No.296884

不敗無双~恋姫達は顔を真っ赤に染めている!?~5章

くらのさん

皆様お久しぶりです。久しぶりすぎて書き方を忘れかけていますが。無事、五章を上げることができました。ヒャッハー! もし、感想、コメントをいただけましたら、嬉しさのあまり今度の追試で名前のところにヒャッハーと書いてきます。それではケロリとどうぞお楽しみを。

2011-09-10 01:47:59 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:6026   閲覧ユーザー数:4907

 

「立てるか何進?」

「いや、しばらくは無理そうだな。……思いのほか体への負荷が大きかったらしい」

 

 倒れたままの何進に尋ねるが何進は首を横に振った。

 

「それよりも一刀よ。お前はこの先どうするつもりだ?」

「さぁてね。しばらくは内政に力を入れるかな。それからはもう少ししてから話すよ」

 

 とそこまで話した時、一刀の張遼が走り寄ってくるのが見えた。正確には飛び込んできた。それは一直線に。

 

「一刀ー!」

 

ドン、と結構な勢いでぶつかったにも関わらず、一刀はよろけることもなく、しっかりと受け止めた。

 

「うぉっ! 張遼。汗が付くぞ?」

「ええねん! ん~、一刀の匂いや~」

 

一刀の胸に飛び込んで笑う張遼に一刀はそんなもんか、と首を傾けた。

そんな姿の一刀に張遼はますます笑みを深くした。

 

「一刀、うち嬉しかったで? まさか一刀がうちらのためにこんなに怒ってくれるなんてな」

 

 張遼の中で一刀というのはあれだけの武力を持ちながら、戦いを好まない。無茶なことを言っても決して怒ることの無いような、そんな人間だと思っていた。

 

「俺だって人間だ――」

 

 そこまで言うと、ふわりと張遼の耳に近い頬をくすぐるように撫でた。その感触は絹のようになめらか、しかし健康的な張りを感じさせる。撫でることを許されるならば日が沈むまでもずっと撫で続けたいと一刀は思った。

 

「やっ、一刀、くすぐったいやん」

「大切な人達の為なら、怒ったりもする」

「え、あ……」

 

 その時、張遼の瞳に一刀の瞳が映った。どこまでも澄んだ瞳。優しげなのにどこか芯を感じさせる力強い瞳。

 それを見た時、張遼の心臓はドクン、と大きく跳ねた。戦いで高揚した時のような、そのくせ血が沸き立つ感じは無く、それどころかこのまま、まどろみたくなるような。そんなおだやかな気持ちが張遼の心を満たした。 

 

「どうした、張遼?」

「え、いや。その」

 

 先ほどまで、あんなに喋れた言葉が出てこない。さきほどまで、くすぐったさしか感じていなかった一刀の手が心地よく感じる。いつまでもなでてもらいたい。そんな衝動が霞に巻き起こる。

 そっと一刀の手に触れようとしたとき、一刀の手が離れた。

 

「よし、取れた」

「え、 な何が?」

「いや、霞の頬に俺の汗と土が付いてたんだよ」

 

 笑顔で言う一刀の言葉に、張遼は思わず膝をつきそうになった。同時に先ほどまでの自分が恥ずかしさが込み上げてくる。

 

「か、一刀! う、うちのことは霞でええよ」

「いいのか?」

「ええんよ!」

「んじゃ、霞。これからもよろしくな」

「おう! まかしとき!」

 

そんな二人の横で大将軍は寝そべりながら苦笑を浮かべた。

 

それから一週間後。今日も一刀はのんびりと書簡整理を行っていた。その動きは賈駆達に比べるとまだまだぎこちなく、読む速度も速いとは言えないが、それでも習い始めて数週間にしては十分な速度だった。

カラン、コロン。ようやく一通りの書簡を見終え、一息を入れようとお茶を口に含んだ。気が付けば日は既に傾き、後少しで消えそうになっていた。

 

「そういや、ここ最近。賈駆達に会ってないな……」

 

 ズズっ、とお茶をすすりしみじみと呟く。

 どういうわけか、霞や恋たちとは会うのだが、董卓や賈駆達と会うことが無い。というか、外に出ている気配が無いのだ。

 

「何かあったのか?」

「あんたのせいでしょうが!」

 

 ドガーン!!! 壊れそうな勢いで開いたドアに居たのは賈駆だった。

 

「……大丈夫か?」

「……もし大丈夫に見えるならあんたの目を潰すわよ」

 

 賈駆の目の下にははっきりと見える隈。瞳は充血し、少しばかりやつれているように見える。

 

「怖っ! で一体どうしたんだ?」

「どうした? あんたが言う? 全ての元凶のあんたが!」

 

 これでもか、と言わんばかりに目を広げて怒る賈駆にビビりながらも一刀は懸命に言葉をつないだ。

 

「お、落ち付け。話し合おう。人間には言葉と言う素晴らしい表現方法がある」

「フゥー、フゥー」

 

一刀の言葉を理解しているのかいないのか。ネコのように威嚇をしてくる賈駆。いつもとあまりに違う雰囲気に一刀も恐る恐る、声をかける。

 

「ほ、ほら落ち着こう。な。お茶淹れるから」

「ングングッ……ハァ。悪いわね。ちょっと取り乱したわ」

「いや、俺も何か悪かった」

 

 ようやく理性が感情を抑え込めたのか、感情的な雰囲気は無く、冷静な雰囲気をだしていた。

 

「それで、一体何があったんだ?」

「あんた、このあいだ何しでかしたか忘れてないでしょうね?」

「何進と闘ったけど?」

「そのせいよ。今、宮中の話題はあんたで持ちきりなのよ。『何進将軍に手を上げて何一つ処罰されてない奴がいる。その上、天の御遣いという名を語っている。言語道断!』ってね」

「もしかしてここ最近姿を現さなかったのって……」

「そうよ。そのせいで月なんか目を回しそうな忙しさで」

「わ、悪い!」

「……べ、別にいいわよ。…………あんたが怒った理由を聞いたら怒るわけにいかないじゃない」

「何か言ったか?」

「な、何も言ってないわよ!」

「は、はい!」

「……まぁ。ほんとのところ。今回のおかげで月の地位が高くなったからいいけど」

「どういうことだ?」

「大将軍相手に模擬戦とはいえ、暴力を振って何もお咎めなし。それどころか交友が出来た。それをなしたのは『天の御使い』だからじゃないか。そしてそれを抱え込んでいる――」

「――董卓はすごい人物だ。ここは仲良くしとかなければ。ってところか?」

「ついでに、敵に回せば何進将軍を敵に回すことになるかもしれない。ってのもあるわね。ずっとひっきりなしに商家やほかの文官達が来るから寝る暇もありゃしないわよ」

「じゃあ結果をみれば良かったのか」

「微妙ね。何進とつながりが出来たのは嬉しいけど。あんたの『天の御使い』は相変わらず不味いのよね。特に張譲を筆頭に十常侍の奴らはね。目の敵にしてくるわよ」

「今度はそっちか……」

「っまぁ、すぐには動いて来ないでしょうけど。それよりもあんた。本当なの? 何進と仲良く――」

「――一刀。良い酒が手に入った。張遼を混ぜて一緒に――」

 

 噂をすれば何とやら。何進が片手に酒を持って入って来た。しかし、賈駆の姿を見つけると申し訳なさそうに目をそらす。

 

「もしかしたら話し合いの最中だったか?」

「い、いえ何進様。お気になさらずに」

「いい。何進と呼んでくれ。それに俺はお前達に謝らなければならない。今までお前達にしてきた仕打ち。決して許されるべきではないと分かっている。しかし、もし許されるなら謝らせてくれ。……本当に申し訳なかった」

 

 大将軍と言う、権力をほしいままにする男が、一地方の太守の軍師に頭を下げる。天変地異が起きたとしても起こりえないであろうことに賈駆の頭は固まった。

 

「あ、えっと。お気になさらず?」

 

賈駆の奇妙な返答。それはシリアスな雰囲気とは何一つ会う物ではなく、しばらくの沈黙の後。

 

「……くっ、はっははっははっははっははっははは! 一刀、賈駆とは面白い子だ」 

「くくっ、笑ってやるなよ、何進。賈駆だって驚いたんだから」

「そこ! うるさいわよ! コ、コホン。そして何進様。別に私達は気にしてません。だから何進様も気にしないでください」

「だが……。いや、そうだな。だが、もしよければ董卓に伝えといてくれないか。すまなかったと。これからは出来る限り協力すると」

「はい、確かに伝えます」

 

「そうだ、丁度いい。何進も居ることだし」

 

一刀はパンッ、と両手を合わせると、執務室にある棚から一枚の紙を取り出した。

 

「何よそれ」

「俺も関係するのか?」

「まぁ、多分」

「で、一体何よ。あんまり長くはいられないのよ。まだやらなきゃいけないこともあるから」

「まぁ、少しだけでも聞いてくれ」

「この一週間。街を見て回ってさ。色々と思ったんだよ。んで、少し街並みの様子から改善して欲しいことがあったんだ」

「改善して欲しいこと?」

「ああ。街並みを変えたい」

「……は?」

「どうする気だ?」

 

二人の困惑した表情に一刀は笑みを浮かべた。

 

「この街はあまりにも混在しすぎている。普通の家の隣に違う店があったり。出来れば商店街を作りたい」

「商店街?」

「ああ。簡単にいえばある一つの大通りに店とかを並べるんだ。そうすれば民達はわざわざ色んな所を歩きまわらずに買い物を済ませることが出来る」

「でもそれだと露店を開く人達から苦情が来るんじゃない?」

「いや、露店を開く人達にはまた別の場所でやってもらう」

「どうやってよ?」

「つまり……こうする」

 

 そう言って一刀は先ほど取り出した一枚の大きな紙を広げた。

 

「なっ! 何よこれ!?」

 

 そこに描かれていたのは洛陽と思しき地図。しかし、それは賈駆の知る街並みでは無い。宮中の前には大きな道が通り、真ん中程で同じように大きな道が交差しており、それ以外は碁盤の目のように細かな道が通っていた。それを現代の人達が見ればこういっただろう。

 

『京都のようだ』と。

 

「あんたこれじゃ宮中まで真っ直ぐじゃない。もしこれで誰か謀反を起こしたらどうするのよ。これじゃ……そういうこと」

 

そこまで喋ると、賈駆はにやりと笑みを浮かべる。しかし、何進は分からず困惑の表情を深くした。

 

「やっぱり分かったか」

「二人とも、出来れば分かりやすく話してくれ」

 

 その言葉に賈駆は一つ頷くと説明を始めた。

 

「謀反を起こして洛陽に入った時、細い道だと軍隊が入りずらい。しかも目の前に大きな通りがあれば軍はそこを真っ直ぐ直進したくなるし、事実するわね。それに加え、これだと民達の家は店なんかに守られているようなもんだから民達への被害も少なくるわね」

「そ、そうすれば相対する軍も下手に分散しなくて済む。そして民達の家は大通りから少し離れた位置にすれば被害も少なくて済む。他にも警察署でも置くか……」

「これは……すごいな。流石は天の御使いと言うことか?」

「まぁ、確かに利には叶っているわね。……だけどこれ大がかり過ぎて、この政策受け入れられない可能性が高いわよ?」

 

何進の褒め言葉に軽く同意をする賈駆。しかしギロリ、と一刀を睨んだ。その賈駆の睨みから視線を逸らし、窓の外を見た途端、叫んだ。

 

「月が見えたっ!」

 

 そこには綺麗な満月が煌々と照らしていた。何進が酒に誘った理由が分かった。と一刀は視線を無視しながら頷いた。

 

「今は月なんてどうでいいのよ! さっさと答えなさいよ!」

 

しかし、賈駆がそれを良しとするわけもなく。

 

「多分、賈駆の言う通りだと思う。はっきり言って賛同する人は少ないと思う」

「じゃあ、どうすんのよ。はっきり言えば前に見せてもらった。街道の整備計画の方がよっぽど良いわよ?」

「うーん、それも視野に入れていきたいんだけど。まぁ、そこをどうにかして見せるのが俺の役目さっ。で、何進」

「あ、ああ。なんだ?」

「今度、紹介して欲しい人がいるんだ。頼んでいいか?」

「誰だ?」

「……帝と。出来れば公式の場で会いたい」

「「なっ!」」

 

はい、と言うわけで。初めましての方は初めまして。お久しぶりの方はおひさしぶりです。遅筆で有名(自称)くらのです。

すいません。本当になんて謝ればいいのか。一月程、ほぼネットが使えない環境にいましたもので。

さて、ずいぶん遅くなりましたが第5章。さてはて、一刀が考えていることとは。ただ、今回の一刀が技を一つも使ってないんですよね。っていうか闘って無い。当分闘わないかも。だって軍師ですし。

それで気付きましたか? ガンダムの名ゼリフ(?)を仕込みました。分かったかたはコメント欄で。正解者にはヒャッハー人形をプレゼント。30個たまれば素敵なことが。あればいいですね。

んで、特別企画第2段! お気に入り三百人突破記念!の結果発表!

 たくさんのご応募ありがとうございます。残念なことにお返事出来なくてすいません。なのでここでお礼を申し上げます。本当にありがとうございます。次からはしっかりとお返しをさせていただきます。

それで発表!

1つ目『一刀君家出事件!?』  七票

2つ目『一刀が外に愛人を?』  四票

3つ目『一刀の花嫁は誰!?』  七票

 よって今回は……あ、あれ? 同票数? え~、え~と考えてなかった。と、とにかく! 書き始めます。と、とりあえず両方を出す感じで。お楽しみに! 

 

それでは  See you next again!


 
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