袁紹軍と曹操軍が虎牢関に取り付き少したった。
両軍ともなかなか攻める隙を見つけることが出来ずにいる。
「そろそろ行きましょうか」
雪蓮姉さんはまだかまだかと待ちわびている。
「そうだな。「全軍!突撃!!」…はぁ~」
冥琳が合図を出すよりも早く、姉さんの号令で俺達は袁術軍を前衛に押し出すため、虎牢関へと突撃を開始した。
華琳たちは事前の打ち合わせ通りに道を開け、俺達に押し出されるように袁術軍が前に出る。
この隙を狙ってか関の門が開き、深紅の呂旗・呂布と紺碧の張旗・張遼が出てきた。
前面に出た両袁家、袁紹と袁術の軍は呂布と張遼により兵を削られていく。
騎兵中心の張遼軍の突撃、呂布による突貫により、混乱する両袁軍は損害を増やしていく。
しかし仮にも袁紹は連合の総大将だ。袁紹が討ち取られることは敗北を意味する。
そう考えたのか、劉備たちは袁紹軍に張り付いている呂軍に攻撃を仕掛けた。
俺達も美羽がやられるのはまずい。
ある程度兵が削られたのを見計り、袁術軍を援護しにゆく。
俺達が張遼軍に攻撃を仕掛けると、二つの夏侯の旗も俺達に合わせて張遼にぶつかった。
「これだけ乱戦になると、張遼を討つのは難しいな」
「どうやら張遼は夏侯惇と一騎打ちを行っているようです」
軍の頭を倒すべく、張遼を探していると、思春が報告してきた。
「そうか、分かった。張遼は彼女に任せよう。俺達は袁術軍の後退を援護する!」
俺達は痛手を負った袁術軍を後ろに下がらせることに集中した。
少し経つと前方で歓声が沸いた。どうやら一騎打ちは夏侯惇が勝ったようだ。
張遼が負けたことにより、呂布の方も撤退をはじめ、曹操軍は勝った勢いのまま虎牢関へと入って行った。
曹操の手により落とされた虎牢関に曹の旗が掲げられた。
「俺達はこのまま洛陽へと目指そう。
虎牢関の一番乗りは曹操にやったんだ。大手柄は俺達がもらおう」
「そうね。劉備に連絡して!私たちはこのまま洛陽に向かうと」
俺達が洛陽に向かう事を伝えると劉備たちもついて行くと言った。
華琳も俺達の動きを察知し、すこし後方からついてきた。
袁紹、袁術軍は損害がひどかっため、最後尾にいる。
「一刀。あなた何か考えているでしょう?」
そう言われると俺はビクッとなった。見透かされている。
「私に隠し事なんて無駄よ。
一刀の事なら何だってわかるんだから♪」
「姉さんには適わないな。
実は董た「ダメよ!」くを…まだ言ってないだろ」
「わかるわよ。どうせ董卓を助けたいって言いたいんでしょ。
私たちのところは唯でさえ不安定な立場なのよ。そこに世間で悪党の董卓なんて匿え無いわよ」
「わかってるよ。でも…」
「確かに私たちはところは無理って言ったわ。
でも他のところは…例えば劉備ちゃんのところとか」
劉備の優しさは底なしだ。きっと劉備なら事情を知れば董卓を保護するだろう。
姉さんとの話を終え、行軍速度を上げることにした。
こうなれば一刻も早く洛陽に行かなくては。
洛陽の前まで到着すると、そこには信じられない光景が広がっていた。
「洛陽が…燃えている!」
「行くわよ!住民たちの避難を優先しろ!」
驚きに呆けている耳に姉さんの声が聞こえ我に帰る。
「…一刀、あなたは董卓を探しなさい。わかった?」
「いいのか?」
「もちろん。弟のわがままぐらい聞いてあげるから。
こっちのことは私たちに任せなさい!」
「ありがとう。明命!董卓の所まで案内してくれ!」
「はい!」
俺達に続き、劉備、曹操も洛陽に入り、住民の避難や消火活動を行う。
俺は明命を案内に董卓の所へと向かった。
【賈駆 side】
はぁはぁ、いそがなくちゃ。
虎牢関での敗走を知った張譲が王宮に火を付け逃げてしまった。
でもそのおかげで月を救出出来たけど、思ったよりも火のまわりが早い。
「月!頑張って!もうすぐで出口よ!」
私は月の手を引き、出口に向かって走る。
「詠ちゃん。私のことはいいから先に行って」
「ダメよ!そんなこと出来るわけ無いでしょ!ほら、頑張って」
倒れそうになる月を支え、再び手を引っ張る。
どうにか広場まで出てきた。ここは火の手が来ておらず、とりあえずほっとする。
「ここまで来れば大丈夫ね…」
私が一息つこうとすると、
「君が董卓だね?」
男の声が聞こえた。
誰?連合の人間?なんでこんなところに?
声の聞こえた方を向くと真っ白な服を来た男が立っていた。
私は月を守るため懐から小刀を取り出し男に向けた。
【賈駆 side end】
「あんた何者!?」
貴族の格好をした女の子のそばに居た、メガネをかけた少女がこちらに小刀を向け威嚇してきた。
「連合の人間ね!何しに来たのよ!!」
小刀を持つ手が震えてる。
威嚇している女の子は見るからに戦う娘では無い、軍師か…
董卓の軍師、確か賈駆だったか。
「ああ、俺は呉の孫権だ。君たちを助けに来た」
「助けに?どういう事よ!あんたたちは私たちを倒しに来たんでしょ!」
「その通りだ。でも、本当に悪政を働いているのは張譲だって事を知った。」
「…その話、詳しく聞かせなさい」
張譲の名前を聞くと賈駆は少し緊張を緩めた。
俺はここまでの経緯を賈駆に話した。
「…そういう事。わかったわ。他国の間者は全部捕まえたのに。その娘は優秀なのね」
賈駆はよほど自分の腕に自信があったのか、明命を悔しそうに睨んでいた。
「で?どうするの?あんた達が私達を匿ってくれるの?」
「いや、俺達は無理だ。色々と事情があってね。代わりに君たちを保護してくれそうな人を紹介するよ」
「なっ!?そんな無責任な!」
「君の言うとおり無責任な話だ。でも信じてくれ。君達を助けたいという気持ちは本当だ」
俺は頭を下げ、賈駆たちに訴えた。
「頭を上げてください。孫権さんの言う事を信じます」
今まで言葉を発しなかった董卓が話した。
「月~」
「詠ちゃん。私、孫権さんのこと信じようと思うの。
…詠ちゃんが助けに来てくれたとき、私本当に嬉しかった。
でもこの後どうするの?私は洛陽で悪政を働いた大悪党だよ。
ここから逃げてもきっと追われることになる」
「でも、本当に悪いのは張譲じゃ無い!「でも世間では違う」~~~!そうだけど…」
「少しでも助かる望みがあるなら私はそれにかけたいの。そして私の罪を償いたいの、詠ちゃん!」
「~~~!わかった…月の言うとおりにする」
「詠ちゃん!」
董卓の説得によって賈駆は一応納得した。
「孫権さん。あなたに信用の証として、私の真名を預けます。月と申します」
「…詠よ」
董卓は俺に真名を授けた。賈駆の方はしぶしぶといった感じで名乗った。
「ありがとう。俺は一刀だ。
…月、詠。早速行こうか」
劉備の軍の近くまで月達を案内すると
「ここからは二人で行ってくれ。さっきも言った通り、俺達は目立つわけにはいかないからね。
…あと、俺達の名前は出さないこと」
「そんなんで劉備が私たちの言う事を信じてくれるって言うの?どんな奴よ!?」
「本当のことを包み隠さず言ったら信じてくれる。劉備はそういう人物だ。
やましいことは無いんだろ?」
「当たり前よ!…わかったわ。あんたを信じるって決めたから」
「詠ちゃん行こ。一刀さん、ありがとうございました」
月はペコリと頭を下げたあと、詠と一緒に劉備の元へ向かった。
「俺達も帰るか、明命」
俺達も姉さん達の作業している方へと向かった。
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第8話です。
虎牢関の戦い後半です。一刀たちの策は成功するのでしょうか?
そして洛陽で連合軍たちを待っていたものとは…
今回の続きは少したら投稿します。待っててください。