真・恋姫†無双~赤龍伝~第44話「赤斗の帰還」
小蓮「あっ、見えてきた♪」
藍里「やっと着きましたね」
建業の城壁が見えて、嬉しくなった小蓮と藍里が思わず声を出した。
赤斗「…………」
嶺上「どうした?」
赤斗「あ、いや。何でもない」
小蓮「もしかして、赤斗。帰ってこれたのに嬉しくないの?」
赤斗「そ、そんなことないよ。とても嬉しいよ。ひさしぶりに皆に会えるしね」
小蓮「そうよね。私も早くお母様やお姉ちゃんたちに会いたいもの♪ 早く行こう!」
赤斗「ああ、早く帰ろう」
恋「(コクン)」
藍里「はい!」
嶺上「応っ!」
そう言って、五人は建業に向かっていった。
――――建業――――
小蓮「着いたーーっ♪」
小蓮が建業に入って、大きな声で喜びを爆発させる。
赤斗「…………」
嶺上「さて、これからどうする?」
藍里「まずはお城に戻って、雪蓮様や蓮華様たちに帰ってきたことを報告するべきでしょう」
嶺上「そうだな」
小蓮「じゃあ、早くお城に行きましょう!」
藍里「はい」
赤斗「…………」
恋「……赤斗?」
赤斗「ん?」
恋「大丈夫?」
赤斗「ああ、大丈夫だよ。早く僕たちも行こう」
恋「……うん」
――玉座の間――
小蓮「お姉ちゃーーん!」
玉座の間に入った小蓮が蓮華に抱きついた。
玉座の間には、蓮華の他に思春がいた。
蓮華「小蓮っ!!」
小蓮「ただいま。お姉ちゃん!」
蓮華「しゃおれーーんっ!! あなた一体、今までどこに行ってたの!! 藍里、嶺上!」
藍里・嶺上「は、はいっ!」
蓮華「あなたたちがついていながら、これは一体どういうことなの?」
嶺上「そ、それは……」
嶺上は蓮華の迫力に押される。
藍里「蓮華様。申し訳ありません。私からご報告させていただきます」
蓮華「……わかった。説明を聞こうか」
藍里「私たちは小蓮様の護衛役として、許昌まで行ってまいりました」
蓮華「な、何、許昌だと!?」
藍里「はい。目的は…」
小蓮「シャオたちは、お姉ちゃんたちの代わりに赤斗を迎えに行っただけだもん!!」
藍里「小蓮様!」
小蓮「それなのに、そんなに怒らなくてもいいじゃない!」
蓮華「何だと、小蓮! あなたって子は、いつも勝手なことをして、いい加減にしろ!」
小蓮「何よー! シャオだって、呉のために頑張ってるのに!」
蓮華と小蓮は姉妹喧嘩を始めてしまった。
藍里「あのぉ、蓮華様、小蓮様……」
嶺上「あーあ、始まってしまったな。せっかく藍里が上手く説明しようとしてたのに、姫様たちもせっかちだな」
蓮華「ちょっと待て! 赤斗を迎えに行っただと! ということは……」
藍里「はい。赤斗様も一緒に帰ってまいりました」
蓮華「!!」
思春「…………」
その時、玉座の間に赤斗が入ってきた。
蓮華「……赤…斗」
赤斗「蓮華。ひさしぶりだね。元気だった?」
蓮華「赤斗っ!」
蓮華が赤斗に向かって駆けだした。
思春「お待ちください、蓮華様!」
蓮華と赤斗の間に思春が割って入る。
蓮華「思春?」
赤斗「やあ、思春。ひさしぶり」
キッ
赤斗「うっ」
思春は赤斗を鋭い視線で睨みつける。
思春「まだ、この者が曹操の刺客でないとは限りません」
蓮華「思春、何を!?」
藍里「思春ちゃん!?」
小蓮「ちょっと思春。何を言ってんのよ!」
嶺上「まあ、確かに可能性がないわけではないな。たが、思春! 本当にそう思っているのか?」
思春「可能性がある以上、蓮華様に近づけるわけにはいかない」
赤斗「…………」
蓮華「思春。いい加減にしなさい! 仲間を赤斗を疑うつもり!」
思春「……はい」
蓮華「…………」
赤斗「…………」
藍里「では、どうすれば赤斗様の疑いは晴れるの、思春ちゃん?」
思春「決まっています。……私と立ち合え!!」
蓮華「思春っ!!」
藍里「思春ちゃんと赤斗様が戦って、どうして赤斗様の疑いが晴れるの?」
思春「…………」
藍里「思春ちゃん。どうなんですか?」
思春「…………」
蓮華「思春っ! 何か言いなさい!」
赤斗「いいよ。僕が思春と立ち合うことで、疑いが晴れるなら戦おう」
蓮華・小蓮「赤斗っ!」
藍里「よろしいのですか?」
赤斗「ああ。……で、どこでやる? まさか、玉座で戦うわけにはいかないだろ」
思春「……以前、お前と戦った親衛隊の訓練場でどうだ?」
赤斗「あそこか。僕はかまわないよ」
思春「ならば行くぞ」
赤斗たちは親衛隊の訓練場までやってきた。
訓練場の舞台の上には、赤斗と思春、審判役の嶺上が上がっていた。それを蓮華、小蓮、藍里、恋が見守っていた。
玉座の間から訓練場までの間に、待たせていた恋と合流した。
恋を見た蓮華と思春は、かなり驚き警戒していたが、藍里がなんとか説得してくれた。
嶺上「二人とも準備はいいな」
思春「(コクン)」
赤斗「…………ぅ」
嶺上「赤斗?」
赤斗「ああ……悪い。僕ならいつでも平気だよ………」
嶺上「そうか。………なら、始めっ!」
ザッ
思春が鈴音を抜いて、赤斗に迫った。
しかし、赤斗は動かない。そして、そのまま思春に身体を預けるように倒れた。
思春「な、何を!?」
思春は反射的に赤斗の身体を受け止める。
思春「……お、お前!?」
思春は驚いた。赤斗の身体が燃えるように熱くなっていたからだ。
蓮華・小蓮「赤斗っ!」
藍里「赤斗様っ!」
思春「なりません!!」
蓮華たちが舞台に上がって駆けよってくるのを、思春が制止した。
蓮華「えっ?」
思春「流行り病かもしれません。だから、それ以上近づいてはなりません」
藍里「けど……」
思春「看病なら、私が……」
嶺上「ふうーん」
藍里「蓮華様」
蓮華「分かったわ。思春。お願いね」
思春「はい」
赤斗を担いで思春は、医者のもとに向かった。
――火蓮の屋敷――
火蓮「よく戻ってきた」
藍里「はい。遅くなって申し訳ありませんでした」
火蓮「よい。藍里も嶺上もよくやってくれた。それで赤斗の容体はどうなんだ?」
藍里「医者の診立てでは、過労による発熱だとの事です。二、三日ゆっくり休めば良くなるそうです」
火蓮「過労……か」
藍里「魏から呉に帰って来られ、気が緩んだのかもしれません。今は思春ちゃんが付きっきりで看病をしています。部屋の外では呂布さんが動きません」
火蓮「そうか。それにしても、呂奉先まで連れて帰ってくるとは思わなかったぞ」
藍里「蓮華様に説明するのに苦労しました。しかし、彼女は孫呉についたのではなく、あくまで赤斗様についてきただけですので……」
火蓮「はは……赤斗に懐いたか。まるで犬猫だな。これは戦力として当てにしない方がいいな」
藍里「それがよろしいかと」
火蓮「もうすぐ雪蓮たちも、豪族たちの反乱を収めて戻ってくる。これで久方ぶりに皆揃うな♪」
藍里「はい♪」
つづく
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ついに赤斗が呉に帰還しました。だけど思春に疑われて…。
この作品は、基本的に呉√にそっては行きますが、他√に
脱線することもあります。また、主人公も含めてオリジナルキャラクターが出てきます。
未熟なため文章におかしな部分が多々あるとは思いますが、長い目で見てくださると助かります。