No.227519

真・恋姫†無双 十√ 32

kazさん

( ◕ ‿‿ ◕ )<せいぞんせんりゃく~~~

って事で生きてます

ほんとは六月中に投稿予定だったんですが暑さと仕事で中々できなかったっす

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2011-07-11 21:30:17 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:27907   閲覧ユーザー数:17629

 

 

カーン カーン カーン

 

魏軍から鉦の音が鳴り響く、それは戦闘停止の合図、

予めそれの意図を聞かされていた左翼を指揮する稟、前衛を指揮する詠、右翼を指揮する沙和はその音を聞くと同時に

攻勢を停止し整然と隊列を整える

 

一方呉軍は魏軍が突如攻勢を停止した事に驚きを隠せないでいた、何故なら呉軍の防御陣は完膚なきまでに破壊され

ただ蹂躙されるままだったからだ、このまま戦い続ければ魏軍圧勝が間違い中での戦闘停止

しかしそれが何を意味するかが分かる者達もいた、孫権こと蓮華、周喩こと冥琳である、

戦闘停止の意味、それは魏軍本陣へ突入した孫策こと雪蓮の身に何かが起こったのだという意味であると

 

両軍戦闘停止をしてしばらく経った時、魏軍の中央より千名ほどの呉の兵士達が現れる、それは魏の本陣に突入した者達

その者達は武装解除され呉の陣への帰還を許されていた、しかしその顔は焦燥し戦う気力は完全に絶たれていた

その兵達が無事呉の陣への帰還が確認されると魏軍より二人の人物が現れる、一人は夏候淵こと秋蘭、

そして今一人は程昱こと風であった、言葉を発したのは秋蘭

 

 

「聞けい呉の将兵達よ!貴君らの王孫伯符は我等が王北郷一刀と一騎討ちをし、敗北をした!」

 

 

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!

 

 

秋蘭の言葉の後に魏の兵士達から大歓声が上がる、一方その言葉を信じられないと否定する呉の兵士達、しかし

さきほど帰って来た呉の兵士達からの反論がなくただただ泣き崩れる様にそれが事実である事だと分かってしまう

雪蓮と共に魏軍本陣に突入した彼らは呉軍の中でも精鋭中の精鋭、呉に絶対の忠義を誓う者達なのだ

 

「呉は兵において破れ、さらに武においても敗れた!これ以上の抵抗は無駄である!速やかに降伏をすべし!」

 

「それでも貴君らがまだ我等に対し抵抗を続けるというのなら我らは呉の将兵事如くを殄戮し、

呉の大地を焦土と化すまで焼き尽くすものと知れ!」

 

魏軍からの歓声がさらに大きくなる、魏軍からの降伏勧告、それにどうするのかと見守る呉の兵士達

戦場は魏軍が圧倒的優位にたっており呉軍の主だった将兵も悉く傷つき討ち果たされ防衛するのさえやっとの状態、

他国からの援軍も期待できず、さらに自分達の王孫策伯符は一騎討ちで倒れたとの事、もはや希望は見出せない

自分達に残るのは降伏を受け入れるか一兵残らず討ち死にするしかないのだと

 

秋蘭の一方的な口上を歯を食いしばりじっと聞き続ける蓮華、そんな蓮華に呉の重鎮達は鼓舞するかのように

 

「きゃつらの世迷言を信じてはなりません、孫策様が一騎討ちで敗れる事などあるはずがない!」

「このような不利な状況など今までにも何度もあり申した!だがその度に我らはそれを乗り越えてきたのです!」

「孫権様ご命令を!我らの命は呉と共にありまするぞ!」

 

降伏などすべきではないと進言する者達、そんな言葉を聞きながら蓮華は自らの愛馬を用意させるよう伝える

そして愛馬に乗ると本陣より出て秋蘭の前まで進む、自らそれが事実かを確認する為に、

その姿に危うさを感じた冥琳は瀕死の身体を推して蓮華の後に続き後ろに控える

 

「我が名は孫仲謀!偉大なる江東の虎孫堅の娘であり呉の王孫策の妹である!見知りおけ!」

 

初めて呉の孫権を見た秋蘭はこの絶望的な状況にも拘らずその目にはまだ闘志が溢れているのを見、

改めて孫家の血筋というものに畏怖の念を感じるのだった

 

「魏将夏候淵に問う!我が姉…、我等が王孫伯符は生きておられるや否や!」

 

蓮華が望むのはただただ姉の生存、望みは薄い、しかし我が姉は生きているとの強い想い、そんな蓮華に対し

 

「安心するが良い、貴公らの王孫伯符殿は生きている!我等が王北郷一刀との一騎討ちにて怪我をしその身柄は

現在我等が預かり処遇についてはこの戦いの後改めて下されるであろうがそれまでの命は保障はしよう!」

 

「その言嘘ではないな!」

 

「すでに我らはこの戦場において勝利者とならんとしている、にもかかわらず今更恥を晒すような真似をする理由なし!

もし信じぬというのであれば今一度戦い力ずくでそれを確かめてみられるがよかろう!ただし!

再度戦端が開かれた場合貴君らとの交渉が再びあるとは思われぬ事だ!」

 

秋蘭を睨む蓮華はその言葉を聞くと目を瞑る

 

”そうか、姉様は生きておられるのね…、よかった…、本当によかった…”

 

心から姉の生存を喜ぶ蓮華、必死で表情を変えないように、魏に足元を見られないようにと平静を装う

そして次の瞬間決意を込め秋蘭に言葉を発しようとした時、それを察した冥琳が蓮華に声をかける

 

「蓮華様、魏に降伏いたしましょう」

 

その言葉に蓮華は驚く、まさか身内から、しかも最も信頼する冥琳から降伏の言葉を聞くとは思わなかったからだ、

その言葉に異論を唱えようとする蓮華、孫家の者として卑怯者となるを良しとせず、命の限り戦う事こそが孫家の誇りと

考えていたからだ、しかし冥琳はそれを制す

 

「もはや我等に勝機はありません、今ここで戦って死んだとしても無駄死に以外の何者でもありません、

なにより無駄に命を捨てるのは雪蓮様とて望んではおりますまい」

 

「今まで祖先が、母様が、姉様が築き上げてきたものを私が…、私の手によって終わらせろと言うの冥琳!

そんな事が…できる訳ないじゃない!」

 

苦悩する蓮華、蓮華自身もわかっているのだ、このまま戦えば負けるのは間違いなく多くの呉の兵をむざむざ殺して

しまう事も、しかしそれでも非情に徹し戦うのが呉に生まれし者の宿命なのだと

冥琳はそれとわかっていながらも説得を続ける、しかし頑として降伏を受け入れようとしない蓮華に声をかける者

 

「あの~、孫権様、少しよろしいでしょうか~」

 

声をかけたのは風、そのゆるやかな声の主を見据える蓮華と冥琳、そんな二人に風は

 

「ご無礼の程お許しを、私は魏の軍師程昱と申します、我が主北郷一刀より呉との交渉の全てを任されております~」

 

「お主が程昱殿か、変幻自在の用兵で数々の武勲を立てた名軍師の」

 

「稀代の大軍師周喩様からそういわれると照れてしまいますね~」

 

「私は世事は言わんよ、正当に判断しただけだ、それで何用か?」

 

「はい~、実は孫権様にお渡ししたいものがあるのですが~」

 

そう言うと風は布に包まれたあるモノを冥琳に渡す、冥琳はその布を少しずつ開けていくとそこにあったものに目を顰める

そして震える手でそれを蓮華に渡す、蓮華もまたそれを見て悲しそうに、そして今まで我慢してきた涙が一気に溢れ出す

風が二人に渡したもの、それは

 

『折れた南海覇王』

 

孫呉の象徴、孫呉の命ともいうべき剣、それが無残に叩き折られたその意味するものは孫呉の魂の消失

折れた南海覇王を大切に抱きしめ声を殺して泣く蓮華、冥琳とそれを見つめる呉の将兵達も蓮華の姿に涙を浮かべる

しばらくの静寂の後、搾り出すような声で言葉を発したのは冥琳

 

「蓮華様、もう誰も、もう何も貴方を縛り付けるものはありません、孫家も呉も関係ありません、貴方の思うままに

貴方の望むようにお進みください」

 

その言葉に蓮華はついに決断する、秋蘭と風に向き合うと降伏の条件として蓮華はある条件を申し出る

本来なら圧倒的に有利な状況で敗者の条件など飲む必要などないのだが風はその条件を快く承諾する

 

 

こうして最後まで戦っていた呉の将兵達は魏の軍門に降る事となったのだった

 

 

 

 

一刀が目を覚ましたのは雪蓮との一騎討ちから一週間程が経ってからの事

 

誰もが華佗による必死の治療が功を奏したと思っていた、しかし当の華佗は自分の力で一刀を助けれたとは

思ってはいない、何故なら雪蓮によってつけられた傷は確かに自分の手当てで直せたとは考えてはいたが

頭痛については原因がまったくわからなかったからだ

 

華佗の判断で一刀が回復するまでは面会謝絶の判断が成されていた為に魏の面々は見舞いすらできなくてそれを

苦痛に感じていた、しかしようやく面会が許されると皆は一刀の元にいく、

しかしその表情は今までとは違っていた

 

「やぁ皆心配かけたね、でも華佗のおかげでもう大丈夫だから、やっぱもっと鍛えないとだめだな、ははは」

 

雪蓮によってつけられた傷はまだ痛々しく残り苦痛はあるにもかかわらずそれを隠し空元気を見せる一刀

いつもならその姿、その言葉に皆は安堵し一刀に労いの言葉をかけたりもしたのだろうが今回は誰も言葉を発しようとは

しなかった、一刀も何か変だなと感じ皆に言葉をかけようとしたその時

 

「いつからだ」

 

「え、何が?」

 

「とぼけるなっ!!いつから隠していたのだと聞いておるのだっ!!貴様の、その頭痛をっ!!!」

 

今にも殴りかかってきそうな春蘭を抑える秋蘭と霞、その顔は怒りに満ち満ちていた、他の魏の面々も

戸惑い、疑念、怒りといった様々な表情をしていた、

急な問いにたじろぐ一刀、頭痛の事は隠していたはずだったからだ、しかしふと見ると季衣と流琉が今にも泣きそうな

顔をして一刀の方を見ていた、それを見て一刀は納得する、二人は関中軍を破った後の長安で一刀が頭痛で倒れたのを

目撃していたのだ、その事は秘密にという約束だったはずだがどうやら皆にバレてしまったようだと

 

一刀は季衣と流琉に悪いと謝りながら一呼吸すると静かに話し出す

 

「それが最初かはわからないけど、何か違和感のようなものを感じた頭痛は関中軍が東征の可能性があるって

報告を受けた時辺りかな」

 

「そんなに前から!何故も言わなかったのだ!!」

 

「その時はたいした事がないと思ってたからだよ、実際倒れたのは長安の時が初めてだったしな、

でももう大丈夫だよ、その後華佗の治療を受けて頭痛の頻度はだいぶ治まったし痛みも少なくなったし」

 

そう言う一刀に対し魏の面々は一斉に華佗を見る、華佗は平静を装って相槌を打っていたがその顔には

滝のように汗が流れていた

 

 

「「「嘘だな」」」

 

 

「……華佗、そこは医者として平静を装って答えて欲しかったんだけどな」

 

「す、すまん北郷!」

 

ばつが悪そうに答える華佗を頭を抱え溜息をつく一刀、そんな一刀の元に凄い剣幕でズカズカと歩み寄る春蘭

 

「北郷おおお!!!」

 

「は、はいいいっ!」

 

鉄拳制裁を覚悟した一刀、しかし春蘭の壁をも壊す鉄拳が放たれる事はなかった、そこにはぶわっと涙を流す春蘭

 

「頼むから…、もう、私達に隠し事はしないでくれ…」

 

「春蘭…」

 

「北郷、私達はそんなに役に立たないのか?そんなにお前の力になれないのかっ!」

 

「北郷、私達は共に歩むと決めたではないか、苦しみを一人で抱えるな、悲しみを一人で抱えるな、お前ができない事は

私達がやってやる、我らはお前の為に尽くす為にここにいるんだぞ!」

 

春蘭に続き秋蘭が言い放つ、魏の他の面々も決意を込めたように一刀を見つめる、誰もが一刀の事を想っている

誰もが一刀が苦しむのを悲しんでいるのだ、そんな想いが痛いほど伝わってくる

 

「ごめん、皆に心配をかけさせにようにと思ってたんだけど逆に心配をかけさせる事になっちまったな、

この頭痛の原因が何なのかはわからないけどもう隠すような事はしないからさ、これからは何かあっても皆を頼るから」

 

「本当か?嘘じゃないな!絶対だな!」

 

「ああ」

 

春蘭の問いにしっかり答える一刀、その言葉でようやく皆に笑顔が戻る、ようやくいつもの魏に戻ったのだった

落ち着いた魏の面々を見て安堵する一刀、そして大事な事を思い出し皆に聞く

 

「そういや呉との戦いはどうなったんだ?皆がここにいるって事は大丈夫だと思うけど」

 

その言葉に桂花が答える

 

「心配しなくていいわよ、ちゃんと我が軍の大勝利で終わったわ、呉は魏に降伏し戦後処理も粛々と進めているわよ」

 

「そっか、俺が不甲斐ないばかりに皆に苦労かけさせちゃったね、ごめん」

 

「そ、そんな事はありません!北郷様はあの孫策と一騎討ちをなさって勝利なさったではありませんかっ!

戦功で言うなら北郷様が第一ですっ!」

 

必死でフォローする凪、しかしすぐに真っ赤になって縮こまる、そんな様子に再び笑い声が起こる

 

「雪蓮は…、どうなった?」

 

次の一刀の問いに答えたのは秋蘭

 

「北郷が倒れた後孫策も倒れてな、傷と疲労の蓄積だろうが治療を受けさせている、あれだけの英傑だ、

治りも早いしもう心配するような事にはなるまい」

 

「そっか…、雪蓮には悪い事をしちまったな…、戦いの中で決着をつけなきゃいけなかったのに」

 

一刀が想うのは雪蓮と交わした”必ず殺す”との約束、本来戦いの中でそれを成すはずだったのだが自らが倒れるという

失態を犯したが為に改めてそれをせねばならない事を辛く思っていた、戦後ではそれは見せしめと思われかねないのだ

苦悩する一刀、しかしそこにゆるーい声で

 

「あの~、実はおにーさんにお話しておきたい事が~」

 

「ん、何?」

 

 

そして風から聞かされる話、最後まで聞き終えた一刀は頭を掻き大きな溜息をつきながらも微笑み

 

「まったく、我が軍の軍師はたいしたもんだよ…」

 

「お褒めに預かり恐縮です~♪」

 

 

 

 

-石頭城-

 

呉制圧の為の魏の拠点となっている場所、現在ここには進撃してきた軍の大多数が駐屯しており先遣隊の数万が

すでに建業入城を果たしていた、一刀自身は傷がまだ癒えてはいなかったが呉の民に姿を見せたいと懇願したのだが

 

”万が一の事があったらどうするのですか!一刀殿は傷が完治し、頭痛が出なくなる事が確認され!

建業の安全が確認できるまでは入城は許しませんっ!”

 

というまるで母親のような稟の一喝によって留守番する事になった一刀、その後ようやく立ち上がれるまでに回復した

一刀は捕らえている雪蓮との面会をする事となる

 

石頭城の一室の椅子に座る一刀、その脇には魏の面々が控えていた、そこに凪に連れられてやってきたのは

元呉の王孫策伯符こと雪蓮、戦いで受けた傷はまだ痛々しいまでに残っていた

雪蓮は部屋に入ると一刀の姿を見て安堵し

 

「一刀、元気そうで良かったわ、ほんとに…」

 

「この状態で元気ってのは無理があるな、まだあちこち痛くてどうしようもないよ」

 

「そう思うんだったらとっとと私にやられちゃえばよかったのよ、そうすれば痛みなんかなかったのに」

 

そんな風にからかい親しげに語り合う一刀と雪蓮、ついこの前までは命をかけて戦っていたとは思えない風景

しかし雪蓮はすぐに表情をきつくすると一刀に問う

 

「建業の…、いえ呉の民や将兵への扱いは?」

 

「大丈夫、軍規は厳しくしている、もし略奪や暴行があったら斬首は徹底させてる、将とて例外なくね、

今の所そういった報告はないし、呉の人達の反抗も数えるほどしかないけどその辺は周喩さん達が呉の有力者達を

上手く説得してくれて大きな反乱のようなものにはなっていない」

 

「そう、よかった…」

 

ほっとする雪蓮、敗れ、虜囚となっても呉の仲間と民の事をずっと心配していたのだ、いくら軍規が厳しいとは言え

戦勝後は末端まではその命が徹底してる事は稀であり、一度略奪や暴行が起こればそこから反乱が広まり

多くの民の命が奪われていくのは良くある事なのだから、しかし魏軍は今の所それはないとの事、それを信じた雪蓮は

 

「うん…、これでもう思い残す事はないわ、後の事は任せるわね、さぁ約束どおり私を殺して一刀」

 

決意を込め一刀に自らの命を差し出そうとする雪蓮、しかし一刀から出た言葉は

 

 

「ああ悪いけど雪蓮、君を殺す事はできなくなったんだ、ごめんな」

 

 

さらっと言った一刀の言葉に雪蓮は一瞬言葉を失う、そして怒りを露にして

 

「ふざけないでっ!今更憐れみをかけるつもり?もしそうなら私は一刀を…「そこから先は私が説明いたします~」

 

雪蓮が今にも一刀に詰め寄ろうとした所にゆるーい声で制したのは風、雪蓮の前に進んだ風は一刀の了承を得て話し出す

 

「お初にお目にかかります、私は程昱と申します、以後お見知りおきを、実はおにーさん…北郷様と孫策さんの一騎討ちの後

孫権さんに降伏勧告を申し出したのですがその時に降伏する為の条件として

”呉の民の安全、将兵の安全、そして孫策さんの助命”を申し出されたのです、これ以上無駄な血を流さない為にも

私達はそれを了承致しました~」

 

風の説明に言葉を失う雪蓮、確かに呉が降伏した事を聞いた時は”よく蓮華が素直に降伏したものね”という感じには

想ってはいた、自分がたとえ虜囚となっても蓮華なら孫家、呉の誇りの為にも最後の一兵までも率いて戦うつもりだと

思っていたからだ、そんな疑問を雪蓮は風に聞いてみる

 

「蓮華がよくそんな条件を出したわね、あの子なら逆に自分の命や将兵の命を惜しむような事はせず、

最後の一兵までも戦おうとすると思うのだけど…、程昱さんと言ったかしら?どうやったのか教えてくれない?」

 

「別段難しいことはしておりません、交渉時に折れた南海覇王をお返ししただけです」

 

その言葉にようやく全てを理解した雪蓮、そして笑みを浮かべ風に

 

「ありがとう、あの子から孫呉の呪縛を取り払ってくれたのね…」

 

「お礼ならおにーさん…、北郷様にお願いします、剣を折ったのは北郷様ですし~」

 

にこやかに話す風を見てふふっと笑顔になる雪蓮

 

「でも一騎討ちの後の交渉だとしたら一刀は気を失ってたとは思うけど、もしかして勝手に決めちゃったんじゃないの?」

 

「風とおにーさんは一心同体の仲ですので~、ぽっ」

 

「へー、一刀ってこういう子の方が好みだったの」

 

「いや、何でそーゆー話になるかな、俺は皆を信じてるし皆を頼りにしてるんだよ、風が孫権と交渉したのも

それが適切な判断だったと思うし俺はそれを今更反故にするつもりはない、それが魏という国なんだよ雪蓮」

 

強い結びつきのようなものを感じてしまう雪蓮は改めて一刀と魏の強さを思い知るのだった

 

「雪蓮、君には俺たちと一緒にギョウへ来てもらいたいんだけどいいかな?雪蓮には今後魏と江東との橋渡しとしての

役目をしてほしいんだ」

 

「私は敗者、それが望みなら従うわ、でも私にあまり頼らないでよ、私に出来ることなんてそんなにないのだから」

 

「わかってる、そこまで甘えるつもりはないよ、でも江東の人達とはもう争いたくはないんだ、誇り高い江東の人達

は少しの諍いが切っ掛けで爆発するかもしれない、少しずつでも時間をかけて溝を無くしていきたいんだよ」

 

そんな風に江東の民の事を想う一刀に雪蓮は笑みを浮かべるのだった

 

「さて雪蓮、この後時間あるかな?実は会わせたい人達がいるんだけど」

 

「あら?誰かしら?」

 

「実は今戦後交渉の為に呉の重臣達がこの石頭城に来ていてね、皆雪蓮の事を心配してるようだったから

会って安心させてあげたいと思ってさ」

 

その言葉に久々に呉の仲間達に会える事に喜ぶ雪蓮、二つ返事で了承し、一刀と護衛の凪と共に呉の人々に会いに行く

 

 

 

 

一刀がまず雪蓮を連れてやってきた一室、そこにいたのは

 

「穏!」

 

「しぇ、雪蓮様~、ご、ご無事でよかったです~~」

 

そう言うと大粒の涙を流す、部屋にいたのは陸遜こと穏、ここは医療室の一つなのだが何故そこに穏がいたかというと

彼女はある人物の介護を自ら買っていた為だった、その人物とは

 

「亞紗…」

 

寝台に眠っていたのは呂蒙こと亞紗、魏呉の戦いの折魏軍の虎豹騎の一撃を受け傷を負った、

その後呉が降伏した後に助けられ華佗の手によりなんとか一命を取り留めていたのだった

眠り続ける亞紗の顔にそっと触れる雪蓮、その顔は泣きじゃくり憔悴しきった後が見受けられる、穏がそれについて

 

「亞紗ちゃんはずっと謝っていました、ごめんなさい、ごめんなさいって…、雪蓮様を助けられなかった事をずっと

悔やんで…、ずっと自分が悪いんだって言って…」

 

「そう…、まったく、この子って何でも自分のせいにしようとする子なのね…、誰のせいでも、ましてや亞紗のせいじゃ

ないっていうのに…」

 

疲れきってぐっすり眠る亞紗に顔を近づけると雪蓮は頬に口付けをする、そして一刀に

 

「一刀、こんな事言えた義理じゃないけど亞紗の事お願いできる?」

 

「もちろんだよ、戦いは終わったんだ、もう敵も味方もない、助けられる限りは助ける」

 

「ありがとう」

 

そう言うと雪蓮は一刀と共に部屋を出て行こうとする、しかし出て行く寸前穏が一刀を呼び止める

 

「北郷様、ご無礼を承知でお尋ねさせて頂いてもよろしいでしょうか」

 

穏の声に立ち止まる一刀達、真剣な顔をする穏に一刀は

 

「うん、答えられることなら答えるよ陸遜さん」

 

「ありがとうございます北郷様、わたしが聞きたいのは唯一つだけです、何故…」

 

 

”何故亞紗ちゃん、呂蒙子明の事を知っていたのですか?どこかでお会いした事があるのですか?”

 

 

穏の問うたのは亞紗の事、呉の首脳陣さえその存在を決戦の前まで知らされていなかったこの少女の事を何故知っていた

のかという疑問、雪蓮もその問いには興味を持っていた、一方一刀は頭をポリポリと掻いて溜息をつくと

 

「ふざけていると思うかもしれないけど真実だけを答えるよ、俺は君の言うとおり呂蒙の事を知っている、でもこの世界で

出会った事はないよ、俺が知っているのは別の世界、元の世界での歴史上の人物として知っている呂蒙子明の事なんだ、

数々の武勲を立てた呉の名将、もしかしたらこの世界にもいるんじゃないかってのを決戦の前に軍師達に伝えておいて

おいたんだ、ただそれだけなんだよ」

 

一刀の問いに唖然とする雪蓮と穏、亞紗の事をどうやって知ったとか出会ったとかではない、

『呂蒙という呉の名将を知っていた』というただそれだけの答え、普通なら食って掛かる者もいるかもしれないが

穏はその問いを受け入れる、北郷一刀という人物が別の世界から来たという夢物語のような話を雪蓮や冥琳から

聞かされていたからだ、それでも目を閉じ悔しさを滲ませながら穏はつぶやいてしまう

 

「そんなの…、勝てる訳ないじゃないですか…」

 

病をおし命を削ってまで策を練った冥琳、血の滲むような思いで自らと騎馬隊を極限まで育てあげた亞紗、

他の将兵達も呉が勝つ為にあらゆるものを犠牲にし、勝つ為に全てを費やしたものが脆くも崩れ去っていく、

人外とも言える一刀の知識にただただ悔しさを滲ませる

 

一刀はそんな穏の心情を痛いほどわかり雪蓮と凪を連れ部屋から出て行く

 

廊下には先ほどの部屋から聞こえる穏の慟哭が響き渡る

 

 

 

 

次にやってきた部屋に一刀達が入ろうとした時大きな声が部屋の中から聞こえてくる

 

「ダメと言ったらダメですっ!」

 

「堅い事を言うな明命、ちょっとじゃ、ちょっとだけでいいのじゃ、そうすればこんな傷すぐにでも治るのじゃから…」

 

「ダメです!華佗さんも言ってたじゃないですか!傷がちゃんと治るまではお酒はダメだって!」

 

「おい明命、ワシよりあんなヤブ医者の言う事を信じるのか?ああ嘆かわしい、孫呉に長年仕えてきたワシよりも

あんなヤブ医者のいう事を…、ああ、堅殿ワシはもうダメかも知れん、いっそこのまま堅殿の下に…」

 

「あ、ああっ、だ、ダメですそれもダメです~~「そのくらいにしておきなさいよ祭、明命が可哀相でしょ」

 

雪蓮の声が聞こえた瞬間そこにいた人物、呉の将周泰こと明命、黄蓋こと祭は時間が止まったように止まる、そして

じわじわと感情が高ぶり泣き出す明命、祭はヤレヤレといった感じでそんな明命の頭を撫でる、和やかなムード、しかし

次の瞬間その場が張り詰めた空気に変わる、雪蓮の後から入ってきた一刀と凪が見えたからだ

 

「黄蓋さん久しぶりだね、怪我の具合はどうだい?」

 

「何をっ!お前達が…「はっはっは、心配ない!ちょっと血を失くしただけじゃしの、それを医者共は

たいそうに騒ぎ立ておっただけじゃ!」

 

明命が一刀に食って掛かろうとする所を祭が遮り気さくに話しかける、明命はそんな祭の姿に戸惑いながらも

守るかのように祭の寝てる寝台に近寄らせないようにと一刀に対し殺気を放つ、しかし

 

「ええい、やめんか明命!せっかく策殿と魏の覇殿が見舞いに来ておるというのに少しは控えんか!」

 

「で、でもみんなが!祭様がこんな怪我をしたのも魏の…「命を懸け、誇りをかけた戦いで命を落とす事は覚悟しておる!

立場が逆だとしたら明命よ、お主は全力で戦い敗れ降った者を卑下し唾でも吐きかける下衆の類かっ!!」

 

一喝する祭に明命はシュンとする、そんな明命の傍に近寄る雪蓮

 

「はいはいそこまでそこまで、祭もあんまりいじめちゃダメよ、明命戦いはもう終わったの、わたしが不甲斐ないばかりに

苦労させちゃったわね、ごめんね」

 

「そ、そんな!…しょ、しょんにゃことわ…ひっぐ、ご、ごめんなさい、ごめんなさい雪蓮様…ひっぐ…」

 

泣きじゃくる明命を抱き寄せる雪蓮、そんな二人を見守る一刀に祭が声をかける

 

「北郷殿、此度の戦は我らの完敗じゃ、ここまで徹底的に叩き潰されれば逆に潔いとさえ感じおるわ」

 

「皆が頑張ってくれたからね、でも一歩間違えば立場は逆になってたと思うよ、ほんとにギリギリだったと思うから」

 

そうしみじみと語る一刀を祭は何故か憎めないでいた、孫呉を倒した相手、憎んでも憎みきれないほどの相手のはずなのに、

そしてそんな感情を思わせないのが北郷一刀という人物の人気なのだろうと

しばらくの談笑のあと、一刀達はその部屋を出て行こうとした時、祭が一刀に話しかける

 

「ああそうじゃ北郷殿、酒を飲めるように取り計らってくれんじゃろうか?ワシはもう大丈夫じゃと言うのに医者やら明命が

身体に毒じゃと言うて飲ませてくれんでな、酒が飲めないくらいならワシはもう死んだほうがマシなんじゃ

それに昔から酒は百薬の長と言うじゃろうて」

 

「ん、酒ですか?いいですよ、お口に合うものがあるかわかりませんがすぐに用意させま…「ダメですっ!!」」

 

一刀が祭の意見を聞きいれ酒を準備させようとしたのを明命が一喝する、そしてフーッ!とまるで猫のように威嚇する明命

そんな姿に雪蓮や祭は呆れ、そして一刀も

 

「うん、黄蓋さんにはこの国の為にまだまだ頑張ってもらわないといけないからね、早く身体を治してもらう為にも

もうしばらくはお酒は控えてもらおうかな、まぁお酒はいつでも渡せるよう手配しておくから、医者の了承が

得られれば黄蓋さんに飲ませてあげてよ周泰さん」

 

「は、はいっ!ありがとうございます!」

 

一刀の言葉につい素直に答えてしまう明命、すぐに”あっ”と気付き再び睨むような顔をする

そんな明命に別れをつげ部屋を出て行く一刀と雪蓮、その姿を見つめながら祭は目を瞑り先ほどの一刀の言葉を思い出す

 

 

”黄蓋さんにはこの国の為にまだまだ頑張ってもらわないといけないからね”

 

 

「この国のため、か…」

 

一言呟いた祭を明命は何事かという感じで覗き込む、そんな明命の頭をくしゃくしゃをかき回すと

祭は雪蓮の母孫堅を想いうかべ

 

 

”堅殿、ワシらの完全な負けのようじゃ…”

 

 

 

 

最後に来た部屋、雪蓮が中に入って目に入ったものは我が妹蓮華だった、

蓮華も雪蓮を確認すると今まで我慢してきた想いを隠すことなく雪蓮に抱きつく

 

「ごめんなさい姉様、ごめんなさい!、私のせいで孫家の誇りが…、今まで姉様や母様が築き上げてきたものを

私が…、私が全て汚してしまった!、ごめんなさい姉様…」

 

「何言ってるのよ、よく決断したわね蓮華、誰も貴方を攻めはしない、誰も貴方の決断を咎めはしない、

もし文句を言う奴がいたら私がそいつの首を落としてあげるわよ」

 

「うわあああああああああああああああああ」

 

声を上げて泣く蓮華、自らが成した決断をずっと後悔していた、何度も自らの命を絶とうと思っていた、しかし自分だけ楽に

死ぬわけにはいかない、そんな事をすればそれこそ孫家と呉を辱めることになると思っていたから

 

だからこそ死ぬ時は姉の手にかかって死にたいと、姉の手によって卑怯者として殺される事を望んでいた

しかし姉の雪蓮は蓮華を侮蔑するような事はなく優しく、そして決断をほめてくれた、それが嬉しかった

 

姉妹水入らずの時間、それほど長い時間ではなかったが雪蓮と蓮華の二人は互いに温もりを感じていた

 

ようやく落ち着きを取り戻した蓮華を見た雪蓮は扉の外で待つ一刀に声をかける、一刀は姉妹の時間を邪魔しないように

外で待っていたのだったが

 

「もういいわよ一刀、中に入ってくれないかしら?」

 

「うーん、なんか入りづらいな、孫権さんとは後でちゃんと会って話をするつもりだったんだけど…」

 

「何今更硬くなってんのよ、あ、もしかして蓮華にいやらしい事しようと考え「考えてないから!」

 

雪蓮の軽口が言い終わる前に言葉を遮る一刀、そんな二人のやりとりをじっとみつめる蓮華、戦いの前までなら

呉を滅ぼした奴などに口を聞く様な事はなかったかもしれない、しかし今の蓮華はまるで憑き物が落ちたかのように

 

「先日は挨拶もなく失礼いたした、改めて私は孫仲謀と申す、約定通り我らが王孫伯符の命を助けてくれた以上

今後どのような罰も受ける覚悟はある、煮るなと焼くなと好きにするがいい」

 

キリッとした感じに自分の意見を言う蓮華に雪蓮は相変わらずねという感じにため息をつく、一方一刀はというと

 

「別に君をどうこうするつもりはないよ、戦いが終わった以上必要以上に断罪するつもりはないから、一定以上の決め事

はさせてもらうけどそれ以外に特に魏から何かを押し付けるつもりはないから安心してくれていい」

 

その言葉に呆然とする蓮華、そして姉雪蓮の顔を見やるも雪蓮はただ微笑むのみ、そしてようやく気付く

これこそが魏の覇王、姉孫伯符を一騎討ちで破り呉を大敗させたものの人気というものだと

しかし蓮華はそれに納得がいかなかった、それは孫家の誇りかはたまた意地なのか

 

「それでは…、それでは私の気が収まらないっ!!北郷一刀、私を抱きなさいっ!」

 

「へ?えええええええええええ!!!」

 

蓮華の急な提案にさすがの一刀も動揺する、雪蓮に助け舟を求めるも雪蓮は腹を抱えて笑って役に立たない状態

”こ、この姉は…”とか心の中で呆れながらも必死で自分を落ち着かせる一刀

 

「えと、何で急にそんな事を?」

 

「この戦いで孫呉は全てを失った、全ては私が未熟なせい!しかし私はまだ何の罪にも問われず、

そして貴公も私に対して何も求めてはこない、このままでは死んでいった者達に私は何も詫びる事が出来ないのだっ!

北郷一刀よ、私に敗者としての屈辱を与えよ!それが私に出来る呉の将兵そして民たちへの償いなのだ!」

 

「自らを差し出し、負けたことへの贖罪をしたいと言う訳か」

 

「その通りだっ!」

 

一刀の問いにめい一杯の声で即答する蓮華、そんな蓮華に一刀はため息をつくとキッと鋭く見つめなおし蓮華に近づく、

覚悟を決めてはいたがその身体は震え目を閉じ身を任せようとする蓮華に一刀は

 

びしっ!っとデコピン

 

「いたっ!き、貴様いきなり何をっ「孫仲謀、償いをしたいと言ったな、いいだろう、では償いをしてもらおうじゃないか、

君には今から名を捨ててもらう、もう二度と孫の名を名乗る事は許さない、今後はこの国の為民と共に働き生きてもらう、

この後は江東に残り魏と江東との架け橋となって双方の民の為に等しく尽くしてもらう!いいなっ!」

 

一刀の言葉に蓮華は呆然と立ち尽くす、孫家の名を捨て民の為に尽くせと言う

 

「それが私が背負うべき贖罪か…」

 

「まーーったく、我が妹ながらほんと馬鹿なんだから~、一刀は別に罰とか与えるような事しないのにー、ねぇ」

 

「まぁね、でもそうでもしないと本人が納得しないって言うならそうさせてやろうと思う、

誰もが雪蓮みたいに自由奔放って訳じゃないんだよ、さて、どうする?取り消せというなら今のうちだ」

 

「見くびるなっ!、その贖罪甘んじて受けよう!私は今より孫家の名を捨てたただの蓮華という人間にならん!

民の為に、この国の為に全てを捧げ死のう!これからは蓮華と呼ぶが良い!」

 

「わかった蓮華、ではこれよりは江東にて、いやこの国の民の安寧と平和の為に命の限り尽くすべし!」

 

「言われずとも!」

 

こうして蓮華は孫仲謀という名を捨て蓮華として生きることとなったのだった

 

 

 

 

 

 

 

魏呉決戦が魏の大勝利で終わり、ギョウに凱旋してきた一刀達を魏の民たちは盛大に迎える、

あとは蜀を併呑すれば大陸統一が成される、これで戦乱の世がもうすぐ終わるとの期待からだった

そんな思いが将達にも伝わり鍛錬や軍略といったものに皆力が入っていた、そんな時、蜀方面を任されていた

呂布こと恋、陳宮こと音々音が鄴へと帰還してくる

 

「お帰り、恋、音々音」

 

城門まで迎えにきていた一刀が二人に優しく声をかける、しかし久々に再会したにも関わらず恋は何も喋らなかった

そしてそのまま一刀に身体を預ける、今にも壊れそうな恋を優しく抱きとめる一刀は何事かあったか音々音に聞こうとしたが

音々音もまたうつむき言葉を発せないでいた

 

その後玉座の間にやってきた恋と音々音、しかしそこには軍師達が待ち構えていた

実は後々の報告で荊州から趙雲と馬超率いる蜀の二万が呉へ援軍へ向かっていたとの報告が成されていたのだ

結局決戦には間に合わなかったものの怒涛の進撃で柴桑までの地を陥落させていたとの報告が成されると

稟や桂花といった軍師達は恋達への処罰を言い出し始める

 

「確かに蜀を釘付けにするのが目的ではありましたが、荊州を守るはわずが二万だったとの事、全面攻勢とまではいかない

にせよ何らかの手を打っておけば蜀の援軍はその行動力を削げたと考えます」

 

「被害も出てる事を考えても恋と音々音にはそれなりのば…、罰を与えるべきよ!///」

 

「ちょ、待ちぃな!元々蜀とは戦わんいう方向やったやん、それに結果的には蜀の援軍は間に合わんかった訳やし」

 

元々同じ董卓軍という事もあるのだろうが霞が恋をかばうように発言する

 

「れ、恋殿は何も悪くないのです!す、全てはねねが指示した事なのです!」

 

同じく必死で恋を庇う音々音、そんな音々音に一刀は優しく声をかける

 

「心配しなくてもいいよ音々音、恋や音々音、蜀方面に派遣した将兵に何か罰を与えるような事はないから、

呉との戦いの前に言っただろ、今は蜀と戦う必要はないって」

 

「一刀殿それは少し甘すぎるのでは、確かに二面作戦の愚を冒す必要性はありませんが一戦交え蜀の力量を測るという事も

できましたでしょうし荊州危うしとなれば呉へ向かった援軍の動きも鈍化した可能性も…」

 

「稟の言いたい事はわかるけど蜀はそんなに甘い相手じゃないよ、戦う時は魏の全力で戦わないと勝てない相手だ、

下手に手を出して無駄に被害を出す必要はない」

 

相変わらず蜀を過大評価する一刀に軍師達は不満を言おうとするが当の一刀は恋を元気付けようと頭を撫でてあげたり

していた、まるで親が小さい子をあやす様なその姿に魏の面々も怒る気力を失っていく

その後一刀が帰還してきた恋達の為に宴を開こうと提案すると霞などが積極的に動き結局恋達への糾弾はうやむやになる

 

皆が出て行った後、一刀も恋と共に外に出ようとする所を恋が一刀の袖を掴む、

何かを言いたそうにしている恋に一刀が優しく

 

「何か言いたい事があるのかい恋?」

 

「………劉備…、ごしゅじんさまみたいだった…」

 

「そっか、劉備は恋になにか言ったのかい?」

 

(コクッ)

 

「良かったら、教えてくれないかな?」

 

「………劉備は…、恋に……」

 

そして語られるのは恋が桃香と話した時の事、それを辛そうに話す恋を音々音はずっと見守っている、

そして語り終わると一刀は恋を抱き寄せ頭を撫で優しくこう言い聞かせる

 

「心配ないよ恋、俺は大丈夫だから、何も心配しなくてもいいから」

 

「ほんと?」

 

「ああ、俺が今まで恋に嘘ついた事あったかい?」

 

「……ない…」

 

少し涙ぐむ恋にさらにいい聞かせる一刀、そしてそれを見守る音々音に

 

「音々音、恋もだけど劉備と話した事は皆には内緒にしておいてくれないかな?聞かれてもたいした話はしてないって

言っておけばいいから、いい?」

 

一刀の言葉に恋は素直に頷き音々音も渋々といった感じで頷く、その後一刀は二人と共に宴席が行われる場所へと

向かう最中、一刀は桃香の事を想い浮かべていた

 

 

 

 

”やはり、最後に立ちはだかる最大の敵は君だな…”

 

 

 

 

” 桃香 ”

 

 

 

 

 

 

-荊州-

 

 

「!」

 

 

「どうかされましたか桃香様?」

 

「う、ううん、なんでもないよ愛紗ちゃん、えへへ、何か今誰かに呼ばれた気がしたの、とっても大切な人に…」

 

「それはおそらく民達の声ではありませんか?桃香様の善政で蜀と荊州の民達は皆平和に暮らせるようになりましたし」

 

「それは言いすぎだよ、今のこの状態は皆が頑張ってくれたからなんだからね」

 

「ふふっ、そうですな、さて、そろそろ寒くなってきましたし中に入りましょう、風邪などひいては元も子もない

星と翠も明日には帰還してくるとの事ですし色々と準備せねばなりませぬしな、特に星は質の良い”メンマ”を

用意しておかねば機嫌を損ねて口を聞かぬ様になりますから、まったく…」

 

「くすくすくす♪、そうだね♪」

 

楽しく仲間の事を語らいながら城へと入っていく桃香と愛紗、

城壁から見る自分達の統治している町並み、平和な日々、しかしそれがもうすぐ終わるかもしれないという予感

先の戦いでは魏軍と戦端を開くことなく退ける事に成功していたが、魏が呉との戦いに勝利したととの報により

次は一刀自らが大軍を率いて侵攻してくるのは誰の目にも明らかだった

 

 

 

 

” 一刀さん ”

 

 

 

 

魏と蜀の決戦、北郷一刀と桃香との激突はもう間近に迫っていた

 

 

 

 

 

 

あとがきのようなもの

 

という感じで、いよいよ次から対蜀戦に入ります

蜀の面々は好きなので頑張るぞっと、今まで張った伏線をどの程度回収できるか

 

 

この後のネタ

えーーーっと、何かやりすぎたかも、なので真面目な本編の後はアレかなと思ったのであとがきの後に。

まぁエロじゃないから大丈夫だと思うけど規制されなきゃいいなぁ

 

 

 

 

 

 

 

呉との戦いが終わり魏の民、そして将兵達は久しぶりの平和な日々を過ごしていた

しかしそんな平和な日々を過ごす人々に衝撃を与えるような事件が勃発する!!

 

それはどこからともなく流れ出した魏の覇王北郷一刀の噂、しかしその内容に北郷一刀に近しい者達は衝撃を受ける!

もしそれが事実だとしたら北郷一刀、いやこの魏の存亡とも言える噂、その噂の内容とは!!

 

 

 

”北郷一刀のち○こが起たなくなった ”

 

 

 

鄴の玉座の間に集まる魏の主だった将、そして軍師達、彼女達は今とてつもないほどの重い空気に包まれていた

その中で話をしだしたのは王佐一等荀文若こと桂花

 

「この噂は事実なの?」

 

「わかりません、どこからでた噂かもわかりませんし、ですが一刀殿に近しい者から出た噂だという話です」

 

「近しいだけではわからんな、大体もし事実だとしても別にたいした事ではないんじゃ…」

 

「春蘭様!」

 

春蘭があまりよくわからないようなという感じで発した言葉に一喝したのは軍師の風さん

 

「甘いです、蜂蜜のように甘いですよ春蘭様、いいですか、これはおにーさん、いえこの魏の国を揺るがす大事件

となるかもしれない事なのですよ~!!」

 

「そ、そうなのか?…」

 

風の今までに見たこともないような迫力ある顔と言葉にさすがの魏武の大剣夏侯惇こと春蘭もたじろぐ

 

「いいですか皆さん、おにーさんにとってのち○こは只のちん○ではありません!おにーさんの○んこは

この国になくてはならないち○こ!、まさに国宝といってもいいち○こなのです!もしこのちん○が起たない、

不能になったというのが事実だとしたらおにーさん自身の存在さえ問われると言っても過言ではありません!」

 

その言葉に魏の面々は改めて事の重大さに気付く!

 

「そうか、あいつにとってちん○はなくてはならないものだったな!」と秋蘭

「○んこのない一刀はもう一刀やないもんなぁ」と霞

「おいたわしい、北郷様!もし私に出来ることがあればどんな事をしてでも一刀様のち○こを蘇らせるのに!」と凪

 

他の面々もそれぞれ一刀のち○この思い出や存在の大切さを語りだす、そんな中風が再び

 

「いいですか皆さん、これはおにーさんのち○この危機、いえもうあえて”ちん○おにーさんの危機”

と呼ばせていただきます!ちん○おにーさんがこのまま起たないとなったらこの国は…おしまいです…」

 

シンッ…

 

静寂が鄴の玉座の間を支配する、そして

 

「どうすればいいのだっ!どうすれば北郷のちん○を元に戻せるのだっ!」と春蘭

「うちらに出来る事あるなら言うてや!大将のち○この為やったら何でもしますさかい!」と真桜

「まったく、あいつのち○こがどうなろうといいけどこの国が大変になるのは見過ごせないわね!」と詠

 

皆が一刀のちん○を連呼し心配しているがはたから観ればただの痴女軍団、しかし今はそんな冷静な判断が出来ないほど

皆は危機感をつのらせていたのだった、そんな中春蘭が再び

 

「しかし一度北郷に聞いたほうが良いのではないか?もしかしたら何か原因がわかるかも…」

「いえ、それはやめておいた方がいいでしょう、もし本人も気付いてなかった場合、あまりの事に突然死する可能性

がありますから!」

 

なんという事でしょう、今ではもう一刀さんのちん○は一刀さん自身の命を奪うまでのものになっていたのでした!

 

「では、どうするのだ、このまま何もしないままあいつの○んこを放置しておくのか?」

「まずは華佗さんにご相談しようかと思っています、あの方ならばおにーさんのちん○を何とかする術を

知ってるかもしれませんので~」

「おお、あいつがいたか!よし、ではすぐに聞きに行こう!北郷のちん○を何としてでも回復させるのだ!」

 

 

乙女達はち○この為に動き出す!

 

 

 

 

-華佗のいる屋敷-

 

突如押しかけてきた魏の首脳陣達に何事かと驚くスーパードクター華佗ではあったが皆が今までにないほどの

真剣な顔をしていたのでただ事ではないと思い話を聞く、そして”一刀のちん○起たず”の衝撃発言に

 

「なんてこった!まさかあいつがそんなにもちん○の事で苦しんでいたとはっ!それに気付けない俺は

医術を学ぶものとして失格だっ!」

 

だぁんっ!という感じで机を叩き割る華佗、そんな華佗に優しく話しかけるのは風

 

「華佗さん、まだ間に合います、風達はなんとしてもおにーさんのちん○を元気なち○こにしたいのです~、

どうかその為のお知恵をお貸しください、何かないのでしょうか?おにーさんのち○こを復活させる方法?」

 

その言葉にしばらく考え、ある書物を探す華佗、そしてあるページを見つけ

 

「これだっ!このどんなちん○こも一撃で元気にする事が出来る漢方の秘伝”梅亜虞裸”!

これさえあればどんなち○こも一撃復活の絶倫○んこにする事ができるという伝説の薬!」

 

その言葉に魏の面々は歓喜する、さっそくそれを作ってほしいと懇願するが華佗は少し曇った顔をして

 

「すまん、これを作るには材料が足りないのだ、あと一つ、それさえあればどんなちん○も元気にできる梅亜虞裸を

作れるのだが…」

 

「「「材料はなんです!我らがすぐに取って来ます!」」」

 

武官達が一斉に発言する、その言葉に華佗は”うむ、この者達ならち○この為にやれる!”と考える

 

「足りない材料は崑崙山に住むといわれる龍のち○こ!常人では傷すらつける事ができないと言われるこの龍のちん○さえ

あれば一刀のちん○が元気になるだろう!しかしその為の危険は尋常では…」

 

「「「わかった、龍のちん○だだな!任せておけ!」」」

 

華陀が心配する前に武官達はすぐさま準備して出陣する!

 

 

-崑崙山-

 

グアアアアアアアアアアアア

 

ズズウウウウンン!!!

 

 

長い戦いの末春蘭達は龍を倒す事に成功する、誰もが一刀のちん○の為に!という想いが力となって

今までの自分達の限界をはるかに超える力を発揮する事ができた為だ!

 

春蘭達は素早く龍のちんあ○を入手すると疾風の如き速さで鄴へと帰還する

そして入手したばかりの龍のち○こを華佗に渡すと”梅亜虞裸”の完成を今か今かと待ち構える、そして

 

「出来たぞ!これが一刀のちん○を元気にする”バイアグラ!”さぁ持って行くがいい!」

 

「ありがとうございます華佗さん、このお礼は改めて…」

 

「ははっ!かまわんさ!俺も久々に秘伝の薬を作れて楽しかったしな、それより早く行け!せっかく薬が出来たというのに

ちん○が死んだら元も子もないぞ!」

 

薬を受け取った魏の面々は華佗に礼をすると最高速でちん○の元に向かう!

 

 

「「待っていろちん○!!もうすぐだっ!!」」

 

 

 

 

-ちん○さんの部屋-

 

ちん○さんはここ最近部屋で軟禁状態にあったのだった

実はち○こさんまた頭痛が起きて倒れてしまったのだ、たいした事はないと言うちん○さんに対して董卓こと月さんが

 

「しばらくおとなしくしてくださいね(ニコッ)」(ズギャアアアアン!!)

 

優しい笑みとは裏腹に月の背後からは魔王のスタンドが現れちん○さんを威圧する

 

(ぐうっ!月がまさかスタンド使いだったとはっ!)

 

もはや抵抗すらできず寝所に寝かされ月に成すがままに介護されるちん○さんだった

そんな軟禁状態の部屋に凄い勢いで入ってくる魏の面々、その手には梅亜虞裸があったのだが

 

「お静かに」(ズギャアアアアン!)

 

静かな物言いだがクアッ!という月の背後の魔王のスタンドが魏の面々を睨みつけると石のように動けなくなる魏の面々!

そして月さんはしずしずと魏の面々の元に歩み寄るとにこやかに、しかし光のないあの眼で

 

「何か御用ですか?今ちん○様はお休み中なんですよ?」(ギュウウン!)

 

「じ、じじ実は、か、かかか華陀に頼んでつ、つつつ作ってもらったち、ちちち○この薬が出来たたので…

そ、そそそそれを持ってき、ききききたの!」

 

長年の付き合いで月の恐ろしさを知っている詠がなんとか言葉を発すると月は魔王のスタンドを収め

 

「へう、そうだったんですか、ごめんなさい、私っておっちょこちょいですね♪」

 

そんな感じにおちゃめに振舞いいつもの月さんに戻り皆はようやく息をする事ができるようになる

そして桂花が大切そうに薬をち○こさんの所に持っていくと

 

「さ、早くこれを飲んで!」

 

「いやその前に聞かせてほしいんだけど、これ何の薬?凄く臭いんだけど…、明らかに頭痛の薬とかじゃないよね?」

 

「とにかく早く飲んでよっ!こっちは急いでるんだからっ!」

 

上から目線で頼む桂花さんだったがなにやら嫌な予感がした○んこさんは断固拒否する、普通ならちん○の言うことには

皆素直に従うのだが、今回はちん○さんのちん○救出作戦である、風が皆に合図をすると

一斉にちん○さんを羽交い絞めにする

 

「ちょ、ちょっと何なんだよ皆!これいったいナンなの?まずそれを聞かせてよ!頼むからっ!」

「「「問答無用です」」」

「ごはあっ!」

 

問うちん○さんに対して実力行使で梅亜虞裸を飲ませる皆、何の薬かもわからないまま飲まされ意識が朦朧とする

ちん○さん、しかししばらくして身体が熱く火照る感じに悶える、それを見た凪が

 

「ど、どうですか?」

「わ、わからないけど何か身体が…、身体が熱くて…、」

「ちん○はっ!ちん○はどうですかっ!」

「え?何でち○こ?いや、そう言えば何か、ちょっとヤバいかも…」

 

「「「やったぁーーーーーーーーーーーーー!!!!」」」

 

その瞬間歓声があがる、当のちん○さんは何が何やらという感じだったが身体の火照りを必死で我慢してこんな事をした

理由を問いただすと

 

「いや、誰がそんな噂流したか知らないけど、俺別に不能になったりしてないんだけど…」

 

「………え?…」

 

静寂が部屋を包み込む、しばらくして言葉を発したのは風さん

 

「おおう、全然正常だったんですか~、それならよかったですよ~」

 

他の皆も”まったくだ、うわはははは”という感じで笑いあいなんかなかった事にしようかなという感じ、

しかし被害者であるち○こさんはえらい薬を飲まされち○こはえらい状態、さすがに温厚なち○こさんも怒り心頭

 

「お・ま・え・ら~」

 

「「あ」」

 

「責任とれーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」

 

「「「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ♪♪♪」」」

 

 

翌日、魏の主要な面々が足腰立たなくなって政務に支障をきたしたとの話が流れると、

国中で北郷一刀のち○こ無双、真・ち○こ無双、真・ち○こ無双 萌将伝といった書物が発売されたとかされなかったとか

 

 

 

-ちなみに噂を流したのは…-

 

 

「冗談のつもりだったんだけどね~、まぁ、それだけ一刀が愛されてるって事か」

 

と、お茶菓子を食べながらくつろぐ雪蓮さんだった

 

 

ちゃんちゃん

 

 


 
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