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真・恋姫†無双 武と知の2人の御遣い伝 第19話

黒山羊さん

どうも、黒山羊です。
今回の話は洛陽に向かったジェネシスと雛里、思春、明命の4人の話です。

第1話
http://www.tinami.com/view/201495

2011-03-24 22:05:50 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:3117   閲覧ユーザー数:2694

この物語は真・恋姫†無双という外史に、

CRISIS CORE FINAL FANTASYⅦのジェネシス・ラプソードスが来たいう設定です。

作者である私、黒山羊が原作を何度もやりなおし、登場人物を原作通りにしたつもりです。

ですが、解釈が幾らでも可能であるように、登場人物が皆様のご期待にそえるかどうかはわかりません。

また、作者は関西人なので、気をつけているつもりですが、

セリフが関西弁臭くなってしまうかもしれません。

あらかじめご了承ください。

読者の皆様が楽しめたら幸いです

 

 

 

 

視点:ジェネシス

 

俺は今、雛里を抱えて走り、馬には甘寧と周泰が乗っている。

雛里の地図によると此処からほぼ北西に3km行った所に村があることが分かった。

その村から洛陽まではおよそ60kmと結構近いが、それは直線距離であり、最短距離で行くには足場の悪い山岳地帯を行かなければならない。

山岳を通らない方法は西に60km程行き、その後10kmほど北上するかのどちらかだ。

俺が本気で走れば、どちらの方法でも1日で着くが、追跡者がお荷物だ。振り切っても良いが、そうすると有らぬ誤解を生む。

とりあえず、村へ向かい、それから考えるか…。

 

 

 

 

 

 

 

そして、15分で村に到着した。

村は山のふもとにあり、村全体で200軒ぐらい家が建っていた。人口はだいたい600ぐらいだろうか。

馬に乗っても3kmに15分もかかったのは、汜水関からずっと人と荷物を乗せていた馬が疲れ始めたからだろう。

 

俺達4人は村の大通りを歩いている。

人気はあるが、姿が無い。

そして只ならぬ空気に満ちている。

 

つまり、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「うおおおおおおお!!!」」」

 

「やはりか。」

 

 

 

村人全員が盗賊だった。

おそらく、重税に耐え切れなくなり、余所者が村を訪れると襲い、余所者を殺して、荷物を強奪していたのだろう。

そして、強奪したもので生活していたのだろう。

 

雛里は凄い形相の村人を見て、怯えている。

甘寧も周泰もこの状況を理解していたのか、馬から降りて剣を抜くが、

 

 

 

 

「退くぞ!」

 

 

俺は雛里を抱えると右の家の屋根へと跳躍する。

村人を皆殺しにしても良かったが、雛里を護りながら戦うのは骨が折れる。

厄介事を避ける為に、逃走という手段を取ったのだ。

 

甘寧と周泰も俺を追って、馬を踏み台にして屋根へと登る。そして、俺達は屋根から屋根へと飛び移り、村の北西へと進んでいく。

農民は農具を武器にして道を走って、俺達を追いかけてくる。

村の北西の端の家の屋根から俺達は飛び下りると、そのまま洛陽の方へと向かった。

農民達も俺達を追いかけてくるが、農民ごときが俺達に追いつけるはずもなく。4分走っただけで、村人の姿は見えなくなった。

 

 

 

 

 

現在地は村から西に向かって伸びている道だ。

周泰は肩で息をしている。甘寧と雛里の顔にも疲労が見える。

この状態だと山岳地帯を通るのは得策では無いな。

俺は雛里に相談する。

 

「雛里。周泰も甘寧も疲労が見える。

少し遠回りして、この道を使って西に向かい、それから、北上して洛陽に向かおうと思うのだがどう思う?」

 

「私もそれが良いと思います。

この状態で山岳地帯を進むのは危険かと思います。

それだったら、確実で安全な道を取るべきかと。」

 

「了解した。」

 

雛里は立ち上がると歩き始めた。

だが、昨日の夜から馬に乗ったり俺に抱えられて移動していたのだ。当然雛里は疲れている。そのため、足元はおぼつかない。

俺は雛里をまた抱えると休めそうなところを探す。

 

 

 

近くに運よく洞窟があった。俺は雛里を下ろすと外に出て草を刈り、洞窟の地面にひく。

 

「今の内に寝ておけ。」

 

雛里はそのうえに横になるとものの数秒で眠った。

そうとう疲れていたようだ。

甘寧と周泰には洞窟の前で見張りをさせて、俺は自分の寝床にする藁と4人分の食料の調達に行く。

 

 

 

 

洞窟の近くの川に鹿がいた。鹿は川の水を飲んでいた。鹿は視界が広く、警戒はしているが、後ろから襲えば、仕留めるのは容易だろう。

此処から鹿までの距離は10m。

 

「あの距離なら届くな。」

 

俺は跳び、鹿の頭にレイピアを突きたてる。鹿はいとも簡単に絶命した。血抜きの為に俺は鹿の喉元を切り、木に逆さまに吊るす。

血がボタボタと地面に落ちる。

 

他に食べられそうなモノを探そうとしたが、茸は分からないのでパス。毒キノコを食べてしまう恐れがある。木の実が幾つかあった。

 

後は、鹿を焼くための薪が必要だな。

木を探して細切れにすれば薪の出来上がりだ。

ちょうどこんな所に倒木ある。倒木の大きさは5mぐらいだ。これぐらいあれば、一晩は十分もつな。

後で、薪は運ぶとして、とりあえず、鹿と果物を洞窟に持って行くか。

俺は血抜きした鹿を水で洗い、左肩に乗せて、果物を右手で持つ。

そして、俺は洞窟へと向かった。

 

洞窟の前では甘寧が見張りをしていた。

 

「何か変わった様子はあったか?」

 

「今のところは、何もない。」

 

「そうか。

これ以外にも薪と藁を用意してある。取りに行ってくるから、鹿を捌いておいてくれ。」

 

「いいだろう。」

 

甘寧は鹿を捌き始めた。俺はさきほどの倒木へ向かう。

俺は藁を切り、蔓で束ねる。倒木をある程度の大きさに切るとレイピアで刺す。そして、藁と倒木を洞窟へと運んだ。

 

 

 

甘寧はすでに鹿を捌き終わっていた。雛里と周泰は寝ていた。

俺は倒木をレイピアから外すと上に投げる。

そして、落ちてきた倒木に俺は技を出す。

 

 

 

 

 

 

「画竜点晴」

 

 

 

 

 

 

姿勢を低くして相手の懐に入り込み、地面を蹴り、跳びながら体の中心の軸にして時計回りに回転斬りをするのがこの技だ。そんなシンプルな技だ。だが、この技を習得するのに時間が掛かった。

なぜなら、回転速度が高いのだ。その速さは

 

 

 

1、5秒に10回転。

 

 

 

こんな速度で回転すれば揚力が発生するので、弱い跳躍で俺はかなり上昇する。

しかも、斬撃の場所を毎回変える。それによって相手の防御を困難にさせているのだ。

あくまで、これは対人の話。

今の相手は倒木だ。技を受けた倒木は40程の薪へと変わり、落ちていく。

 

俺は薪に遅れて着地する。

 

「貴様、何のつもりだ。」

 

甘寧は俺を睨み、右手で武器を構えながら聞いてくる。

俺はそんな甘寧の質問に答える。

 

 

「お前達は俺や桃香の情報を集めることが任務と聞いた。

だが、雛里は俺や桃香達の情報が漏れないように努めているみたいだ。

情報収集しにくいだろう。俺の技の一つで知ることが出来れば、お手柄モノじゃないのか?」

 

「情けか?」

 

「気紛れだ。

それにこの技を知ったところで、俺とお前との差は埋まらない。この技はお前の力では防ぎきれんだろうしな。

鹿を焼くぞ。今から焼けば、晩飯時には食えるだろう。

晩飯後は俺、周泰、お前で交代して番をして、他は寝る。そして、明日の明け方出立だ。」

 

「ああ…」

 

 

俺は薪を拾い、鹿を丸焼きできるように準備をする。

そして、甘寧は持っていた火打石で、藁に火をつける。

丸焼きの準備ができたので、俺は火の番を甘寧に任せて、水を汲みに行く。

近くに竹林があったので、俺は竹を切り、水筒とコップを作った。そして、水筒に川の水を入れて、洞窟へと戻った。

 

「良い感じに焼けてるな。後は任せていいか?

俺も少し仮眠を取る。徹夜で馬に乗ったり、雛里を抱えて走ったりでさすがに疲れた。」

 

「ふん。軟弱な。」

 

「仮に俺が軟弱でも、お前5人を同時に相手しても負けることは無いだろう。」

 

「クッ。残念ながら否定はできないな。」

 

甘寧は顔を歪めて悔しそうに言う。

俺はレイピアを地面に刺すと、俺は甘寧の横で横になり、頭の後ろで腕を組み、枕にする。そして、右足を上にして足を組む。

 

「何故、私の横で寝る?」

 

「俺を観察するのが、任務だろ。

コソコソ見られるより、堂々と見られた方が気が楽だ。

鹿が焼けたら起こしてくれ。」

 

「……分かった。」

 

そして、俺は眠りにつく。

 

 

 

 

視点:思春

 

訳のわからない男だ。全てにおいて規格外だ。

人を抱えて走る速度が馬より速く、踏み台無しで人を抱えて屋根の上に跳躍する。

そして、さきほどの技。

 

「確かにあれは防げない。『画竜点晴』だったか?

あれを出されたら、鈴音は最初の5撃までに霧散し、私の体も細切れだな。」

 

私は自分の言葉にぞっとした。

コイツと相対するとしても、コイツがかなりの重症であるか、私達が大軍を率いていないとまず勝てないな。

それほどコイツは強い。認知したくなかったが、事実のようだ。

『赤き天災』と呼ばれているのも納得いった。

 

ここで殺すか?今なら寝ている。

殺せば、孫呉の障害にはならないだろう。

だが、雪蓮様はコイツと戦ってみたいから生かしておけと言うだろう。まったく困ったお方だ。

 

それに今仕掛けて仕留められるだろうか?

完全に無防備だと思われるが、嫌な汗が止まらない。

 

 

 

 

 

 

 

何故だ?

 

今なら武器を持っていないから仕留められるはず、しかし、何故か仕留められそうにない。

コイツを見ているとコイツが私が考えているより遥かに強そうに思えてきた。

 

「これ以上考えて、勝手な行動するのはよそう。

私は蓮華様から与えられた任務をこなすのみ、ただコイツを調査してありのままの事実を伝えるのみ。

今回の任務はそれ以上でもそれ以下でもない。」

 

そうこう考えている内に鹿の一面だけがコゲ始めた。私は鹿に刺さっている棒を回転させて反対側を焼く。

 

 

 

 

 

 

1刻程経った頃、明命は目を覚ました。

明命は申し訳なさそうな顔で私を見てくる。

 

「寝てしまってすみません。思春様。」

 

「かまわん。

その代わり、鹿の丸焼きの調理代われ。それと、夜の見張りを頼むぞ。」

 

「分かりましたが、

思春様、どうして、鹿の丸焼きを作っているのですか?」

 

「武の御使いが仕留めたらしい。

これが我ら4人の夕食だ。」

 

「はあ…。

ところで、武の御遣いに関する情報は?」

 

明命は私が座っていた処に座ると、火加減や鹿の丸焼きの出来具合を見ながら聞いてくる。

私は先ほどの技の事を話した。武の御遣いや鳳統に聞かれない様に小声で話す。

 

「すごく速い連続回転斬りですか…」

 

「ああ、それ以外に説明のしようが無い。

あの技をまともに受ければ、私でも無事では済まない。」

 

「そんなにですか!?」

 

「ああ。劉備陣営はとてつもない戦力を持っているということが分かった。

だが、これはあくまで個人の武の話だ。コイツが我ら孫呉の敵となった時は大軍で叩きつぶせばよい。

今寝ているコイツを討ち取る方法もあるが、何故か成功するとは思えない。

ここは武の御使いの調査任務とコイツらに協力することだけを考えろ。」

 

「わかりました。思春様。

武の御使いの調査任務頑張りましょう。」

 

明命が私の考えに賛同してくれたことにより、私の判断に私は自信が持てた。

私は鹿の丸焼きを明命に任せて休憩を取ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は目が覚めた。

 

目の前には武の御使いと鳳統、明命が鹿肉を食べていた。

私が起きた事に気がついた明命は私に鹿肉を渡してくる。

私は昨日の夜から携帯食以外のまともな食事を取っていなかったので、食欲に任せて、鹿肉にがっつく。途中喉を詰まらせた時は鳳統が水の入った竹の入れ物を差し出し、明命は私の背中を叩いてきた。

 

4人で1頭の鹿肉を食べきることはできなかったので、明日の朝の食事に食べることになった。

それでも、残るようだったら、洛陽に持って行こう。洛陽では変装するための服を買うための金が必要だ。肉を売れば金になる。

さっきまでは金を持っていたが、村人に襲われた時に馬に乗せたまま逃げてしまったので、無一文だ。

 

「おい、甘寧と周泰。

お前達凄腕の間諜なら洛陽に現状を調べに行ったことは無いのか?」

 

「凄腕ですか?」

 

明命は武の御遣いに褒められてうれしいのか、声が裏返っている。

凄腕でも見つかっていては世話ない。嫌味か?馬鹿にしているのか?

 

私は武の御使いの質問に答える。

 

「昔一度董卓を調べに洛陽へ行ったことがある。

あの時は宦官の暴政によって疲弊した洛陽を復興し始めていた。税の緩和等の立て札が大量に立てられていた。

あの様子だと、董卓は良き君主だったのだろう。

だが、袁紹からあのような書簡が来たということは袁紹の嫉妬か董卓が暴君になったかのどちらかだと雪蓮様と冥琳様は仰っていた。」

 

「私もそう思います。」

 

鳳統は返事をした。

 

「そうか。董卓の善悪はどちらでも良い。

俺は俺の命を脅かそうとした張譲に最悪の死を与えるのみ。

張譲の情報は無いのか?」

 

武の御遣いは無表情で言う。

董卓の善悪はどうでもいいだと?

心優しい蓮華様は悪と決まっていない者を倒すことに抵抗を感じていたのに、コイツは何も感じないのか?

蓮華様も董卓の味方だと反董卓連合に勘違いされないように孫呉を護るためだと雪蓮様に説得されたというのに、

コイツは血も涙もないのか?

 

「張譲は十常侍の筆頭で、

性別は嘗て男だった。年齢は私より少し幼いぐらい。

屋敷の場所は洛陽の北東。

屋敷の警備は正規の鎧を着た者が300程と洛陽の民に変装している者が何名か。

我らが持っている情報はそんな所だ。」

 

「そうか。

張譲はいつも何処に居るか分かるか?」

 

「わからない。」

 

「わからない?

それだけの情報を持ち合わせておきながら、どこに張譲が居るのか分からないのか?」

 

「ああ、同時刻に複数の個所で張譲が目撃されている。

このことから考えられるのは妖術の類か影武者だと考えられる。」

 

「同時に何か所に出現した?」

 

「少なくとも、2か所だ。

他にも別の個所にも居るかもしれん。」

 

「そうか。

ちなみにその2か所は?」

 

「私は宮殿で他の宦官と酒を飲んでいるのを目撃し、明命が自分の屋敷で他の宦官から賄賂を貰っていた。

どちらが本物か分からなかったぞ。」

 

「どっちが張譲か分からない以上、2人共殺すのが良いだろう。

これ以上の事は明日、洛陽への移動中に話し合おう。」

 

武の御遣いはそう言うと立ち上がる。

 

「何処へ行く?」

 

「川に水を汲みに行くだけだ。」

 

武の御遣いは水筒を持つと夜の闇へと消えていった。

 

 

 

 

視点:雛里

 

甘寧さんと周泰さんは何処の諸侯の者なのか、

 

そして、董卓の事をどう思っているのか気になっていた。

董卓を敵と見ているなら、善なる董卓さんがこの人達に殺される前に保護しなければならない。暴君董卓なら問題ないのだが、

董卓を味方と見ているなら、善なる董卓の保護は任せれば良い。董卓が暴君だった場合は連合に董卓をかくまっていることを告げ口すれば、問題ない。

 

一番厄介なのは、この人達が董卓を敵として連合に参加した諸侯で、董卓が善なる者だった場合だ。

私は甘寧さんと周泰さんに探りを入れてみた。

 

「甘寧さん、周泰さん。

董卓の情報は何か無いのですか?」

 

「どうして董卓の事を知りたがる?」

 

「私達の陣営には董卓がどのような姿をしているのという情報が全く無いのです。

だから、董卓という人物の人物像が分からないのです。」

 

「残念ながら私達もそうだ。」

 

董卓の姿を知らないというのは董卓の姿を知られたくないか、本当に知らないかである。

よって、この人達は董卓の姿を知られたくないと思っている親董卓派か、本当に董卓を知らない反董卓派か親董卓派である。

私達を親董卓派だと疑っていて、董卓の姿を私達に知られたくないと思っている反董卓派という考えも思い浮かんだが、そう場合、反董卓連合の総大将である袁紹に告げ口し、私達の洛陽行きを阻止するだろう。

これだけでは判断不可能だ。

さらに探りを入れてみる。

 

「ここまで董卓の情報が無いと洛陽の領主が董卓かどうか疑わしくなってきます。

だから、私達の陣営は董卓の名を騙って別の人物が洛陽を治めているのではないかと言う推測が一部でされたのですが、どう思いますか?」

 

私は私達の陣営が親董卓派だと思わせるような質問をしてみます。

 

「可能性としては十分あり得るな。

だが、洛陽を誰が治めていようと反董卓連合が洛陽を落とさんとこの戦いは終わらないし、連合も終わらない。」

 

此処で董卓を殺すと言わないのはどういうことでしょう?

普通に考えれば、董卓がどういう人物か分からないから殺しようが無いと考えるのが妥当でしょう。

だとすれば、董卓が善なる者であった場合、保護するように説得できるかもしれない。

 

説得に成功すれば、善なる董卓さんの救出と保護が容易になります。

説得に失敗すれば、善なる董卓さん救出と保護が困難になります。そればかりか、董卓さんの救出や保護の妨害も考えられます。

善なる董卓さんの救出と保護に成功したとしても、董卓さんを匿っている事理由に今度は反劉備連合が結成されかねません。

 

私は賭けに出ます。

 

 

 

 

 

 

 

「実は董卓は張譲に人質にされているという情報があります。」

 

「「!!」」

 

 

 

甘寧さんと周泰さんは動揺しています。

今が好機です。一気に説得してしまいましょう。

 

 

「今の情報の出所は華雄さんです。

華雄さんの話によると張譲は董卓さんを人質にして董卓軍の将を使って洛陽で暴政を働いているらしく、税の徴収が上手くいかない事を理由に操り人形を他の人に変えようとしているらしいです。

ですが、この情報を私達は鵜呑みにしたわけではありません。

私達の陣営は洛陽で暴政を働いているのが張譲で董卓さんが善なる者ならば、保護しようと思っています。

桃香様は乱世で苦しむ人を助ける為に立ち上がりました。為政者、農民等分け隔てなくです。

だから、善なる為政者が暴君によって殺されそうになっているなら、善なる為政者を救います。

ここで罪なき為政者を殺して平和は望めません。

だから、董卓さんの調査と董卓さんが善なる者だった場合、救出の手伝いをお願いします。」

 

 

 

 

「「………。」」

 

 

この場を沈黙が支配します。

聞こえる音はたき火の音だけで他には何も聞こえません。

 

 

 

 

沈黙を破ったのは周泰さんでした。

 

 

 

「思春様。

私は大好きな孫呉に仕えている身です。孫呉が好きな理由は困っている人に手を差し伸べてくれるからです。

だから、私は董卓が善なる者だった場合、董卓を助けたいです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「明命。私は蓮華様から与えられた任務を行い、孫呉の敵を討ち滅ぼすだけだ。それ以上でもそれ以下でもない。

董卓を救いたいのなら好きにしろ。

 

そのかわり、鳳統に聞きたいことがある。」

 

「はい!」

 

「武の御遣いは董卓はどうでもいいと言っていたが、あれはどうなんだ。」

 

「私に合わせてくれただけです。」

 

「そうか。

では、内心では董卓を救いたいと思っているのか?」

 

「はい!

あの人は誰かに利用されることは許せても、利用した人が裏切ることが何より嫌いな人ですから。」

 

「そうなのか?」

 

「はい、あの人は前の世界である商人に利用されて、使えなくなった事を理由に裏切られ、捨てられたらしいのです。

だから、あの人が私達の陣営の中で1番董卓を救いたくて、1番張譲を憎んでいる人なんです。」

 

「……。

明日は早い。私は今の間に寝ておく。お前らの誰かが眠くなったら、起こせ。

見張りを代わってやる。」

 

 

甘寧さんはその場で横になると寝始めました。

 

良かった。説得は成功。

ジェネシスさんの世界の話をしたことによって、ある意味牽制になったでしょう。

裏切りはあの人の逆鱗だと理解できたでしょう。

 

 

 

足音が聞こえてきました。周泰さんは武器に手をかけますが、

 

「大丈夫です。この足音はだぶん。」

 

夜の闇の中の音源はこっちに来て、たき火で照らせる。

音源は知っている人のモノだった。

 

「おかえりなさい。ジェネシスさん」

 

「ああ、見張りはしてやるから、今の内に寝ておけ。」

 

「はい。」

 

 

 

「……。」

 

 

 

「…………。」

 

 

 

「どうした?」

 

「あわわわ!あの……そ…その……。膝枕して、『らぶれす』を読んでくれませんか?」

 

私は帽子で顔を隠しながら言う。

 

「そんなことでお前の疲れが取れるのか?」

 

「はい/////」

 

「仕方が無いな。ほら来い。」

 

ジェネシスさんは木にもたれると、伸ばした足を揃えます。

私はジェネシスの左に座るとそこで横になり、頭をジェネシスの太ももに乗せます。

ジェネシスさんは詠いはじめました。

 

 

「『獣たちの戦いが世に終りをもたらす時

 

  冥き空より女神が舞い降りる――

 

  光と闇の翼を広げ 至福へと導く

 

  <贈り物>と共に』」

 

「………。」

 

 

『らぶれす』序章。

預言者が『女神の贈り物』が世界に平和をもたらすと予言をする場面。

 

こうして、汜水関を出発して張譲を暗殺しに洛陽へ向かった私達の1日目が終わる。

 

 

 

 

どうも、黒山羊です。

 

今回は反董卓連合のジェネシス編でお送りしました。

時間軸的には馬超と華雄が面会した日のお話です。

 

あらすじは素面の時に書きましたが、文章はテンションが上がるように酒の勢いに任せて書きました。次の日の素面の時に文章チェックをし桃香「○:投下」という流れになっています。

 

次は、反董卓連合ジェネシス編洛陽入りを書かせて頂きます。

では、次回は20話でお会いしましょう。

 


 
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