部屋の中には緊張感が満ちていた。
扉を開けて一刀が見たのは、言い争いをしている甘寧と恋、そして甘寧の後ろでどうしようかウロウロしている孫権だった。
そして一刀が部屋に入れるように恋に言ったのだが、恋は断固として聞き入れなかった。
結局、恋も中に入って一刀の横に控える・・・と言う形で恋も納得したのだった。
と言う訳で一刀達は部屋に入ったのだが
誰も喋らない。
恋は二人を警戒しているし、甘寧はずっと無言。
一刀は頭を掻いて孫権の話を待っていて、孫権は何と言い出したらいいのか分からないようで、なかなか話そうとしなかった。
時間だけが過ぎていく・・・
そしてようやく孫権が口を開いた。
「・・・すまない。今回の事は私の独断だ。呉の本意ではない。虫のいい話だが、同盟は組んでもらえないだろうか?」
「・・・最初からそのつもりだよ」
ようやく口を聞いたと思ったらなんとも堅苦しい言い方。
一刀は苦笑いした。
「貴様!何がおかしい!?」
甘寧が孫権の横から掴みかかろうとするが
「・・・・・・」
恋の殺気に気付き、またもや動きを止める。
「止めなさい思春、これ以上皆に迷惑をかけたくないの・・・」
「・・・ハイ」
孫権の言葉にすごすご引き下がる甘寧
「とにかく、もうさっきのような事は無いと思っていいんだな?」
「・・・ええ」
「そうかい・・・」
フゥ、と一息つく一刀。
そして孫権は立ち上がり
「悪いが、忙しいのでもう行かせて貰う」
先程と同じ堅苦しい態度で言う孫権
そして甘寧と共に部屋を出て行こうとするが、一度振り返り
「・・・シャオを不幸にしたら私が許さない」
そう凄んで出て行った。
残された一刀と恋
「・・・真面目が服着て歩いてるみたいだな」
「・・・アイツら嫌い」
恋が不機嫌そうにそう言った。
「おいおい、仲良くやろうぜ?」
「・・・でも」
「まあ、すぐには無理だろうが、同盟組むんだからギスギスしてたらいかんだろう?」
「・・・・・・・・コクッ」
長い間
納得していないようだ
「・・・やれやれ」
そう言って一刀は恋の頭を撫でる。
何時になったら、このわだかまりは解けるのだろうか?
ため息をつく一刀であった・・・
そして翌日の夜
魁と呉の同盟
そして一刀と小蓮の婚約祝いで宴が開かれた。
参加しているのはこの前と同じ呉の重臣達と、一刀と恋
ちなみに恋は
「・・・ムグムグ・・・ゴックン」
「こ、これも美味しいですよ?」
呂蒙が恋にシュウマイの乗った皿を差し出す。
「・・・アーン・・・パクッ、モギュモギュ」
迷わず口にする恋
ほわぁぁ・・・
「はぁ・・・」
恋の食べる仕草を見て、思わずうっとりとする呂蒙
そして
「これも美味しいですよ?」
明命や
「これもどうぞ~」
陸遜も次々と料理を恋に差し出す。
モギュモギュとひたすら食べ続ける恋
その恋の魔性に魅入られた女性達
それは時と共に増えていった・・・
「どこに行っても人気だな」
一刀は少し離れた場所でそれを見ていた。
「おもしろい娘じゃのう」
そして、いつのまにか隣に来ていた黄蓋が言う
「・・・黄蓋さんでしたっけ?」
「祭じゃ」
「・・・それって真名でしょ?」
「小蓮様の婚約者であれば、ここにいる皆にとっては家族も同然。それにあの一件でお主の肝の座った所は見せてもらったからのう。遠慮せず呼ぶがよいぞ?」
酒をクイッと飲みながらそう言う祭
「・・・じゃあ祭さん。アンタは恋の所に行かないのか?」
「ワシはあの娘の周りの反応を見て一杯やるほうが楽しい」
「・・・いい趣味だな」
やれやれと、一刀もコクッと酒を飲む
「それに、見てみるが良い」
祭に言われ、視線の先を辿ると
「・・・そわそわ」
孫権が妙にそわそわとして恋の方を見ていた。
「何やってるんだ?」
一刀の問いに祭はこう答えた。
「自分もあの娘に食事をやりに行きたいのであろう?しかし権殿はあの娘に嫌われておるから出来ぬしのう・・・例え出来たとしても周りの娘達のようになるのも躊躇うであろうが」
「・・・こんな時ぐらい羽目を外しても罰は当たらんだろうに」
難儀だな、と言いながら祭に酒を注ぐ一刀
「おお、スマンのう」
注いで貰った酒をすぐに飲み干す祭
「ほれ、今度はワシが注いでやろう」
「どうも」
トクトクと一刀の杯に酒を注ぐ祭
そしてグイッ!とあおる一刀
「いい飲みっぷりじゃのう。ほれ、もう一杯」
「いや、俺元々酒はゆっくり味わう方が好きなんだけど・・・」
そう言って杯に自分で酒を注ぎ、今度はチビチビとやる一刀
「何を言っとる!こういう場ではドンドン飲んでいくもんじゃ!!」
そう言って一刀の杯を酒で満たす祭
「・・・やれやれ」
仕方なくグイッ!と一気飲みする一刀
「おお!そうこなくてはのう!」
ご機嫌な祭
そんな中
「一刀飲んでる~~?」
一刀の後ろから孫策がのしかかってきた。
背中に柔らかい二つの塊が押し付けられる
「・・・見ての通りだ」
とりあえずそう言う一刀
「お姉ちゃん!何やってるの~!?」
姉の行為に怒り心頭と言った感じで小蓮も近寄ってくる。
宴は、まだまだこれからのようであった・・・
「なあ、孫策」
「雪蓮よ。一応義姉になるんだからそう呼びなさい」
「いや、そんな軽々しく・・・」
「い・い・わ・ね?」
「・・・はい」
雪蓮の迫力に押されて頷く一刀
「よろしい!・・・で?」
「何で嫁選びなんてさせたんだよ?」
一刀の答えに雪蓮は
「ん~~、秘密」
答えてくれなかった。
「俺を試したのか?それとも単なる趣味か?」
「ご想像にお任せするわ」
あくまで教えないつもりらしい
「・・・まあ、別にいいけどよ」
また一杯、酒を飲む一刀
そして
「おし!一丁自慢の喉を披露するか!」
一刀は立ち上がり、懐に手を入れマイクを取り出す。
「一刀は歌上手いの?」
小蓮が訊ねてくる。
「これで飯食ってたときもあるからな」
「へぇ~~」
小蓮は意外そうだ。
そして一刀は皆から見える所に移動して
「え~、宴も盛り上がってきた所で北郷一刀、一曲歌わせてもらいます」
「いいわよ~。やれやれ~~!!」
雪蓮から焚きつける声が聞こえる。
「ありがとうございます。それでは・・・」
そして一刀は歌い始めた・・・
「独~りでは、遠い明日を~、夜明け~の~ままで越えそ~うで~」
「ブ~ツかっていきゃ、コケる想いよ、今夜もま~た~すれ違い~~」
歌声が響く
「ほう・・・なかなかやりおるのお」
感心する祭
「確かに・・・アレで食べてたって言うのも分かるわね」
酒をあおりながら耳を傾ける雪蓮
「一刀やるぅ~~」
小蓮も
皆の視線も一刀に集まっていた。
恋も食べながらチラチラ見ている。
「熱~く~て~つら~い~、自~分を~隠して~、短~い~時代を生きてる~~」
「素晴らしいです!コーチ!」
「・・・ポケ~~」
明命は賛辞を送り、呂蒙は一刀の方を見てぼ~っとしていた。
陸遜は普通に聞いていたが・・・
「何度~何回繰り返しても、戻~って~きちゃう愛だ~から~」
「ブ~ツかっていく消せぬ思いを、責~める方~が~筋違い~~」
そして
「・・・・・」
孫権も無言で聞いていた。
甘寧は一瞥した位で真剣に聞いているか分からなかったが・・・
「独~りでは、遠い明日を、夜明け~の~ままで越え~て~ゆく~」
「相性よ~りも深いふた~りは、すれ違~って構わない~~・・・」
歌も終わり
パチパチパチパチ・・・・
ほぼ全員が拍手を一刀に送った。
それから小蓮も踊りと共に歌ったり、周瑜が雪蓮に押されるがままに楽器で演奏したり、次々と一芸を披露していき、場は芸人バトルのような様相になってきた。
盛り上がりは留まる事を知らず
宴は
夜遅くまで続いていった・・・
どうも、アキナスです
やはり二人との和解はまだ先のようです
というか、本当に和解のタイミングが何時になるか?
・・・終わるまで出来なかったりして(汗)
それでは次回に・・・
「玉無し雷神剣!かみなり斬り~~!!」
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再び彼女達と向き合う一刀
はたして・・・