ドン岳にて…
C1 諍い
C2 動き
C3 欲
C1 諍い
ドン岳にて、高台にはられたアリファベルト=ハンクロッツァ率いる傭兵団の陣に斥候に出ていたクラキニャニャトゥトが駆け込んでくる。
クラキニャニャトゥト『も、もうキ連とロズマール帝国との戦闘が始まっていますでゲスよ!』
ミィーが立ち上がり、ハンクロッツァの方を見る。
ミィー『おぉ、もうか。さて、どちらに肩入れする?キ連か?ロズマール帝国か?大将さんよ。』
ハンクロッツァは双眼鏡をおろし、首を横に振る。
ハンクロッツァ『どちらにも肩入れしねぇさ。』
ミィー『はぁ?どちらにも?』
ミィーは眉をひそめる。
ミィーの傍らにいたゴーレムのグラヴァがハンクロッツァと眼と鼻の先まで詰め寄る。
グラヴァ『どちらかに参戦しなければ、手柄は無いし、儲けもないぞ!!』
ハンクロッツァ『怒るな、怒るな。暑苦しい』
ハンクロッツァは一歩後ろに下がる。
ハンクロッツァ『…これだから石頭は…。時期じゃねえんだよ。俺たちはたかが弱小傭兵団だぜ。正規軍の装備にかなうわけねえだろうが。』
ミィーはハンクロッツァの襟首をつかむ。
ミィー『やってみなきゃわかんねえだろうが!チキン野郎!!貴族のボンボンどもなど俺の力でねじ伏せてやる!』
クラキニャニャトゥト『ミィー殿!や、やめるでゲス!!アニキから手を離して…』
クラキニャニャトゥトが仲裁に入り、ミィーは舌打ちしてハンクロッツァから手を離す。
地面に倒れこむハンクロッツァ。
ハンクロッツァ『ゲホ、ゴホ、ここに居る奴はお前みたいな武術の達人ばかりじゃねえんだよ。いい方法があるっていうのに…そんなに言うならロズマールでもキ連でも加担して来い。どちらが負けても俺は知らんがな。』
ミィー『いい方法?…』
ハンクロッツァ『さあ、行った行った。』
ハンクロッツァ、手で追い払う動作をする。
ミィーは座り込んでハンクロッツァの顔を覗き込む。
ミィー『いんや、それを聞いてから行こう。』
ハンクロッツァ『チッ、しゃ~ねえな。決まってるだろ。このままここで待つんだよ。敗残兵をな。そうしたら、そいつらの首を掻き切って、勝った方に持ってきゃいいだろ。そうすりゃ、楽して儲けれるという寸法だ。』
岩に腰を下ろしていたリザードマンのヴァッハムント高笑い。
ヴァッハムント『フフ…ハーハハハハハハ、何と卑怯で下劣な方法だ!騎士道の欠片も見当たらぬ。それなら失敗も少なかろう。』
ハンクロッツァはヴァッハムントの方を見る。
ハンクロッツァ『おい、獣人!嫌ならやめていいんだぞ!!』
ヴァッハムント『褒めただけだ。お前の戦略をな。』
腕組みしたヴァッハムントは薄笑いを浮かべている。
ハンクロッツァ『…うれしくねえ褒め方だな。』
ハンクロッツァはヴァッハムントから顔をそらす。
C1 諍い END
C2 動き
ドン岳前方、右側森林より、煙。
クラキニャニャトゥト『…ア、アニキ!あそこに!!』
ハンクロッツァ、双眼鏡で煙の出ているところを見る。
ハンクロッツァ『ヴェルクーク20騎か、負けたのはキ連だな…。』
ミィー『勝ったのは、ロズマール帝国か。赤猫目の野郎もなかなかやるもんだな』
ゴーレムのグラヴァは勢いよく立ちあがる。
グラヴァ『勝ったのか!?帝国が…』
ハンクロッツァは、双眼鏡を下ろさずに言葉を続ける。
ハンクロッツァ『あぁ、おそらくな。おいおい、ありゃ…立派な装飾のヴェルクークだな。…いや、あの仕様は…!!』
ミィー『よこせ!』
ミィー、ハンクロッツァから双眼鏡を奪い取る。
ミィー『…あのずいぶんと豪勢な外装は…キ連盟主の機体じゃねえか!』
ミィー、自機に向かって駆けようとするが、ヴァッハムントに肩を掴まれる。
ヴァッハムント『まだ、待て!!敵が完全に油断しているところを攻めた方が労せずして益を生む。ドン岳は小休止するにはちょうどいい位置。奴らが止まるまで待て。それが無ければ、奴らの背後を取れるまで待ち、そこから攻めればよい。』
ミィー『そんな流暢なことをやっていたら出し抜かれるぜ!』
高台のクラキニャニャトゥト、叫ぶ。
クラキニャニャトゥト『や、奴らの動きがとまりヤしたぁ!』
ハンクロッツァ及びハンクロッツァ傭兵団構成員が高台に集まり、様子を見る。
貴族連合の部隊の動きが止まり、ヴェルクーク級人型機構のコックピットから人が出てくる。
ミィー、ヴァッハムントと顔を合わせる。
ヴァッハムント、ハンクロッツァを見る。
ヴァッハムント『攻め時だ。指揮をしろ。総大将。』
ハンクロッツァ『あ、ああ…おおし!!野郎ども!!やっちまえーーーー!!』
C2 動き END
C3 欲
ハンクロッツァの号令と共に傭兵団員それぞれ、自機に乗込み、貴族連合の部隊に対し、突撃する。
貴族連合兵士は急ぎ、彼らのヴェルクークに乗り込もうとするが、次々と生身のままハンクロッツァ率いる傭兵団により、切り刻まれたり、潰される等して殺される者多数。
貴族連合盟主エグゼナッセ、自機に搭乗しようとしたところハンクロッツァの搭乗する人型機構の剣の一閃により、阻止される。エグゼナッセは乗馬にてハンクロッツァ及びハンクロッツァ傭兵団員2人の操る人型機構の剣撃を捌き、ハンクロッツァ傭兵団員2人の操る人型機構の機動部を切断し、行動不能にさせる。
ミィーが生身でエグゼナッセに向かい突撃するが、生き残りの貴族連合兵士の搭乗するヴェルクーク級人型機構に足止めされる。
エグゼナッセの純白のマントに赤い痕跡が現れ、彼は力無く、前に倒れる。ハンクロッツァ機の剣がエグゼナッセの騎乗している馬の首とエグゼナッセの首を飛ばす。馬の胴体とエグゼナッセの胴体は土煙を立てて地面に倒れこみ、断面から血潮を勢いよく吐きだし、地面を染める。
ハンクロッツァは自機のコックピットを開け、全速力で転がったエグゼナッセの首を追いかけ、取る。
ハンクロッツァ『ヒヒ、ハハハハハハ。取った。取ったぞ!!キ連盟主エグゼナッセの首を取ったぞーーーーーーーーーーーーーーーー!!』
地面に膝を下ろしたハンクロッツァは、エグゼナッセの首級を高らかに上げ、雄叫びをあげる。
スナイパーライフルを抱えたクラキニャニャトゥトがハンクロッツァの前に現れる。
クラキニャニャトゥト『アニキ!ヤりヤしたでゲスな!キ連盟主の首をとるなんて…ますます惚れてしまうでゲスよ。』
ハンクロッツァは近づくクラキニャニャトゥトの姿を目にし、手早くエグゼナッセの首級を抱き込む。
ハンクロッツァ『これは…俺のもんだ!この功績は俺のもんだ!誰にもわたさねぇ!!俺様のお手柄だ!!』
ハンクロッツァは血走った眼でクラキニャニャトゥトを睨みつけた。
C3 欲 END
END
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
・必要事項のみ記載。
・グロテスクな描写がございますので18歳未満の方、もしくはそういったものが苦手な方は絶対に読まないで下さい。
根曲(ねぐせ)