落ちてしまえばいいと思った
私から大切なモノを奪っていった
あの憎らしい月なんて
この空から、無くなってしまえばいいと
そう思った
『さよなら・・・寂しがり屋の女の子』
そして、この狂ってしまった世界ごと
この、何もかもが足りていないこの世界ごと
『さよなら・・・愛していたよ、華琳』
私のことを、消してくれればいいと思った
どうせ、夢だったというのならば
全てが、幻だったというのならば
全部、消してほしい
そして・・・また、夢をみさせてちょうだい
もう二度と、消えることのない
愛しい“貴方”の夢を・・・
≪月の詩~月よ落ちよと、彼女は願えど-opening-~≫
「華琳様・・・?」
「・・・ん?」
ふと、耳に響く声
私はその声に、静かに我にかえる
視線を彷徨わせ、見えたのは見慣れた空間
玉座の間
そこにいる皆が、揃って私のことを見つめていた
「華琳様、どうかしたのですか?」
そんな中、私のすぐ傍で一人の少女が心配そうに声をあげる
少女・・・桂花のその一言に、私は微笑んで見せた
「別に、なんでもないわよ
少し、考え事をしていただけ」
そう言って、私は玉座から立ち上がる
どうせ、話したところで理解されない
彼女達には伝わらない
「華琳様、どちらへ?」
「いつもの場所よ・・・」
いつもの場所
彼が・・・一刀が過ごしていた部屋
だけど、彼女達にはわからない
何故ならば・・・
「ああ、あの“空き部屋”ですね」
彼女達は・・・彼のことを、何一つ覚えていないのだから
おかしいと思ったのは、彼が消えてすぐのこと
どのように皆に伝えようかと、私が悩んでいた時のこと
彼女達を集めた際、誰一人として疑問に思わなかったのだ
彼が、北郷一刀がその場にいないことに・・・
『おかしいとは、思わないの?』
『はい?』
その事態に、思わずこぼれ出た言葉
しかしそれでも、彼女達には伝わらない
嫌な予感が、頭の隅を掠める
『一刀のことよ・・・』
やがてその予感は・・・
『一刀、とは・・・誰ですか?』
現実のものとなった
ーーーー†ーーーー
「ふぅ・・・」
一刀の部屋
寝台に倒れこみ、溜め息を一つ
思い出したのは、あの日のこと
皆が一刀のことを忘れているということがわかった日のこと
いや、違う
忘れているんじゃない
“彼は、初めからいなかったことになっている”
「胡蝶の夢・・・」
呟き、苦笑する
夢だったのかしら、と
そう思ってしまった自分が、情けなくて
「ふふ・・・あははは」
ああ、もう何もわからない
どうしたらいいのか
何をしたらいいのか
何がしたいのか
私は・・・いったい、どうしたいのか
なにもわからない
だから、私は目を閉じる
「落ちれば、いいのに・・・」
落ちてしまえばいいと思った
私から大切なモノを奪っていった
あの憎らしい月なんて
この空から、無くなってしまえばいいと
そう思った
そして、この狂ってしまった世界ごと
この、何もかもが足りていないこの世界ごと
私のことを、消してくれればいいと思った
どうせ、夢だったというのならば
全てが、幻だったというのならば
全部、消してほしい
そして・・・また、夢をみさせてちょうだい
もう二度と、消えることのない
愛しい“貴方”の夢を・・・
「一刀・・・」
そして私は、また“夢”を見るのだ
有り得るはずのない
存在するはずのない
“貴方”のいる夢を・・・
また、逢いに行くのだ
あの、夢の世界へと・・・逢いに行く
“これは・・・私の見る、夢の物語”
≪月の詩≫
開†幕
☆あとがき☆
皆さん、お久しぶりです
月千一夜と申します
短編作品集≪月の詩≫
今日~明日(?)にかけて、順次投稿していきます
尚、短編集作品には“月の詩”のタグがついております
今作は今回の連続投稿のopening作品ですw
ending・・・そしてepilogueは、一番最後に投稿いたします
彼女の物語の結末はどうなるのか?
それはひとまず、これより順次投稿される物語を読みながら、気ままにお待ちください
ただ・・・合間の作品は、様々なタイプがありますWW
用法容量を守って、正しくお読みくださいwwww
★目次★
1、【月の詩~月よ落ちよと、彼女は願えど-opening-~】
2、【ウチの周りが、変態だらけになっとるんやけど・・・】
3、【夢の続きで、君を待つから-秋恋歌-】
4、【乙女かしまし!? ぶっちゃけガールズトーク♪】
5、【本屋さんに行こう】
6、【恋して、落として、口づけて】
7、【月の詩~月に届けと、彼は唄えど-ending-~】
8、【月の詩~そして僕らは月に唄う-epilogue-~】
♪イメージソング♪
ガクトより~月の詩~
真崎ゆかより~もっと愛したかった~
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皆さん、お久しぶりですw
短編作品集≪月の詩≫
投稿開始しますww
今日~明日(?)にかけて、計八作品ですwww
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