真・恋姫†無双~赤龍伝~第67話「狂神」
火蓮に言われて赤斗たちは、玉座の間から出てきていた。
赤斗「…………」
明命「赤斗様を引き取るって言っていましたが、大丈夫なのでしょうか?」
蓮華「大丈夫よ。きっと母様が説得してくれる!」
赤斗「……火蓮さんと先生、喧嘩しないかな」
蓮華・明命「!!」
雪蓮「母様と虎徹のおじさんの戦いなら、ちょっと見てみたいわね♪ 虎徹のおじさんは恋よりも強いんでしょう?」
赤斗「冗談じゃない! あの二人が戦えば、どちらか確実に死ぬよ!」
雪蓮「冗談よ。……そんなに怖い顔しなくて良いじゃない」
赤斗「まったく……」
祭「堅殿には堅殿の考えが、虎徹殿には虎徹殿の考えがあるのじゃろう」
赤斗「祭さん……」
祭「今は二人を信じて待つしかあるまい」
赤斗「…………」
雪蓮「赤斗はどうしたいの? ここに残る? それとも、虎徹のおじさんと一緒に行く?」
赤斗「…………天の世界に帰りたくないと言ったら嘘になるね。でも、ここに残りたいとも思っているよ」
雪蓮「優柔不断ね」
赤斗「………………ごめん」
蓮華・明命「…………」
―――玉座の間―――
火蓮「虎徹殿。赤斗を引き取ってどうするのだ? 天の世界に帰るつもりなのか?」
虎徹「元の世界に戻る方法なんて分からないさ」
火蓮「ならば、どうするのだ?」
虎徹「赤斗の修行をやり直す」
火蓮「修行を……何故だ?」
虎徹「赤斗が戦い等の途中で、別人のように変わってしまった事はないか?」
火蓮「…………」
火蓮は無言だったが、虎徹が言う事をすぐに理解できた。
虎徹「どうやら心当たりがあるようだな」
火蓮「私と戦った時にな。……あれは何なのだ?」
虎徹「“狂神”と言って、無双無限流の奥義の一つだ」
火蓮「その狂神とやらが、赤斗を引き取る事と、どんな関係があるのだ?」
虎徹「赤斗には“狂神”の事を人の心を捨てて、ただ戦いの為、ただ敵を殺す為だけの刃になる奥義と教えたのだが、実際には違うのだ」
火蓮「ん?」
虎徹「“狂神”とは、龍脈から気を借り受ける奥義なのだ。だが、龍脈の気は大きい為、制御ができないと恐れや憎悪などの負の感情が巨大化して、暴走してしまう。赤斗が別人のように変わってしまうのは、その為だ」
火蓮「龍脈?」
虎徹「気の流れる道の事だ」
火蓮「あぁ、風水か」
虎徹「そうだな。無双無限流は風水に密接に関係しているからな。数日前、空が急に赤くなったそうだな。その時、赤斗に膨大な気が流れ込まなかったか?」
火蓮「ああ。凄まじい気が赤斗の身体に入っていった。なるほど……あの時のあれがそうだったのか!」
虎徹「……このままだと赤斗は龍に喰われてしまうな」
火蓮「龍に喰われる? 龍を宿すのではないのか?」
虎徹「全ての奥義を極めればな。龍を宿すとは、身体に流れ込んでくる龍脈の気を完璧に制御する事だ。だが、今まで全ての奥義を極めた人間は数えるほどしかいないのだ。大半は龍に喰われてしまった」
火蓮「それで龍に喰われるとは、どういう意味だ?」
虎徹「龍に喰われるとは、龍脈の気が身体に流れ込んでくる事に、耐えられず身を滅ぼすという事だ」
火蓮「赤斗も身を滅ぼすというのか?」
虎徹「今までの無双無限流の歴史の中には、腕や脚等を龍に喰われ、脅威的な膂力や脚力を手に入れた者たちが居たそうだが、どれも龍脈の力に耐えきれず身を滅ぼしている。赤斗だけ例外とは言えないだろう」
火蓮「くっ!」
虎徹「空が赤くなった時、赤斗の身体に何かしらの変化があっただろう? 周りにも影響を及ぼすほどの気が身体に流れ込んだんだ、赤斗の身体にも変化が表れたはずだ」
火蓮「…………お主と修行をやり直せば……赤斗は助かるのか?」
虎徹「さあな。全ては赤斗次第だ。……で、赤斗のどこに変化が表れたんだ?」
火蓮「右目だ。…………金色に光り輝いていたよ」
虎徹「やはりそうか。その事を赤斗は?」
火蓮「まだ知らない。右目の包帯は外さないように言ってあるからな」
虎徹「それが正解だな。腕や脚と違って、目が喰われるとどうなるか俺にも分からないしな。……と言う訳だ。孫堅殿、赤斗は引き取らせて貰うぞ」
火蓮「………………分かった」
火蓮はしぶしぶ了承するのだった。
雪蓮「遅いわね~母様たち」
赤斗「まだ、終らないのかな?」
玉座の間の前で赤斗たちは待ちくたびれていた。
祭「どうやら終わったようじゃぞ」
祭がそう言い終えると同時に、玉座の間の扉が開かれた。
蓮華「どうなりましたか母様!」
玉座の間から出てきた火蓮に蓮華が詰め寄る。
火蓮「落ち着け蓮華」
蓮華「は、はい」
火蓮より少し遅れて虎徹が玉座の間から出てきた。
虎徹「赤斗行くぞ! ではな孫堅殿」
そう言うと虎徹は、他は無視して歩き出した。
赤斗「ちょ、ちょっと待って下さい!」
虎徹「ん、なんだ?」
赤斗「いきなりすぎですよ。それに行くぞって、どこに行くんですか?」
虎徹「決まっている。お前の修行をやり直すんだ」
赤斗「修行をやり直すなら、ここでも……」
虎徹「ここでは集中できないだろ?」
赤斗「そ、そんな事はない……と思います」
虎徹「ほら行くぞ。早く準備してこい」
赤斗「でも……」
火蓮「赤斗。お前は虎徹殿に鍛え直して貰ってこい」
明命「火蓮様っ!!」
蓮華「母様っ! 何を言っているんですか!」
赤斗「火蓮さん?」
火蓮「私たちに遠慮しなくてよい。だから、今より強くなって帰ってこい」
赤斗「…………分かりました」
蓮華「赤斗っ!」
赤斗「安心して蓮華。修行をやり直したら、すぐに帰ってくるから」
蓮華「…………」
明命「……蓮華様?」
祭「権殿」
雪蓮「蓮華」
蓮華「…………わかったわ」
赤斗「蓮華」
蓮華「…………待っているから、早く帰ってきてね」
赤斗「ああ、分かった。それじゃ、火蓮さん。いってきます」
火蓮「うむ」
虎徹「そろそろいいか?」
赤斗「はい。みんなも行ってくるね」
雪蓮「赤斗、しっかりね」
祭「気をつけるのじゃぞ」
明命「赤斗様、お気をつけて」
赤斗「みんな、ありがとう。じゃあね」
そう言って、赤斗は虎徹とともにその場を後にした。
赤斗「で、どこで修行するんですか?」
身支度を終えて、街に出た赤斗は虎徹に尋ねる。
虎徹「最適だと思う所は、何ヵ所か見つけた。そこに行こう」
赤斗「わかりました。…………」
虎徹「まだ心残りがあるのか?」
赤斗「全員と挨拶していないから、ちょっと……」
虎徹「そうか」
小蓮「あーー! 見つけたーー!」
賑やかな声とともに小蓮が赤斗に飛びついてくる。
赤斗「シャオ! と嶺上!」
小蓮「目を覚ましたのに、シャオに会いに来ないなんてひどーい」
嶺上「私たちに黙って行くつもりだったのか?」
赤斗「うぅ、ごめん」
小蓮「でも、シャオは許してあげる♪ さあ、行こう♪」
赤斗「へ?」
嶺上「聞いていないのか? 姫と私も一緒について行くんだぞ」
赤斗「え、そうなの?」
虎徹「私たちの見張り役だ。孫堅殿が修行に行くなら、見張り役を何人かつける事を条件にしてきたからな」
赤斗「それで、シャオたちが見張り役としてついてくると……」
小蓮「うん♪」
虎徹「では、行くか」
嶺上「ちょっと待ってほしい。あと二人来るんすよ」
赤斗「二人?」
嶺上「ああ。……おっ! 来たぞ」
亞莎「お待たせしましたーーっ!」
恋「…………」
大きな荷物をまとめた亞莎と恋が赤斗たちのもとに現れた。
赤斗「亞莎、恋っ!」
亞莎「すみません。遅くなってしまって!」
赤斗「いや大丈夫だよ。亞莎も付き合ってくれて、ありがとう」
亞莎「い、いえ、わ、私なんかが、蓮華様や藍里様を差し置いて、赤斗様とご一緒するなんて、よ、よろしかったんでしょうか?」
赤斗「そんなに畏まらないでよ。亞莎、楽にしていいから」
亞莎「は、はひっ!」
くいくい
赤斗「ん?」
赤斗火蓮の服を恋が引っ張ってきた。
恋「……赤斗」
赤斗「おはよう。恋、ひさしぶりだね」
恋「うん……おはよう」
赤斗「恋も来てくれるんだ。うれしいよ」
恋「うん」
虎徹「……これで全員だな」
嶺上「ああ、お待たせしたっすね」
虎徹「では、行くか」
赤斗「はい」
こうして、小蓮たち四人が加わり、赤斗は修行へと旅立っていった。
つづく
~あとがき~
呂です。読んでくださって、ありがとうございます。
真・恋姫†無双~赤龍伝~に出てくるオリジナルキャラクターの紹介
オリジナルキャラクター①『風見赤斗』
姓 :風見(かざみ)
名 :赤斗(せきと)
字 :なし
真名:なし
武器:花天と月影……二振りの日本刀(小太刀)。赤色の柄で赤銅の鞘に納まっているのが“花天”で、黒色の柄で黒塗りの鞘に納まっているのが“月影”。
本編主人公の少年。
身長168㌢。体重58㌔。年齢17歳。黒髪黒眼。(右目は輝く金色)
放課後に道場で古武術の達人である先生に稽古をつけてもらうのが日課だったが、ある日道場で黒尽くめの男に襲撃される。
その際、赤い光に包まれて恋姫の世界に飛ばされる。
死にかけていた所を、火蓮によって保護され“江東の赤龍”という異名を付けられる。
古武術 無双無限流を学んでおり、その奥義を使えば恋姫の世界の武将とも闘えることができる。
無双無限流には『全ての奥義を極めしとき、その身に龍の力が宿る。』という伝承がある。
奥義には“疾風”“浮葉”“流水”“月空”“烈火”“絶影”“龍鱗”“狂神”などがある。
奥義の同時発動は可能だが、奥義単体の発動以上に身体に負担がかかる。
現在、奥義“狂神”を発動させて、龍脈の気が流れ込んだ影響で右目は金色に変化している。
右目の上から包帯を巻いており、本人は右目の変化にまだ気づいていない。
好きなもの:肉まん
苦手なもの:海(泳げないから)
能力値:統率3・武力4・知力4・政治2・魅力4
オリジナルキャラクター②『孫堅』
姓 :孫
名 :堅
字 :文台
真名:火蓮(かれん)
武器:南海覇王……やや長めの刀身を持つ、両刃の直刀。派手な装飾はないものの、孫家伝統の宝刀。
孫策(雪蓮)たちの母親。
身長173㌢。腰まで伸びる燃えるような赤い髪の持ち主。
血を見ると雪蓮以上に興奮してしまう。
孫尚香(小蓮)には非常に甘い。周りの人間が呆れるほどに甘い。
この外史“赤龍伝”では孫堅は死んでいない。
好きなもの:娘たち(特に小蓮♪)と酒
能力値:統率5・武力5・知力3・政治4・魅力5
オリジナルキャラクター③『諸葛瑾』
姓 :諸葛
名 :瑾
字 :子瑜
真名:藍里(あいり)
武器:風切羽(かざきりばね)……火蓮から受け取った護身用の短刀。諸葛瑾(藍里)の実力が低いので、あまり役に立っていない。
諸葛亮(朱里)の姉。
諸葛亮(朱里)とは違い、長身で胸も大きい女性。髪は金髪でポニーテール。
温厚で気配りのできる性格で、面倒見も良い。赤斗の世話役として補佐につく。
一時は、自ュ治、軍事、外交と様々な仕事をこなすが、諸葛亮(朱里)には僅かに及ばない。
苦手なもの:酒(飲めるが、酔うと周りの人間にからむようになる)
能力値:統率3・武力1・知力4・政治4・魅力4
オリジナルキャラクター④『太史慈』
姓 :太史
名 :慈
字 :子義
真名:嶺上(りんしゃん)
武器:雷電(らいでん)……二本の小型の戟。
非常に勇猛かつ、約束に律儀な武将。銀髪レゲエの女性。
孫策(雪蓮)と一騎打ちして引き分けたことがある。
それ以来、孫策の喧嘩友達になっており、よく喧嘩をしている。
孫尚香(小蓮)や諸葛瑾(藍里)と仲が良く、孫尚香(小蓮)の護衛役をしている事が多い。
子供好きで、よく街の子供たちと遊んでいる。
弓の名手でもあり、その腕は百発百中。
好きなもの:子供
能力値:統率4・武力4・知力3・政治2・魅力3
オリジナルキャラクター⑤『司馬懿』
姓 :司馬
名 :懿
字 :仲達
真名:不明
武器:不明
黒尽くめの衣装を身に纏った、曹操軍の軍師。
曹操軍に属しているが、曹操からの信頼はないといっても良い。
色々と裏で暗躍しており、虎牢関では張遼を捕え、術により自分の傀儡にしている。
今は、魏から姿を消している。
能力値:統率5・武力?・知力5・政治5・魅力?
オリジナルキャラクター⑥『玄武(げんぶ)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:魏軍正式採用剣……魏軍に配備されている剣。
司馬懿の部下。
普段は何の変哲もない魏軍の鎧を身に纏い、普通の兵士にしか見えない。
しかし、眼の奥からは異質な気を醸し出している。
鎧の下には黒の衣を纏っており、素顔は司馬懿に似ている。
虎牢関では、鴉と一緒に張遼を捕えた。
能力値:統率2・武力4・知力3・政治1・魅力2
オリジナルキャラクター⑦『鴉(からす)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:爆閃(ばくせん)……司馬懿から受け取った回転式拳銃。
司馬懿の部下。
性格は軽く、いつも人を馬鹿にしているような態度をとる。
司馬懿と同じ黒い衣装だが、こちらの方がもっと動きやすい軽装な格好をしている。
寿春城では、孫堅(火蓮)を暗殺しようとした。
能力値:統率2・武力4・知力2・政治1・魅力3
オリジナルキャラクター⑧『氷雨(ひさめ)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:氷影(ひえい)……氷のように透き通った刃を持つ槍。
司馬懿の部下。
青い忍者服を着た長い白髪の女。
背中には“氷影”を携えている。戦闘時には全身からは氷のように冷たい殺気が滲み出す。
洛陽で董卓(月)と賈駆(詠)を暗殺しようとした所を、赤斗と甘寧(思春)に妨害される。
官渡の戦いでは、呂布の部下を連れ去り、それを止めようとした陳宮を殺害する。
能力値:統率2・武力4・知力3・政治1・魅力3
オリジナルキャラクター⑨『宮本虎徹』
姓 :宮本(みやもと)
名 :虎徹(こてつ)
字 :なし
真名:なし
武器:虎徹……江戸時代の刀工が作った刀。
赤斗の古武術の師匠。
年齢は50歳。実年齢よりも、肉体年齢は若い。
赤斗と一緒に、恋姫の世界に飛ばされたと思われる。
最初は河北に居て、それからは用心棒をしながら、色々と辺りを転々としている。
赤斗曰く、『無双無限流の妙技を見せてやるっ!』が口癖で、その実力は呂布(恋)以上。
能力値:統率?・武力6・知力5・政治?・魅力?
※能力値は「5」が最高だが、呂布の武力と劉備の魅力は「6」で規格外。
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この作品は、基本的に呉√にそっては行きますが、他√に
脱線することもあります。また、主人公も含めてオリジナルキャラクターが出てきます。
未熟なため文章におかしな部分が多々あるとは思いますが、長い目で見てくださると助かります。