流星が落ちた地
そこは南蛮と呼ばれる未開の地
その落ちた地点で
「・・・・・・」
「つんつん」
一刀は木の棒でつっつかれていた。
「生きてるのかにゃ?」
「息はしてるみたいなのにゃ」
四人のちびっこに囲まれて。
「・・・ん」
どうやら目を覚ましたようで、一刀の瞼がぴくっと動き、徐々に目が開いていく。
そして
一刀がここに来て初めて目にしたのは
自分を珍しそうに覗き込む
四人のネコ耳少女たちであった・・・
「あ、起きたにゃ」
そう言ったのは頭にピンクの象を乗せた緑色の髪の少女であった。
「・・・・・・」
一刀は無言で体を起こし、辺りを見回す。
視界に入るのはジャングル。
少なくとも、先程自分がいた場所では無いと言う事だけは分かった一刀であった。
「・・・ここは・・・どこだ?」
当然の疑問を口にする一刀。
「南蛮だにゃ」
「・・・南蛮?」
「そうだにゃ」
・・・・・・
とりあえず日本ではないようだと一刀は思った。
「・・・お前達は、誰だ?」
一刀の問いに緑の髪の少女、そして青、茶、ピンクの髪の少女たちは順番に名前を言っていった。
「我は南蛮の大王、孟獲だにゃ!」
「ミケだにょ」
「トラだにゃ!」
「シャムだにゃん」
・・・・・・
「南蛮・・・孟獲・・・」
一刀はその名前に聞き覚えがあった。
確か、三国志に出てくる南蛮の・・・南蛮?
という事は・・・
「・・・中国・・・か?」
一瞬そう思ったが、まだ結論を出すのは早いだろうと一刀はその考えを保留する事にした。
「お前の名前は何なのにゃ?」
そう孟獲が聞いてくる。
「・・・北郷一刀だ」
さて、結論から言えば・・・
一刀は孟獲たちと生活することになった。
孟獲たちに頼んで案内してもらい、一度ジャングルから出て近くの村に行ってみたのだが、得られた情報は一刀の予想どおり、ここが中国、しかも三国志の時代であると言う事であった。
知り合いも居らず、右も左も分からない一刀は
「・・・ここに置いてくれ」
ジャングルに戻って孟獲にそう頼んだ。
孟獲の返答は
「いいじょ!」
気持ちのいいくらいの即答であった。
こうして
一刀の南蛮での生活は始まったのであった・・・
その生活に慣れるには至難の道であった。
「うぐう・・・」
「だいじょうぶにょ?」
水を飲んで腹を下し・・・
「うう・・・」
「おなかいたいにゃん?」
食べ物も、クセの強いものを無理して食べて気分が悪くなる。
「かずと~~!そっち行ったにゃ~~!!」
「ブモーーー!!」
「ガハッ!」
狩りに参加しても全く役にたたず、足を引っ張りまくる。
他にも気候、虫、動物、沼と数えればきりがない。
そんなこんなで一刀は肉体的にも精神的にも消耗していったのだった・・・
ある日の夕食
広場にて、仕留めた大猪を丸焼きにして、皆で囲んで楽しそうに食べている。
そんな中一刀は
「・・・・・・」
孟獲が用意してくれた家・・・といっても洞窟状の穴だが、
その中で疲れて寝転がっていた。
「かずと~~」
そこに孟獲がやってくる。
「・・・何だ?」
「ゴハン持ってきたにゃ~、これでも食べて元気だすにゃ~~」
そう言って、一刀にマンガに出てくるような骨つき肉を差し出した。
「・・・すまん」
一刀は体を起こし、それにかぶりつく。
孟獲も抱えてきた他の肉をがつがつ食べ始めた。
一刀の場合、正直かなり硬かったが時間をかければ何とか食べる事が出来た。
「・・・ふう」
アゴをかなり疲れさせ、一刀はほねつき肉を完食した。
もっとも・・・
「まんぷくだにゃ~~」
孟獲はその何倍もの量を食べ終えていたのだが・・・
「・・・なあ」
「にゃ?」
ふと、一刀は孟獲に訊ねた。
「・・・役立たずの俺を何故、置いてくれる?」
「かずとはここにいたいんじゃないのかにゃ?」
逆に孟獲が一刀に訊ねた。
「・・・・・・」
正直、ここでの生活は厳しかった。
ジャングルの外でなら、貧しくてももっと文化的な生活が送れるかもしれない。
しかし・・・
「・・・ああ」
「だったらいいにゃ!仲間は多いほうが楽しいのにゃ!」
そう笑顔で言う孟獲。
「・・・そうだな」
相変わらず、表情を変えずにそう返す一刀。
しかし良く見ると
その口元にはわずかに
笑みが浮かんでいるようにも見えたのだった・・・
どうも、アキナスです。
ん~・・・難しい。
南蛮の情報が少ないし、一刀君の動きも中々つかめません。
ちゃんと進められるのかわずか二回で心配になってきました。
まあ、なんとかやってみます。
それではまた・・・
次回予告
南蛮での生活に四苦八苦する一刀。
それでも、月日が経てば慣れてくるもの。
・・・が、新たな問題も浮上する。
それは・・・
次回恋姫外史異聞・すべからく一刀第二話:野生
異なる外史が、また一ページ・・・
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その出会いは、全てのはじまり・・・