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真・恋姫無双アナザーストーリー 蜀√ 桜咲く時季に 第07話

葉月さん

遅れてすいません。第七話になります。

今回は前回の予告通り一刀と愛紗の手合わせになります。
あと白蓮もでますよ。

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2011-05-03 15:44:26 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:13882   閲覧ユーザー数:9121

真・恋姫無双 ifストーリー

蜀√ 桜咲く時季に 第07話

 

 

 

 

【再会】

 

「おお!桃香!久しぶりだな、元気にしていたか?」

 

「うん!白蓮ちゃんも元気そうで安心したよ!」

 

俺たちは幽州の領主である公孫賛が居る町にやってきた。

 

そして軽く食事をした後、公孫賛に会う為に城へと向かった。

 

門の前で暫く待たされたが何事も無く玉座へと通された。

 

「それとね。私の旅に付いて来てくれる仲間を紹介するね、まずは……」

 

桃香が目配せをすると愛紗が一歩前に出て礼を取りながら挨拶を始めた。

 

「公孫賛殿お初にお目にかかる、我が名は関羽、字は雲長。以後お見知りおきを」

 

「鈴々は、張飛!字は翼徳なのだ!」

 

「諸葛亮、字は孔明と申します」

 

「鳳統、字は士元でしゅ……あう、噛んじゃいました」

 

「よしよし」

 

「あわわ」

 

俺は雛里の頭を撫でて慰めると何故か帽子で顔を隠されてしまった。う~ん、嫌だったのかな?

 

「ん?その男はだれだ?」

 

公孫賛さんは桃香の横に居る俺に気が付き桃香に訊ねていた。

 

「えへへ。何を隠そう、私たちのご主人様です!」

 

「な!こんな男がか!?」

 

「ぶー白蓮ちゃんひどい!」

 

「いや、すまん、ちょっとビックリしてな。しかし、こいつが桃香の主か……」

 

う~ん。そんな物珍しそうに見られるとすごく居づらいんだけどな。

 

「あ、あの、取り合えず自己紹介していいかな?」

 

「ああ、すまない。続けてくれ」

 

「俺の名は北郷一刀、字はない。一応天の御遣いってことになってるけど」

 

「天の御遣いって占い師が言っていたあの?」

 

「そうだよ!流星が落ちたところに行ったらご主人様が居たの!」

 

「本当か?俄かに信じられないんだが」

 

「ぶー!本当だよ。愛紗ちゃんも鈴々ちゃんも昼に流星が落ちたの見てるんだから」

 

「いや。私もその報告は受けていたが。まさか本当だったとわな」

 

「私は嘘はつかないもん」

 

「それは知っている。だけどこういう立場だ。色々と疑わないとやっていけないんだ」

 

「大変なんだね。太守って」

 

「まあな。それで今日はどうしたんだ?まさか、懐かしくなって逢いに来たわけじゃないんだろ?」

 

「うん、そのことなんだけどね。白蓮ちゃん私たちを雇ってくれないかな?」

 

「桃香たちをか?」

 

「うん、旗揚げをしたはいいんだけど、先立つものが無くて」

 

「相変わらずだな桃香は、私は別にかまわないが腕は立つのか?」

 

「うん!二人ともすっごく強いんだよ!」

 

「公孫賛殿のご期待に沿えるよう全力を尽くします」

 

「がんばるのだ!」

 

「桃香が言うんだ強さは確かなんだろう。私のところにも客将が居るには居るのだが気まぐれな奴でな何処に居るのやら」

 

ん?もしかして気が付いていないのか?

 

「あの、その客将ってさっきから公孫賛さんの後ろに居る人のこと?」

 

「は?何言ってるんだこいつは私の後ろなんかに」

 

「ほう、私が居るのにいつから気づいていたのですかな?」

 

「居たよ!」

 

公孫賛は後ろに誰も居ないだろっと言いながら振り向くと、公孫賛の向いた反対の玉座から白い服を着た女性が現れた。

 

「入ってきた時からかな随分気配を消すのが上手いね。上手すぎで逆にそこにぽっかりと穴が開いたみたいで変だったくらいだ」

 

「これはこれは少々気配を消しすぎましたか、私もまだまだ未熟ということですかな」

 

「いやいや、普通ならまったく気にしない程度だよ。ただ俺が周囲の気配を感じやすい体質なだけだから」

 

「ふむ、本当にそれだけですかな?武に関してもそこにいる黒髪の少女に引けをとらないと思いますが」

 

「当たり前だ!ご主人様の武は天下一品!私でも勝てるかわからない程だ!」

 

「愛紗それ言いすぎだよ、俺はそんなに強くないよ」

 

「なにを仰いますかご主人様!私は確信しています。ご主人様以上に強いものなどおりません!」

 

「まあまあ、愛紗ちゃん取り合えず落ち着こうよ。所で白蓮ちゃんその人は?」

 

「ああ、さっき言っていた客将だ」

 

「挨拶が遅れましたな。我が名は趙雲。以後お見知りおきを、特に天の御遣い殿には」

 

趙雲は目を細め一刀を見つめた。

 

「ははは、お手柔らかに趙子龍さん」

 

「っ!ほほう。字を言っていないのに言い当てるとは。存外天の御遣いというのも嘘ではないのでしょうな」

 

「それはどうかな。それを決めるのは俺じゃなくてみんなだよ」

 

「ごほん!とにかく趙雲殿しばらく世話になる」

 

「ああ、関羽殿こちらこそよろしく願おう」

 

「鈴々もよろしくなのだ!」

 

「それじゃ、部屋を用意するからしばらくここで待っていてくれ。連れてきた兵の分も用意しよう」

 

「ありがとう、白蓮ちゃん!」

 

公孫賛さんは別にかまわないと手を上げ部屋から出て行った。

 

「なんとかなって良かったね桃香。公孫賛さんも趙雲さんもいい人だし」

 

「そうだね。趙雲さんって人もすっごい武将なんだろうね」

 

「そうですね。いずれ手合わせしたいものです」

 

「鈴々も勝負したいのだ!」

 

「ほう、なら今からいたしましょうか?関羽殿……出きれば天の御遣い殿とも手合わせをお願いしたいところですが」

 

「趙雲殿!?いつのまに」

 

「つい先ほどですが。如何ですかな天の御遣い殿、先ほどとは気配の消し方を変えてみたのですが」

 

「うん、さっきより判りづらくなってたよ。それと出きれば北郷か一刀で呼んでくれないかな天の御遣いなんて言われるとむず痒くてさ」

 

「では、北郷殿とお呼びしましょう」

 

「うん。そうしてくれるとうれしいな」

 

「で、どうですかな北郷殿、先ほどの話は」

 

「ああ、手合わせの事?してあげてもいいけど、先約が居るから一番最後ね」

 

「おやおや。既に先客が居たとはそれは残念。では、その手合わせを肴に酒を飲ませて頂くとしよう」

 

趙雲は懐から酒瓶を取り出した。

 

「はわわ、ご主人様の力量が見れるんだよ雛里ちゃん!」

 

「あわわ、楽しみだね朱里ちゃん」

 

「ではご主人様!私と手合わせをしていただけるのですね!?」

 

「ああ、約束だったからね。趙雲さん何処かに手合わせできるような場所あるかな」

 

「でしたらここの訓練場を使うのが良いかと。こちらです、今なら誰も居ないでしょう」

 

「わ、私も見に行ってもいいのかな?」

 

桃香は遠慮しがちに聞いてきた

 

「かまわないよ。面白いかどうかは別だけどね」

 

「ほんと!?実はご主人様が賊を一人で倒したときから気になってんだ!」

 

「ほほう、賊を一人で……」

 

「うん!凄いんだよ!周り中が焼き焦げてたんだから!」

 

桃香は現場の状況を身振り手振りで大げさに説明した。

 

「と、桃香!大げさすぎだよ!」

 

「えぇーでも、本当の事だよ?」

 

「そ、そうだけど……賊300人は多すぎだよ!?」

 

「はっはっは、それは楽しみだ。これはなお更北郷殿の腕を試したくなりましたぞ」

 

「ふふん!ご主人様は我らの主なのだ、賊ごときに遅れなどとらん!」

 

「そうなのだ!お兄ちゃんは強いのだ!だから鈴々とも勝負をするのだ!」

 

「わ、わかったから。そんなに褒めないでくれ!恥ずかしいだろ!?」

 

「ふふふ、ご主人様かわいい~」

 

桃香は途惑う俺を見て笑っていた。

 

《愛紗視点》

 

「では、ご主人様よろしくお願いします」

 

「ああ、こちらこそよろしく頼むよ愛紗」

 

ご主人様と私はお互い自分の得物を持ち対峙した。

 

「ほう……互いの雰囲気が変わったな……」

 

観戦していた趙雲殿が呟きながら私達を見ていた。

 

「……愛紗、本気で来い」

 

「よろしいのですか?」

 

「かまわないよ。殺しに来る勢いで来ないと勝てないぞ」

 

ご主人様の目は先ほどの穏やかな瞳から獲物を狩る獣の目の様に変わっていた。

 

くっ、なんと言う殺気だ……これほどの殺気、今までに感じたことがない。

 

私はご主人様の殺気を肌で感じ額に汗を滲ませた。

 

「……これは凄い殺気だ。関羽殿の殺気が赤子のように感じてしまう。北郷殿は相当の手馴れのようですな……」

 

「鈴々も初めてお兄ちゃんの殺気を感じたのだ……」

 

「あはは……私腰抜かしちゃったよ」

 

「はわ!凄い殺気です」

 

「あわわ、な、なんだか怖いよ」

 

桃香さまたちはご主人様の殺気を直に受ける事はなかったがそれでもそこから感じ取れる殺気は相当なものなのだろう。皆一様に驚きの顔をしていた。

 

「どうした愛紗、来ないのか?ならこちらから行くよ?」

 

次の瞬間、先ほどまで立っていた場所からご主人様の姿が消えた。

 

来る!

 

私は反射的に青龍堰月刀を右側に突き立てた。

 

――ガキン!

 

その瞬間、鉄同士のぶつかる鈍い音とともにご主人様の青龍飛天が私の青龍堰月刀の柄に当たっていた。

 

「いい判断だよ愛紗……でも、まだまだだよ」

 

ご主人様はそこから鳩尾目掛けて蹴りを入れてきた。くっ!避けられるか?!

 

「くっ!?」

 

なんとかご主人様の蹴りを後ろに飛びずさり回避した。

 

「ご主人様凄い……」

 

「凄いのだ」

 

桃香さまの一言に鈴々も頷いていた。

 

確かに、凄いの一言だ。これほどまでの武を持っていたとは。

 

「ほらどうした愛紗、まだまだこれからだろ?」

 

「勿論です。ご主人様に手合わせをして頂いているのです。無様な姿を晒すわけには参りません!」

 

喋ると同時に私は地面を蹴りご主人様との距離を縮めた。

 

「はぁぁぁあああっ!はっ!てやぁああ!」

 

打ち下ろし、突き、なぎ払いと様々な攻撃をご主人様に仕掛けた。

 

「まだまだ踏み込みが甘いぞ、そら!」

 

「な!?」

 

だがその全てを打ち合うことなく全て紙一重で回避されてしまった。

 

「うわ~。ご主人様、愛紗ちゃんの攻撃全部避けちゃってるよ」

 

「はわわ、ご主人様凄いです」

 

「あわわ、助けて頂いたときも見ましたがやっぱりご主人様はお強いです」

 

「関羽殿の攻撃は私から見ても殆ど隙が無い。それをああも容易く避けるとは」

 

「え?じゃ、なんでご主人様避けてるの?」

 

趙雲殿は一口酒を呑みさらに続けた。

 

「簡単なことです。北郷殿がさらに上の存在だからです」

 

「どういうこと?」

 

「達人から見れば素人の攻撃は隙だらけ、と言う事です。それをさらに昇格させたものとお考えください」

 

「??ご主人様から見れば、愛紗ちゃんは素人に見えちゃうって事?」

 

「簡単に言うとそうなりますな。ですが素人とは言わずも、それなりの手馴れ程度でしょうな」

 

「ん~鈴々難しい事は判らないのだ!でも、愛紗も負けてないのだ!」

 

「……ほう段々と動きがさらに早くなって来ておりますな」

 

「え!?そうなの?私にはわからないよ~」

 

鈴々の言うとおり私は無駄な動きを極力抑えるようにしていた。

 

そのおかげもあってか徐々にではあるが私の剣戟は早くなってきていた。

 

「はっ!てや!はぁ!」

 

――ガキン!

 

そしてついに私はご主人様に一太刀を防がせるまでになった。

 

「はぁ、はぁ……」

 

私は肩で息をしながらご主人様との距離を保った。

 

「まさかこんなに早く防ぐ事になるとは思わなかったよ」

 

「あ、ありがとうございます、ご主人様。ですがまだ一太刀防がせただけ……まだまだです」

 

「そうか……愛紗、一つ聞きたい」

 

「はぁ、はぁ、なんでしょうか」

 

息を整えご主人様を見ていると不意にご主人様は話しかけてきた。

 

「愛紗は負けた事はあるかい?」

 

「それは今言わなければいけない事でしょうか、ご主人様」

 

「ああ、大事な事だ」

 

「……」

 

ご主人様の質問の真意を探るが良くわからなかった。ご主人様は何を言いたいのだろうか?

 

「……幼き日に父に負けただけです」

 

「……そうか……なら、まだまだ上を目指せるな」

 

「え?」

 

ご主人様は一言呟くと腰に括り付けていた袋から赤い宝石のようなものを取り出した。

 

「それは?」

 

「ん?これは力を封じ込めてある石だよ」

 

力を封じ込める?どういう意味だ?

 

「愛紗はあの邑を襲った賊をどう退治したか気になってたんだよね?」

 

「……はい、ご主人様の腕を持ってすれば容易いでしょうが。あんな短時間で片付けることは出来ないと考えています。それに賊が倒れていた周辺の焼け焦げた状況も説明が付きません」

 

「だよね」

 

ご主人様は一言呟くと腰に括り付けていた袋から赤い宝石みたいなものを取り出した。

 

「今それを見せてあげるよ……ただし、防御に専念しないと危ないよ」

 

「それはどういう……っ!?鈴々!三人をお守りしろ!」

 

「判ったのだ!」

 

「え?え!?」

 

桃香さまは状況が読み込めず慌てておられたが、そこへ趙雲殿が助け舟を出してくれた。

 

「劉備殿は我らの後ろで身を屈めていてくだされ、諸葛亮殿と鳳統殿も後ろへ」

 

「う、うん!」

 

「はわわ!」

 

「あわわ!」

 

だが、一体これほど離れた距離から一体何を?

 

「一応、手加減はするよ。公孫賛さんの城が壊れかねないからね」

 

城が壊れるだと?人間にそのような事が出来るのか?

 

ご主人様は青龍飛天の窪みに先ほどの赤い宝石をはめ込むと途端に青い刀身から炎が燃え出した。

 

「っ!これは一体……」

 

「行くぞ愛紗!火剣・炎龍!」

 

「っ!?」

 

ご主人様は刀を振るうと刀身から龍の形をした炎が口をあけて私に襲い掛かってきた。

 

「あ、愛紗ちゃん!」

 

「ぐぐっ!」

 

な、なんという威力だ。これで抑えているだと?このようなもの押さえ込めるわけがっ!

 

「ぐ、ぐぐっ!……はぁあああっ!」

 

なんとか軌道を逸らすことに成功し炎龍は空に昇り姿を消した。

 

「はぁ、はぁ……くっ!」

 

「愛紗ちゃん大丈夫!?」

 

桃香さまが私を心配して駆け出してきた。

 

私は桃香さまに心配させまいと足腰に力を入れて立とうとするが、思うように力が入らず。

 

「ぅ……」

 

「愛紗ちゃん!?」

 

「おっと」

 

倒れそうになった所をご主人様に抱きかかえられてしまった。

 

くっ!情けない。武人である私がこのような姿をご主人様や桃香さまにお見せしてしまうとは……

 

「ご主人様!愛紗ちゃんは大丈夫なんですか!」

 

「大丈夫だよ。ちょっと待ってね」

 

ご主人様は抱きかかえていた私をその場で寝かせた。

 

「しかし、この火傷は後が残るのではない?」

 

「そんな……」

 

趙雲殿の一言で桃香は顔を青ざめてしまわれた。

 

「大丈夫だよ。ちゃんと治るからさ」

 

「え?」

 

「なんなのだその石は?」

 

ご主人様の手には一つの淡い緑色の宝玉が輝いていた。

 

「これを刀にはめ込んで……っ!」

 

「ご主人様!?」

 

「北郷殿、一体何を!」

 

なんとご主人様は青龍飛天の刃先で自分の指を軽く刺してしまわれた。そして刺したところから血がにじみ出てきていた。

 

「大丈夫だよ……これを愛紗の口に」

 

ご主人様は指に溜まった血を私の口元へ運び、唇に当てるようにして口の中へと流し込んだ。

 

すると驚くことに見る見るうちに私の火傷跡は消えていった。

 

「凄い……」

 

「すごいのだ」

 

「なんと……」

 

「う……」

 

「ダメだよ!愛紗ちゃん!まだ起きちゃ!」

 

起き上がろうとした私を桃香さまは慌てて止めてきた。

 

「いえ。大丈夫です。怪我もご主人様に治して頂きましたから」

 

「でも……」

 

「大丈夫です……ご覧の通り何処も大事ありません」

 

私は立ち上がりなんとも無いと言う事を見せた。

 

だが、ご主人様との手合わせで体力を消耗したのか少しふらつくが。

 

「もう大丈夫か愛紗?」

 

「はい。大丈夫です……」

 

「愛紗?」

 

「ご主人様……私は情けないです」

 

「え、なんで?」

 

「ご主人様をお守りするはずの私がこのような無様な姿を晒してしまいこれでは家臣として……」

 

私はそういうと力一杯手を握り締めた。

 

「愛紗ちゃん……そんな事ないよ!」

 

桃香さまは私の手を取り首を振ってそれを否定してくださった。

 

だが、ご主人様の圧倒的な強さに敵わなかったのも事実……

 

「いいのです桃香様、これが現実なのです」

 

「で、でも!」

 

「桃香……」

 

「ご主人様……」

 

ご主人様は桃香さまの肩に手を置き首を振った。

 

「愛紗」

 

「ご主人様……」

 

「くやしいか?」

 

「……はい」

 

「なら愛紗はもっと強くなれるよ」

 

「……え?」

 

「悔しいって思えるならもっと精進するだろ?」

 

「それは、そうですね」

 

「だから愛紗は強くなれるよ」

 

ご主人様は私の肩を叩きながら笑いかけてくださった。

 

「……ご主人様、私は……私はもっと強くなりたいです、ご主人様に認めてもらえるくらい強くなりたいです」

 

私は決意を新たにご主人様にそう語った。

 

「うん、わかったよ。いつでも稽古をつけてあげるよ」

 

「ありがとうございます。ご主人様」

 

ご主人様に礼を取り感謝の意を示した。

 

「ぶー愛紗だけずるいのだ!」

 

「うむ。そうだな、関羽殿だけに贔屓するのは如何なものかと思いますぞ北郷殿」

 

「え!?鈴々、趙雲さん!?」

 

「鈴々にも稽古して欲しいのだ!」

 

「出きれば私にも稽古をつけて頂きたいものですな」

 

なんと二人は身を乗り出してご主人様に迫っていった。

 

「わ、わかった!二人にも稽古するよ!それでいいんだろ?」

 

「わーい!やったのだ~!」

 

「うむ。では楽しみにしていますぞ」

 

二人は満足そうに身を引いた、だが……

 

「ぶぅー三人ともだけなんてずるーい!」

 

一人口を尖らせ拗ねている桃香さまが居た腕を振って抗議していた。

 

「だって、桃香戦える?」

 

「あー!ひっどーい!私だって戦えるもん!……一応」

 

「あ、あの最後の一応だけ小声なのはなぜなんでしょうか?」

 

「ご主人様、桃香さまは剣をお持ちですが武はからっきしですよ」

 

「あ、愛紗ちゃん!それは秘密だって!」

 

「ふふふ、では、桃香様にあの攻撃を防げるのですか?」

 

「ぅ……それは」

 

桃香さまはご主人様を見上げるようにして首を傾け……

 

「て、手加減してくれるよね。ご主人様?」

 

「そうだなー桃香が稽古で足腰立たなくなるくらいに手加減してあげるよ」

 

ご主人様は笑顔で桃香さまの質問に答えた。

 

「うぅ~。ご主人様、意地悪だよ~」

 

「ははは、大丈夫だよ。ちゃんと基礎から丁寧に教えてあげるよ。自分の身は自分で守れることに越したことは無いからね」

 

「うん!ありがとう、ご主人様!」

 

「おっと!」

 

桃香さまはうれしそうにご主人様に抱きつきになられた。

 

「と、桃香それよりまずは愛紗を休ませないと」

 

「あ!そうだね!部屋の準備は出来たのかな?」

 

「では、私が公孫賛殿に伺ってこよう」

 

「鈴々も行くのだ!」

 

趙雲と鈴々は公孫賛殿の所に行くため訓練場を後にした。

 

「よし、それじゃ……っと!」

 

「ひゃ!?ご、ご主人様なにを!?」

 

ご主人様はあろうことか私を抱き上げてきた。

 

「はわわ!?」

 

「あわわ!?」

 

「なにって立ってるのもやっとなんだろ?」

 

「そ、それはそうですが!」

 

うぅ~。ぶ、武人であるこの私が……

 

「ご、ご主人様これは流石に恥ずかしいです!」

 

「いいな~。愛紗ちゃん……」

 

「と、桃香さま!?何を仰っているのですか!」

 

「え~だって。私も抱っこして貰いたいな……ねぇねぇご主人様!」

 

「ん?どうした桃香?」

 

「私も稽古で立てなくなったら部屋まで運んでくれる?」

 

「え?そんなになるまで鍛えて欲しいの?」

 

「ぅ……それは嫌だけど……もしもの話だよ!」

 

「うん。そうだなぁ。運んで欲しい?」

 

「うん!抱っこして欲しい!」

 

「ならそうなったらね」

 

「ほんと!?約束だよ!」

 

「ああ」

 

「やったー!」

 

桃香さまは両手を挙げて喜んでおられた。

 

「そんなに鍛えて欲しいのかな桃香は」

 

はぁ。そんなわけが無いではありませんか。ただ、ご主人様に抱きかかえられたいだけなのですよ桃香さまは。

 

「……」

 

嬉しそうにしている桃香さまを見てなぜか虫の居所が悪くなった私は。

 

「いてててて!な、なに愛紗?」

 

「何でもありません!」

 

ご主人様の耳を抓りそっぽを向く。

 

「?」

 

ご主人様は少し涙目になっていたが私はそれを無視した。

 

「ふふふ♪……そっか、愛紗ちゃんも……なんだね」

 

「ん?何か言ったか。桃香?」

 

「ぜーんぜん♪何も言ってないよ」

 

「?ならいいけど」

 

「愛紗ちゃん」

 

「何でしょうか桃香さま」

 

「負けないよ」

 

「っ!」

 

桃香さまは一言だけ私に告げると朱里たちとこの場を離れていかれた。

 

「……」

 

私は、ただそれを見送ることしか出来なかった。

 

《一刀視点》

 

「は、ははは……随分と派手に使ってくれたな」

 

調練場の惨状を見て苦笑いを浮かべる公孫賛さん。

 

「すいません。これでも手加減はしたんですが」

 

「手加減してこの状態か……ちなみに北郷」

 

「はい?」

 

「本気を出したらどうなるんだ?」

 

「……聞きたいですか?」

 

「いや、その言葉で十分わかったよ……これ以上壊れなくてよかった」

 

公孫賛さんの顔はさらに青ざめてブツブツと何か言っていた。

 

《桃香視点》

 

愛紗ちゃんとご主人様との手合わせが終わった翌日。

 

「あ、ご主人様と白蓮ちゃんだ」

 

私は白蓮ちゃんのお城を散歩していたら調練場のところでご主人様と白蓮ちゃんを見つけた。

 

「おーい、ご主人―」

 

「だがしかし、これほどまでの武があるのなら別段、桃香の主になる必要は無かったんじゃないか?仕官するとか出来ただろう?」

 

「……っ!」

 

私は慌てて物陰に隠れてご主人様たちの話を聞いた。

 

ご主人様が私たちを置き去りにして士官しちゃうの?そんなのいやだよ!

 

「ははは、そういう手もあったんだな」

 

そんな!ご主人様は私たちを見捨てちゃうんですか!?

 

私はご主人様の言葉に絶望を感じてしまった。

 

「でもね、約束したんだ」

 

「約束?」

 

「ああ、4人で皆が笑って暮らせる国を作ろうってね」

 

ご主人様……覚えてくれてたんだ。

 

私はその一言が嬉しくてさっきまでの暗い気持ちはすっかりと無くなっていた。

 

「はぁ、北郷がそれでいいなら別にいいんだが。しかし、惜しいな北郷が私の元で働いてくれたらどれだけ助かる事か」

 

「そんな、今は趙雲さんが居るんでしょ?」

 

「確かにそうだが……やつは考えている事が今一わからなくてな、扱いに困るときがある」

 

「そうなんですか?」

 

「ああ、そうなんだよ!聞いてくれ北郷!」

 

「は、はい」

 

白蓮ちゃんの変わりようにご主人様は少し引いて居るように見えた。

 

「趙雲がな!」

 

「おや、私が如何しましたかな公孫賛殿」

 

「趙雲!」

 

いつの間にか白蓮ちゃんの後ろには趙雲さんが立っていました。いつの間に来たんだろ?

 

「はっはっは、私のことで何かありましたかな?」

 

「あ、いや、そのなんだ、趙雲の活躍について話していたところだ!」

 

「ほほう」

 

趙雲さんは目を細めて白蓮ちゃんを見つめていた。

 

「ぅ……そ、そうだった!まだ、仕事が残っていたんだ!それじゃあな、北郷!」

 

「あ、公孫賛さん!……どうしたんだろ」

 

「ふふ、はて、どうしたのでしょうな」

 

趙雲さんは白蓮ちゃんが逃げていったほうを見ながら笑っていました。

 

「ところで趙雲さんはなんでここに?」

 

「おや、私だけではありませんぞ」

 

「え?」

 

首を傾げるご主人様になぜか私が居るほうを見てニヤリと笑う趙雲さんが居ました。えっと取り合えず逃げたほうがいいのかな?

 

「ん?桃香?そんな所でなにしてるんだ?」

 

趙雲さんがこちらを向いているのが気になったのか、こちらを振り向いたご主人様は私が居る事に気がついて声をかけてきました。

 

「ひゃっ!えっと、あの、その……散歩!そう!散歩してたんだよ!」

 

しどろもどろになって私はご主人様に言い訳をした。

 

「?」

 

「くっくっく、劉備殿も案外女ですな。ところで北郷殿?気配を察知するのは得意ではなかったのですか?」

 

「?何言ってるんだよ趙雲さん、桃香はどっからどう見ても可愛い女の子だよ。それにここはお城の中だからね。あまり人の動きを察知してもプライベートが無くなるだろ?」

 

「ぷ、ぷらいべぇと?」

 

「あ、えっと……一人の自由な時間って言えば分かるかな?」

 

「なるほど。そのぷらいべぇとなる言葉が天の世界の言葉と言うわけですかな?」

 

「まあ、そんなところかな」

 

「ご、ご主人様……」

 

私はご主人様に可愛いといってもらえて頬を赤くしていました。

 

「おやおや」

 

「それに趙雲さんだって十分可愛いんだから」

 

「っな!?」

 

趙雲さんはご主人様に可愛いって言われて頬を赤くしていました。む~!どうしてご主人様はいつもこうなの?

 

「いて!ど、どうしたんだよ桃香」

 

「別に!」

 

ご主人様のバカ……

 

「?」

 

「ふふふ、なるほど流石は劉備殿の主だ」

 

「どういうこと?」

 

「秘密です」

 

「?」

 

趙雲さんは笑いながら出口に歩いて行きました。もしかして気づかれちゃったのかな?

 

「そうだ。桃香殿、町に美味しい点心を売っている店がありますぞ」

 

「え?」

 

「では」

 

趙雲さんは出口付近で私のほうを見て一言告げると居なくなりました。

 

「……」

 

「なんだったんだ?」

 

「ご主人様!」

 

「え、なに?」

 

「今から点心を食べに行きましょう!」

 

「ええ!?だ、だってお金ないぞ!」

 

「大丈夫です!白蓮ちゃんから少し貰ってますから!」

 

「ちょ!桃香引っ張りすぎ!」

 

「ほらほら!早く行こうご主人様♪」

 

私は趙雲さんの好意を無駄にしないようにご主人様と街へ繰り出しました。

 

《趙雲視点》

 

「やれやれ、北郷殿は鈍感にもほどがありますな」

 

私は物陰に隠れて溜息をついた。

 

「だがそこが良いのかもしれんがな」

 

「おお、趙雲殿ではないか」

 

振り返るとそこに居たのは黒髪の女性であった。

 

「おや、関羽殿どうされた」

 

「ああ、実はご主人様を探しているのだ」

 

関羽殿は昨日北郷殿と手合わせで火傷を負っていたが。北郷殿の力ににより火傷跡も無く綺麗な肌であった。

 

「北郷殿を?」

 

「ああ、また稽古をつけて頂こうと思ってな」

 

「あれほどの傷を負ったというのに関羽殿は熱心であらせられるな」

 

「いや、武人として更なる高みを目指すのは同然であろう。ましてご主人様は武に措いても大陸一と思っている」

 

「なるほどな」

 

あれだけの攻撃を受け今だ自らを更なる高みへ鍛え上げようとしている。噂どおりの人物のようだな。

 

「どうした?」

 

「いや、なんでもない、北郷殿なら劉備殿と町へ行かれたぞ」

 

「な、なに!?そうか……」

 

ふむ……どうやら関羽殿も北郷殿の事を……ふふ、これは思白い。

 

「では、代わりといっては何だが私と手合わせをして頂こうかな関羽殿」

 

「……そうだな、こちらからもお願いしよう」

 

「うむ、では少々用事があるので半刻後でよろしいかな?」

 

「ああ、かまわないぞ」

 

さて……きっとあそこだろう。

 

私はあのお人が居るであろう場所へと向かった。

 

………………

 

…………

 

……

 

――半刻後……

 

「遅れてすまん、関羽殿」

 

先に居ていた関羽殿は軽く武器を振っていた。

 

「いや時間通りだ、でははじめようではないか」

 

「ああ」

 

互いに自らの武器を取り対峙する。

 

「なるほど、中々の殺気だ。心地よいぞ」

 

「ふ、北郷殿の殺気に比べれば赤子のようなものだ」

 

「確かにな……いざ!」

 

「こい!」

 

「はぁぁああ!」

 

関羽殿は覇気とともに地面を蹴り私との距離を一気に縮め青龍堰月刀を振り下ろしてきた。

 

――ガキン!

 

「くっ!」

 

関羽殿の一撃を受け止めたがその一撃の重さに顔をしかめた。

 

「中々やるではないか関羽!」

 

「お主もな趙雲!」

 

再び距離をとる。

 

「次は私から行かせて貰おう!龍牙から繰り出される連続突きを受けてみよ!はいはいはいーーーっ!」

 

私は目にも留まらぬ速さで突きを繰り出した。

 

「く!なんの!」

 

紙一重ではあるが関羽殿は私の突きを回避していた。

 

「なんとこれをかわすか!」

 

「流石にあれ以上の突きをやられると危なかったがな」

 

「その割には肩で息をしているではないか」

 

「ふっ。お主こそ」

 

再び距離をとり互いを見合った。

 

「……」

 

「……」

 

じりじりと距離を詰める。

 

しかし、これでは埒が明かんな……。

 

そう思っていた時だった。関羽殿が話しかけてきた。

 

「次の一撃で決着をつけようではないか趙雲殿」

 

「こちらも異存は無い、行くぞ!はあああ!」

 

「でやああああ!」

 

――バキン!

 

お互いの得物がぶつかり合う。

 

――カランカラーン

 

「……」

 

「……」

 

互いにぶつかり合う衝撃に耐えられなくなり手を離してしまった。

 

「ふ……」

 

「ふふ……」

 

私達の顔に笑みがこぼれていた。

 

「相打ちか」

 

「どうやらそのようだな」

 

私達の手には得物が握られていなかった。

 

「流石は趙雲殿だ」

 

「それはこちらの台詞だ関羽殿」

 

健闘を称えるべく手をとり握手をした。すると……

 

(パチパチパチッ!)

 

「え?」

 

「凄いな二人とも、いい手合わせだったよ」

 

「ご、ご主人様!?」

 

「おや、北郷殿」

 

「お疲れ様二人とも。はい、水と手ぬぐいだよ」

 

北郷殿は水を入れた竹筒と手拭を私達に手渡してくださった。

 

「あ、ありがとうございます」

 

「かたじけない」

 

「二人の手合わせ見せてもらったよ。趙雲さんならもう少し連続突きの速さと回数を増やせるようになると思うよ」

 

「誠か?ふむ、ならもっと精進しなくてはなりますまいな」

 

私は自分の獲物を広い突きを放ってみた。ふむ、まだ高みがある、か……面白い。

 

私は一人笑みをこぼした。

 

「ご、ご主人様!いつから見ていらしたのですか?」

 

「ん?ん~『お主もな趙雲!』とか言ってたくらいかな」

 

「で、では始まって間もないときではありませんか!」

 

「そうなるかな」

 

「ご主人様は桃香様とお出かけになられたと伺ったのですが」

 

「うん、桃香と点心を食べにね」

 

「でしたら」

 

「桃香と食べてたらさ趙雲さんが来て『これから関羽殿と手合わせをするので見ていただきたい』なんて言われてさ」

 

「な!」

 

関羽殿は顔を赤くして振り返っていたが既にそこは私は居ず、出口近くに居た。

 

「ふふふ、関羽殿よ。恋も戦も負けてはいけませぬぞ」

 

「ま、待て!趙雲殿!」

 

私はそそくさとその場から去っていった。まあ、無粋な真似だった。だがそれも一興。

 

《一刀視点》

 

「?なんだったんだ?」

 

俺は一人首をかしげて趙雲さんが消えたほうを見ていた。

 

「まあいいや、愛紗今から軽く手合わせでもするか?」

 

「よろしいのですか!是非!」

 

愛紗は喜び得物を構えようとした、が……

 

「あー!愛紗だけずるいのだ!鈴々もお兄ちゃんと勝負するのだ!」

 

「ご主人様!やっと見つけたー!もうお城に戻ったら急に居なくなっちゃうんだもん!探しちゃったよ!」

 

そこへ鈴々と桃香が乗り込んできた。

 

「はわわ!何事ですかこんな所で!」

 

「あわわ!ご、ご主人様、なにかありましたか?」

 

鈴々が両手を挙げて抗議をして、桃香は頬を膨らませて怒っていた。

 

それを偶然か書庫の方から帰ってくる朱里と雛里が通りかかった。

 

「お、朱里に雛里じゃないか、そんなに本を持って何処に行くんだ?」

 

「はい、雛里ちゃんとお勉強をしようと思いまして、それよりなにかあったんですか?」

 

「なんだか喧嘩してるみたいですけど」

 

朱里はこの状況に首をかしげ雛里はオドオドと心配そうに見ていた。

 

「あー別に喧嘩してるわけじゃないんだけど」

 

「鈴々に桃香様!」

 

「愛紗はこの前お兄ちゃんと勝負したんだから次は鈴々の番なのだ!」

 

「な!何を言う!これはご主人様に誘われたのであって自ら言ったわけではない!そうですよねご主人様!」

 

「え?あ、うん、そうだね」

 

「ご主人様?まさか、愛紗ちゃんと手合わせするからお城についてさっさと居なくなっちゃったのかなー?」

 

「っ!?そ、そんな事はないぞ!」

 

桃香、顔は笑ってるのに笑ってる風には見えないよ!

 

「ふふふ、ご主人様!」

 

「は、はい!」

 

「明日は一日中、私と居ようね♪」

 

「な!桃香様!?」

 

「はわわ!しょ、しょれって!」

 

「あわわ!桃香さま大胆、です」

 

「なに?愛紗ちゃん、この前はご主人様に抱っこしてもらって今日もまたご主人様にかまってもらうのにまだ足りないの?」

 

「そ、そういう訳では……」

 

と、桃香って怒るとやっぱり怖いよな。怒らせないようにしないと……

 

なんせあの軍神関羽を黙らせてるんだからな。

 

「いいよね?」

 

「は、はい……」

 

等々愛紗は桃香に屈してしまったようだ。

 

「だってご主人様、明日は逃がさないから♪」

 

「は、ははは……では姫、明日は何処へなりともお供いたします」

 

俺は跪き桃香の手を取りそこへキスをした。

 

「は、はう!ご、ご主人様……なんだか反則だよ。それ……」

 

桃香は頬を赤くして照れてるようだった。

 

「ははは、それじゃ明日は一緒に町を回ろうな」

 

「うん♪」

 

桃香はうれしそうに笑った。

 

「いいなー桃香様……」

 

「私達もご主人様と一緒にお勉強したいよね朱里ちゃん」

 

「うん、そうだね」

 

「そんなことより!お兄ちゃんは今から鈴々と勝負するのだ!」

 

「だから今は私とご主人様とがだな!」

 

やんややんやと庭で騒いでる六人を城壁の上から見てい人物が居た。

 

「ふ、賑やかなものたちだ」

 

私は一口酒を呑むとおもむろに笑った。

 

「私もあのようなものたちと共に歩んでいきたいものだ」

 

私は庭から目を離し地平線を見渡した。

 

「……このような平穏な日々が終わらぬ事を願わずにはいられんな」

 

だがきっとそうはいかぬのだろうな……

 

「……ふっ。私としたことが感傷に浸ってしまった。柄にも無い」

 

城壁に吹き抜ける風が私の髪を揺らしていた。

 

《To be continued...》

葉月「ども~。今回は如何だったでしょうか?」

 

愛紗「ふむ。あの石は一体何なのだ?炎が出たり。治療したりと」

 

葉月「気になりますか?」

 

愛紗「うむ」

 

葉月「まだ秘密です!」

 

愛紗「な、なに?!」

 

葉月「まあ、また今度語りますよ。そんなことより!私いいことが逢ったんですよ!」

 

愛紗「なんだ藪から棒に」

 

葉月「実はですね。ついに届いたのです!」

 

愛紗「何が届いたというのだ?」

 

葉月「複製原画です!」

 

愛紗「複製原画?」

 

葉月「はいっ!とらのあなで『片桐雛太のイラスト展』をやっていたのを覚えていますか?」

 

愛紗「ああ、そう言えばそんなのがあったようだな」

 

葉月「そこで私は複製原画を注文したのですよ!」

 

愛紗「それが届いたということか?」

 

葉月「はい!もう嬉しくて嬉しくて作品を書くのを忘れちゃったくらいですよ!」

 

愛紗「……と言う事は、番外編とこの作品が遅れた理由は……」

 

葉月「はい。嬉しくて手につきませんでした!&いつでも書けるかなって♪」

 

愛紗「こ、このばか者が~~~~っ!!」

 

葉月「ひゃ~~!な、何ですか行き成り!」

 

愛紗「何ですかではない!そんな理由で遅れただと!許せん!」

 

葉月「でも注文したのは愛紗の複製原画なんです!」

 

愛紗「な、なに?」

 

葉月「ふぅ。注文したのは愛紗の複製原画二枚と断金の仲である雪蓮と冥琳の複製原画の計三枚なんですよ」

 

愛紗「そ、そうか。なら仕方が無いな手につかなかったのも頷ける」

 

葉月「ふぅ……助かった。愛紗が単純でよかった」

 

愛紗「何か言ったか?」

 

葉月「何も言ってませんよ。さて、次回ですがちょっと寄り道みたいなお話になっております」

 

愛紗「寄り道?」

 

葉月「はい。まあ、また一刀に惚れちゃう人が増えるだけなんですけどね」

 

愛紗「な、なに?!」

 

葉月「ああ。もうこんな時間!では皆さんまたお会いしましょ~」

 

愛紗「ちょ、ちょっとまて葉月!今の発言はなんだ!なんなんだ~~~~~~っ!!」


 
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