No.224152

正史と外史の狭間で~拠点・三君主の会議?~その1

ですてにさん

動画作成から逃げるように作成。

状況:三国志9英雄集結の呂布傘下に恋姫勢の一部が集合中。
ヒロイン勢は真・恋姫無双の各ルートエンディング後からやってきた。
一刀は、差はあるものの、それぞれ各世界からいなくなっている。

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2011-06-22 16:41:51 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4826   閲覧ユーザー数:3918

洛陽の庭園。桃香の提案で、三君主だけの話し合いが持たれていた。

議題は、天の御使いをどの国による統一世界に連れ帰るか。

 

「うーっ、華琳さんの国はご主人様がいなくても、ちゃんと動くじゃないですかー」

「だから、一刀を諦めて、蜀の世界に譲れと?」

「だって、ご主人様は王なんだよ、王! 華琳さんや蓮華さんのところみたいに、王を支える家臣の立場じゃない・・・

替えの利かない存在なんだよ!?」

「じゃあ、桃香はいったい何をしてるんだ・・・」

「・・・象徴みたいなもの、かな?」

 

ほんわかと桃香は微笑む。

しかし、閨無双の一刀から、華琳や蓮華が情報を聞き出していないはずはなく。

 

「逆でしょ。象徴は一刀。王はあ・な・た」

「うっ・・・」

「さすがにあざと過ぎるぞ・・・調べればすぐに判る嘘をつくな、桃香」

 

そうは問屋が下ろさないと、即座に切り捨てる女王二人組。一刀が欠かせぬ存在なのは、どの国でも一緒なのだ。

 

「それに、各世界を回った一刀は、知略、政治、軍略の多岐に至るまで、将の中でも群を抜く存在になっている。

私も華琳も、そう簡単に譲るわけにはいかない」

「・・・武術はからっきしだけどね。さすがに分隊長程度は相手にならなくなったけれど」

 

ため息をつきながら、幸せそうに言葉を紡ぐ、愛情表現の屈折した覇王様の発言に、

あえて空気を読まずに、桃香がここぞとばかりに攻勢をかける。

 

「でしょ!? 武術がからっきしだったら、魏では生き残れないだろうし! だから、ご主人様は蜀でちゃんと」

「それは呉でも同じが言えるぞ、桃香。それは通じない。

華琳の愛情表現を判っていながら、無理やり筋道を引こうとしないのだな」

「あうぅ・・・」

 

だが、桃香の愛情表現は真っすぐで、それゆえ、すごく眩しく見える。

彼女の掲げる理想も、一刀の支えもあって、

今では夢想ではなく、現実を一歩一歩見据えて進む、しなやかな強さを持っていて、より輝かしいものに映る。

 

「ただ、桃香が本当に一刀が好きだというのは、よく伝わるわ」

 

蓮華の口調が王としてではなく、親しい友人へのものへと変わる。

ただ、華琳がぴくりと眉を動かすばかりで、本人は気が付いていない。

 

「でしょ~。ご主人様無くして、幸せに生きていけないもん♪」

「それは私もよ。一刀がいない生活など、考えたくもない。いえ、考えもつかない」

 

自らの発言に寒気を覚え、蓮華は自身を抱きしめる。

 

「蓮華さん・・・」

「王としては情けない限りだと思うけど、一刀がいない状態で、私は王として、まともに立っていられなかった。

姉さまや冥琳を失い、一刀までいなくなった後の私は、抜け殻そのものだったのよ」

 

何の因果か、この世界には幸い、姉も冥琳もいる。皆、一緒に子の待つ、あの国へ帰れたら。

それは祈りであり、切なる願望であった。

 

「だから、譲れない。一刀を。国のためもあるけど、なにより私は、一刀がいなくては、生きていけない」

「情けないことね、蓮華」

「えぇ、華琳、情けないわ。私は、貴女や桃香のように、一刀を失ってなお、王ではいられなかった」

 

でもね、と蓮華は続ける。

 

「それだけ、一刀を深く愛していられる、自分を嫌いじゃないの」

 

蓮華と病華の間とは誰が言った言葉か。

少なくとも、一刀が傍に存在する今の蓮華は、実際に一刀の後宮(のような状態)を取り仕切っており、

正史・曹孟徳の正妻、卞夫人を彷彿とさせるものがある。

 

「・・・あう、蓮華さんの正妻ぱわぁが」

「ぱわぁ?」

「力というか、覇気というか、オーラ力というか」

「桃香、何を言っているの?」

「ご主人様の受け売りだもん・・・とにかく、見えない力がすごいって言いたいの」

「・・・そう言われると判る気がするわ」

 

呂布軍において、軍略、政略全てに才があり過ぎるが故、

常に軍事に引っ張られがちの華琳に比べ、蓮華は内政面の責任を担うことが多い。

もともと、国を富ませることに遣り甲斐を強く感じる彼女の性格と内政能力、一刀の知恵を取り入れた統治手法は、

幕僚陣からも民からも支持を得ていた。

加えて、月を筆頭とした侍女たちのような、城仕えの者たちの統括も、蓮華の担当。

 

つまり、蓮華は城にいる=家を守ることが、結構多いわけで。

 

「気づけば、料理の腕も、桃香とも段違いになっていたものね・・・」

「うぅ・・・言わないで、華琳さぁん・・・」

 

瞳から、本当に滝のような涙を流す桃香。

お笑い役そのもののようだが、不思議と女性としての魅力を損なうことがない。どこか微笑ましくすら見える。

それが桃香の女性の武器の一つであるのだが、華琳は悔しいから言ってやるつもりはない。

 

「男性は胃からしっかりと落とすことだと、祭も言っているもの」

「あら、その点でいえば、私が一番秀でているわね」

「だけど、華琳は、相手にも同じ味覚感覚を求めるから、緊張してしまうきらいがあると思うわ。

その点、私は食べてもらえれば幸せだから、ゆったりとした時間を過ごしてもらうことができる」

「へぇ・・・蓮華、言ってくれるじゃない?」

「あぁ、ふ、二人とも落ち着い・・・」

『『桃香は黙っていてちょうだい』』

「はいぃ・・・」

 

二人のどす黒いオーラに、尻込みしてしまう桃香が辺りを見回したその時。

 

「あら~? 楽しそうな話をしてるじゃない? 私も混ぜてよ」

「雪蓮さん!(た、助かった、の?)」

「姉さま!」

「あら、雪蓮に冥琳」

「三君主が混じって、何の話をしているのかと思えば・・・」

「重要な話よ? 一刀をどの世界に連れ帰るかで、それぞれの世界が大きく変わるのだから」

「ふむ・・・」

「そんなの簡単よー。三つの世界をくっつけちゃえばいいじゃない? もしくは一刀を三つに割・・・」

「後者は北郷が死ぬぞ・・・」

 


 
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