呂布は雪蓮姉さんの提案を受け入れ俺達の仲間となった。
その場で皆と真名の交換を行った。
「…真名は恋。……ねねも言う」
「う~む、恋殿を天下人に出来ないのは残念ですが…
ねねの真名は音々音ですぞ。言いにくいのならとねねと呼ぶであります」
恋は皆と挨拶をした後、俺の前までやって来た。
「ありがとう……ご飯、美味しかった……」
「別にいいよ。これから恋達は呉の一員だ。俺達の家族同然だよ」
呉の国は結束力が強い。
呉の家臣達は皆孫家の家族と同じである。
それを聞くと恋は、
「…うれしい……家族が沢山できて」
そう言い恋は微笑んだ。
「じゃあ恋、早速仕合ましょう!」
そう言い姉さんは恋の手を取り目を輝かせながら鍛錬場へと向かった。
しかしやはり最強を言われている恋。
あの姉さんが数合のうちに倒されてしまった。
他の武将も挑んだが、皆ことごとくやられてしまった。
俺は恋が敵にならなくてよかったと深く感じた。
恋達が仲間になって数日がたった。
徐州を手に入れた華琳達はまだこちらに攻めて来る様子がない。
どうやら平定した冀州で袁家の残党が反乱を起こしたらしく、その鎮圧に追われているようである。
そんなある日、
「ねぇ一刀、曲阿に変な奴がいるそうなのよ」
姉さんが困った顔をして俺の部屋にやって来た。
「なんかね、街で力自慢の者に仕合を挑んで、ことごとく倒していってるって。
うちの武将も何人か戦ったらしいけど、皆やられちゃったのよね」
「……それで俺にどうしろと?」
「ちょっと曲阿まで行って、そいつを止めてきて。
私は忙しくて無理だし。恋を送ってもいいんだけど、まだうちに来て日が浅いし、いろいろとあるしね」
「わかったよ」
そして俺は曲阿に謎の道場破り(?)を止めに行くこととなった。
曲阿に着くと、その人物はすぐに見つかった。
「誰かオレを倒せる奴はいないか!」
馬にまたがり、片手に槍を持った目の部分が隠れている兜をかぶった人が街の広間で大きな声で叫んでいた。
背は俺と同じぐらいか、少し細身である。
長い髪を頭頂部にまとめている。
「なんだ、この街で強い奴はもういないのか」
残念そうに道場破りはつぶやいた。
「ここにいるぞ!」
俺はそいつに向かって叫びながら馬を向けた。
「お前は?」
「俺の名前は孫権。お前の噂を聞いてやって来た」
「孫権って言えば呉の王族じゃないか。…面白い!オレは太史慈だ!」
道場破りは太史慈と名乗り、
「お前も馬か…じゃあ、ここじゃ狭いし、街の外に行こう」
俺と太史慈は街の外へと向かった。
「オレはよぉ、元々はここを収めてた劉繇の家臣だったんだよ。
でもまああんたたちによって劉繇はやられちゃったけどな。
……だからといって別に敵討ちってわけじゃない。
あいつはもともとオレの事を煙たがってたし別に恨みは無いぜ」
街の外で向い合った太史慈はそういった。
「オレはただ自分の力が知りたいだけだ。だから楽しくやろうぜ!!」
言い終えると太史慈は槍を構え馬を走らせた。
俺もそれを合図に剣を構え太史慈に向かっていった。
「はぁぁああ!!」
「やあああ!!」
太史慈が振り下ろした槍を防ぎ、その返しで俺は剣を横に振る。
しかし寸でのところでかわされ、再び距離があく。
距離を詰めて攻撃してはそれをかわし、攻撃をすると防がれる。
互いに何合打った分からない、おそらく百はいくかと言うところで変化があった。
「行くぞ!やぁー…!?しまった!」
互いの攻撃があまりにも熾烈であったため、俺の乗っていた馬が足を崩し倒れてしまった。
俺は慌てて飛び降りたが、その隙を太史慈が、
「もらったー!…って、うお!?」
突撃をかけた太史慈の馬もバテて倒れてしまった。
互いに馬を無くした状態で仕切り直しとなった。
「はぁはぁ……なかなかやるじゃないか……」
「お前もな……」
あれから再び攻撃し合い、互いに疲れきっている。
「次で終いにする」
太史慈は槍を頭上で回し構え直す。
俺も両手で剣を構え、一撃を狙う。
場に緊張が走ったその時、
「大変だー!賊が出たぞ!」
街の城壁の見張りが叫けんだ。
「なんだって!?」
「……太史慈、この勝負おあずけだ。俺は賊討伐に向かう」
そう言い、連れてきた兵と街にいる兵に指示を出す。
「だったらオレも出る!」
「…わかった。手伝ってくれ」
太史慈に代わりの馬を渡し、街にやって来た賊の討伐に向かった。
太史慈の手伝いもあり、賊は街に入る前に討伐することが出来た。
賊と戦っているとき太史慈は「せっかくの勝負の邪魔をするなーー!!」と叫んでいた。
「ありがとう太史慈。君のおかげで被害も最小に済んだよ」
そう言い俺は右手を差し出した。
「別にたいしたこと無いって。当たり前のこと…よ…」
太史慈は俺の手を握り替えそうとしたとき、これまでの疲れが来たのか倒れこんできた。
そのまま太史慈に押し倒されるような形で地面に倒れこんでしまった。
「おい、大丈夫か?」
差し出していた右手で太史慈を支えると、
ムニムニムニ
なんだかその場に似つかわしくない感触が。
ムニムニムニ
確かめるようにもう一度。
右手を見ると太史慈の胸当ての隙間に手が入っていた。
まさか……
太史慈の顔を見ると、先程まで被られていた目を隠した兜は取れ、そこには凛とした目元の少女が。
太史慈の顔は今、真っ赤である。
「もしかして……女?」
その瞬間太史慈は俺を睨みつけ、
「お、オレは女だ~~~!!」
そう叫び、胸を押さえつけながら俺を殴り飛ばした。
後に兵に聞くと俺は5丈(一丈約2.3㍍、約11.5㍍)程空を飛んだらしい。
その後、俺は太史慈に謝罪すると太史慈も許してくれ、
「さっきは悪かったよ。……オレの真名は栄(ヨウ)だ」
と顔を赤くしながら真名を名乗った。
先程の仕合で信頼に値すると思ったそうだ。
俺が城に戻ると言うと「オレを配下にしてくれ」と言いついて来た。
その後、姉さんに栄のことを紹介すると、二人は妙に気が合い、早速仕合ってた。
2人とも戦い好きだからそこの波長が合ったのだろうか。
こうして新たな仲間を迎えた呉は来るべき曹操との戦いに向け、準備をすすめる始めた。
第18話、オリキャラ登場でした。
太史慈。史実では孫策と戦い勝負がつかず、それがきっかけで呉に降った武将でした。
この話では雪蓮の代わりに一刀君が戦いました。
格好は目の部分を隠した兜をかぶっていて、背も高いため男に見られることも。
胸はそこそこあるけど、胸当てをしてるためあまり目立ちません。
武器は槍と弓。太史慈の弓の腕は三国でも一二と言われてますからね。
真名の由来は、ある人の名前をもじって使いました。三国志と関係ない人です。
では、また。ノシ
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第18話です。
前回仲間となった恋と音々音。
今回は新キャラが登場。オリキャラです。
では、どうぞ。