん?を咥え、二人の大乱闘を傍観する
止める?誰が?
確かに止めれるとは思うぞ・・・だがやらん
一撃で店が半壊する鉄球や円盤を受けたいほど悲しい人間じゃないからな
しかし、終わらない・・・口げんかもまぁ単調になってきたしな
「ソコの二人やめろ!」
屋根の上で傍観していたら、赤チャイナに黒髪の女が人を掻き分けて止めに入った
「あ、春蘭様」
ちびっこの知り合いらしい・・・
「これ以上やるというなら城にこい」
いささか対応が遅いと思うが・・・まぁこの場合はこれでいいんだろうな
「ソコのお前もこい」
黒髪が俺にも言ってきた・・・さて、どうするか
「なぜ俺がいかなければならぬのだ?」
至極まともなことを言うしかないだろ・・・俺は今は傍観者だ
「私が来いといっている・・・それだけだ」
・・・・こいつは馬鹿か猪か?
「俺はただの野次馬だ、ほかを当たれ」
その場から去ろうとしたら、矢が飛んできた
「・・・・キサマか?」
既に次の矢を構えた青髪とがきがいた
「ここで死ぬのはいやだろう?」
ほぉ・・・ある程度の殺気は使えるようだな・・・・この程度じゃ俺には届かないけどな
「わかった・・・着いていこう・・・」
「物分りがいいやつで助かる」
脅しをしておいて物分りがいいとか・・・・ふざけてんのか?
そのふざけた連中に連れられ城の中庭まできたが・・・
「何だ?言いたいことがあるならはっきり言ったらどうだ?」
なぜか黒髪と青髪に凝視されてる
城に着くまでいたあの黄色い髪のガキもいなくなってる・・・
「お前・・・私としろ」
「はぁ?」
「だから、私としろ!」
馬鹿なのか?何をやれというんだ?
「姉者・・・その、姉者と仕合をしてくれないか?」
「なるほど・・・一つ聞く」
「何だ?」
「アレは止めなくていいのか?」
破壊音と共に廃墟になっていく中庭
あたりは陥没や粉砕されているが・・・
「ああ、気にするな」
「そう・・・だな」
黒髪は何も感じてないのか・・・・困ったやつだ
青髪は・・・あきらめろ、どうにもならん
「はぁ・・・・ちびっこ!給仕!やめろ!」
青髪に同情してついやっちまった
「にゃ?」
「きゃっ」
一瞬の殺気、覇気?に当てられ喧嘩してたことも忘れ
抱き合ってガタガタしてる
「いい加減回りを見ろ」
震える二人に提案する
ようやく回りが見えたのだろう、困った顔で悩んでる
「へぇ・・・貴方なかなかの逸材ね」
先ほどの黄色髪が猫の耳ついた女と一緒に寄ってきたが・・・
「ガキが来る場所じゃないぜ」
つい本音をポロリ
「ちょっあんたっ華琳様にむかって!」
「そう・・・貴方死にたいの?」
「ガキにガキといって何が悪いんだ?」
「躾けなってないようね」
「はぁ?さっきから何偉そうにしてるんだ?」
「そう・・・春蘭!秋蘭!この無礼者を痛めつけてあげなさい」
「・・・黒髪と青髪なら失神してるぞ」
「はぁ!?」
「まぁ無理スンナ、おこちゃまは素直が一番だぜ」
「この曹孟徳をここまで馬鹿にするとはね」
「はぁ?お前が曹操?」
「ええそうよ・・・何よその目は」
「はぁ・・・おいおい、冗談はやめてくれよ、こんなガキが曹操だなんて・・・はぁ」
「ちょっと・・・どこ行く気!?」
「興味失せた・・・じゃあな」
「待ちなさいよ!」
曹操が服の端をひっぱる
「何をする・・・はなせ」
「貴方が用がなくても私にはあるの!」
「素直にならんガキは嫌いだ・・・だからはなせって!」
「お願い、少しでいいから話を聞いて」
ぐいぐいと袖から手へ・・・腕をつかまれ引っ張られるようにして私室?連れ込まれた
「一体何がしたいんだ?」
「その・・・」
「用がないなら俺はいくぞ」
「その・・・私のお兄ちゃんになって!」
・・・・は?
「はぁぁぁっぁあ!?」
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一向に成長のしない物語と護衛
増える良作品
はぁ・・・