月達を見送り、俺と明命は作業する雪蓮姉さん達の元に向かった。
「帰ってきたわね。どう?うまくいった?」
「ああ。彼女達なら大丈夫だろう」
姉さんは「そう」と言うと俺と明命にも指示を出し、消火活動を再開した。
火は王宮をほぼ焼いたが、街にはそれほどまわってこず、被害は少なく済んだ。
火の手はま逃れたものの、悪政により荒んだ洛陽の街は至る所が傷んでいた。
姉さんは街の長老たちと話し合い、支援物資の準備を行った。
「しばらく洛陽で復興作業を行いましょう」
「ああ、そうだな。……それにしてもこれはひどいな」
冥琳は街の現状を見て眉をひそめた。
確かにひどい。家屋は傾き、人々は飢えで苦しんでいる。
その後、予備の天幕を設営し、炊き出しを行い住民に振舞った。
「大変です!大変です!」
街の見回りに出ていた明命が慌ててこちらにやってきた。
「どうしたんだ?何があった?」
「い、井戸が!ピカーってなって、それで、ドワーッと!」
「とりあえず落ち着け。ほら深呼吸」
明命は大きく息を吸って吐き、どうにか落ち着いた。
「で、どうしたんだ?」
「そうだ!とにかくすごいんです!来て下さい!」
明命に案内され、俺達は町外れの路地にある井戸に向かった。
「光ってる……」
「なんだ…」
俺と冥琳が驚いていると、
「なにかあるのかしら?」
姉さんは井戸の中を見るため身を乗り出す。
「危ないぞ!明命、済まないが井戸の中を調べてくれないか」
明命は体に命綱を巻きつけると井戸の中へと降りていった。
そして登ってくると手には巾着袋のようなものを持っていた。
「こんなものが有りました」
ほのかに光る袋を明命は姉さんに渡した。
「何かしら?……印鑑?いえ、これは……玉璽っ!?」
姉さんの手には、白い大理石の龍をあしらった印鑑のようなものがある。
皇帝の証となる玉璽。
「これは天恵ね。明命!兵を民に偽装させ、孫策が玉璽を得たと情報をながせ」
「了解であります!」
これで姉さんの下に人やものが集まる筈だ。独立への力となるだろう。
こうして反董卓連合の戦いは連合側の勝利で終わった。
その後の調査で洛陽を脱出した張譲は、虎牢関を撤退した呂布により切り刻まれた。
呂布は張譲を討つとその後、行方をくらませた。
月と詠は無事劉備に保護されたらしく、何度か劉備の陣にいるのを見かけた。
虎牢関で夏侯惇と戦った張遼は一騎打ちに負けるとそのまま曹操軍に投降したらしい。
華雄は以前行方不明のままである。
姉さんが玉璽を手に入れたと言う噂が広まると、俺達の周りには多くの人やものが集まってきた。
独立のための条件は揃った。あとは時期を待つのみである。
【??? side】
私は今、日が暮れた森の中を進んでいる。
あの後私は気を失っていたらしく、近くの村に保護されていた。
気がつくと私は急いで洛陽に向かい走った。
私が倒れてから何日たった。早く戻らなければ。
夜の森は暗く、進むのが困難であるがこっちのほうが近道だ。ひたすら進む。
森を抜け、丘を登る。ここからなら洛陽が見えるだろう。
丘を登り切り、洛陽に目を向けると、私は言葉を失った。
洛陽が…燃えている…?
夜だというのにそこだけが明るい。明々と燃えている。
「あぁ……董卓様……」
膝をつき、どうにか私は言葉を搾り出した。
董卓様は死んだのか?賈駆は?張遼、呂布、陳宮はどうなった?
「あぁ……」
地面をつかみ、私は悔しさに震える。
どうしてこうなった?誰のせいだ?
孫権?奴が邪魔をしなければ……
憎い。憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!
「孫けえぇぇぇぇええん!!!!」
私の叫びは闇に吸い込まれた。
孫権が…憎い!!
【??? side end】
今回で反董卓連合の話は終わりです。長いような短いような…そんな感じです。
皆様の感想を読んでいて思った事、それは…華雄人気有り過ぎ!
原作ではひとりだけ真名が無い華雄さん。扱いは白蓮さんよりもひどいような気がします。
でも!このサイトでは人気があるようでよかった!
不遇の華雄さんの再登場はあるのでしょうか?
そして最後の???とはいったいだれなのか(オイッ)?
次回はまた拠点を挟みます。では、またノシ
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第9話です。
連投です。
今回で反董卓連合の話は終わりです。
少し短いですが楽しんでいってください。