No.229975

不敗無双~恋姫達は顔を真っ赤に染めている!?~4章

くらのさん

お待たせいたしました。大きく変化した4章です。あまりの変化に「ヒャッハー」と言って驚くかもしれませんが。それではケロリとお楽しみください。最後にアンケートを用意してあるのでそれに応えていただけますといつものように「ヒャッハー」と飴玉を友人に上げます。

2011-07-23 00:37:40 投稿 / 全13ページ    総閲覧数:5495   閲覧ユーザー数:4395

 一刀が軍師として仕えてから数日。

 

「一刀ー!」

 

 書簡の整理をしていた一刀の元にやって来たのは張遼だった。

 それはもうどこまでも楽しそうな顔だ。

 

「なぁ、今日こそやろうや!」

「だーかーらー。俺は軍師だって言ってるだろ?」

「ええやん。軍師やからって模擬戦したらいけんっていうのはないやろぉ!」

 

そう、ここ数日、というかあの恋との試合の次の日から毎日張遼は一刀に模擬戦を依頼していた。

 

「いい加減やろうやー! 乙女の頼みを断るなんて一刀はそれでも男なん?」

「どこの世界に乙女の頼みで模擬戦を頼む乙女がいるんだよ」

「ここにおるやん」

 

 心底不思議そうに首を傾ける張遼に一刀はとても重いため息を吐いた。

 

「張遼が可愛いのは認めるよ」

「な、そんなん言われたら恥ずかしいやん」

「だけど模擬戦をするつもりはないから」

「ええやん。一刀やろうやー。やらんとずっとここにおるよ? じーと見つめ続けるよ?」

「どうぞご勝手に」

 

 それだけ言うと一刀は再び書簡整理を始めました。張遼も意地比べだと思ったのか、じっと一刀のことを見つめます。

 

 ――数分後――

 

「なぁ、一刀やろうやー」

「早! 諦めるの早! もう少し粘れよ!」

「うち、待つの嫌いやねん」

 

 プイッと顔を背けて口を尖らして言う張遼に一刀は今日何度目かのため息を吐いた。

 

「はぁ、ちょっと待っててくれ」

「やってくれるん!?」

「そうじゃないとほんとに居続けられそうだ」

「一刀、ええ奴やなー!」

「ちょ、痛いって!」

 

 バシバシと叩く張遼に一刀は文句を言うが張遼は笑ったまま。

 

「まぁ、ええやん! はよ行こう!」

「着替えるからちょっと待てって」

 

 一刀は服を脱ぎ、裸になり、動いても大丈夫な服を取り出します。その時、一刀は視線を感じました。

振り返ってみると張遼が一刀の体をじっと見つめていた。

 

「そうやってじっと見つめないでくれ」

「ああっ! すまん、でも一刀の体めっちゃ綺麗やなと思って……」

「綺麗か?」

 

 自分の体を見降ろしてみるが師匠との修行によってついた傷痕がうっすらと残っていて綺麗とは言い難い。

 

「あ、ちゃうんや! こう、筋肉の付き方がすごく綺麗についとるなーと思って。こう、がっちりついとるんやなくて細身やのにこう、しなやか? そんな感じや」

「ああ、出来るだけしなやかに。本当に必要な分だけの筋肉がつくような修業だったしな」

 

 そういいながら着替え終え、赤い鉢巻をしっかりと巻く。

 

「よし、やるか!」

「よっしゃ! ほな、はよ行こっ!」 

 

 目を爛々と輝かし、駆けだしていく張遼に一刀は苦笑しながら歩きだす。

 

「ほら、はよせな時間が無くなってまうやん!」

「まだ時間はあるから……」

 

 

練兵場には二人の姿が。

 張遼の顔はまさしく、おもちゃをもらった子供のようにきらきらさせ、愛用の飛龍偃月刀を振り回し、全力で行けるように体を温め居た。

 

「はぁ、本当は目立ちたくないんだけどなぁ」

「って言うてる割にはめっちゃ嬉しそうな顔やで?」

 

 笑いながら言う張遼に一刀は笑みを見せるだけ。

 

「ほなやろうや!」

「いつでも来い」

 

 スゥ、と一刀表情から笑みが抜けていく。痛くなるような静けさが辺りを包む。しかし、それも一瞬。

 

「うおりゃー!」

 

 張遼の一閃は一刀の頭を捉えていたが、それは空振りに終わった。張遼の視界から一刀の姿が消えたように見えた。

 

(消えっ!? ちゃう、そんなことあるわけない!)

 

 その一瞬、張遼はかすかに感じた。風を切る音。そして、太陽を遮る影を。

 

「上だよ」

 

 その声が聞こえるか聞こえないの瞬間、張遼は本能的に武器を上に振りあげた。

 ガキンッ!

 鉄と鉄が当たる金属音、そしてその武器ごと地面に叩きつけられる程の衝撃が張遼を襲った。

 

「ッ!! どりゃあー!」

 

 それを歯で食いしばって耐え、どうにか弾く。その時になってようやく一刀の姿を捉える事が出来た。弾かれた一刀は空中で衝撃を逃がすように一回転して離れた所に着地した。

 たった数秒で張遼の顔に汗が流れ始めていた。極度の緊張。今まで感じたことも無いような速度。一刀が付けているのは変わった形の手甲のみ。それなのに感じる緊張は呂布と相対した時と同様に感じられた。

 

「っと、今のを防ぐってどんなだけ力が強いんだよ、ここの武将は……」

 

 そう言って手をぶらぶらとさせて驚きの表情を浮かべ、一刀は呟く。十分に加速の付いた打撃を武器があるとはいえ、吹き飛ばされるとは思いもしなかったのだ。そのことに一刀は冷汗が止まらない。

 

(師匠、この時代の人達も凄い人達ばかりです……)

 

 しかし、そんな一刀の想いと同様に張遼も冷汗が止まらなかった。 

 

(なんちゅう奴や……。恋とやりおうとったから叶わんとは思っとったけど。予想以上やないか……)

 

 恋との試合を見ていた時と今の一刀の動きを思い出し――そのとき、張遼に疑問が出来た。

 

「なぁ、一刀? そういや今の動き、前見た時とは微妙に違う気がするんやけど……」

 

 恋との戦いのときは正面からだった。相手の攻撃を手甲で弾き、逸らし、受け止める。それが今の一刀の動きは相手の視界から消えるような足さばきだった。

 

「流石は張遼。俺の師匠の親友の人が教えてくれた動きなんだ。サイサイシーさんって言う人がさ」

やってて良かった、少林寺。そんな言葉が一刀の脳裏に浮かんだ。

「やっぱ一刀はおもろいわ! ほな、もう一回行くで!」

「今度はこっちからも行かせてもらうぞ!」

 

 同時に駆けだし、ぶつかり合い、互いに連撃を与えて行く。その様子は苛烈を極め、傍から見れば本気で殺りあっているように見えたが、当の二人は笑顔を浮かべていた。

 

            ――数十分後――

 「ハァハァ」

 「お疲れ、張遼」

 

へたり込む張遼と汗を流しながらもへたり込まずにたったままの一刀の姿があった。

 

 「おかしいやろ。何でそんな普通に立ってられるんや?」

 「張遼みたいに重い物もってないし。それにここより空気の薄いところで生活していたからかな?」

 

 そう言って一刀が思い出すのは師匠と修行したギアナ高地で行った山での修行。酸素が薄い状態での普段通りにした日は一刀は死を覚悟したほどだった。

 

 「はぁ、っちゅうか、ほんまに一刀は強いなー」

 「十分、張遼も強いって……」

  

 起きようとした張遼に手を貸しながら一刀は嘆息する。

 これでもシャッフル同盟、キング・オブ・ハートを継承するする自分とずっと闘えている方がすごいのだと、一刀は感じる。

 

 

(案外、シャッフル同盟の一人になれる要素があったりしてな……)

 

 そんな思考に一刀は苦笑を洩らす。

 

 「? どないしたん。なんかおもろいことでもあったん?」

 「いや、ちょっと馬鹿な考えが思い浮かんだだけ……」

 「なんや、その馬鹿げ、たっ、と!」

 

 一刀の手を借り、立ちあがった張遼。しかし、まだ膝に力が入り切れなかったのか一刀の方に倒れ込んだ。

 

「ちょ、うわっ」

 

 完全に不意を突かれた一刀が張遼を支えきれる筈もなく、張遼ごと倒れ込んだ。

 

「……」

「……」

 

 一刀と張遼の身長差によって一刀の胸元に張遼が顔をうずめるような形になった。

 普段の張遼だったら即座に動き謝ったのだろうが、今まで男子に負けたことがない張遼にとって一刀という存在はある意味特別になってしまっていた。

 

 (案外、がっちりしとるんやな……)

 

 張遼の記憶によみがえるのは先ほど着替えていた時に見た一刀の上半身。筋肉が見た目に反して付いているのはその時に知ったが、実際に感じてみると改めて自分とは違う、異性だと感じさせられた。

 そんな事を考えている張遼と反するように一刀の頭の中はごちゃごちゃにこんがらがっていた。

 

(あれ、どうしてこんなことにに? ここは重い、というべきなのか。それとも、やっぱり「可愛い」というべきなのか。いや、意味が分からない。話の文脈がつながらない。ってさっきまでどんな話をしてたっけ? っていうか張遼って良い匂いするんだな……。ってこれじゃ俺は変態だ。えーと……そう、なんか柔らかい。こんな柔らかいのによくあんな武器を振り回すことが出来るな……)

 

 幼少のときからドモンのもとで修行していた一刀である。当然、女子達と触れ合う機会などそうない。そして、あのドモン・カッシュの弟子である。自分に好意を向けられる事に気付かない超鈍感男の弟子なのである。

 

「あ、えっと……張遼?」

「あっ! す、すまん。ちょっと足に来たみたいでな。アハハハハ、うちもまだまだやなぁ」

 

 顔を真っ赤に染め、誤魔化すように笑い、慌てて立ちあがった張遼に一刀は。

 

「い、いやいいよ。それにしても張遼って良い匂いするんだな」

「!? な、何言うてんねん!? 汗まみれやし、そんな良い匂いとかせんよ!」

「いや、でもやっぱり女の子なんだなぁて思ったよ。こう柔らかかったし」

「!!!!? な、何言うてんねん!」

 

 もう一度言おう。北郷一刀はあのドモン・カッシュの弟子である。超鈍感男の弟子である。

 先ほどまで、金属音が鳴り響き、ピンと張りつめていた練兵場に、どこかむず痒くなるような雰囲気が流れていた。 

 そのとき、張遼の瞳がかすかに揺れた。

 

「ほぉ、誰が何をしているかと思えばどこぞの田舎娘の所の将達ではないか」

 

 2メートルはあろうかという巨体を揺らめかせ、何人かの兵士を周りに侍らせ男がやって来た。一刀はその人物を知らない。しかし、張遼は良く知った人物だった。

 

「……何進」

「将軍をつけろ。何進将軍だろうが」

 

 憮然とした表情で言う男――何進を見て一刀は目を細めた。

 

「ふん、所詮田舎ものか。まともな挨拶さえ出来ぬとは。こんなものでは武人としてもそこが知れるというものだ」

 

ギュッと張遼は拳を握りしめたまま何も言い返さない。ここで言い返すようなことをすれば自分達の主に迷惑がかかってしまうことが分かるのだから。しかし、

 

「武人として張遼は立派な奴だ。それをただ女性だからといって貶めるような言動は止めて頂きたい」

 

 それを知った上で一刀は声を上げる。大切な仲間のために。

 

「なんだ小僧?」

 

「小僧じゃない。北郷一刀。董卓軍所属軍師だ」

「文官風情がこんな所で何をしている?」

「貴様に言う必要はないだろう。それより先ほどの言葉を取り消して頂きたい。張遼は武人としても将としても一流だ。そして我らの主、董卓も尊敬すべき主だ」

「何だ小僧、張文遠にほれでもしたか?」

 

 馬鹿にしたような響きに一刀の何かが切れた。

 基本、一刀は温厚である。戦場、闘う場所でなければ拳は握らない。しかし、仲間の為なら怒ることのできる人間だった。

 

「そんなの関係あるかっ! 大切な仲間を馬鹿にされて黙ってられるほどこっちは人間は出来てないんだよ!」

 

 その声は大地を揺らすのではないのかと思うほどの声の大きさだった。

 

「ほう、小童が吠えよるわ。そこまで大言を吐いたのだ。俺は将軍何進だぞ、お前達などどういう処遇にでもすることが出来るのだぞ? 今なら土下座をすれば許さんでもないぞ?」

 

 相手は将軍。一つ命令するだけで一刀、ひいては董卓達の処遇など好きなように出来る。それだからこそ張遼達は堪えていた。どんなに馬鹿にされようが。どんなに嘲笑されようが。自分達の大切な、優しい――ここ最近は少し変わったが――主のために。

 

「一刀っ! 謝りっ! うちのことは――」

「断るっ! 張遼。俺はこの世界の人間じゃない。こっちの世界じゃ身元がはっきりしない怪しい奴だ。そんなのが突如、軍師として雇われたんだ。本当なら疑われたり、反対されるのに張遼達は皆笑顔で受け入れてくれた。お前は笑いながら一緒にご飯を食べてくれたり色んな人達に紹介してくれた。『仲間の一刀や』って」

「そんなんどうでもええから」

「良くない! それがどんなに嬉しかったか! どれほど救われたか! そんな大切な奴を馬鹿にした奴を許しておけるか!」

「なら、どうする?」

 

 その言葉に一刀は無言で――構えた。

 

「ほう、闘うと?」

「もし、俺が勝てば張遼、さらに言うなら董卓達にしてきたことを謝罪してもらう」

「ならば、もし俺が勝てば?」 

「俺の命をくれてやる。煮るなり焼くなり好きにしろ」

「俺が受ける理由が――」

 

 そこまで言った時、何進は一刀の瞳を見た。どこまでも澄んだ瞳が何進を貫いていた。

 

「――よかろう。その勝負受けてやろう。おい、誰か」

 

 近くにいた物に武器を取って来させた。

 

「どうした、お前は武器を取らないのか?」

「俺は徒手空拳なんだよ。それよりそんな派手で動けない服装でいいのか?」

「ふっ、そうだな。良かろう」

 

豪華絢爛とも言えるような派手な服装を脱ぎ捨てた。その下は、かすかに贅肉は付いているものの鍛え上げられた肉体があった。

 

「俺は元はただの豚の屠殺業者だ。あの肉の塊を切るのに力が入らないわけではないだろうが……」

 

「包丁?」

 

 形は先の尖った包丁。ただ違うとするならそれは大きさだった。刃渡りが1メートルはありそうな包丁だった。

 

「俺が最も扱い慣れている武器だ。少しでもかすれば肉を引きちぎっていくぞ?」 

 

 にやりと笑う何進に一刀も同じように笑い返す。

 

「お前も俺の攻撃を喰らって死ぬなよ?」

「言いよるわ。その言葉、死んで後悔するなよっ!」

 

言い終るか終らないかのうちに片手で軽く持ち上げると巨大包丁を一刀目がけて振り下ろした。

 

ただ力任せの斬撃。それゆえに本能的な恐怖を与えた。

張遼の様な速さがあるわけでもない。恋の様な天性の才能があるわけでもない。力でも華雄のような力があるわけじゃない。ただの暴力。それゆえに恐怖を感じた。しかし

 

「当たらなかったらそんな攻撃に意味は無いよ。当たりもしない、そんな攻撃に何の意味がある?」

 

 一歩だけ横に避け、すれすれでかわした一刀はそう言って笑う。

 

「甘いんだよ!」

 

 その言葉と同時に放つ蹴り。それは張遼と模擬戦をしていた時に出していた時と勢いも威力も違う。

 

「ぬぅ!」

 

 喰らっては不味いと何進も分かったのか、咄嗟に包丁を盾とする。

 肉体と金属が当たったとは思えないほどの音と衝撃が起こり、当たりを包む。

 

「どうした、怖気づいたか?」

 

 あからさまな挑発。その挑発に何進は笑う。それは怒りによるものだ。

 

「調子に乗るなよ、小僧!」

 

 

縦横無尽に走る、型も何もあったものではない滅茶苦茶に振り回すだけの攻撃に一刀は冷静に躱していく。自分から攻撃することは無く、ただ躱すだけ。

 数分もしたっだろうか。そこには息を切らした何進と汗一つかいていない一刀の姿があった。

 

「何進、貴様は元は豚の屠殺業者。いわばただの庶民だったんだろ? それこそこ苦しみが分かる立場だろ? それなのにどうしてお前は何もしない」

 

 一刀の素朴な疑問だった。庶民の出だからこそ分かることがある筈。せっかく将軍という立場なのだから幾らでも手はあるだろうに。

 そんな一刀の疑問に息を切らし、聞いていた何進は笑った。

 

「ふん、そんなもの考える筈がないだろうが。この宮中でそんなことを考えるものなど居らぬわ。いかに上に立つか。いかに帝に気に居られるか。ただそれだけよ」

「少なくとも俺達の主、董卓は本心から民達の平和を願っている」

「はは、そんなものが何になる? 所詮この世は力が全てよ! 弱者は強者の肉となる。ただそれだけの世界!」

 

 再び構えると猛然と一刀に振りかぶっていく。その速度は先ほどよりも確実に落ちている。先ほどまで躱していた一刀にかわせない筈がない。しかし、

 

 ガチンッ! 一刀は手甲を使い、受け止めた。ギギギッとつばぜり合いのように互いに力を込める。

「何進! 貴様のその考えは間違っている! 確かに弱者は肉となる。だけど――」

 

 

そこに思い浮かべるのは三人の女の子達。決して強くは無かったあの子達。けれど最後の模擬戦では自分に技を使わせるまでに成長したあの愛すべき女の子達。

 

「闘うすべを持たない者達は弱者ではない! その者達は守るべき存在だ! 闘う力を持つまで守るのが強者の役割だ! 力を持たない者達を弱者として扱うのは間違っているんだよ!」

「ならば! 強者は何を相手に戦う!?」

「だから、何故分からない! そもそも強者とか弱者とかの考えが間違っているんだ! 弱者を作り出すのは強者だ! 俺達がすべきなのは守るべき存在を同じ高みまで成長させることなんだよ! その時初めて皆で笑いあえる世界になるんだよ!」

「そのような世界が来ると本当に思ってるのか!?」

 

 その言葉と一緒に、つばぜり合いは互いが互いを弾くという状態で解かれ、一刀は悲しそうに呟いた。

 

「多分、無理だろうな」

 

 一刀だって分かっている。いくら皆が笑いあう世界。そんなものが不可能なことくらい。

 

「ほれ見ろ。そんな理想――「だけど!」」

「だけど、そんなものは理想だって言って諦めたら、庶民たちはどうするんだよ。理想が無理なのは理解している。だけどそれを目的にして、最善を尽くして何が悪い? 懸命に努力をすれば百人全員を笑わすことが出来なくてもその半分は幸せに出来るかもしれないだろ!? お前は残り半分の人達が救えないからといって幸せに出来る人達を見捨てるのか! 俺はごめんだ! 全力を持って助けて見せる!」

「……ならば小僧。まずは目の前にあるこの俺を倒してからその戯言を言え」

 

 そう言って何進は自分の武器を両手で握り、切っ先を一刀に向けた。

 

「――ああ。そうさせてもらう」

 

 静寂が辺りを包み込んだ。

 

 張遼と兵達が固唾をのんで見守るなか、一陣の風が吹いた。

 

「どりゃぁぁぁー!」

「シャイィィィィィニングフィンガァァァァァー!」

 

同時に駆けだし、ぶつかり合った瞬間、衝撃が辺りに響いた。その衝撃で砂埃が起こり、辺りを包み込む。

砂埃が治まった時、そこにはたったままの一刀と自分の武器を壊され、倒れ伏した何進の姿があった。

 

「……俺の勝ちだ」

「ふん、認めてやろう。小僧貴様の勝ちだ」

 

 そう言って何進は蒼穹の空を見上げた。綺麗な空を見上げて何進は小さく笑った。

 

「そう言えばこのように空を見上げることなどこちらに来てから一度も無かったな……」

 

 今までなら怒りがわいてきて何があっても董卓を追いこんでやろうと思ったのだろうが。

 

「小僧になら負けるのも悪くないか」

「小僧じゃない。北郷一刀だ」

「北郷一刀か。ならば一刀と呼ばせてもらおう! 一刀! 約束通り、今まで董卓、およびその将達にして来た行いを謝罪しよう!」

 

 北郷一刀、天の御使いが起こした一つ目の奇跡だった。

 

どうもお久しぶりです。くらのです。それにしても皆さん申し訳ありませんでした。一度出した作品を変えてしまい。 

それにしても変わってしまいました。これでもかというぐらいに。これじゃ5章にしても良いんじゃないかというぐらいですね。

さて、今回の話いかがでしたか? 少しはGガンダムの熱さにはなったでしょうか。それを楽しんでいただけたなら幸いです。

さてはて、気が付いたらお気に入り三百人を超えました。これは日頃のご愛顧の感謝をすべきだと。私思いました。よって「第二回! 特別企画」を行いたいと思います。次の三つからお選びください。それ以外でもこういうのをやって欲しいというのがありましたら是非とも。それでは候補の三つを。

1つ目

『一刀君家出事件!?』

 ついに魏のメンバーに愛想をつかせた!? 一刀が城から居なくなるお話です。

2つ目

『一刀が外に愛人を?』

 魏のメンバーの耳に入って来た『ここ最近、一刀が外で見知らぬ女性と一緒に居る』魏のメンバーが巻き起こすストーカー好意!? 

3つ目

『一刀の花嫁は誰!?』

 魏の武将達による誰が花嫁にふさわしいか。勿論、あの女の子が魏の将達を恐怖に落とします。そんなお話です。

 

 以上の三点、もしくはこういうお話を書いて。という中から一つ選んでコメント欄にお願いします。

 

それでは次回予告……と言いたいのですが。これをやると自分の首を絞めることを知ってしまった今日この頃です。

 ったく、どうして私がこんなことを……。え、私? 詠よ! ったくどうしてこんな目に。月のお願いじゃなかったらこんなこと。だけどやる!

まぁいいわ。今回の騒動にはハラハラしっぱなしよ。ったく、あいつはな~にが大切な仲間よ。そ、そりゃ嬉しいけど……。無理して欲しくないんだから。

ああ! 今のなし! と、とにかく何進がどういうわけかこちらに手を貸してくれるみたいで色々とやりやすくな――何よ、これ? 一刀! この計画一体何?

 

次回! 「大計画! 画策する御遣い!」

次回をお楽しみに! それでは次回に向かってレディ~ヒャッハー!

 

 


 
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