この作品はキャラ設定等が一刀くんを中心に、わりと崩壊しております。原作重視の方はご注意下さい。
時代背景等も大きな狂いがあったりしますので、
『外史だから』で許容できない方は全力でブラウザバックを連打しましょう。
オリキャラも出ますので、そういうのが苦手という方も、さくっとまわれ右。
一刀君とその家系が(ある意味で)チートじみてます。
物語の展開が冗長になる傾向も強いです。(人、それをプロット崩壊という)
この外史では一刻=二時間、の設定を採用しています。
それでもよろしい方は楽しんで頂けると幸いです。
「…種明かしといこうか。俺の字、考えてみなよ。元々、おたくらの世界の伝承じゃ、無いんだろ?」
孟忠さんは首筋からひょいっと『陽』の刃を下ろしながら、衝撃に固まっている俺達に言葉を続ける。
「ちょっとした謎かけだ。『もうちゅう』ってのは、『もう中学生』の略だから。それを元に考えれば…」
「…よし、このまま首を落としましょう」
再び、刃が素早く、それでいて寸分の狂いも無く、孟忠さんの首筋にピタリとあてられる。
寸止めは華琳の特技の一つと言っていいと思う。
「待って、いきなり袁家に喧嘩を売るのは勘弁して下さい、華琳…」
「うん、俺も死にたくないから、メタなネタはおいておこうか。正直すまなかった」
「…続きをおっしゃい」
「うむ、刃を突き付けられたままってのも怖いわけだが、『孟』って文字は単純に長子である意味だ。
で、大事なのは、忠義の『忠』って文字を俺は使っているわけ…あ、それがあの『陽』なわけだな・・・。確かに、あんたなら使いこなせそうだよな」
「・・・ピンと来ないわよ。この鎌のことまで知ってる、胡散臭い男ってぐらいしか」
鎌をそっと下ろしながら、華琳はちょっぴり不貞腐れたような表情を見せる。良かったよ、早々に引っ込めてくれて…。
「あー、流石に結びつかないか。じゃあ、もっとあからさまに言うと…」
彼が答えそのものを口にしようとしたその時…。
「なにをしておる~! 紀霊にお付きの者ども、さっさと行くぞよ!」
ぷんすかと拳を振り上げ、頬を膨らませて怒っている袁術さんが割り込んできました。
怒っているはずなのに、彼女の幼げな容貌から、愛らしく見えてしまうのは何故なのか。
「おっと、公路さま。申し訳ありません。…というわけで、謎解きは悠梨の屋敷についてからにするってことで、一つ」
「私たちはそもそもお付きでも何でもないし、真名のような人名も気になるし、そもそも謎解きが当然のように後回しになるとか、
気になってしょうがない…って、突っ込み所が多いわよっ!」
「おお、よくそれだけ口が回るなぁ。さすがはそ…じゃないな、安蘭樹殿だ」
「うむ、舌を噛みそうなのじゃ…よくそれだけ一息でしゃべれるのぅ…」
息を荒くする華琳を前に、百面相のように、今度は感心顔で袁術さんは孟忠さんに同意する。
この主従は、なかなか息も合っているようで。
しかし、お預けを食った気分なのはやむを得ないから、華琳の早口言葉もやむを得ないんだ、うん。
「頭の回転の良さと舌の周り具合は比例するんですよ、多分~」
「一体何を元にした根拠なのですか…」
「公与さんは相変わらず固いんですねぇ~。根拠なんてあるわけじゃないですかぁ。…せっかくの氷の美貌がそれじゃ活かせないですよ~?」
「相変わらずですね、少軒さん。褒めているようでしっかり蔑んでくる辺りも。
…そもそも、私が女の性を見せるべき方は只一人ですので、普段はあまり活かす必要もありませんし」
「…あら。前は苛立ちが多少なりとも顔に出たのに、これはこれは~。別方向でのいじり方を考えないといけませんね~」
袁術さんの向こうから、こちらに歩いてきたのは、愛理と張勲さんの組み合わせ。
「愛理、面識があったの?」
「はい。袁家同士、連絡を取り合うことはありましたので」
「あ、公与さんのほにゃっとした笑顔を初めて見ました~。そんな風に笑えるなら、男たち相手ならコロッと手玉に取れるでしょうに」
「うむ。いい笑顔するじゃないか。ま、悠梨の笑顔には負けるが」
「堂々と惚気るでないわ、紀霊。確かに、ゆーりには負けるがの、沮授の笑顔もいいものではないか。…姉さまの高笑いと違って」
「え!? ちゃんと律していたはずなのに…一刀さま、ひどいです」
「公与の言う通り、存在自体が罪だものね」
「オイコラマテ」
「…何か文句でもあるの?」
「ありません」
華琳には逆らわない、これ、絶対。
「ぷっぷぷぷ…まるで漫才じゃの…のう、七乃、ぷっ」
「ぷぷぷ…失礼ですよ、お嬢様ぁ…でも、私もこれはむ…駄目、ごめんなさ…」
「完全に尻に敷かれてるぞ…な、情けな…くくく…」
この後、袁家三人組の大笑いが響き、結果、愛理の崩れた一面についてはうやむやになるんだけど…。
…なんだか、毎日俺が泣いて、周りがうまく回るサイクルって…悲しい。
「申し訳ありません、公路さま。事前に来訪の知らせを頂けましたら、もっとしっかり準備をしておきましたものを」
邸宅の入口には、例えるなら、露出の少ない紫苑というのが判り易いかもしれない…魯子敬さん御本人が、
優雅な微笑みを湛えながら、俺達を出迎えてくれた。
首元辺りで短く、綺麗に切り揃えられたダークブラウン色の髪に、服装からして、落ち着きがあって、こざっぱりとしている洋装。
着物も似合うんだろうけど、商人という立場もあるのか、動きやすさもある程度重視してるんだろう。
穏やかでお淑やかな雰囲気をまとっていて、だけど、瞳には強い意志がしっかり籠っていて…あれ? この人にもすごく親近感が沸くんだが…。
「良いのじゃ良いのじゃ。こんな機会がなければ、なかなか、ゆ…ご、ごほん、子敬には会えないからの。
しかし、他に知らぬ者がいるとはいえ、真名を呼んでもらって構わんぞよ?」
「あらら~、お嬢様が不器用ながらにちゃんと気を使っていらっしゃる姿…これは脳裏に焼き付けておかないと~♪」
「む~、七乃。わらわとて、それぐらいはちゃんと出来るのじゃ!」
「ふふっ、それでは…良く出来ましたね、『美羽』さま。ま、中庭に蜂蜜湯を用意しておりますゆえ、日向ぼっこと参りましょう。
さ、皆さまもどうぞお入り下さいませ。席の用意が出来ております」
「うむ、ゆーり、わかったのじゃ!」
頭を撫でられ、御満悦の袁術は子敬さんの手を引きながら、ずんずんと邸宅の中へと入っていく。
唖然とする俺達を完全に置き去りとしたまま。
「どういうことだってばよ…」
「私が聞きたいわよ…というか、そのネタは私しか理解できないからやめなさい」
「ふふふ~。お嬢様の聡明さに毒を抜かれた間抜けな表情をされていらっしゃいますね~」
通常運転の毒の混じった口調でありながら、嬉しさが隠しきれない様子の張勲さん。
「ま、この通り、悠梨…子敬のことな、に公路さまは懐いているんだよ」
「私を姉とすれば、子敬さんには母親を重ねているんでしょうね~」
「確かに母性だよな、全て包み込んでくれるような感じがするよ。…失礼ながら、子敬さんって」
「…ちゃんと未婚だ。じゃなかったら、俺が懸想出来るかって。
ただ、身寄りのない子供たちを別宅に引き取って、育てていたりはするから、その辺りかもな」
「子敬の奴め。私には袁…公路どのと親しくしてることなど一言も話さなかったというのに…」
ため息混じりの冥琳の呟きに、彼女の肩にぽんぽんと手を置きながら、俺も苦笑い混じりで答える。
「以前の冥琳だったら、そりゃ無理なんじゃないかな?」
「だな…」
「…正直、周公謹さんは人が変わったように見えますね。もちろん、孫伯符さんも。
正直、子敬さんの邸宅とはいえ、孫家の人達も一緒に同席するのに躊躇いもあったんですが~」
「ふふ、北郷のお陰、というところだ」
「へぇ…。北郷さんは、孫家の人達まで変えてしまったんですね。だったら…」
冥琳の返答に急に神妙な顔つきになって、一人ごちる張勲さん。
あまりに真剣な表情に声をかけるのも躊躇してしまうんだけど、あえて空気を読まないあの人があっさり声をかけてしまうわけで。
「ちょっと、少軒! 入口で考え込んでいてもしょうがないわよ~?
孟忠の部下が屋敷の周りはしっかり固めたし、周泰や施然の部隊も間者の類を見張ってるわ。
袁術ちゃんも中に入ってしまったし、続きは中でやりましょ」
「あら? 私としたことが、伯符さんに諭されるなんて~」
うっかりさんですね、と苦笑いして、彼女はなぜか俺の手を引いた。
「えっと、少軒さん? …なぜ俺の手を?」
…辺りの気温がまた5度ぐらい下がったよ! 何人かの殺気が入り混じって、急に渦巻き始めたし!
「お嬢様が子敬さんの手を取ってしまったので、妥協案ですよ~。
私の見立てが狂ってなければ、北郷さんとは長い付き合いになるでしょうし~。それに~」
そこで一旦言葉を切り、張勲さんもとい、少軒さんは続きを俺の耳元で囁いた。
「ほら、先んじられた皆さんの雰囲気が一気に変わりましたよ? 面白いですよね~」
「えぇ!?」
「そういえば、張勲。貴女はそんな性格だったわね…」
一人、殺気も出さずに、空いている方の腕にすっと自らの腕を絡める華琳さん。あ、また後ろの気温ががががが…。
「むぅ、私を呼び捨てにするだなんて…とも思いましたが、これからは駄目ですよ~。今は、安蘭樹さん、なんですよね?」
「…貴女も知っているようね、色々聞かせてもらうわよ」
「はい~。元覇王さん相手に隠せるとも思いませんから~」
「相変わらず猫を被った良い笑顔ね、『少軒』。ふふ、さて、後ろから刺されないうちに中に入りましょうか」
引きずられるような格好で屋敷の中に入っていく俺だったが、後ろから聞こえる呪詛の声を聞き洩らすわけにもいかず…。
「ご主人様…っ! 相も変わらず手の早いことで…!」
「いやいや!? 俺が手を取ったわけじゃ!?」
愛紗に弁解を入れ。
「その愛情の一欠片でも私に分けて欲しいわん♪」
「一緒に処刑されてくれるなら考えないことも無いぞ。あ、後で色々話聞くからな」
ふざけたことを言う貂蝉には地獄への片道切符を差し出し…全力で拒否されたけど。
「お兄さん~!?」
「はぅぅ…ご主人様…?」
「二人とも後で膝枕でも椅子にでもなるから、な!」
風と朱里の軍師コンビには、懐柔案を提示し。
「まったく、北郷には生傷が絶えそうにないな…」
「若僧が…ちゃんと自分の女たちぐらい仰してみせんか…」
「なんというか…いつもごめんなさい…」
華佗や元皓さんにお詫びの言葉を述べ。
「人前でなければ…私が…一刀さまの…」
「落ち着いて、愛理。後で絶対二人の時間を作るから…」
負の感情に飲まれかけている愛理を宥め。
「か~ずと♪」
「ふむ、北郷。わかっているな?」
「後で我が身を差し出しますのでご勘弁をば…」
雪蓮と冥琳と、生贄の契約を結ぶに至り、この辺りのやり取りが既に日常と化しつつあるという…。
慣れてきていて、着地点もすらすら出てくる辺り、俺も大概だと思うんだ。
「おぉ~? 見事なものですねぇ。これなら多少人数が増えても大丈夫そうですよね?」
「いや、怖いこと言わないで!?」
「今は別行動している娘たちが四人ぐらいいるし、孫家の残りの娘たちもあっという間でしょうから、まだまだ増えるわよ」
「これは、なんと弄りがいのある…!」
「目をキラキラさせながら言うなぁっ!」
涙目の俺に、遠目で見ていた孟忠さんの呟きが妙に耳に残った。
「あー、俺、悠梨と一対一でほんと良かったわ…。ハーレムって、良いものでも何でも無かったんだなぁ…」
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前回のあらすじ:蜂蜜姫とお付きに加えて、性懲りもなく男のオリキャラが増えた。妙な謎かけをして一刀たちを困惑する困った奴だ。
人物名鑑:http://www.tinami.com/view/260237
魯子敬宅に入るだけでこんなに大変だなんて…。
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