No.220547

真・恋姫†無双 ~君思うとき、春の温もりの如し~ 13話

lovegtrさん

第13話です。
呉奪還編のオチです。
よかったら読んでください!

2011-06-04 03:48:04 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:6548   閲覧ユーザー数:5225

俺達が寿春城を制圧した翌日。

孫策軍の勝利は街中に広まり、寿春の民は歓喜に湧いていた。

袁術の屋敷の前には袁家の主だった家臣の首が並び、

一番目立つところに金髪の髪の束が置かれていた。

その美しい金の髪は袁術のもので、袁術の死体の損壊が激しいとのことで、

首級の代わりに袁術の髪がさらされることになった。

それを聞いた民たちは、袁術の死に方は相当ひどかったのだろうと考え、

天罰だと皆口々にいった。

 

城に入った雪蓮姉さんは、寿春の街を混乱なく収め、今は街の有力者達の所をまわっている。

残った俺達は炊き出しを行い、飢えていた街の民たちに振舞った。

施しをうけた民たちは皆「ありがとうございます。袁家のせいで苦しい思いをしてきましたがそれもこれで終わりです」と口々に感謝の言葉を述べてきた。

こうしてその日は、戦後処理に追われ一日が過ぎていった。

 

翌朝、日も出たばかりで周りには朝靄が漂っている。

俺達呉の主だった者たちは今城の門の前にいる。

「もう行くのね」

姉さんが言うと、

「うむ。あまり長く居ると誰かに知られたら大変じゃからな」

「そうですね~。死んだ人が歩いてたら皆さん、驚いちゃいますからね~」

声の主は美羽と七乃であった。

時間は俺と姉さんが美羽の部屋に入った所に戻る。

姉さんが振り下ろした剣は、美羽の髪を切り落とした。

痛みが来ると目をつむっていた美羽が予想していた痛みが来ないので、

恐る恐る目を開けて聞いてきた。

「……どういう事じゃ?」

「それはこっちの台詞よ。どういう事?あなた死ぬつもり?」

睨む美羽を姉さんも睨み返す。

「当たり前じゃ!妾はここで死んで、今まで苦しめてきた民たちに償いをしなくてはならんのじゃ!」

「民に償いたいのなら尚更生きなさい!」

死ぬことを望む未羽に姉さんは叱りつける。

「…それにあなたが死んだらこの娘はどうするの?」

そう言って七乃の方を見ると、七乃は涙を浮かべ未羽に抱きつく。

「美羽様~!死ぬなんて言わないでください!

 美羽様がいないと七乃は生きて行けません!

 孫策さんの言う通り、生きて2人で償ってゆきましょう~!」

涙を流し訴えかける七乃につられ、美羽も涙を流し七乃に抱きつく。

 

ひと通り泣いた後美羽が聞いてきた。

「ぐすっ。じゃが、妾が生きていたら皆納得せんじゃろう。どうするのじゃ?」

「そりゃもちろん、袁術ちゃんには死んでもらうわ!」

「さっきといってることが違いますよ~!?」

七乃は未羽を姉さんから守るため、慌てて自分の後ろに隠す。

「本当に死ぬんじゃないわよ。死んだことにするのよ」

そう言うと、ねえさんはさっき切り落とした美羽の髪を拾い集める。

「これを首級の代わりにするわ。

 死体は切り刻まれていて、とても見せられるもんじゃ無いとか言ってね」

 

余談だが、七乃が粛清の前に美羽と共に広間から追い出したのは袁家でも数少ない良識派の者達であった。

袁術の死を伝えると、皆涙を浮かべた。

そして袁術の遺言に、孫策に仕えるようにと言う文言があったことを伝えると、主の最後の望みならと了承してくれた。

こんな人達が未羽の周りにもっと居たら、別の結果になってたかもしれない。

そういうわけで、髪の短くなった美羽と七乃はバレない様に街から出て行くこととなった。

「これからどうするの、袁術ちゃん?」

「大陸をまわって色々と見てこようと考えておる。

 そして自分にできる事を考えるのじゃ!」

美羽は手を腰に当て胸をはって答える。

「それに袁術はもう死んだ。妾の名前は美羽じゃ」

「私は七乃です」

「そう。……美羽ちゃん、七乃、私の真名は雪蓮よ」

真名を交換した姉さんと美羽の2人は握手を交わした。

「一刀、本当に世話になったな。その、ちょっとこっちに来てたも…」

もじもじしながら美羽が呼んだので、俺は美羽の目線まで頭をかがめて「どうした?」と聞いた。

チュッ。

その時頬に何か柔らかいものが触れた。

呆気に取られていると、顔を真赤にした美羽が、

「これまでのお礼じゃ。妾の初めてじゃぞ!大切にするのじゃ……」

そう言うと七乃に行こうと一言言い、2人はそのまま慌てて出発した。

少しの沈黙のあと、

「あ~~~!!あの娘なんてことをっ!!私も一刀にする~~!」

と姉さんが俺に口付けをせがんできた。

姉さんの猛攻をどうにかかわすと、思春には睨まれ、冥琳や穏には苦笑いされて散々であった。

こうして俺達は江東を制圧し、念願だった呉の地へと帰って来た。

【曹操 side】

袁紹こと麗羽を倒し、冀州という広大な土地を手に入れた。

今は冀州平定の為の遠征の途中で、天幕で休憩をとっている。

「華琳様!ご報告が有ります!」

「何かしら?桂花」

私の軍の軍師である荀彧こと桂花が慌てて私の天幕へとやって来た。

「はい。どうやら袁術が孫策にやられたのこと」

「…そう。やはり猿に獅子を飼うことなんて出来なかったのね」

フフフ、楽しくなってきたわ。

「桂花。この遠征が終わったら、次は劉備のところの徐州よ。

 そして次は孫策…そのための準備を怠らないように」

「はっ!わかりました!」

徐州の劉備。連合で少し話したとき彼女の考えはとても甘いものだと思った。

けど、彼女から発せられていたのは明らかに王の気。

間違いなくこの群雄割拠の時代、頭角を現すわ。

そして先程の孫策。

彼女も間違いなく英雄としての器を持っている。

今から戦うのが楽しみだわ。

「そして、一刀…」

あなたの才能は一緒に学んでいたから良く分かっているわ。

必ずあなたを手に入れてみせる。

「だから待ってなさい…」

空に手を伸ばした私は、ここにいないものを思いその手を握った。

【曹操 side end】

はい、これで袁術との戦いは終了です。

皆様いかかだったでしょうか?

みんな大好き華琳様も登場したので満足していただけたのでは無いでしょうか。

前にも書いたかもしれませんが、作者は大好きですよ華琳様。

 

さて、次はどういった話にしようかと考えたいます。

作品を読み返してみると、反董卓連合で行方不明になった恋達がどうなったか書いてません!

史実では今桃香達がいる徐州を占領していましたし、そろそろ登場するかも…

 

では、次回も頑張って書きます!


 
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