No.228617

真・恋姫無双~2人の飛将軍~ 第11話

cavalさん

一刀への負担をすこしでも減らしたい月たちの思いは空しく大陸は新たな戦乱の幕を上げる・・・

作者)
次回12回は7月18日投稿予定

2011-07-18 05:45:27 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:17338   閲覧ユーザー数:14505

第11話 復讐

 

袁紹軍本拠地南皮城。

 

「斗詩さん!公孫賛のほうがどうなってますの?!」

 

「先ほど、文ちゃんの報告で襄平陥落。公孫賛らの重臣は捕らえそこなったとのことです」

 

「わかりましたわ・・・猪々子さんにはすぐにこちらに戻るように伝達しなさい」

 

「了解しました!お嬢様!」

今まで部下にすべてをまかせ、浮世離れしていた麗羽はそこにはいない。

一刀たちによって反董卓連合は解散させられた上に自分だけ逆賊の汚名を着せられたあの日から麗羽はなにかに取り付かれたかのごとく軍務に取り組むようになった。

 

漢王朝からの逆賊扱いを受けたことで袁紹軍から人が離れてはいったものの、元々最大勢力であり名族。逆賊扱いされたのならば天下を統一してしまえという風評が流れ始めたところに、麗羽の豹変が伝えられ、もう滅びる直前の漢王朝よりも麗羽に付くという諸侯が現れはじめる。その影響で兵力が減少するどころかすざましい勢いで軍備を拡張していった。

 

そしてあの日から2ヶ月。大陸最大兵力数50万。復讐という鬼に取り付かれた麗羽がついに動き出す。

長安

 

まだ辺りが薄暗い早朝。一刀は1人城壁の上に座っている。

 

―――詠の情報通りだとそろそろ袁紹が動いてくる・・・

 

現在袁紹・袁術討伐連合の華琳、桃香、雪蓮は勢力差が激しい袁紹軍は一時的に放置し、先立って袁術を電撃戦をもって攻略を開始。華琳、桃香、雪蓮による3方向からの侵攻を袁術軍はとめることができずに、あっというまに首都寿春まで追い詰めたというのが最新の情報。

 

当初の予定では袁術討伐の段階で一刀と恋は参加予定だったが、一刀が倒れたため見送っていた。

 

―――この3週間のおかげで身体の痛みも無くなった。みんなには感謝だな・・・

一刀が倒れたあの日以降、政務や軍務に関して一刀はちょっとした助言程度で、ゆっくりとした静養を取ることができた。その間に閃華の修理などの身の回りの整理もすることができた。

 

―――さてもうすこししたら朝の軍議だ・・・いくとするか・・・

そして城壁から腰を下ろした一刀はしっかりとした足取りで城壁を後にした。

 

長安 玉座の間

「みんな揃ったわね。じゃあ、軍議を始めるわよ。みんなもう分かってるとは思うけど、一刀が戦線に復帰した以上、ぼくたちも袁紹・袁術討伐に動かないといけないわ。これからしないといけないのは2つ。連合への援軍部隊と洛陽守備の部隊の構成よ」

 

詠の言葉に霞と華雄は首をかしげる。

「なぁ、詠。質問何やけどなんで洛陽の守備部隊がいるんや?」

 

「さっきボク達と袁紹軍とで隣接している都市を調べさせていた斥候が戻ってきたのよ。」

 

「ふむ、それでどのような報告だったのだ?」

 

「『上党に10万の兵がいて出撃準備をしている』」

 

「上党に10万・・・なにか拙いのか?」

華雄があたまに「?」を浮かべているような顔をしている。

その華雄に風がヒントを与える。

 

「華雄さんー上党から出陣した場合に行くことのできる場所はどこでしょうー?」

 

「そんなの鄴と洛陽・・・そういうことなのか?!」

 

「いま鄴には対連合用の本隊がいるはずですー。それにもかかわらず上党に10万もの兵を置くのはあまりにも不自然なのですよ。となると狙いは洛陽、そしてその先にある風たちってことでしょうねー」

風は棒付き飴を持ちながら華雄に説明する。

風の説明が終わったのを確認して一刀が声を出す。

 

「それで詠、風。部隊の振り分けはどうする?オレと恋は連合か?」

 

「いえ、連合には恋と霞に行ってもらうわ」

詠の返事は一刀の予想を大きく外れていた。

 

「な!協からの勅命では『飛将軍が参加するように』と書いてあったはずだぞ?」

 

「ええ、そうよ。だから恋には必ず行って貰うわ。それにこれは恋からの願いでもあるのよ」

詠の言葉を聞いて一刀は恋を見る。

 

「ご主人様、虎牢関では1人で恋の分も戦ってくれた。だから今度は恋がご主人様の分戦う」

 

「それは!・・・霞」

反論しようとする一刀を霞が肩に手を置いてとめる。

 

「一刀が恋やうちをあぶないとこに出したくない気持ちは良くわかる。でもな、いまのあんたは病み上がりの人間。どんなに体力の衰えをごまかしていてもうちら一刀と今まで一緒にいたんやで?わからないわけがないやろ?」

体調こそ元に戻ったが霞の言うとおり激しい鍛錬も禁止されていたために体力は落ちてしまっていた。

 

「それに一刀にはうち等が帰ってくるところを守っていてほしいねん。一刀が待っていてくれるっていうことだけでもうちらはがんばれるんや」

 

―――『お兄さんはそこにいるだけでみんなはがんばれるのですよ』と風は言っていた。おれの役目は敵を倒すことじゃない・・・守ること・・・そして生き残ること・・・

 

「わかった。2人が帰ってくる場所はおれが必ず守っておいてやる!存分に暴れて来い!」

 

「当然や!」「・・・まかせて」

 

その様子を見ていた詠が話しを進める。

「納得したみたいね。なら話しをすすめるわ。連合への援軍部隊には恋と霞。5万の兵を預けるわ。恋は戦闘に集中し、部隊への指示は霞おねがい。次に洛陽防衛部隊の隊長は一刀。そして一刀は虎牢関。氾水関へは華雄とボク。それにこのあと合流予定の馬超。洛陽は風が指揮して。兵力は氾水関4万、虎牢関2万、洛陽に2万の計8万。そして長安は月とねねお願い」

 

「「「「「了解!」」」」」

それぞれが出陣の準備を始めるために玉座をあとにし、その日の昼に一刀たちは月や長安の民に見送られて出陣した。

 

そして一刀たちはあらたな戦乱に巻き込まれていくことになる・・・

一刀たちが洛陽守備のための配置につき、恋・霞の連合への援軍部隊を送り出した2日後。ついに麗羽が動いた。

 

虎牢関

迎撃体制の確認と今後の計画について一刀と詠、風が相談していると伝令が走りこんできた。

「伝令!袁紹軍動きました!」

 

「来たわね・・・予想より早いけど兵数は?」

 

「はっ!上党より10万、鄴からも同様に10万です!」

 

「想定通りね・・・氾水関の華雄と翠にも伝えて」

 

「了解しました」

伝令を下がらせた後、風が飴を宝慧に持たせながら口を開く。

「さて向こうはどう動いてきますかねー」

 

「いままでの袁紹ならバカ正直に突っ込んでくるでしょうけど・・・」

 

「一応氾水関への応援として洛陽とここから1万ずつ計2万を氾水関にすぐに送れるようには準備しておくよ」

 

「分かったわ。じゃあ、ボクは氾水関に戻るわ。後方支援はよろしく」

 

「おう」「まかせるのですー」

 

その2日後の夜、麗羽は氾水関手前に陣を張った。

陣の中ではいま軍議が進められていた。

 

「麗羽様、斥候が戻りました。」

 

「報告なさい」

 

「はっ、氾水関の守将は華雄、馬超、賈詡で兵力は4万。野戦を仕掛けてくる気配はなく篭城の構えをとっているとのこと。虎牢関には北郷。兵力は2万。こちらは出撃準備を行っているようですが、その様子からして氾水関への援軍要員と思われます」

 

「わかりましたわ。おそらくですがあの方達は私が正面からの力押ししかしてこないと考えているはずですわ。だからこそその裏をつきますわ」

その麗羽の言葉にほかの武官が反応する。

 

「ということは氾水関から狙うと見せて本命は虎牢関ということですね」

 

「そういうことですわ。氾水関から虎牢関への抜け道の調査は済んでますわね?」

 

「はっ。こちらが氾水関から虎牢関周辺の地図になります」

麗羽の左側に座っていた武官が補佐のものが持っていた地図を麗羽に渡す

 

「では、氾水関へは5万の兵で当たりなさい。虎牢関へは3万の兵で攻め上がります。本陣に残す2万は小出ししながら氾水関の応援に当てること。よろしいですわね」

 

「はっ!」

 

「そして虎牢関への指揮は私が取りますわ。氾水関攻略の指揮は任せますわよ。氾水関への攻撃は早朝。氾水関の視線が攻城部隊に移った頃合をみて本隊は動きますわ。では各自解散!」

各武官達が自分の隊に作戦を伝えにいくために天幕を出て行き、天幕には麗羽1人だけになると麗羽は口元をゆがめた。

 

「フフフフフフフ、北郷一刀・・・あなたは絶対に許しませんわ・・・アハハハハハハハハ」

そして天幕には麗羽の不気味な笑い声が響き渡った。

早朝 

袁紹軍5万と氾水関守備隊4万が交戦を開始。

 

袁紹軍の思惑とは違い華雄率いる董卓騎馬隊、翠が率いる西涼騎馬隊が迎撃部隊として袁紹軍とぶつかった。

そして氾水関からは詠の指示が飛ぶ。

 

「左翼はそのまま敵陣形の左をぬけて横撃用意!中央、右翼は微速後退しつつ左翼横撃の時間をかせげ!」

 

「我が名は華雄!我が武とめられるものなら止めてみせよ!」

 

「西涼の勇者たちよ!我等を迎えてくれた董卓軍への恩をいまこそ返すぞ!私の銀閃に付いて来い!」

華雄、翠の騎馬隊が攻城部隊主流で出撃した袁紹軍の兵力を削り取っていく。

 

「堅盾隊は弓矢隊の援護を!相手からの矢雨に警戒しなさい!」

 

戦闘開始から約1刻が経過し、戦況は董卓軍優位に進んでいっているが、あまりにも順調すぎたために詠はなにかいやな予感を感じた。

 

―――10万連れてきた割には氾水関に当てた人数が少なく感じる・・・そして途中から小出しでくる援軍・・・っ!まさか!!!

 

「華雄!翠!敵陣を食い破って後曲の敵兵力を確認して!」

突然の詠の慌てた声に華雄、翠は驚きながらも部隊を指揮し敵陣を食い破っていく。

 

「もし後曲に兵がいなかったらこっちのこの軍勢は囮・・・」

華雄隊のものが威力偵察から戻ってくる。

「報告します!敵後曲に敵兵ほぼなし!」

 

「っ!!華雄、翠にいますぐ撤退するように伝えて!虎牢関が危ないわ!」

 

「はっ!」

 

―――いま虎牢関には本調子ではない一刀しかいない・・・急がないと・・・取り返しの付かないことになる・・・一刀無茶だけはしないで・・・

 

そのごろ虎牢関ではすでに一刀率いる北郷隊5000と麗羽率いる袁紹軍本隊3万が対峙していた。

 

「これは袁紹殿。あなたをあまりにも過小評価していたようだ。まさか村人も知らないような抜け道を使って直接虎牢関を狙ってくるとは驚かされましたよ」

 

「昔の私と同じと思わないことですわ。北郷一刀、あなたを殺すためならば私は何だってします。そして私の手で地獄に送って差し上げますわ・・・アハハハハハハ!」

 

「まったくおめでたいのは治ってないみたいだな、袁紹。反董卓連合のときもここ『虎牢関』でオレに殲滅させられたのを忘れたらしいな・・・」

 

「アハハハハハ!強がるのもそれまでにしておきなさい!北郷一刀!あなた、病み上がりでまだ本調子ではないのでしょう?それにあのときとは違って完全にあなた1人だけ、華雄も張遼もいませんわ。さて私に殺される覚悟はできまして?全軍突撃ですわ!虎牢関は後からゆっくりやればいいのです。北郷一刀を先に血祭りに上げなさい!」

 

「ちっ!だから攻城部隊が異常に少なく野戦部隊が多いのか!北郷隊は防衛隊形を取れ!守備隊は城壁から撤退の援護をしてくれ!」

一刀は左右の腰にさしている日本刀を抜き取り構える。

「北郷隊虎牢関へ撤退するぞ!殿はおれがする。いそげ!」

切りかかってきた袁紹軍兵士の剣を左の日本刀で受けて右手の刀で切り伏せる。

 

「北郷一刀だけは逃がしてはいけませんわ!騎馬隊、退路を防ぎなさい。歩兵部隊は左右から包囲陣を組みなさい!」

麗羽の言葉に袁紹軍の騎馬隊が虎牢関と北郷隊の間に割り込み退路を防ぐ。

 

一刀は足に氣を込めて一気に部隊先頭へ駆け上がり閃華を目の前の騎馬に向けて突き上げ馬上の兵士を突き飛ばす。そしてそのままの勢いで1直線に騎馬隊を撃破していくが・・・

 

―――倒しても倒しても出てくる!このままだと・・・!

閃華を振り回し騎馬隊を潰していく一刀に隊員からの悲鳴が聞こえた。

 

「隊長!左右からの挟撃です!」

 

「っ!まずい!隊形を方円に!左右からの挟撃にそなえろ!」

 

「北郷隊を援護するぞ!弩隊、敵左右の歩兵隊に向けて斉射!放て!!」

虎牢関からの矢雨によってすこし突撃速度は落ちたとはいえ、圧倒的人数差は一気に北郷隊を飲み込んだ。あっというまに方円は崩れ、部隊はバラバラに切り裂かれた。

 

「各自散開しろ!相手と戦うことは考えるな!自分の身を守ることを最優先でうごくんだ!」

一刀は視界に入った隊員を狙う者を切り伏せてながら声を上げる。攻める戦いと違い守る戦いは自分以外のものへも意識を向けながらの戦闘になり、いつも以上に体力を消耗する。それに一刀は病み上がり、体力はすでに半分以下まで消耗していった。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

呼吸が荒くなってきた一刀のもとに複数の兵士が駆け寄りまわりを固める。

「隊長!ご無事ですか?!」

 

「副隊長か・・・ほかのみんなは・・・?」

 

「わかりません・・・虎牢関の弩部隊のおかげで虎牢関入り口を張っていた騎馬隊は壊滅し、撤退は可能ですが・・・この混乱の中どれだけの兵士が冷静な判断を下せているかはわかりません・・・」

 

「副隊長たちも撤退しろ・・・おれが君達の撤退時間を稼ぐ・・・」

閃華を構えた一刀の前に北郷隊の兵士たちが立つ。

そしてその中の1人が隊員の気持ちを代表し話す。

「なにいってんですか、隊長。あなたはこれからの天下に必要な方です。それに隊長の優しさのおかげで俺たちはここまで生き残れました。おれたちのほとんどはあの匈奴侵攻のときに国境の関で戦った者達です。だからこそあの時の恩を今こそお返しするとき、おれたちが隊長の背中を守ります。隊長の力があれば一気に虎牢関へ駆けぬけることはできるはずです」

 

「でも、それだとお前達が!」

一刀が反論しようとしたときに一刀たちを袁紹軍が発見する

 

「いたぞ!北郷一刀だ!討ち取って誉とするぞ!」

 

「隊長!行って下さい!!」

 

「くそっ!すまない!」

一刀は隊員たちに背を向けて虎牢関へ駆け出す。

 

「北郷一刀が逃げていくぞ!絶対に逃がす・・ガハッ!」

騎馬隊を率いていた武将の胸に矢が刺さる。

 

「わるいな。袁紹軍の者達よ。これより先は絶対に抜かせはしない!」

そして北郷隊の隊員は各自弓矢や剣、槍をもって袁紹軍の大部隊と激突した。

 

―――彼らが稼いでくれた時間は絶対に無駄にはしない!

足に氣を込め一気に戦場を駆けていく一刀。もう周りには味方はいない。左右からの矢や剣撃は日本刀ではじきながら速度を落とさずに突っ込む。しかし、いままでの戦闘で消耗した体力は一刀の動きを必然的に鈍らせる。そしてついに避け切れなかった1本の矢が右腕に突き刺さった。

 

「っ!!!」

右腕に走る激しい痛みと熱。一刀は右腕の袖を走りながら咥え、矢羽を折り腕から矢を引き抜く。そのキズから多数の血が吹き出るのを左手で押さえる。

 

「あらあら、あの『天下の飛将軍』とあろうものがひどい有様ですこと。アハハハハハハハハハ!」

虎牢関への退路上に立つ麗羽が馬上から一刀を見下す。

 

「ちっ・・・こんなときに・・・」

左手に持っていた刀を逆手に持ち替え体の正面に構える。

 

―――右手がうごかない状態でこの状況・・・これが絶対絶命というやつか・・・

 

麗羽が馬から下りて剣を構える。

「ここであなたを殺すことは簡単ですが、それだと私の気が治まりませんの。だからあなたは私が殺して差し上げますわ!」

 

そして麗羽は一刀との距離を詰めて、剣を振り下ろす。その斬撃を一刀は日本刀で受けつつ蹴りを放つが麗羽はその攻撃を避けた。

 

「な!?」

 

「あら、そんなにいまの蹴りをよけたことが驚きですの?ならこれならどうでしょう」

そういうと麗羽は一刀の胸から首のあたりに向けて連続した突きを放つ。

 

その攻撃をなんとか一刀は回避していくが避け切れなかったのが顔や腕を掠める。

「さすがは『飛将軍』北郷一刀。ほぼ体力はなくなり、右腕は動かず、出血による判断低下にもかかわらずここまで動くのには敬意を称しますわ。」

 

「はっ!ほめてもなんもでねぇ・・・ぞ・・・」

―――まずい・・・もう体の力はほとんど残ってない・・・

 

「強がりはそこまでにしなさい。さて死ぬ覚悟はよろしい?」

麗羽が一刀にぬけて剣を構える。

 

「死ぬ覚悟?フ・・・バカ言うな。おれはおれを生かそうと殿を務めてくれた部下達の想いを無駄にしないためにも死ぬことは許されない!そしておれは恋や霞たちに帰って来る場所を守ると誓った!だからまだおれは死ねない!」

一刀は最後の気力を振り絞り刀を構える。いままで一刀と麗羽の周りは土煙が充満していたが戦場に大きな風が吹き土煙を吹き飛ばす。

 

「その覚悟はご立派ですが、その体でなにができるというのですか。殺して楽にして差し上げますわ。」

麗羽が剣を構えて一刀へ走り出そうとしたとき虎牢関の門が突然開いた。

 

そして虎牢関から飛び出してくるのは錦の旗を掲げた兵士たち。

「禁軍だと?!」

袁紹軍でその旗に気が付いた武官たちが驚く。

 

そしてその禁軍を指揮しているものが虎牢関から叫ぶ。

「全近衛部隊!我が友『飛将軍』北郷一刀を守るのだ!」

現漢王朝皇帝、献帝がそこにいた。

 

「麗羽様!禁軍の出現によって我が軍は混乱状態になっております。ここは一度退却しましょう!」

 

「止む得ませんわね・・・北郷一刀。次会った時には必ず殺しますわ」

麗羽は一刀に向かって宣言すると補佐が連れていた馬にまたがり撤退した。

それにあわせるように袁紹軍は撤退していく。

 

一刀の周りには禁軍が回りを固めてその様子を見つめていた。

 

虎牢関にいた袁紹軍が撤退した後、風が虎牢関から一刀のもとに駆け寄る。

「お兄さん!」

 

「風・・・かい?協を・・・連れて・・・きて・・・くれたのは・・・」

もうすでに自力で立てなくなっている一刀は風に抱きつく形で質問する。

抱きつかれた風は顔をすこし赤く染めたもの手を背に回して一刀を支える。

 

「はいなのです・・・陛下に状況の説明をしてるときに虎牢関の危機が玉座に伝えられたのです・・・そしたら陛下が禁軍を召集して虎牢関へ向かうとおっしゃられたのですよ」

 

「そう・・・なの・・・か・・・協には・・・感謝しない・・・とな・・・」

もうほとんど意識がない一刀は途切れ途切れになりながら言葉を続ける。

 

「風・・・おれ・・・すこし疲れた・・・休むわ・・・」

 

「はい、お兄さんお疲れ様なのです。あとは任せて休んでくださいです・・・」

一刀は風に抱きついた状態のまま、闇の世界へと旅立って行った。

 

あとからまとめられた虎牢関被害。 

○死者推定2800名

○けが人4000名以上

○守将 北郷一刀 重症

○城門の一部にヒビ

 

氾水関のほうには目立った被害は出てていないが、虎牢関だけをみると董卓軍の敗北だった。

さらに・・・衝撃的な報告が一刀たちのもとに届けられる。

 

 

 

 

「許昌陥落」

はい、どうも作者です。大幅に投稿が遅れてしまい申し訳ありません。この暑さでアイスのように溶けかけていました。

 

さて物語はついに袁紹・袁術討伐編へ突入しました。

そして今回の本編からとある方が豹変しております。はい、駄名族とよばれていた麗羽です。

 

覚醒麗羽

・武力向上(斗詩、猪々子同等レベル)

・知力向上(本編での一刀と同等クラス)

・笑い方が「おーほっほっほ(ry)」から「アハハハハハハ」に変更

・一刀への復讐心によって覚醒

イメージはひぐらしのL5状態

 

悪役が簡単に死なれては困るなぁと思い、復讐心からの覚醒ってどうよ!( ゚∀゚)と考え、これにいたりました。このあとも何度か麗羽と一刀はぶつかることになります。

 

続いて各都市に関してですが、三国志時代の地図をいろいろ探してはいるのですがいいのがないので「三国志Ⅸ」での都市を参考にしておりますので実際と違う部分もあるかもですが、その点はご了承ください。

 

次回はどうするかはまだ決めていません。拠点を書くか続きを書くか、そのときのテンションによって変わる予定です・・・

 

では次回お会いしましょう。あ、あとすこしドタバタしてるので投稿が遅れる可能性大です。


 
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