雛里SIDE
「これは一体どういうことですか?」
「………」
夜が明けて、あの地獄のようだった事件もなんとか終止符を打つことができました。
まだ、残ったことは散々あります。
その後撤退した孫策軍が後どう動くか考えなければいけませんし、裏で裏切ったことが分かった街の人たちも問い詰めなくてはいけません。
倉ちゃんはまだ裴元紹さんたちを失った悲しみに浸かっています。
そんな色々なことがありますが、そんなことよりも今、私たちにとって一番問題なことは、おそらく今布団で軽い寝息をはきながら寝ている男の人、一刀さんのことです。
「雛里、彼が北郷さんというのは本当のことですか?」
「キャハ、常識的に考えてまったく別人なのですよ」
水鏡先生と元直ちゃんも朱里ちゃんの後を追ってきて、一刀さんの姿を見てびっくりしました。
正直、一刀さんが変わる姿を直接見た自身がまず、そんな状況を飲み込めていません。
「私も何が起きたか良くわかりません。ただ…この人が一刀さんなのは、確かです」
「………朱里、あなたはどう思いますか?」
水鏡先生は私と一刀さんをとうぶんに見て静かに言いました。
「私は、雛里ちゃんのことなら信じます。信じますけど…でも一体どうやって……」
「それは……」
なんと説明すればいいか、良く分かりません。
「ちょっと頭が状況を飲み込めなくて…なんと説明したらいいのか分かりません。正直、自分で見てでも何が起こったのかよくわかってません」
「ゆっくり話してもいいよ。ちゃんと聞くから…一緖に話した方がきっと一人で考えるよりもいいよ」
「キャハ、そうなのですよ。何も説明せずに信じてって言うくらいなら、ベタな説明でも聞いた方がマシなのですよ」
「………」
元直ちゃんも付き加わってそう言うと、私はゆっくりと自分が見たことを話しました。
「えっとね……私がそこについた時、一刀さんは孫策さんにやられて怪我をしたまま気を失っていたの。一刀さんが死んだのかと思って泣いていたら……いきなり女の人が現れたの」
「女の人って…官軍の?」
「ううん……良く分からない。そこに突然現れたの…孫策さんたちももう行っちゃった後だったのに」
そういえば、ほんとその人は誰だったのでしょう……
その人が、倉ちゃんのことをお願いするって言いましたし、倉ちゃんなら何か知っているかもしれません。
「とにかく、その人が、一刀さんを助ける方法があると言って…その人が言った通りにしたら、一刀さんが気を戻して…それから突然炎が一刀さんを包んで暫くしたら、一刀さんの代わりにあの人がそこに居た……」
「……」
「……キャハ、聞いても良くわかりませんね」
「あわわ」
だから言ったでしょう。私も良くわからないって。
「あなたの前に現れた人は、具体的にどんなことをしたのですか?」
「えっと……一刀さんが持っていた剣の鞘で、一刀さんの心臓があるところを突き刺さって……」
「てわわ!そんなことすると北郷さんが死んでしまうのです!」
「?」
今の誰?
「……それで、どうなったの?」
「あわ?あ、ああ、それで……私にその鞘を握っていなさいって言って持っていたら…鞘がそのまま一刀さんの胸の中に消えていった」
「それは……その女の人じゃなくてその鞘に何か力があったってこと?」
朱里ちゃんがすっかり軍師の目になってそう言いました。
そういう場面ですかね、ここ。
「その剣の鞘の名前、たしかに『鳳雛』といってましたわね」
「というか、普通鞘にまで名前って付けないのですよ?剣ならともかく鞘は大したことないし……」
たしかに、鞘にだけ特別名前があるのっていうのも……
それに鳳雛か……私の号と同じ名……
「『鳳雛』というのは鳳凰の雛という意味で私が雛里に付けてくれた道号ですが、大陸からずっと西に行った羅馬のところでは、鳳凰と似た神鳥として、不死鳥というものがあります」
「不死鳥?」
それが今回のとどういう関係が……
「彼らの伝説だと、不死鳥は常に炎を体にまとってあり、死を迎える時が来るとその体の炎で自分を燃やすといいます。そして、その萌えた残骸の中からもう一つの不死鳥が生まれるとか……」
「それって……」
まるで今回の一刀さんみたいに……
「北郷さんがその不死鳥のように蘇ったのだと、先生は思ってらっしゃるのですか?」
「キャハ、物語の元はどうであっても、取り敢えずこの人が一刀さんだということには問題なさそうなのですよ」
「……」
元直ちゃんはそう簡単にいっちゃったけど、正直、私自分でも本当にそうなのだろうかと疑ってしまいます。
結局、今布団で眠っているこの人が起きてくれなければ何も確実なものを知ることはできません。
「雛里、あなたも少し休みなさい」
「…はい?」
水鏡先生の突然の話に私はキョトンとした顔で先生を見つめました。
「一晩中であまりにも大変なことが一気に起こって体も精神的にも疲れているはずです。今はとにかく細かいところは後に考えて身を休ませなさい。朱里もです」
「はわ?」
「…どうせあなたもまた雛里のことが心配で一晩中起きていたのでしょう?」
朱里ちゃんの顔を見ると、本当に目の下にクマができています
「はわわ…でも、それは先生だって同じじゃないですか。倉ちゃんと、最初に伝えに来てくれた人の看護のためにずっと…」
「私は少しは睡眠をとっているので平気です。…それに、私は他の娘たちのことも気にしなければなりません」
私は良くわかりませんが、昨日塾で狼が突然に入ってきたりしていましたし、結構騒ぎになってるかもしれません。
最も、街の人たちがあの裴元紹さんたちを討つことに協力したことは私たちへの裏切りです。
というより、官軍たちが動いてもない山賊たちを討つことはありません。きっと街の人たちが彼らを動かしたのです。
これは私と一刀さんとの約束を破っただけではありません。水鏡先生に対しての正面挑戦です。
このままだとこの街でもはやこの塾を開くこともできなくなるかもしれません。
「私たちが起こしたことが、あまりにも大きい事態を起こしてしまいました」
「雛里ちゃん……」
私たちが裴元紹さんたちのところに行ってなければ、倉ちゃんもあのままそこで裴元紹さんたちと仲良くして行けたでしょうし、水鏡先生にこんな心配をさせることもなかったはずです。
それなのに、私と一刀さんが両方に首を突っ込んだ際に、こんなことになってしまいました。もう、どこから手を付けて行ったらいいのかさえわかりません。
「雛里」
「あ」
水鏡先生が俯いている私の顔をあげさせて、その胸にかかえました。
「あなたは何も悪くありません。自分を責めてはいけない。あなたたちがしたことは両方を幸せにするための素晴らしいことでした。それを破ってしまったのは、人たちの欲望。それだけはどうしようもありません」
「先生……」
「今あなたがするべきことは、その疲弊した心と身を休ませて、今後あなたがゆく道を考えること。他のことは、私に任せてあなたは自分のことだけを考えなさい」
「………先生…」
先生のその優しい言葉を聞いていたら真夜中続いて引いていた緊張の糸が切れて、そのままその優しさに身を委ねてしまいました。
水鏡SIDE
「すー……ふぅー……」
そのまま意識の糸を切らしてしまった雛里を抱えて、私が考えます。
早すぎた。
この娘たちには、まだ早すぎたのだって。
外の世界は、この塾の中にばかり入っていて勉強だけしている娘たちには厳しすぎる世界でした。
純粋で、穢れた考えを知らないこの娘に、今回の出来事はあまりにも酷い事件でした。
私がもっと関わるべきだったのかもしれない。もっと注意して彼らを見ていたら、彼らの裏の企みを見抜いていたはず。
でも、私はそうしなかった。
それは雛里と、そして北郷さんの尊い思いを世間の人々の考えで汚せたくなかったから。
この時代に、盗賊と平民たちを一つに集め、両方の益を求む。
こんなことが本当に可能なのだろうか。私は自分の頭の中で何度も問い詰めた。
盗賊も元々は平民であったことを、私たちは分かっている。
だけど、一度賊になった彼らを平民に戻す方法を知る者なんていない。
賊になって人を襲う彼らを止める方法は、ただ彼らを獣と見て、この世から消すこと。それだけがこの世界が出した答えであった。
元々彼らが盗賊になったのもまた、その世界のせいだと言うのに…世界は、私たちにはただ自分たちが生きるために賊と化す彼らを殺すこと以外には何もできなかった。他の方法があるなんて考えてもいなかった。
それなのに、この二人は、賊も平民も同じく見て、彼らを同時に復興される方法を考え、それを実行させようとした。
もし、街人たちの欲さえなければ、このような事件も起きず、両方が益を得ることができただろう。
振替てみると、二人が考えたこの策、なんと素晴らしいものだったのでしょう。
人、得るためには誰かから奪わなければいけないとばかり思っていたこの世界に、二人は両方得る方法を与えた。
そして、その伸ばした手を振り切ったのも、またこの世界。
「ごめんなさい、二人とも」
人たちは天を望むと言った。
自分たちを救う人を望むといった。
でも、自分たちを『救う』というのはどういう意味なのか?
自分たちの集団だけ平和で、豊かにしてくれれば、他の者たちはどうなっても構わないのか。
それができない天なら、付いていく意志もなく、付いていく価値があるとも思わないのか。
なんて自分勝手なんだ。この世界は……
「今は、ゆっくり休みなさい」
後は、私が片付けます。
「朱里、雛里を連れて行って部屋に寝かせなさい。あなたも休んで。元直、付いてきなさい」
「はーい」
「わかりました」
「真理、居ますわね?北郷さんが起きたらあなたの姉に伝えなさい」
「てわわ!い、いつから気づいて……わかりました」
これで良いでしょう。
「元直」
「キャハ、はーい」
私は朱里たちを残して、元直と共に先に部屋を出ました。
この街の人たちの黒い腹を知った以上、もうここでこうしていることは百害あって一利なしです。
「キャハ、先生、一言いいですか?」
「なんですか、元直」
「この塾と閉じたら、孔明ちゃんは百合姉さまのところに行かせるのですか?」
「……やはり、あなたは気づいていたのですね」
「キャハ、だって、先生の性格ならそうするに違いないのですよ。きっと孔明ちゃんもそう思ってるはずなのですよ。鳳統ちゃんは……そこまで頭が回る状況じゃないとしてなのですよ」
「…そうですか」
この塾を閉じる。
十年以上この山で続いていた塾が閉ざされることが、この街に何を意味するか。
今までこの街は、私たちの水鏡私塾のおかげでこれだけの経済状況を保っていたと言えるでしょう。
この塾が閉じれば、街の物流は一気に止まってしまって、そのまま一気に街は疲弊することです。
「カナはこの街がどうなるかそんなことは全然気にしないのですよ。ただ、この塾を閉じたら荊州の豪族たちの娘さんたちは皆自分の実家に戻るはずなのですよ。でも、カナや雛里みたいに戦争で孤児になった娘たちは残すとしても、孔明ちゃんとその妹さんはどうするのですか?百合お姉さまがある揚州で行かせるのですか?」
「……いいえ、子瑜をこちらに呼び寄せます」
「…!」
そして、これは孫呉に下せる私からの罰。
水鏡の弟子を穢した罪がどれだけ大きいものなのか、その身に刻みつけて差し上げます。
奏SIDE
カナがこういうことを言うのも似合わないのですけど、孫家はこれから大変なのですよ。
ちょっと、じゃなくすごーく不憫に思えるほど大変なのですよ。カナが人のことを不憫に思うなんて只事じゃないのですよ。
水鏡先生が昔より荊州で力を出せずに居るのは、出せないのではなくて、出さなかったのですよ。
水鏡先生はここ数年朱里と雛里を育てるのに精力を尽くしたおかげで、その前までは少なからず続けていた荊州の政界との縁を切っていたのですよ。
だけど、それもごく一時的な状態で、先生がその気になれば、荊州でまた力を発揮することは無理じゃないのですよ。
荊州だけではないのですよ。大陸のあっちこっち、先生の弟子が居ない場所が居ないのですよ。
皆さん、重役でも、そうじゃなくただの下級管理職の方々でも、先生の身に何かが起こったを知ったら皆が先生の言葉を聞いてくれるのですよ。
それがもし、孫家が先生の弟子になった倉ちゃんの家族を賊と言って襲い、虐殺したという話は孫家にある百合、諸葛瑾お姉さまの耳に入ったらどうなるか、カナは恐ろしいのですよ。
孫家の未来が崩れる様子が目に移るみたいなのですよ。
でも、それもまた彼らが招いたことなのですよ。
孫策さん、江東の虎の娘かはよく分かりませんけど、荊州に足を踏み入れて水鏡先生のことを念に入れなかったことが、これからどれほど孫家を苦しめることになるか、よく見たらいいのですよ。
「…キャハ」
それにしても、カナはよかったのですよ。
てっきり、孔明ちゃんが揚州の百合おねえさまのところに行っちゃうかと思ったのですよ。
カナはまだ外に行くつもりはないけど、だからって孔明ちゃんと離れるのも嫌なのですよ。
もう少し、このまま孔明ちゃんと先生の元に一緖に居て、それから……いつか孔明ちゃんと一緖にどこかに仕えて軍師になるのですよ。
そしていつまでも…孔明ちゃんと一緖に過ごすのが、今のカナの夢なのですよ。
倉ちゃんには本当に申し訳ない気持ちばかりなのですけど、カナは…カナは孔明ちゃんのことだけ問題なければ他のことは心配しないのですよ。
真理SIDE
「………」
「…………」
「てわわ…」
静かです。
静かなのに、私以外にも誰かが居ます。
一人だけでいることには慣れてます。
いつも、誰も私のことを気づいてくれなくて私はいつも一人で居ました。
隣に誰かが居ても、その人は私が居ることを知らないから、私はずっと一人でした。
でも、北郷さんは違いました。
一目で私の存在を見抜いてくれた人。
まるで普通の人のように。
ああ、これが普通の人たちが感じる感覚なんだ。誰かが私のことを呼んでくれたらこんな感じなんだ。後からいきなり呼ばれることがこんなに驚くことなんだ。
初めて知りました。
他の人たちならいつも感じている日常の感覚。
私はその何もかもが新しいものでした。
私にとて、北郷さんはそんな新しい感情らを教えてくれた、恩人です。
なのに…そんな北郷さんは突然居なくなって、全く違う姿になってここに居ます。
この人は、本当に一刀さんなのでしょうか。分かりません。でも鳳統ちゃんがそうだと言っていたからきっと、違いないと思います。
「すぅー」
「てわわ!」
突然、北郷さんの息の音が大きくなって、私は北郷さんが気がついたのかと思ってびっくりしてその顔を見ました。
でも、北郷さんが目を覚ますことはありませんでした。
その代わりに、
「はぁ……」
「……あぁ」
吐息を出す北郷さんの口から五色にひらめく粉みたいなものが出てきて、宙に浮かびました。
「…綺麗……」
その綺麗な吐息を掴もうとすると、その粉は私の手をすり抜けて部屋の窓に消えていきました。
「………」
なんとも言えない不思議な感覚にさらわれてしまいます。
また、新しい感覚です。
髪の色も、顔をなにもかも以前の北郷さんとは似てるところなんて全く見当たりません。
微塵でも以前の北郷さんの跡を探してみようとしても、できません。
今、私が一番恐れていることが何か分かりますか?
北郷さんが死ぬことではありません。
この人が北郷さんじゃなかったら……それもあまり怖くありません。
私が一番怖がっているのは、この人が本当に北郷さんだったのに…この新しい姿になって、また私のことを、他の皆みたいに気づかないようになっていたらどうしよう…
それが一番怖いです。
せっかく、一人ぼっちの場所から出られると思ってたのに、また一人だけの世界に戻らなければいけないのです。
そんなの……そんなのは嫌です。
一度そんな世界を味わせておいて、今更あの寂しい世界にに戻りなさいなんて…そんなの無理です。
「北郷さん…北郷さんが起きるまで、私はここに居ます。だから……北郷さんが起きて、私の顔を見たら…また私の真名を呼んでください」
真理……
真な理(ことわり)と書いて真理って読みます。
ことわりというものはいつも隠れています。
汚い世間から離れて、悠々と生きて行こうとする理を掴もうと、人たちはいつもあっちへとこっちへと走りまわります。本当にそこに理があるのかもしらずに。本当はそことはまったく反対の側にあるとしても、人たちは自分が理のあとを追っていると勘違いしてしまうのです。
理はすごく恥ずかしがりやで、誰かがその姿を必死になって探したらやっとその欠片だけ見つけられるのです。
そんな理の真の姿を知るものがあるなら、その人はきっとこの天下で最も偉大な人になれる器に違いありません。
きっとそんな人が天下の皆の上に立つとしたら、皆が幸せになる世界を作ってくれると、私は信じています。
「はぁ………」
また北郷さんの口から五色色の吐息が出てきて、部屋の中を漂います。
綺麗な色です。
一体なんなのでしょう……
「……」
「あ、布巾、また濡らさないと…」
北郷さんは体からすごい熱を出していましたが、汗は全然かいてませんでしたので、取り敢えず放っておくのもなんだったので軽い服装に変えて頭を冷やすために冷たい布巾を付けていました。
……てわわ!服を変えたのは水鏡先生です。私は見ていません!
「あ、水がぬるい」
井戸から新しい水を汲んでこようと盥を持って外に行こうとしたのですが、
「てわっ!」
間違って盥にかけておいた布巾が落ちてその布巾を踏んだ途端、足が滑ってしまって、そのまま
ガーン!
「痛っ!」
そのままどうすることもなく前に倒れてしまいました。
盥の中にあった水もそのまま床に漏れてしまいました。
「ううぅぅ……痛いです……」
ちょっと盛大に滑ったせいか、膝に掠り傷ができちゃいました。ちょっとこれだと膝に跡残るかな……うぅぅ…
「はぁ……」
「……てわ?」
その時、北郷さんの口から出ていた五色に輝く吐息が私の膝に集まってきました。
そして……
すーっ
「てわわ?な、なんですか?」
輝きが私の傷の中に入ったと思ったら、赤かった傷跡がどんどん消えていって、最後には傷なんて最初からなかったかのように膝が綺麗になりました。
「…!!」
これって、どういうことでしょ。
まさか、さっき北郷さんから出た吐息のせいで……?
「すぅ……はぁぁっーー!!」
「!」
北郷さんが……
「はぁ……はぁ……何…?……はぁ…」
「…あの、北郷さん……」
突然起きた北郷さんは周りを見回りました。
「…北郷さん?」
「…………」
私が北郷さんを呼んでも、一刀さんは自分の両手を不思議そうに見つめているだけで、こっちを向いてくれませんでした。
まさか……
「…ほ、北郷さん?私のこと…見えないんですか?」
「…………」
……
そんな……
酷いです……
私のことを、また一人にしちゃうのですか?
「……ひっく……ひぅう……」
「?…何で泣くの?」
「……へ?」
私が怖くて小さく泣き出すと、北郷さんが即座で反応してこっちを見てくれました。
「真理ちゃん?何、どうしたの?」
「…北郷さん……私、見えますか?」
「…?うん、見えるよ。変なコト言うな。真理は。ちゃんと見えるよ」
「……はぁー」
よかったです。
私、てっきりまた一人になったかと思って…
「もう、どうして最初から答えてくれないんですか」
「ごめん、なんか……不思議な感じがするんだ。とても新しい気分がする……全部新しい。自分が何者か分からないって感じ?」
「……本当に、北郷さんなんですよね?」
「??僕は僕だよ、今日の真理ちゃんはいつもよりもおかしいね」
「いつもよりってどういう意味ですか!」
「そんなことよりさ」
起きた北郷さんは、昔よりずっと明るい顔をして私に迫っていいました。
「お腹空いたんだけど、何か食べるものないかな」
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真・恋姫無双の雛里√です。
雛里ちゃんが嫌いな方及び韓国人のダサい文章を見ることが我慢ならないという方は戻るを押してください。
それでも我慢して読んで頂けるなら嬉しいです。
コメントは外史の作り手たちの心の安らぎ場です。
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