俺達は今、美羽の城へと向かっている。
ことの始まりは数日前、雪蓮姉さんに美羽から書状が届いた。
内容は「反董卓連合勝利の宴を行うぞ」みたいな内容であった。
姉さんは「仕方が無いわね~」とめんどくさそうにしていた。
しかし宴の文字を見るとお酒が飲めると喜んでいた。
そういう事で、俺と雪蓮姉さんは、護衛に思春を付け数名の兵士と共に美羽の城に行くこととなった。
城に着くと広間に案内された。
広間で美羽と謁見した後、宴は夜からと言う事で宛てがわれた部屋で休んでいた。
すると扉がトントンと鳴り、外から声がした。
「孫権様~。七乃です。いまよろしいでしょうか?」
「大丈夫だよ。どうしたの?」
扉を開け入ってきた七乃は思春を見ると「甘寧さんもいたんですか」と言いながら俺の前までやてきた。
余談だが、姉さんは暇だと言いながら街に遊びに行っている。
「で、何か用かな?」
「はい。実はお願いがあるんです」
「お願い?俺にできる事ならいいよ」
「では、私についてください」
そういって部屋を出た七乃について行く。思春は俺の少し後ろを付いてくる。
「どこに行くんだ?あの部屋じゃダメなことなのか?」
「ええ。実はお嬢様の事で…」
美羽のこと?何かあったのか…
後ろについて来る思春も難しい顔をした。
七乃に案内されたのは城の食堂だった。
ここで何が起こるんだ…
「こっちじゃ~、一刀!」
食堂に入ると、奥の方で美羽が手を上げて俺を呼んだ。
「美羽!何かあったのか?」
「うむ。実は妾の作った蜂蜜料理を食べて欲しいのじゃ!」
「「蜂蜜料理!?」」
俺と思春は声を合わせて叫んだ。
七乃が意味ありげな事を言ったから深読みしてしまった。
「そうじゃ。妾が蜂蜜が大好きなのは知っておろう。
毎日三食蜂蜜でも大丈夫じゃ!
しかし!!最近、蜂蜜のいろいろな食べ方をしてみたいと思うようになったのじゃ。
そこで蜂蜜を使った料理を考え、妾自ら作ってみたから、今から試食をするぞ!」
「って言うか美羽。料理出来たのか?」
「妾は袁家の当主事じゃぞ!不可能は無い!」
「よっ。美羽様!今まで料理なんかしたこと無いのに根拠の無い自信!
この世のものとは思えない料理じゃないのか。このこの~」
「うははー。もっと褒めるのじゃー!」
美羽と七乃の二人芝居もあらかた終わり、美羽は厨房へと向かった。
「私は外で見張りに…」
「ちょっと待てっ!ここまで来たら腹をくくるんだ!」
食堂から出ていこうとする思春を引き止め、俺は覚悟を決める。
思春は真っ青な顔をして俺の隣にしぶしぶ座った。
そうこうしていると、厨房から美羽が皿を持って戻ってきた。
「これじゃ!」
机に置かれた皿には小さく、平面な焼き菓子がのってきた。
「これってせんべいかい?」
「違うぞ。せんべいは米で作るが、これは麦の粉に蜂蜜を混ぜ焼いたものじゃ」
意外と普通のものが出てきてほっとする俺と思春。
「じゃあ、早速…」
皿から1枚焼き菓子を取り、一口かじる。
「……どうじゃ?」
俺が食べるのを見て、美羽は恐る恐る聞いてきた。
「う、うまい!まわりがサクサクで中はしっとりしていて初めての食感だ。
それに蜂蜜の甘さも丁度良くって、美味しいよ」
隣に座る思春も驚いた顔をしていたが、よほど気に入ったのか次々手を伸ばしていた。
「そ、そうか!よかったのじゃ~」
「よかったですね、美羽様。一刀様に気に入ってもらえて。
一刀様。先ほど美羽様は初めて料理をしたと言いましたが、本当は一刀様に食べてもらいたくて、一所懸命作ったんですよ~」
「こ、こら~、七乃!言うでない~」
「妬けちゃいます~。このこの」
七乃は茶化すように俺を肘でつつき、慌てる美羽を見て笑っている。
「俺のために?」
「う、うむ…本当はこの料理、西から来た商人に教えてもらってのじゃ。
それでその…日頃一刀には世話になっておるから、そのお礼として……」
「そうか。ありがとな美羽」
美羽の頭を優しくなでると、美羽は「ふにゃ~」と顔を赤らめた。
七乃は「いいな~。私も撫でて欲しいですぅ~」と言って俺に頭を向けて来た。
その後、美羽も焼き菓子を食べ、とても嬉しそうな顔をした。
その笑顔はとても眩しかった。
はい、ということで今回は美羽拠点でした。
はじめは穏の拠点を書こうと思っていたのですが、ネタが思いつかなかった!
穏と言えば本しか思い浮かばなく、なにを書けばいいんだと悩み、何も思い浮かびませんでした。
誰か穏のネタをください。もし良いネタがあったら書きたいと思います。
美羽の拠点ですが、ここで書かなくてはもう書くことは出来ないなーと思いました。
なぜなら次はとうとう孫呉独立!美羽は…七乃は…と言う事で、今回書けてよかったです。
美羽が作ったのは皆様お気付きの通りクッキーです。あの時代にもちろんクッキーなんか中国に有りません。美羽も言っていた通り、西からきた商人に教えてもらいました。でもWikiの情報によるとクッキーの元祖は7世紀ごろに出来たとか…
ので、教えてくれた商人は筋肉隆々でピンクのヒモパンを履いています(笑)
美羽がクッキーをうまく作れたのは蜂蜜に対する愛です!蜂蜜愛と一刀愛の力で、通常よりも3倍の能力を発揮し、美味しいクッキーが出来ましたとさ。めでたしめでたし。
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今回はまさかの美羽拠点!
結構強引な話展開ですが、気にせず読んでいきましょう。