No.220981

楽々・恋姫無双 第1回同人恋姫祭り 特別編

TAPEtさん

なんとか書けました。
予定していた愛紗さんとの話にはなれなかったですけど…
いやー、子供の一刀ちゃんのことあまり書きすぎて大人のイチャつきとか自分には無理でしたよー

あ、第1回同人恋姫祭り最後の日ですが上げていただきました。

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2011-06-05 21:28:56 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:7493   閲覧ユーザー数:6039

 

 

 

これは、

 

夏の三国同盟記念のお祭りの第三年目、

 

祭りが挙げられる場所は魏。

 

これは、今まで幼くて他の国の祭りには参加することが出来なかった一刀ちゃんこと曹丕(2)の始めてのお祭りであった。

 

 

 

 

 

 

「一刀ーーー!!」

 

ここ魏の首都許昌、祭りが始まるこの日にまでも、桂花は走っていた。

 

「桂花、どうしたんだ。また曹桓が居なくなったのか?」

「秋蘭。ええ、まったくどこに行ったのよ、あの子……」

 

激烈なあの涼州での戦い、三国は五胡との戦いを見事に勝ち抜いた。

だが、その嬉しい結果とは裏腹に、悲しいこともあった。

孫策と司馬懿の再びの死、そして多くの将兵たちを失ったこの戦い。

そして魏にとってなによりも悲しかったのは、曹操と及び魏の象徴の一人であった北郷一刀であった。

幼い体を持ってして、彼は魏だけではなく大陸皆のために働き、結果その身を失った。

 

だけど、その悲しみもあっという間だった。

北郷一刀は曹操の息子として生まれ変わったのであった。

曹丕、字は桓、真名は一刀。

彼は再び生まれたとしても、相変わらず魏の象徴であり、大陸平和の象徴であった。

 

もっとも、そんな幼い(本当に幼い)の彼の放浪癖(?)を止められるのは、誰も居なかったわけだが……

 

「祭りが始まって、街は大騒ぎなのよ。もし街中で何かあったら……」

「…桂花、そう心配することもないだろ。いつものことだし」

「あんたはいつものことだってあまり安易過ぎてるのよ!そんな時こそ何かが起きるかもしれないじゃない」

「……たしかにそうかもしれないが…」

「だったらあなたも早く探しなさい。天下一品武道会でも予選で負けたし、暇でしょ?」

 

それを言われると流石冷静な秋蘭も気に障る。もっとも、

 

「……そういう桂花こそ、象棋大会で一戦目で負けたではないか」

 

そう、この二人、華琳を支える第一陣であるこの二人が、ホームグランドの魏にて一戦で降れたのである。

 

「仕方ないでしょ!っていうか誰よ、一戦目にあの恋と組ませるって、これはきっと何かの罠よ!」

「籤で決めたわけだから不正はなかった……はずだ」

「………」

 

ちなみに秋蘭が一戦目で戦ったのも恋であった。

いやー、恋は働き者ですねー。

 

「と、とにかく、早く一刀をさがすわよ」

「…わかった。街で一刻ぐらい探してなかったら一度戻って他の皆にも話をかけよう」

「ええ。もしもでも華琳さまにバレるんじゃないわよ」

「ああ、心配するな」

 

一刀ちゃんのことになると『覇王なんていなかった』状態になる華琳だったので、取り敢えず華琳にしらすことだけは駄目。絶対。

 

 

 

「さて、どこから探すか」

 

桂花と分かれて、一刀を探し始める秋蘭であったが、正直一刀ちゃんが居る場所なんてわかることもできない。

あまりにも許容範囲が広い一刀ちゃんにとって、街の隅から隅までも彼の移動範囲内だった。

一度彼がその気になると、呉の明命や思春にさえも探し出すことはできないだろう。

 

「凪たちのところにでも行ってみるか?」

 

と思った秋蘭だが、直ぐにやめた。

凪がそれを知ったら、他の仕事(この忙しい街を守る警備隊隊長としての仕事)を放り出して、警備隊全力を持って一刀ちゃんを探しだすだろう。

そしたら、第二の『許昌爆発事件』が起こりかねない。

 

「…あれはひどかったな」

 

始めて一刀ちゃんが居なくなった時の記憶を思い出しながら少し顔を青くする秋蘭だったが、ふと異様な感触を感じた。

 

ギュー

 

「!」

 

賑やかな街の中だったので、行人たちとの少しずつの肌の触れ合いがあることは仕方なかったが、ミニチャイナの彼女の脚を触るという、なんとも破廉恥な感触を感じた秋蘭は直ぐにそっちに目を向けた。

もし他の誰かだったとしたら、彼はその場で何回が空中で回転し、城の外壁まで飛ばされただろうけど、秋蘭は自分の脚をつかまえてる存在を確認した。

 

「………<<ギュー>>秋蘭」

「曹桓、こんなところで何をしているんだ」

「…お宝探し」

「…?」

 

突然何を言ってるのか秋蘭は良く分からなかった。

そしたら小さな一刀ちゃんはその指で秋蘭をさしながらまた言った。

 

「…お宝、見つけた」

「……ふふっ、そういうことか」

 

一刀ちゃんの言葉を訳するとつまり、

街に出て、自分を探しに出たお姉ちゃんたち(お宝)を自分が探す。

こんな賑やかの人群れの中で探すのが大変だろうと思っていたら、むしろ向こうからこっちを探していたのだ。

 

「それで、探された私(宝)は何をすればいいのかな」

「……遊ぶ」

「…そうか。でも桂花が心配していたぞ?」

「……宝探しもまだやる」

「桂花を見つけたら、私はどうなるんだ?」

「………………」

 

一刀ちゃんは口を閉じた。

それは考えてなかったらしい。

三人で遊ぶという選択肢がないわけではないが…桂花のことだから、秋蘭との組み合わせだと素直に一刀ちゃんと遊ばないかもしれない。

桂花の本当のデレは一刀ちゃんと二人だけの時に現れるというのは、ここ数年にて魏の皆には良く知らされた法則だった。

 

「………<<あわあわ>>」

 

一刀ちゃんが慌て始めた。

あまり長く考え続けると頭が混乱して涙目になっているその姿を見ると、秋蘭は自分も知らなかった自分の性癖に目覚めそうになった。

このままこの涙目一刀ちゃんと堪能しても秋蘭は一向に構わなかったが、一つの場所で長く居ると桂花に見つかってしまう。

そしたらせっかく一刀ちゃんが誘ってくれたでぇとが霧散されかねないので、ここは一つ、早く一刀ちゃんを混乱状態から救い出すことにした。

 

「では曹桓、他の遊びをしないか?」

「…?」

「私と一緖に遊びながら、桂花から逃げまわるのだ」

「……桂花お姉ちゃんから逃げる?」

「そうだ。もし捕まったらそのまま今日の街での遊びは終了。制限時間は一刻後まで」

 

流石に桂花に言っておいた時間まで戻らなければ、桂花にバレてしまうだろう。

 

「……うん、わかった<<コクッ>>」

「そうか。それじゃどこから行ってみようか」

「……あのね」

 

こうして、秋蘭と一刀ちゃんの新しい遊び(鬼ごっこ、鬼は自分が鬼と知らない)が始まった。

 

 

 

 

「ここは……射撃場か」

「…<<コクッ>>」

 

一刀ちゃんは最初に秋蘭を連れてきた場所は射撃場だった。

射撃場と言っても、この時代で良くある弓を使うわけではなかった。

代わりに真桜が遊び道具用に作った豆鉄砲だった。

豆鉄砲で射撃盤の点数を特定した数字に合わせれば景品をもらえるという仕様だった。

 

「はい、いらっしゃいませー」

「店主、一回頼もう」

「へいー、それじゃあ、ここにある箱の中で籤を引いてください。豆鉄砲を三発撃って、合算した点数が籤から出た数字と同じだと、この中で好きなものを景品として持っていくことができます」

「うむ、それでは…」

「しゅうらん、しゅうらん」

 

籤を引こうとする秋蘭を、一刀が下から裾を引っ張った。

 

「うん?なんだ?」

「……ボクが引いてみたい」

「そうか。それじゃあ、曹桓に頼んでみようか」

 

秋蘭は箱を一刀に出した。

一刀はヤル気になっておもいっきり腕を暗い箱の中に突っ込んでぶんぶん回しては、一つの籤を引いた。

籤には『参拾(30)』と書かれていた。

ちなみに、一発で得られる点数は、最大十点である。

つまり、この点数を合わせるためには三発全部、的の一番小さい丸に当てなければならないのだ。

 

「!!<<あわあわ>>」

 

自身ありげに引いたのが一番難しい点数をだしてしまって一刀はまたパニってなんとか籤を上下反転で見ようとした。

でも、「三十」と書いてあったらまだ上下ひっくり返して「十三」といえるが、そんな状況を防ぐために「参拾」と書いているので無意味だった。

 

「アッチャー、坊ちゃんえらい数字引いちまったな」

「……な、なかったことに…」

「うーん、さすがにそれはなー」

 

店主との引き取りも拒否られた。

一刀ちゃんは引いた籤を持って左右に振り回してみる。

無意味だけど。

 

「曹桓」

「<<ビクッ>>」

 

怒られるだろうかと思って俯く一刀ちゃんだったけど。

 

「いい数字だな」

「…ふえ?」

 

そんな秋蘭の言葉にきょとんとなった。

 

「これで細かいに計算をしないで済む」

「おお、姐さん自信満々だねー」

「しゅうらん……」

「心配するな、曹桓。お前が欲しい物は私がもらってやろう」

「……しゅうらん…」

 

心配そうな一刀ちゃんの顔とは裏腹に、余裕を持って秋蘭は的を見た。

豆鉄砲を持って、的への豆の軌道を頭の中に描くように一度銃口を上から下に動かした秋蘭は、

 

タン、タン、タン!

 

迷いなく三発を連続に撃ち抜いた。

 

「!」

 

一刀ちゃんは驚いて的の方を確認する。

 

紙に出来ている的には10と書いてある的に一つの穴を作っているだけだった。

 

「いや、残念だったな…」

「…<<しゅん>>」

 

失敗したかと思って肩を落とす一刀ちゃんであった。

が、

 

「ふふっ」

「?」

 

秋蘭は笑っていた。

 

「店主、景品は頂いた」

「な、何を言っているんですか?一発しか…」

「的の裏を見てみるがいい」

「何ですと……なっ!これは…!」

 

秋蘭と言う通り的の後を見た店主はびっくりした。

 

的の後側の豆を集めるには三つの豆が落ちていた。

 

「馬鹿な……さっき豆を空にしたばかりのはずなのに…まさか!」

「ああ、一発しか当たってないわけではない。三発とも一つの穴を抜けたのだ」

「そ、そんな馬鹿な……」

「…すごい」

 

しゅんとなっていた一刀ちゃんも尊敬の目で秋蘭を見ていた。

 

「ふっ、私にかかればこれぐらいのこと、どうということはない」

 

一刀ちゃんの前で、いつもと違いおもいっきり自慢する秋蘭の姿は、いつもの姉のような感じがしていた。

 

 

 

 

「<<ギュー>><<にぱー>>」

 

少し時間が過ぎて、一刀ちゃんは片手には秋蘭の手に掴まって、もう片手には景品でもらった熊の縫ぐるみがあった。

一刀ちゃんはそういう類のものが好きだった。

 

「そんなに良いのか?そういうものはもうたくさんあるではないか」

「…特別」

「特別?」

「うん、特別…しゅうらんがボクのために景品に取ってくれた、特別な縫ぐるみ」

「……そうか。嬉しいのか?」

「うん」

「……そうか、曹桓がそんなに喜んでくれると頑張った甲斐があるな」

 

次はどこに行かせるかと周りを見回す秋蘭だったが、このあたりでは特にいいものが見当たらなかった。

 

「他に地区に行ってみるか」

「……!<<ぐいぐい>>」

「?曹桓、どうしたのだ?」

「…桂花お姉ちゃん居る」

「!」

 

一刀ちゃんの話を聞いて周りを見ると、遠くから桂花の頭巾と思われるネコミミが接近していた。

 

「(気づかれているか?いや、まだこの位置なら背があるから桂花はまだこっちに気づいてはいないだろう。だけど、これ以上距離を縮められたらまずいな)」

「逃げよう」

「ああ」

 

秋蘭と一刀ちゃんは桂花が見える場所に背を向けて歩いた。

後どこに行くかは次に考えることにしよう。

 

 

 

そうやって、秋蘭は桂花から逃げながら一刀ちゃんと一緖にあっちこっちを回った。

街で売っている砂糖で作ったという綿飴というものを買って食べたり、

途中で桂花にばったり会いそうになって丁度横にあったお面の店でお面を買って危機を乗り越えたりした。

ちなみに買ったお面は秋蘭は例のアレで、一刀ちゃんは最近子供に人気があるとされる『華蝶仮面』の面をかぶっていた。

 

としているうちに秋蘭は桂花に話した時間をすっかり通り越して一刀ちゃんと遊んでいたという。

 

結果的に言うと、桂花はもちろんその後秋蘭が一刀ちゃんを連れ回していることを気づいて即番犬(凪)を放ち、あっという間に秋蘭は警備隊に包囲された。

 

秋蘭と一刀ちゃんは桂花にすごく叱られたが、最も華琳にバレてしまったよりはマシだと言えよう。

その状況だけは桂花も会いたくなかった。

 

そうやって秋蘭と一刀ちゃんの短いでぇとは終わってしまったが、夜になると、

 

「あら、一刀。その縫ぐるみは見たことないものね」

「?……うん、しゅうらん…お姉ちゃんからもらった」

「…そう。ちゃんと秋蘭にありがとうって言ったかしら」

「…………<<ふるふる>>」

「あら、してないの?一刀はいつからそんな礼儀悪いこになったのかしら」

「……!…!!<<あわあわ>>悪いの?」

「悪いわね。ちゃんと感謝しておかないと駄目でしょう。それとも、一刀は秋蘭がその縫ぐるみをくれたことを感謝してないの?」

「<<フルフルフルッ>>!!」

 

一刀ちゃんが頭を振るう速度がより激しくなる。

 

「なら、行ってありがとうって言っておきなさい。今日はあなた好きにしていいわ」

「!」

 

華琳の言う意味が分かった一刀ちゃんは華琳に近づいた。

 

「<<チュッ>>おやすみ」

「ええ、お休みなさい、一刀」

 

そう言って一刀は華琳の寝床から降りて、秋蘭の部屋へ向かった。

 

「…はぁ、まったく、仕方のない子ね」

 

今日地味に桃香に年下だということを知られて振り回されて、一刀で栄養分を補給しようと思っていた華琳はため息をつきながら秋蘭に自分の宝を譲るのだった。

 

 

 

がらっ

 

「曹桓、どうしたのだ、こんな時間に」

 

夜遅く叩かれ門を開いた秋蘭の前(より少し下)には昼街でもらった熊の縫ぐるみを抱えた一刀ちゃんの姿があった。

 

「………一緖に居る」

「華琳さまはどうしたのだ?」

「……良いって言われた」

「……そうか」

「あのね、しゅうらん…お姉ちゃん」

「?」

 

珍しくお姉ちゃんとまで言う一刀ちゃんを見て秋蘭は顔をかしげた。

もじもじしながら一刀ちゃんは華琳に言われた通りに秋蘭にぺこりと頭を下げてから言う。

 

「ありがとう…ございます」

「……ああ、そう言えば、言われてなかったな、曹桓に感謝の言葉。華琳さまに言われたのか?」

「……ボク、悪い子なの?ちゃんともらってから直ぐにありがとうって言わなかったから、悪い子なの?」

「…ふふっ、嫌、曹桓は口で言わなくても、ちゃんと心の中では感謝してただろ?」

「<<コクッ、コクッ>>

 

即反応。

 

「ならいいさ。たしかにこうやって言ってくれるともっと嬉しいが、だからって私は曹桓が口でありがとうと言わなかったからって悪い子とは思わないさ」

「…良い子?」

「ああ、曹桓は良い子だ」

「………しゅうらん、お姉ちゃん」

「何だ?」

「……今日、ありがとう。一緖に遊んでくれて。明日もまた一緖に遊んでね」

「…ああ、明日も一緖に行こう」

「……やくそく」

「ああ、約束だ」

「……<<にっこり>>」

 

特有の笑いをした一刀ちゃんだが、夜は深い。

一刀ちゃんは堪えられないように大きく欠伸をした。

今日はいつもよりも動いているので尚更だ。

 

「さぁ、入って来るといい。一緖に寝よう」

「…うん」

 

今日はここで終わり。

でも、一刀ちゃんと秋蘭のお祭りはまだまだ続く。

 

・・・

 

・・

 

 


 
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