― 雪蓮Side ―
「では、麗羽で決まりね・・・・・・・異議があるものは・・・・・・・・いないわね」
「オーッホッホッホッホ!そんな人がいる筈なんてありませんわ!!」
「「「「「「「はぁ~・・・・・・・」」」」」」」」
ばからし~。
私達は今、連合軍総大将と今後の方針を決めるために袁紹軍の天幕に来てたんだけど・・・・・・。
あまりの馬鹿らしさにあくびばっかりしてた。
「雪蓮、もう少し我慢しろ・・・・」
「だってぇ~・・・・」
席に座る私の後ろから冥琳が小声でそう語りかけてきた。
んな事言ったってこの状況よ?
いくらなんでもまともに聞いてる人間なんて・・・・・・・。
そんな事を考えながら周囲を見回してみる。
・・・・・・・。
居たわ。
空気が読めてないのか真剣なのかわかんないのが一人・・・・・。
「ところで袁紹さん、作戦の方はどうするんですか?」
「そんな事決まってますわ!!この袁本初が率いる連合軍の作戦は唯一つ!!
『雄雄しく、勇ましく、華麗に前進あるのみ!!』ですわ!!」
・・・・・・・・・あれ?。
私の耳がおかしくなったのかしら?
「・・・・・・良く聞こえなかったからもう一度教えてくれない?」
「あら、孫伯符さんもうそんな御歳ですの?・・・・仕方ありませんわね。
耳をかっぽじってよ~~~~くお聞きなさい!」
コメカミがピキッっと音をたてた気がするのは気のせいじゃないはず。
その証拠に冥琳が私の肩を力一杯押さえつけてるし・・・・・。
「もう一度言いますわよ?『雄雄しく、勇ましく、華麗に前進あるのみ!!』で・す・わ!!」
「あ~はいはい、わかったわ・・・・んじゃ、そう言う事で・・・・・・私は自陣に戻るわ。
・・・・・・・・・・も!・し!他になんかあったら、私の陣まで伝えて頂戴」
はぁ~・・・・・・馬鹿らしくてやってられないわ。
私はそう言って席を立ち、天幕の出口に向かう。
「桃香様!?」
「離して朱里ちゃん!!待ってください孫策さん!!」
あ~・・・・・っほんとメンドくさい・・・・・・・。
「なに?私は忙しいんだけど・・・・・・」
「まだ軍議は終わっていません!」
「終わったじゃない」
「ま、まだ作戦以外決まっていないじゃないですか!」
「だから、私は何かあったら伝えてくれって言ったはずだけど?」
「それを今から話し合うのに・・・・どうして和を乱そうとするんですか?」
「桃香様!!」
「朱里ちゃんは黙ってて・・・・」
劉備は諸葛亮の静止を振り払って私に噛み付いてくる。
疲れるのよね~、現実味のない正義感振りかざして何も見ていない奴の相手って・・・・・・・。
冥琳に視線をやれば目を瞑って何も言わない。
冥琳が何も言わないって事は私の好きにしていいって事。
冥琳のお許しも出た事だし好きにやらせてもらうわ。
「黙れ下郎」
「「「「「「「「!?」」」」」」」」
私の一言で劉備以外の人間にも緊張が走るのがわかった。
そりゃそうよね。
心の中で、昔とはまるで違うわね・・・・・なんて思いながらも劉備を睨み付ける。
「お前は、いったい誰に向かって無礼な口を利いている!!先の不甲斐ない戦での功で安熹県尉に任命された程度の者が恥を知れ!!!」
「っな!?」
私は殺気を乗せた言葉を劉備に向けて放つ。
周囲の人間は、それ見た事かと言う雰囲気をかもし出し、当の劉備も硬く口を閉ざしている。
多少気が晴れた私は踵を返して天幕を出ようとする。
「ま・・・・・まだ話は終わっていません!!」
・・・・・・・・。
切っていいかしら?
いいわよね?
愛剣の柄に片手を添える。
私は抑えていた感情の蓋を開け、本気で睨み付けた。
「っひ!?」
「・・・・・・・・・・見逃してあげてるのに・・・・・・いい度胸じゃない?」
「わ・・・・・・・・私は暴政に耐える・・・・・洛陽の人達の為に!」
っは・・・・・・・・・馬鹿だとは思っていたけどここまでとはね。
急に笑いがこみ上げてくる。
だって笑うしかないじゃない?
「っぷ・・・・・・・・あは・・・・・・・・・あははははははははははははははははは!!」
「な、何がおかしいんですか!?」
「あははははは・・・・そりゃ、あんたがおかしいに決まってるじゃない♪」
「き、きさまぁ!!黙って聞いていれば!!!!」
抑えきれなくなったのか、今まで黙っていた関羽が手に持つ獲物を私に向ける。
「なに?私を切る気?主がこれなら、部下がこれって言うのも納得できるわね」
「桃香様!愛紗さん!やめてください!!!」
「桃香も愛紗もやめろ!!二人ともわかってるのか?孫策殿は揚州の州牧なんだぞ?
それに刃を向けたとあっちゃお前らの首だけじゃ済まないんだからな!!」
「でも!こんな事してる今も洛陽の人達は苦しんでるんだよ!?白蓮ちゃんはそれでも良いの!?」
心の底からそう思ってるんでしょうね劉備は・・・・・・・。
南陽での一件から見ても一切成長していないようね。
県尉になって少しは成長したかと思ってたけど。
「ッハ・・・・・本気でそう思ってるのならさっさと県尉なんてやめて畑でも耕してなさい。そっちの方がよっぽど世の中のためになるわ」
「っき・・・・・・・きさまぁ!!!!」
「春蘭、邪魔者を止めなさい」
「御意!!」
軍議の場に似つかわしくない金属音が私のすぐ目の前で鳴り響く。
私は愛剣に添えていた手を下ろす。
「きさま!!なぜ邪魔をする!!」
「っふ!華琳様がお前を止めるように仰ったのだ!!この場で邪魔なのはお前しか居ないではないか!!」
「一応礼を言っておくわ曹孟徳。・・・・・・ふぅん、良い部下を持ってるじゃない?」
「必要なかってでしょうけど・・・・・・・・あげないわよ?」
「ぶーぶー・・・・・・」
「まったく、拗ねても駄目よ、あれは私の物なのだから。・・・・・・・衛兵!そこの無礼者を天幕から追い出しなさい!!」
「「「「「っは!!」」」」」
「愛紗ちゃん!!」
「桃香様!!」
衛兵に引きずり出される関羽を無視して改めて劉備に視線を送る。
「どうして・・・・・・・・」
「それは貴方の所為よ劉備。身の程を知りなさい」
「こんな事やっている場合じゃないのに・・・・・・・・どうして、どうして皆わかってくれないんですか!?」
「はぁ~・・・・・・・・、自分だけわかった気になってそれだけ大口叩けるのって、ある意味才能と思わない?」
怒りを通り越して呆れた私は、冥琳にそう問いかける。
今まで口をつぐんでいた冥琳も深いため息をつきながら小さく頭を横に振る。
やれやれ・・・・・・そう言いたそうな冥琳が今まで閉じていた口を開く。
「それだけ豪語しているのだ、もちろん洛陽の現状を隅々まで知っているのだろう?」
「董卓の圧制の所為で洛陽に住む人達は苦しんでいるって『みんな』言っています!!
だからこそ、洛陽の人達を助けるために私達は集まっているんじゃないんですか?」
「ふむ・・・・・・・・・・、では聞こう。お前はその目で見たのではないのだな?」
「・・・・・・私が見たわけじゃありません、だけど『みんな』が!!」
「桃香様!!もうやめましょう!?」
「では、その『みんな』とはいったい誰だ?」
唖然とするしかないわね。
劉備はどんどん墓穴を掘っていく。
私の隣に来ていた曹操もやれやれといった顔で呆れている。
隣に居る諸葛亮は必死に止めようとしてるけど劉備にはその気がないみたいね。
「朱里ちゃん、今言わなきゃわかって貰えないよ・・・・・・だから私はやめない!!」
「駄目です桃香様!!これ以上はいけません!!」
「私の問いは無視するのか?」
冥琳は劉備を逃がさないように改めて問いかける。
ここに居る誰もがわかっている筈のその答えを聞くために。
劉備も馬鹿ね。
怒ったら、私より冥琳の方が怖いのよ?
「この大陸に住む人達です!!だから皆さんも董卓を倒すために此処にいるんです!!」
「ふむ・・・・・・」
冥琳は意味有りげに周囲の諸侯たちを見回す。
曹操と、自分には関係ないとばかりに踏ん反り返っている袁紹、心配そうに事の成り行きを見守っている公孫賛以外はスッとその視線を避けた。
ほら見なさい。
劉備、あんたが思っている程ここに居る人間はできちゃいないのよ。
どうせ皆、手柄がほしいだけ。
ここに来てない諸侯の方がよっぽど良心的よね。
「では、お前達は自分の目でそれを確かめたわけではないのだな」
「だから私達は!」
「そこまでよ劉玄徳!貴方はその目で見たわけでは無いのでしょう?噂だけで動き、噂だけで語る・・・・そんな輩の言葉、誰も信じはしないわ」
「え?」
「・・・・・・・・・・その通りです桃香様。・・・・・・今の私達がなんと言おうと」
「でも!!」
そう言って悲しげに俯く諸葛亮。
劉備からの問い掛けに首を振るばかりで顔を上げる事は無かった。
「はぁ~・・・・・・・なんだか白けちゃったわね」
「どの口がそんな事を言うのかしら?・・・・まったく、貴方も無視すればよかったでしょうに」
「そんな事言ったって・・・・・・・仕方ないじゃない♪」
「や~~~~~~~~っと終わったのかしら?・・・・・まったく!つまらない事で場を乱さないでほしいものですわ!」
・・・・・・・・・。
もう、なんて言うか・・・・・・・・美羽には悪いけど、あれはどうかと思うわ・・・・・・。
ま、私達にはどうでもいいんだけどね。
どうせ私達は一刀を迎えに来ただけだし♪
「まったく・・・・・・・詳しい事が決まったら陣に知らせて頂戴。私もやる事があるの、後はよろしくね麗羽総大将殿」
「あら、華琳さんは良くわかっているみたいですわね!いいですわ、この袁本初が華麗に知らせてあげますわ!!」
「私のところにもお願いね~。さ、冥琳もどりましょ♪」
曹操のわざとらしいお世辞に気を良くして高笑いを上げている誰かさん。
そんな様子に呆れながら、私達は天幕を後にした・・・・・・・と言うか天幕から避難した。
「で、よかったの?」
「何がかしら?」
「わかってるくせに・・・・・・」
曹操と並んで歩く。
「そう言えば、北郷はどこにいるのかしら?」
「一刀は今、忙しく働いてるはず・・・・・・サボってなければ・・・・・・・・だけど」
「そう・・・・・土産を持ってきたのだけれど・・・・・・落ち着いたら会わせなさい」
「一刀はあげないわよ?」
「貴方がそれを言うのね・・・・・・」
本当に他愛の無い会話。
だけど、身体の芯まで伝わってくるこの感覚。
隣を歩くこの小さな少女は間違いなく『王の器』だと私の勘が告げている。
ゾクゾクと背筋に走るこの感覚は身体が喜んでいるのかもしれない。
自らと並びたてるほどの器を感じるこの少女。
この先剣を交える事があるのかしら?
私は、そんな事を考えながら他愛の無い会話を続けつつ、自陣へと足を進めた。
― 張遼Side ―
汜水関を落とそうと必死に向かってくる連合軍を城壁から見下ろす。
「ただのお付きの人やなかったんやなぁ・・・・・・・・」
視線の先で木片を削りながらニヤニヤしている人物。
まさか、ここまでの力を持っとるとは誰も想像できへんやろ・・・・・・・。
もっと攻め込まれるやろうと思っとったんやけど、連合軍は関に近づく事すらできとらんやった。
張勲が用いた策は至極単純。
攻め寄せてくる連合軍が関に到着する前に地面がぬかるむ程の油をまいただけ。
関の少し先から関のすぐ手前まで地面が油でベチャベチャになっとる。
一刀からあの寿春の大将軍やったって聞いたときは嘘やと思っとったんやけど、ほんまやったっちゅーわけや・・・・・・。
一刀曰く、張勲は寿春をほぼ一人で切り盛りしてたらしく、政務だけじゃなく軍部もほとんど張勲一人でまわしとったらしい。
それだけ才があるんやったらどこでも仕官し放題ちゃうんか?
なんであんなお子ちゃまに・・・・・・・。
そのお子ちゃまに視線を向けてみる。
そこには・・・・・・・。
「うむ!華雄の膝はすわり心地がよいのぉ~」
「そ、そろそろどいてくれはしないか?」
「いやなのじゃ!!七乃が華雄の膝に座っていろと言っておったしの」
「い、いや・・・・・・それだと私は戦に出れないのだが・・・・・・・・・」
「外は火が燃えておるじゃろう?、外に出れるはずがないのじゃ」
「む・・・・・・・・そう言われればそうだな」
いや、確かにお子ちゃまの言う事はもっともやで?
でも、そんくらい自分で気づこうや、華雄・・・・・・・。
「は~い、右側の兵隊さんお手々がお留守ですよ~、どんどん投げちゃってくださいねぇ♪崖の両側の人達にも休まず投げるように伝えてくださ~い♪」
張勲は手元の木片を削りながらも指示を出す。
「あんなんでよ~的確に指示が出せんなぁ・・・・・・・」
うちは張勲に近づいて声をかけてみる。
「なぁ、油がなくなったらどうするん?」
「そうですねぇ~・・・・・・・・・」
張勲は顎に指を当てながら、ん~と考え込んで一言。
「さくっと撤退しちゃいます♪」
「・・・・・・・・」
「あれ?どうして固まっちゃうんですか~?」
いや、そりゃ固まるやろ・・・・・・・。
一当てもせんとさっさと撤退するんかいな・・・・・・・。
「・・・・・それでええのん?」
「いいんです♪私達は時間稼ぎしてるだけなんですからねぇ~。それに一刀さんからは無駄に戦わないように言われてますし♪」
「・・・・・・まぁ、できるならこんな無理やりな戦でうちも戦いとうないしなぁ」
「一刀さんもそう思っているからこそ時間稼ぎをするだけで良いって言ったんだと思いますよ~」
確かにこの策やったらあちらさんは攻め込んで来れんやろうし時間稼ぎにはなるわなぁ。
気になっとった華雄もこんな火の海に突っ込むわけにはいかんやろうし。
「それにしても、なんで嬢ちゃんの世話を華雄にさせとるん?」
「本当は私がしたかったんです!!・・・・・・・なのに美羽様が華雄さんに何故か懐いちゃったんですよぉ~・・・・・・」
よよよ・・・・・と崩れ落ちながらそう言う張勲。
なんや・・・・・・・・・戦場におる気がせぇ~へんわ~・・・・・・・・・・・。
戦場に似つかわしくない空気にうちは脱力する以外する事がなかった・・・・・・・・・。
― 諸葛亮Side ―
汜水関を目の前にしてはや数刻。
もう日もだいぶ傾いています・・・・・・。
桃香様が自ら自軍が先陣に立つ・・・・そう言ったのですが、私達はじっと待つ事しかできませんでした。
目の前で燃え上がる炎が私達の歩みを完全に止めてしまっているんです。
今、私達が置かれている状況は、まるで桃香様の目の前に立ち塞がる孫策さんを表しているような気がします。
孫策さんは、熱く燃える炎のようなお方。
今後、必ず・・・・・今、私達が置かれているこの状況のように立ち塞がってくるはずです。
ですが、お世辞にも今の桃香様では太刀打ちできないでしょう。
そして、この先も太刀打ちできるかどうか・・・・・・・・。
今、私達の元に集まってきている人達は桃香様の理想に共感された人達、それと桃香様に助けを求めてきている人達。
私達は桃香様の理想を実現させるために、今この場に立っています。
ですが・・・・・・・・・。
「朱里ちゃん・・・・・・どうにかならないかな?」
「・・・・・・・・・・難しいと思います。雨でも降れば別ですが、この時期だとそれも難しいかと」
「このままじゃ埒が明かぬぞ!」
「むむむむむ~・・・・・・むかむかするのだぁーーーーーーーー!!!!」
「・・・・・今、兵達に砂をかけさせています。・・・・・・ですが、次から次に油を投げ込まれるこの状況じゃ気休めにしかなりません」
桃香様をはじめ、愛紗さんや鈴々ちゃんも先が見えないこの状況にかなり焦れている様子。
まさかここで火を使ってくるとは思いもしませんでした。
私の予測では攻城戦になるはずでした。
私達はそこで一当てした後に、猪武者と名高い華雄さんを挑発して誘い出し、その隙に関へと攻め込む予定だったんです。
「ですが、これじゃただ単に時間・・・・・・・あ!」
時間稼ぎ・・・・・・自分でそう言いかけて気づきました。
でもどうして?
相手がどうして時間稼ぎをするのか・・・・・・それがまったく見えてきません。
ただ時間を稼げば済むのなら、じっと関に篭っていれば済む話。
ですが、目の前はまさしく火の海。
兵が揃っていないのでは?・・・・・・・・即座にこれも自ら否定します。
董卓軍は高い軍事力で名を馳せています。
飛将軍こと呂奉先、神速と名高い張文遠、猪武者と蔑まれてはいますが、その胆力は前者二名にも劣らない華雄。
たった三人の将で自らの領地と洛陽や長安に攻め込んできた黄巾賊を悉く殲滅したという話ですし・・・・・・。
それならばどうして・・・・・・。
「・・・・・里ちゃん!朱里ちゃん!朱里ちゃん!」
「っ!あ・・・・・え?どうしたの?雛里ちゃん」
どれほどの時間考え込んでいたのか・・・・・突然声をかけられて驚きました。
親友の、鳳統士元こと雛里ちゃん。
そのあわてた様子から何か動きがあったのではと直ぐに思い至りました。
「半刻ほど前から油の投擲が止んでるんだよ・・・・・・」
そう言われ、既に日も沈みきるかと言う空を見上げてみると、少し前まで激しく降り注いでいた油壷や木片がピタリと止んでいました。
煙に邪魔されている視界の先を目を凝らして見つめます。
弱い風に吹かれ煙が流されたその一瞬、視界に移ったの光景に私は驚く事しかできませんでした。
「伝令です!!全ての兵を消火に回して下さい!!」
「どうしたの!?朱里ちゃん」
「雛里ちゃん、関の様子を確認してみて・・・・・」
雛里ちゃんは私が言った通り、汜水関の方角をじっと凝視しました。
「あ・・・・・・・」
「多分・・・・・もうあそこには誰もいないと思います」
「私もそう思うよ、朱里ちゃん・・・・・・」
私と雛里ちゃんは、まったく予想がつかない董卓軍の動きと、その目的に不安を抱いていました。
― 凌統Side ―
「いいか董仲穎、俺が合図するまで決して外に出るな」
「はい」
「呂奉先もだ。もし合図が来る前に誰かが入ってきた場合のみ、俺の事は気にせず董仲穎をつれて大門まで走れ。
一刀様の部隊が陣を張っている・・・・・その陣の中に逃げ込めば、もう誰も手を出す事はできない」
「・・・・・・わかった・・・言うとおりにする」
呂布の返事を受け俺は立ち上がる。
「・・・・・・じゃあな」
「・・・・・・・・御武運を」
「・・・がんばって・・・・・」
「そっちもな」
これで董卓は大丈夫だろう。
俺は董卓が監禁されていた部屋に二人を置いて、壁の隅にある隠し扉から地下通路に潜り込む。
正直俺は焦れている。
こんな時こそ一刀様のそばに居なければいけない。
今、一刀様は自らを囮にしている。
速く終わらせて一刀様の所へ向かわなければいけない。
焦れる心を必死に抑えながら劉弁の監禁されている部屋に一番近い通路の隠し扉の前に立つ。
すると、外が騒がしい事に気づく。
「少し大人しくして下さいませんか?」
「触るな無礼者!!朕は知っているのです!!大将軍を暗殺する密談していた事を!!
は、離しなさい!!!張譲の犬め!朕をどうするつもりです!!」
「何を言っているのかわかりかねますが・・・・・・私は殿下をある所へお連れするために参ったのです。殿下に危害を加えるつもりなど・・・・滅相もございません。」
「嫌です!朕はどこへも行きたくありません!それより月を・・・・・・月を呼びなさい!」
「ふぅ・・・・・・董卓殿は今、戦の指揮で忙しいくあられます・・・・・・あまり大司徒殿のお手を煩わせてはいけません、殿下」
厄介な事になっているな・・・・・・・。
一刀様が動けない時を狙って動くとは・・・・・・。
行くべきか、行かぬべきか・・・・・・・・。
ほんの少し思考にふけった瞬間突然外の雰囲気が変わった。
「董卓が逃げたぞ!!!」
聞こえた兵の怒声。
っち・・・・・・・・面倒な事になった。
まぁ、あっちはあの呂布がついているから大丈夫だろうが・・・・。
「今のは?・・・・・どう言うことか朕に説明してみなさい!!」
「まったく、これだから馬鹿は困る・・・・・・・・・こうなっては仕方ない。さぁ、一緒に来てもらいますよ殿下」
「朕に触れる・・・・嫌!!私に触らないで!!!いやぁぁぁぁ!!!!!!」
迷っている暇は無いか。
俺は顔を隠すための布を被る。
フゥー・・・・・・と息を吐き腹に力をこめ、隠し通路から飛び出した。
あとがきっぽいもの
あれ?中盤と言ってたはずなのに終盤っぽくね?獅子丸です。
あ、まだ虎牢関が残ってた・・・・・・。
さてと、早速行きますか。
最初は雪蓮さんSide。
反董卓連合最初の見せ場と言えばここでしょう!!
麗羽の高笑いが反董卓連合戦の開始の合図・・・・・・・そう言っても過言ではないはず。
うん、雪蓮さんイライラしますよね。
多分俺もイライラすると思います。
まぁ、それは置いといて。
問題の劉備。
はい、成長していません。
成長してないまま官位を与えられちゃってました。
十常侍って馬鹿じゃね?
まぁ、この作品の十常侍は馬鹿ですけどね!
劉備に関してですが・・・・・なんて言うかもう、がっつりアンチ√に入っていますね。
まぁ理由は良く覚えていませんが、劉備は史実でも県尉を拝命した後、どっかのお偉いさんが面会してくれなかったからといって
無理やり押し入って縛った挙句、杖で叩きまくって逃げた事もあるという人・・・・・・・。
自分が気に入らなければそう言うことを平気でしちゃう人なんですよね・・・・・・。
うん、もう何も言うまい・・・・・・・。
話は変わりますが、春蘭がいい仕事してくれた気がしますb
関羽さんはまぁ、劉備命だから・・・・・・・ね?
諸葛亮さんは頑張れ!!
曹操さんは今のままでいてください。
お次は霞さんSide。
ん~・・・・・・・まぁ、七乃さんの普段の行動を見てたらそう思いますよね?
原作の七乃さん、知っての通り優秀な人なんですよね。
一人であの寿春を切り盛りしてたわけだし。
孫家との戦も、負けはしたけどちゃんとした将が居ればって考えると・・・・・・。
ってなわけで真の方ではそうでも無かったけど萌でツボに入ったこともあり、七乃さんに少し本気を出してもらいましたb
そして華雄さん。
美羽に懐かれてましたw
これで、この先華雄さんの存在価値ができた筈です(ぇ
さて、この話の肝です。
汜水関での火計。
単純明快な足止め策。
連合軍 側に来ぬなら 怖くない
そんな理由。
火の海と表現した通り、かなりの範囲が燃えていました。
その上、火を絶やさないために関の上、関を挟む崖の両側からの油&可燃物の投擲。
やっていた事はただそれだけ。
投げるだけじゃ届かないところは手当たり次第投石器とかで撃ち込んでいたはずですw
七乃さんは一刀の言った通り、ただ忠実に時間稼ぎをしていただけ。
策自体は七乃さんが考えたんだと思われます。
七乃さんですからね・・・・・・・こういったこと思いつくのは朝飯前かと。
んではお次。
諸葛亮さんの話。
頑張れ。
まじ頑張れ。
そして鳳統さん初めましてw
「董卓軍いなくなってたね、朱里ちゃん・・・・・・」
そんな話です。
苦労してそうですよね諸葛亮さん・・・・・・・。
悩みすぎて身体壊さなきゃいいけど・・・・・・・・。
いくら頭がよくても流石に一刀の脈絡の無い行動と、七乃さんの足止めするためだけしか考えていない火計の真意は気づかないでしょうw
頭がよければその分深読みするのが頭のいい人の悪い癖だと獅子丸は思います。
こんな時こそ春蘭みたいなタイプが正解にぶち当たったりするんですよねw
まぁ、出番は最初だけでしたけど・・・・・・。
さて、最後です。
我らが男!!だけど残念な趣味の凌統さん。
縁の下の力持ち!そんな男凌統さん!
現在、月さん救出大作戦中。
そして、小物臭漂う張譲の手下の名無しさん(たぶん十常侍の誰かだと思われます)。
あ、書き忘れてましたが劉弁と劉協は女子設定です。
大した出番は無いので細かい設定はしてませんが・・・・・・。
気が向けばその内設定考えるかも。
まぁ、今のところは皇帝として頑張ってるけどやっぱり中身は女の子・・・・・・そんな設定ぐらいです。
凌統さんは何気に活躍しています。
あんまり表に出てきませんがw
あと、同じ男だからか・・・・・かなり書きやすい人でもある気が・・・・・・。
この先も活躍しまくる予定ですので、どうぞ頭の片隅に裏で彼の活躍があることを記憶してあげてくださいw
さてと、今回は・・・・・・・・。
あ、公孫賛さんが出てた事すっかり忘れてた・・・・・・・。
まぁ・・・・・うん。
次回も
生暖かい目でお読みいただけると幸いです。
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第四十話。
・・・・・・。
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