真・恋姫†無双~黒衣の剣士~
第一幕
拾弐 ~黄巾党~
白蓮「最近、黄色い布を頭に巻いた賊が民たちを苦しめている。」
黄色い布を巻いた賊。僕はその特徴に覚えがあった。三国史の世界でも物語の最初期に出てくる集団だ。彼らの長である張角は「太平要術の書」という本を元に妖術を駆使し、反乱を起こした。
それに賛同した賊や民などが黄布党となり「黄天」の世を目指し、果ては連合軍によって壊滅に陥った。
僕はその史実を知っているが、果たしてみんなに言うべきだろうか。
亮「黄色い布・・・。やっぱり略奪を繰り返してるのかい?」
僕の言葉に白蓮さんは頷く。賊というくらいだ。略奪や殺しなどは当たり前にしているのだろう。
愛紗「その族をまとめている人物がいるのですね?」
白蓮「あぁ・・・。これがその男の人相書きだ。」
差し出されたその紙に描かれていた物はとても人とは思えない姿だった。
手は六本あり、頭には角が生えていた。なんか初期のス○ィッチみたいだな・・・。
桃香「これはさすがに冗談だよね?」
桃香さんは苦笑いを浮かべていた。しかし、その苦笑いの奥にはホントにこんな人がいたら恐いよぉといった考えが読み取れる表情だった。
亮「皇帝はどうでるんだろうね・・・。」
この後、皇帝の命により大将軍何進の元に諸侯が集まり、黄布党を討伐することになるが、僕はまだ何もいえない。いっちゃいけない気さえした。
愛里「白蓮さんはどうされるおつもりですか?」
白蓮「あぁ、私たちも皇帝陛下からお呼びがかかったらすぐに出陣(で)られる準備は整えておこう。」
全員「「「「「「応!!」」」」」」
そしてその数日後、皇帝から黄巾党討伐のお触れが全国の諸侯へと発せられた。
亮「いやぁここまで数が集まっているとは、驚いたな。」
見渡す限りそこは兵や将、馬などで埋め尽くされていた。有名な将で今回の戦に参陣しているのは、「曹操」「孫策」「袁紹」「袁術」「馬騰」と言ったところだろうか?
桃香「うわ~すごい人だね~♪」
愛紗「そうですね。これだけの人数がいれば黄巾党ごとき賊には遅れをとらないでしょう。」
星「さて、そろそろ大将軍殿の演説が始まりますぞ?」
集められた諸侯たちの目の前においてあった台に一人の少女が上っていく。その髪は美しい朱色をしていて、顔は可愛く整い、まるでアイドルの様な立ち姿だった。だが、僕は知っている。この世界では強さに性別は関係なく、更には年すらも関係ないことも・・・。
何進「皆の者!今日は皇帝陛下の呼びかけに良くぞ集まってくれた。皇帝陛下に代わり心より礼をいう。昨今、民たちを苦しめ、卑劣な略奪、殺しを繰り返している憎き黄布党を駆逐するため、是非官軍となりて我らと共に戦ってほしい。そして、この戦には風の噂に聞く天の御使い殿も御参陣願えたと聞く。」
天の御使いと言う言葉を聴いた僕たちは驚きを隠せなかった。なぜ彼女が天の御使いの事を知っているのか?そもそもそんな噂がどこから流れたのか?
何進「その者は公孫賛殿の軍に所属していると聞いたが、真か?」
白蓮「・・・・・・・・・はい・・・。」
白蓮さんがためらいながらも短く肯定する。
諸侯たちがざわめきを見せ始め、何進さんが言葉を続ける。
何進「そうか、皆の者聞いたか?皇帝陛下だけではなく、天の御使い殿まで我ら官軍の味方となりてくれる。もう恐れるものはなにもない!派手にやつらを駆逐してやれ!」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」と鬨の声があがる。
何進「そして、天の御使い殿よ。一刻後、我が陣に来てくれ。劉協様がお会いになられるそうだ。」
劉協?今の皇帝は劉弁じゃないのか?
劉協というのは現皇帝である、劉弁の弟で後に後漢最後の皇帝となる人物の名だった。
―――――――――何進の陣営―――――――――
亮「お邪魔します。」
兵士に通され何進さんの天幕まで来ていた。
何進「ふむ、そなたが天の御使い殿で間違えないか?」
亮「はい。そう呼ばれてます。」
何進さんはなにやら疑いのまなざしを向けてくる。当然といえば、当然だ。どう考えても普通の男性にしか見えないのだから。
何進「ふむ。そなたが本当に天の御使いかどうかは分からぬが、お主なかなかできるな?」
亮「いえ、それほどでは・・・。」
何進「まぁその話はよい、どちらにせよ戦が始まればおのずと分かること。それよりも、今から劉協様のところへ行くぞ。」
亮「劉協様のところ・・・ですか。」
僕は馬にまたがる何進さんの後ろに乗せられ、劉協さんがいる城へ向かうことになった。
―――――――――劉協の屋敷―――――――――
広大な大きさの部屋。さまざまな装飾で飾られたその部屋の中央には大きな玉座があった。
玉座に座しているのは劉協さん。だが、その見た目は幼く朱里ちゃんや雛里ちゃんと変わらないくらいの年齢だった。
劉協「貴方が天の御使いなのですか?」
見た目とは裏腹に丁寧な言葉使いにびっくりする。僕はてっきり
劉協?「朕は蜂蜜が食べたいのじゃ~蜂蜜をよこすのじゃ~」くらいのわがままな人を想像していた。だが、実際にあった劉協さんからはそんな雰囲気は感じられずどこか清楚な感じがした。
亮「はい。そう呼ばれております。」
劉協「貴方の名前を教えていただけますか?」
亮「僕の名前は藤崎亮と申します。」
劉協「二文字姓とは・・・珍しいですね。貴方の出身国では普通なのですか?」
亮「そうですね・・・。僕の居た国では二文字姓は珍しくありません。」
この時代では二文字姓は珍しいのだろう。現代の中国でも二文字姓なんてあまりいなかった気もする。
劉協「やはり、そうなのですね。先ほどの言葉で確信を持てました。貴方の居た国は此処、漢以外の国なのですね?」
劉協様は以外にするどいな。
亮「そうですね。国も違いますが、僕はこの時代よりも遥か未来の世界からきました。」
僕は気付いたら未来から来たことを劉協さんに話していた。
劉協「貴方の着ているその珍しい服も未来の物なのですか?」
亮「ええ、これはポリエステルという素材でつくってある服です。」
劉協「ぽりえすてる?」
聞いたことも無い服の素材の名前に首をかしげる。
今では広く普及しているポリエステルだがその歴史は浅く、日本での登場は1958年となっていた。
え?なぜ僕がポリエステルの歴史を知っているかって?
グ○グル大先生って偉大だよね。とニヒルな笑いを浮かべてみる。
亮「えっと、未来の服の一般的な材料ですよ。」
何進「しかし、何度見てもそなたの服は変わっているな。」
何進さんは僕に近寄るとじろじろと着ている黒い外套を見ていた。
劉協「その話は今はおいておきましょう。私がここに貴方を呼んだ本当の理由は、貴方と共にいる劉備とそして貴方にあるのです。」
亮「え?劉備さんに?」
そういえば劉協さんと桃香さんって・・・
劉協「彼女と私は遠い親戚みたいなのです。そして漢王室の血を引く劉備さんの元に貴方が現れた。私はこれを新たなる王家の誕生の兆しだと思ってます。」
亮「それは・・・どういうことですか?」
劉協「今の漢は近く、滅びると私は思ってます。」
劉協さんの言葉にその場にいた何進さんも僕も驚きを隠せなかった。
劉協「そうなのですね?天の御使い殿?」
彼女はまるで漢王朝が滅びる未来を確信しているかのように問いかけてくる。
真剣な劉協さんのまなざしに僕は黙って頷くことしか出来なかった。
そして、僕は何進さんと共に諸侯たちの待つ本陣へ戻った。別れ際に劉協さんは「またお会いしましょう」と笑顔で見送ってくれた。
本陣に戻った僕は桃香さんたちと合流し、明日に控えた黄巾党討伐の為に軍議に出席していた。
軍議では曹操さんや孫策さんなどの諸侯たちと顔合わせをし、明日の初戦にて誰が先陣を切るか、どんな陣形にするのかなどが話し合われた。
そして初戦の先陣を切ることになったのは我ら義勇軍だった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――あとがき―――――――――――――――――――――――――――――――――――
はい、第12話をお届けしました。
今回は劉協さま登場回でした。
いかがでしたでしょうか?
劉協さまは僕のなかでは割と可愛いイメージがあるのですが、今作では見た目に反したしっかりした女の子になってしまいました。
次回は黄巾党討伐編①となる予定です。
まぁ予定は未定なのですがww
では次回もお楽しみに~♪
追伸
おそらく明日からは一日一回の更新ができなくなります。その辺はご了承くださいませ。
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真・恋姫無双 黒衣の剣士 第一幕の続きです。
注)以下の内容が苦手または嫌悪感を覚える方は読まれないことを推奨いたします。
*主人公がチート
*氣などの表現がでる作品
*主人公が一刀以外
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