揺れるブランコが、
ふっわっと一瞬の無重力をつくる時。
少女はそれが好きだ。
何もかもが嫌になっても、
ふんわりと、
そして一瞬ひやりとする感覚が繰り返されていく度に、
何かが、
空気に、
空に、
溶けてゆき、
少女の心を軽くする。
長い間乗る。
だから誰もいない公園がいい。
少女は14才だ。ブランコに固執する歳ではないのは解っている。
小さい子がいたら。すっと席を譲る。
それでも、誰もいない公園で少女はブランコに乗る。
誰にも見られないように。
1時間でも、2時間でも。ずっとずっと。
晴れた空
雲が流れ景色が飛ぶ、
頬が全身が風の中で震える。ふわり、ぐうんと繰り返す。
少女にはそれが必要なのだ。
雲に近く、空に近く、夕日に近く。
ブランコは揺れる。
強く。高く。
悲しい想いも、寂しい想いも、
何もかもが溶けてしまうまで。
高く。
強く。
風を切って。
ブランコは揺れる。
永遠の時のように。
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少女は一人でブランコをこぎます。