No.311902

ブランコをこいで。

少女は一人でブランコをこぎます。

2011-10-03 01:26:23 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:415   閲覧ユーザー数:415

 

揺れるブランコが、

ふっわっと一瞬の無重力をつくる時。

 

少女はそれが好きだ。

 

何もかもが嫌になっても、

ふんわりと、

そして一瞬ひやりとする感覚が繰り返されていく度に、

何かが、

空気に、

空に、

溶けてゆき、

少女の心を軽くする。

 

長い間乗る。

 

だから誰もいない公園がいい。

少女は14才だ。ブランコに固執する歳ではないのは解っている。

小さい子がいたら。すっと席を譲る。

 

それでも、誰もいない公園で少女はブランコに乗る。

誰にも見られないように。

1時間でも、2時間でも。ずっとずっと。

 

晴れた空

雲が流れ景色が飛ぶ、

頬が全身が風の中で震える。ふわり、ぐうんと繰り返す。

 

少女にはそれが必要なのだ。

 

雲に近く、空に近く、夕日に近く。

ブランコは揺れる。

 

強く。高く。

 

悲しい想いも、寂しい想いも、

何もかもが溶けてしまうまで。

 

高く。

 

強く。

 

風を切って。

 

ブランコは揺れる。

永遠の時のように。

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
1
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択