No.225400

恋姫外史・あるところに一刀第38話

アキナスさん

混迷を極めた白帝城

どうなることやら・・・

2011-06-29 17:29:08 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:10558   閲覧ユーザー数:7907

「・・・あ~~~」

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

劉備が心配そうに声を掛ける。

 

「少しは落ち着いてきた・・・」

 

確かに、一刀の顔色は少し良くなって来ていた。

 

ちなみに、この場に魏延はいない。

 

一刀の嘔吐物は見事に魏延に直撃し、魏延は一刀を投げ飛ばし(貂蝉が受け止めたのだが)泣きながら走り去ってしまったのだ・・・

 

現在はショックからか自室に引き篭もってしまった。

 

その後、嘔吐物の処理、華佗による薬の処方、などがあってようやく事態は収束し始めていた。

 

「シャオはもうちょっと・・・」

 

「だったらおとなしくしてろ・・・ここは俺が話しすっから・・・」

 

「・・・うん」

 

小蓮はぐったりして、その場に座り込んでいた。

 

「えっとだな・・・とりあえず非常識な登場の仕方をしたことは謝る。城の修理代は後で出させるから」

 

「は、はい・・・」

 

劉備はとりあえず頷いた。

 

「ところでアンタ、こんな所まで何しに来たのよ?怪我は大丈夫なの?」

 

詠が一刀に聞いてくる。

 

「怪我の方はもうちょいで完治だとさ。なあ?」

 

「ああ、本当はもう少し安静にしていて貰いたいんだが・・・」

 

華佗がぼやくように言った。

 

「まあ、そういうことだ。それでここに来たのはなあ・・・」

 

一刀は劉備に向き直り

 

「アンタと話したい事があってな、劉備」

 

まだ少し蒼い顔で、そう言ったのだった・・・

 

 

 

「桃香様と話だと?戦争中に敵の城に乗り込んできて何を言うかと思えば・・・」

 

関羽は呆れたように言った。

 

「愛紗ちゃん、敵とはいえ国主の方にその言い方は失礼よ?」

 

黄忠がたしなめるように言う。

 

「いや、国主はあくまで白蓮なんスけど・・・」

 

「おや?そうなのか?」

 

厳顔も意外そうにそう言う。

 

「だって・・・面倒くさいでしょ?国主なんて。俺は出来るだけ好きなようにやって行きたいんで、そんな面倒くさい事は白蓮に任せますよ・・・」

 

一応明らかに年上なので敬語を使う一刀

 

「・・・相変わらずですな。白蓮殿も苦労している事でしょう」

 

「変わりませんね、一刀さんは」

 

「全くね・・・」

 

趙雲、月、詠と口々に言う。

 

「・・・少なくとも趙雲、アンタにだけは言われたくない」

 

「おや?私は皆に苦労をかけたりしてはおりませんが?」

 

趙雲はそう言うが、周りの目はそう言っていなかった。

 

「「「「どの口が言うんだ」」」」

 

蜀陣営大多数の人間の心の声であった。

 

「話が逸れたな。と言う訳で劉備」

 

「は、はい!」

 

突然呼ばれて、背筋をピンとさせる劉備。

 

「答えを聞きに来た。答えてもらおうか?」

 

 

 

「こ、答えって?」

 

劉備は戸惑ったように一刀に聞き返す。

 

「おいおい、同盟の条件って言ってただろ?あの事だよ」

 

「・・・あの事ですか」

 

劉備は真剣な顔つきになる。

 

「ちょ、ちょっと待て!もう戦争になっているのに何故そんな事を聞く!?もう同盟など不可能だろう!?」

 

「まあな、でも正直そんな事はどうでもいい。俺は答えを聞いてスッキリしたいだけだからな」

 

動揺する関羽に対して平然と答える一刀。

 

「・・・しかし、もうこうなってしまった以上、答えを出した所でその答えに向かって進む事は・・・」

 

孔明が眉間に皺を寄せて言った。

 

「だから、そんな事は俺にとってはどうでもいいんだっつーの!とにかくあの問いにどう向き合うつもりだったのか?それをハッキリ聞きたいだけなんだよ!」

 

一刀が苛立ったように言う。

 

そして

 

「・・・私は」

 

劉備は口を開いた・・・

 

 

 

「私は、大陸の人達の笑顔の為に頑張る。そうずっと思ってきました。それは今でも変わりません・・・」

 

「大陸の人達全てがアンタの指す皆・・・って事でいいんだな?」

 

「はい」

 

一刀の言葉に劉備は頷いた。

 

「それじゃあ、アンタ達が殺してきた人間達やその家族の事に関してはどう答える?」

 

「・・・その事を聞かされたとき、私は初めて気付きました。自分がやってきた事は人々の笑顔を守る、と同時にそんな人達の笑顔を奪ってきたんだと・・・」

 

「・・・・・・」

 

「だから、私はちゃんと見ようと思いました。自分が守っていた人達の事だけでなく、その犠牲となっている人達の事を。自分達が犠牲にした人達の家族の顔を正面から見て、どんな言葉をかけられても自分の道を曲げないように強くなろうと。そして自分がやろうとしている事が矛盾だらけだとしても、その矛盾の中から大陸の人達全てが笑顔でいられるようにするにはどうしたらいいか考えていこうと・・・例え不可能だと言われても最後まで諦めないで頑張ろうと・・・そう思いました・・・」

 

・・・・・・・

 

劉備の答えに周りの人間は沈黙していた

 

そして蜀の人間達は後悔していた

 

特に最初にこの問いを聞いていた趙雲と鳳統は・・・

 

何故この問いをもっと早く桃香に伝えなかったのかと

 

何故もっと桃香の強さを信じる事が出来なかったのかと

 

そうすれば、このような事にはならなかったのではないかと・・・

 

 

 

 

「・・・それがお前の出した答えなんだな?劉備」

 

「はい・・・でも、もう遅いんですけどね・・・」

 

劉備が寂しげに笑う。

 

「桃香様・・・」

 

関羽はプルプル震えている。

 

泣きたいのを我慢しているのだろう。

 

周りの人間達も皆、自分の力が足りない事を嘆いていたようだった。

 

「・・・そうか」

 

そして一刀は歩き出す

 

劉備の座る玉座へと・・・

 

「貴様!それ以上桃香様に近寄ると・・・」

 

「いいの、愛紗ちゃん」

 

「しかし!」

 

「大丈夫だから・・・ね?」

 

関羽が一刀の前に立ち塞がろうとするが、劉備がそれを止めた。

 

「・・・はい」

 

納得がいかないようだったが、劉備の頼みを断れない関羽は道を開ける。

 

そして一刀は劉備の前まで来た。

 

劉備に向かって手を伸ばす一刀

 

「桃香様!!」

 

それを見て駆け出す関羽

 

 

「・・・・・・」

 

なでなで・・・

 

一刀の行動を見て呆気にとられる蜀の人間達

 

一刀は手を劉備の頭の上に置き、そのまま撫で始めたのだった。

 

「えっと・・・」

 

困惑する劉備

 

そんな中撫でながら一刀は言った。

 

「いい答えだった、良く頑張ったな」

 

「・・・あう~~~」

 

撫で続ける一刀

 

 

 

 

そして劉備の顔は

 

 

 

 

照れてどんどん真っ赤になっていったのであった・・・

 

 

 

 

 

どうも、アキナスです

 

今まで引っ張ったわりに、結果が出てみると随分あっさりしてるな~~と思ったり

 

さて、こっちの話は片付きそうですが、魁・呉連合の事はどうするんでしょうねえ?

 

それでは次回に・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サイフラッシュ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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