No.213606

ウチの周りが、変態だらけになっとるんやけど・・・

月千一夜さん

短編集≪月の詩≫
第二作目
キャラ崩壊が美味しい作品ですww

それでは、お楽しみくださいww

2011-04-26 22:32:20 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:12317   閲覧ユーザー数:9216

「お~い、真桜」

 

「ん~?」

 

 

それは、ある晴れた昼下がりのこと

魏国の絡繰り技師でもある真桜が、自身の工房でいつものように絡繰りをいじっていた時のことだった

聞き覚えのある声と同時に、工房の扉が慌ただしく開かれたのだ

彼女はその声に一度絡繰りから手を離し、開かれた扉へと視線をうつす

 

 

「なんや、凪かいな

いったい何の用なん?」

 

 

そこにいたのは、警邏隊の同僚でもある楽進こと凪だった

彼女はここまで走ってきたのか、少し乱れた息を整えながら真桜の傍まで歩み寄る

 

 

「実は、少し聞きたいことがあって・・・」

 

「なんや?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「実は先日拝借してきた“隊長の脱ぎたてホカホカな下着”が部屋から無くなっていたんだが・・・何か知らないか?」

 

「知らんなぁ・・・つーか何してんねん!!!!??」

 

 

 

 

 

≪ウチの周りが、変態だらけになっとるんやけど・・・≫

 

 

 

 

 

「折角隊長が部屋にいない間にコッソリ盗ってきたのに!

このまま見つからなかったら、また盗り直しじゃないか!」

 

「知らんがな!

つーか、ウチら警邏隊やろ!?

このままやとウチ、凪を捕まえなあかんようになんで!?」

 

 

“ダンッ!”と机を叩き、とんでもない発言をする凪

そんな彼女の言葉に、真桜はドン引きしていた

普通に犯罪である

 

 

「真桜と私は親友だろ!?

手伝ってくれてもいいじゃないか!!」

 

「共犯者になれってかい!?

嫌や、絶対嫌や!!

そもそも、警邏隊の副隊長らが揃って犯罪を犯したらアカンやろ!?

いや、一人でもアカンけど!!」

 

「安心しろ、これが初めてじゃない」

 

「常習犯かい!?

ますます、見逃せへんやん!?」

 

「いや、プライベートだから

プライベートだから、な?」

 

「いや、関係あらへんし!?

プライベート有り無しに関係なく、普通に犯罪やからな!?

ていうか凪、お前それ覚えたての天界語使いたいだけやろ!?」

 

「えへへ♪」

 

 

“アカン、ツッコミきれへん”

彼女は内心で呆れながら、深い溜息を吐きだした

目の前には、頼んでもないのに自身の犯した犯罪について熱弁する凪

因みに、本人には“犯罪を犯している”という自覚はない

そんな親友の変わり果てた姿に、真桜は思わず涙が零れそうになった

 

(あ、アカン・・・泣いたらアカンで

ここでウチが何とかせな、いつか近いうちに凪を捕まえないけんくなる)

 

それだけは、何とかして回避しなくてはならない

その為にはまず、目の前で間違った道を爆走しまくってる親友を止めなくては・・・!

 

 

 

 

 

「あんなぁ、凪・・・って、おらんし!!!!」

 

 

“ガタン”と大きく音をたて、立ち上がった彼女の視線の先

そこには既に、凪の姿はなかった

変わりに、机の上に一枚の紙が置かれていた

彼女はその紙を手に取り、無言で目を通していく

 

 

 

 

 

 

≪ちょっと、隊長の部屋で新しい下着探してくる≫

 

 

 

 

 

 

今度こそ、彼女は静かに泣いた・・・

 

 

 

 

 

ーーーー†ーーーー

 

 

「疲れた・・・」

 

 

“げっそり”という擬音が聴こえてきそうなほどに、真桜は疲れ切っていた

原因は、言わずもがな先ほどの出来事である

思い出すのは、幼いころから一緒にいたはずの親友の変わり果てた姿

“恋をすれば、人が変わる”とはよく言うし、自分でもそれはよくわかっている

 

しかし、いくらなんでも“アレ”はない

 

 

 

「あれじゃ、ただの変態やんか・・・はぁ」

 

 

“どうしたものか”と、彼女は頭を悩ませていた

 

 

「真桜さーーーーん!」

 

「んお?」

 

 

そんな時、ふと彼女の名を呼ぶ声が聞こえてきたのだ

彼女は考えるのを一度止め、声がした方へと視線をうつす

 

 

「なんや、流琉やんか・・・どないしたん?」

 

「あの、実は少し聞きたいことがあって・・・」

 

 

そう言って、乱れた息を整えるのは典韋こと流琉だった

彼女の様子を見る限り、何事かがあったのだろう

そう思い、彼女は真剣な表情のまま流琉の言葉を待った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が以前からコツコツと集めていた“兄様の使用済みのお箸”が全部お部屋からなくなっていたんです

だから、何か知らないかなぁと思って・・・」

 

「知らんなぁって、ちょい待てぇぇぇぇぇぇぇええええええ!!!!??」

 

 

“ビシッ!”と流琉を指さし、真桜は力の限り叫んだ

それはもう、呂布もビックリの勢いで

 

 

「なんて!?

何を集めとるって!?」

 

「いえ、ですから兄様が一度使ったお箸ですけど

あ、あと下着も」

 

「下着も!?

ついでみたいにサラッと、とんでもないこと言うたよな今!?」

 

「大丈夫です

季衣と二人で、ちゃんと仲良く分けてますから」

 

「いや、そういう問題ちゃうやろ!?

って、さり気なく共犯者の名前出とる!!?

アカンって、普通に犯罪やん!」

 

「でも、プライベートですし・・・ね?」

 

「関係あらへん!!

プライベートかどうかは一切関係あらへん!!

っていうか、それ覚えたての天界語使いたいだけやろ!?」

 

「えへへ♪」

 

 

ツッコミきれない

そう思い、彼女は本日何度目になるかわからない溜め息をつく

それと同時に思い浮かべるのは、先ほどの親友のこと

似ている・・・いや、同じだ

要するに彼女もまた、親友と負けず劣らずの“強者(変態)”だと

 

(アカン・・・このままやと、本当にマズイで)

 

彼女もまた、ほっておけば自身の手で捕まえなくてはいけなくなる

このまま、間違った道を歩ませるわけにはいかない

ここで、何とかしなければ・・・

 

(ウチが、しっかりせな・・・!)

 

 

「あんなぁ、流琉・・・」

 

 

そう覚悟を決め、キッと見つめた先・・・

 

 

 

 

 

「ちょっと、真剣に聞いてほしいんやけd・・・って、おらんしっ!!?」

 

 

少女・・・流琉の姿はない

彼女は出かかった言葉もそこそこに、その場に膝をつき頭を抱え込むことしかできなかった

 

 

 

 

ーーーー†ーーーー

 

 

「疲れた・・・」

 

 

ヨロヨロと、城内の廊下を歩く真桜

彼女は、自身でも驚くほどに疲れ果てていた

原因は言わずもがな

 

 

「ああ、なんや・・・ここまでくると、ウチの方がおかしいんちゃうかと思ってまう」

 

 

勿論、そんなハズはないのだが

しかし、現在出くわした二人の姿が頭から離れない

いっそ清々しいほどの笑顔で、己の犯罪を暴露した二人の姿が

 

 

「いや、おかしいんは向こうや!

しっかりせな・・・ウチがしっかりせな、どうするんや!」

 

 

“パン”と自身の頬を叩き、彼女は何とか気分を変える

そして考える

“何か良い方法はないものか?”と・・・

 

 

 

 

 

「お、真桜じゃないか!

お~~~~~い!!」

 

「ん?」

 

 

そんな彼女に向い、かけられる声

その聞き覚えのある声に、彼女は一度考えるのを止め視線をうつした

 

 

「春蘭様?」

 

「いやぁ、ちょうどいいところで会ったな」

 

 

そこにいたのは、ご存じ“魏武の大剣”こと春蘭だった

彼女は挨拶もそこそこに、真桜の傍まで駆け寄ってくる

 

 

「実は、少々尋ねたいことがあるのだが・・・」

 

「尋ねたいこと、ですか?

いったい何を・・・」

 

 

言って、彼女はハッとなる

感じたからだ・・・その言葉から、猛烈な違和感を

まるでついさっき同じ言葉を聞いたかのような・・・そんな錯覚を

 

(いやいやいや、大丈夫やって

あの春蘭様やで?

春蘭様に限ってそんなこと・・・)

 

 

 

 

「私の一刀君人形種馬Verが部屋から無くなっていたのだが、何か知らないか!?」

 

「まぁ、そんな気はしとったけどなーーーーー!!!(ヤケクソ)」

 

 

頭を抱え、彼女は叫んだ

それはもう盛大に

そんな彼女の姿を見て春蘭は若干引いていたが、残念ながら春蘭にそんな資格はないと思う

ともあれ、このままでは話が進まないと思ったのだろう

春蘭は腕を組み、話を続けた

 

 

「私が長い期間をかけ作った最高傑作だったのだが、今日朝起きていつものように愛でようとしたら無くなっていたのだ

昨日までは確かに、あったのだぞ?

ていうか、一緒に寝ていたはずだしな

わざわざ“アイツの部屋から盗ってきた寝巻”も着せて」

 

「どっからツッコんだらええんかわからへんけど・・・犯人に心当たりとかはないんですか?」

 

「ううむ・・・それがわからないから、こうして城内を探し回っているのだ

ついでに、北郷の部屋から“新しい寝巻”を盗ってきてな」

 

「ああ、今着てるのってどっかで見たことある思うたら隊長のですか・・・って、ちょい待って!!?

何、さり気なくまた盗ってるんですか!?

そして、なんで着て歩いちゃっとるんですか!!?」

 

「何を驚く

いつものことだろう?」

 

「そんな、“ドヤ顔”しながら言うことちゃいますよ!!?

要するに、“常習犯”やん!!?」

 

「仕方ないだろ・・・ホラ、アレだ

そう、プライベートだしな」

 

「せやから、プライベート云々の話ちゃいますから!!

なんで皆して“プライベートなら大丈夫”みたいに思うとるん!!?」

 

 

彼女の言うとおりである

まぁ、春蘭はというと“違うのか?”と驚いているようだったが

そんな彼女の様子に、真桜はまた頭を抱えるのだ

 

このままでは、本当にマズイ・・・と

 

 

 

(アカン・・・アカンでこれは

何でこんなことになっとるんか理解できへんけど、このままやとマズイことは確かや

っていうか、なんで隊長気づかへんの?

盗られまくっとるやん

下着から寝巻まで盗られまくっとるやん)

 

 

どうする・・・?

そう真桜が悩むこと数分間

とにかく、まずは“目の前の変態を止めなければ”という結論に至った

だがしかし・・・

 

 

 

 

 

 

「あのですね、春蘭様・・・って、おらんよなやっぱり!!!!!」

 

 

今回もまた、空振りに終わるのだが

ドンマイ、真桜・・・

 

 

 

ーーーー†ーーーー

 

 

「もうアカン・・・もう、ウチには解決できへん!」

 

 

そう思い、彼女が向かった場所

そこは、彼女達の主

覇王、曹孟徳の部屋の前

 

 

「大将なら、きっと何とかしてくれるやろ」

 

 

そう呟き、彼女は眼前の扉を軽く叩く

所謂ノックというやつだ

 

 

「誰かしら?」

 

「真桜です

ちょい、お話があってですね・・・」

 

「いいわ、入りなさい」

 

 

その言葉に、彼女は安堵の溜め息と共に扉を開く

“これで、大丈夫”

そう思いながら、開いた扉

瞬間、彼女は言葉を失ってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら?

どうかしたの?」

 

 

その視線の先・・・彼女の主である、華琳が椅子に座り仕事をしている

それだけなら、まだいい

 

 

「あの、それは・・・?」

 

 

震える声で、真桜は尋ねた

その言葉に、華琳は満足げに頷く

 

 

「これ?

ふふふ、“拾ったのよ”♪」

 

 

そう言って、彼女が手に取ったものに彼女は見覚えがあった

 

 

「それ、もしかして隊長の下着じゃ・・・?」

 

「正解よ」

 

 

言って、彼女はそれを懐にしまう

だが、それだけじゃない

よく見れば部屋の中に、一刀とソックリな人形が立っているのだ

そしてその首の周りには、これまた見覚えのある“箸”がかけられている

 

 

(あ、あれ?

もしかして、皆のモノを盗った犯人って・・・)

 

 

「あ、あの大将?

もしかして・・・」

 

「チッ、バレたみたいね

ごめんなさいね、真桜・・・眠って頂戴」

 

「っいや、ちょい待って!?

そんなもん突っ込まれたら、眠るどころじゃ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから先の記憶は、彼女にはなかった

気付いたら、隣には裸の一刀が眠っていたのだ

自身も裸だったことから、昨夜は恐らく・・・などと、頬を赤く染めたくらいだ

 

だから、彼女は“何も思い出せない”

だが、それが幸せなのかもしれない

 

世の中には、知らない方がいいことだってあるのだから・・・

 

 

 

 

 

「ところで真桜

最近俺の下着とかが異常に減ってる気がするんだけどさ

何か知らないか?」

 

「知らんなぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終われ

 

 

 

 

 

☆あとがき☆

 

こんにちわ

月千一夜です♪

 

今回は真桜が主役(?)のお話でしたw

 

気付かないうちに、周りのみんなのレベルが自分の倍以上に上がってました♪というお話ww

どんまい、真桜♪

そして、キャラが崩壊してるっていうw

 

 


 
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