第12話 仲間
呉から旅立ち、諸国漫遊をしている本作の主人公・北郷一刀。
さて、今度はどんなことが彼を待ち受けているのか。
一刀「呉からお金もたくさん貰ったし、これで当分は困らなくていいな♪それに・・・」
一刀は腰に差してある愛刀、黒刀【白王虎】を触りながら考え事をしていた。
一刀「これ1本でもいけるだろうけど、壊れたら一大事だし。それにやってみたいこともあるしな。・・・でも、この時代に良質な鋼ってあるのか?それに製作技法は問題ないとしても、たたらが無いだろうしなぁ・・・」
カーーーン カーーーン カーーーン
一刀「ん?なんだ、この音?」
急に聞こえてきた音が気になり、音の鳴る方向に近づいて行った。
するとさっきの音だけじゃなく、声も聞こえてきた。
???「せいっ!やぁぁぁ!はぁぁぁぁ!!」
森の中で木に向けて木の棒で打ち込みをしている女の子がいた。
一刀「あの音はあの子が・・・」
その子の身長はだいたい思春か蓮華ぐらいかな。
それに肩まで伸びている髪が黒くて綺麗だ。
???「ふ~・・・。さすがに疲れましたぁ」
一刀「あの子・・・強いけど、まだまだ伸びるな。素材が良い」
???「誰ですか!?」
一刀「ひゃあ!?」
変な声を出してしまった・・・。
???「誰ですか?あの女の仲間ですか?だったら容赦はしません!」
そういうといきなり短刀を俺めがけて投げてくる。
一刀「うわぁ!危ないなぁ・・・」
驚きながらも投げてきた短刀を避けた。
???「さぁ、あなたは誰です?早く答えなさい!」
一刀「俺は北郷一刀。字も真名もないところから来た。好きに呼んでくれ。今はこの大陸を旅している」
???「!?では、北郷殿は今噂の天の御遣い様で?」
一刀「まぁ、そう言われてるね」
???「・・・ふ~ん」
一刀「君は誰だい?」
???「私は凌統。今はお父様を殺したあの女を殺すためにこうして鍛練をしているのです」
一刀「そうなんだ・・・。(凌統?かたき討ち?)・・・あぁぁぁ!!」
凌統「なんだ!?いきなり大声を出さないでください」
一刀「もしかして君の親を殺したのって・・・し、甘寧?」
凌統「!?なんで知ってるんですか!?やっぱりあの女の仲間だったのですね?」
そういうと俺と距離をとってまた木の棒を構えた。
一刀「ち、違うよ違う!」
凌統「じゃあ、なんだと言うのですか?」
一刀「俺は2000年もの未来から来てるから知ってるんだよ」
凌統「天の御遣いだからたとでも言うんですか?」
一刀「あぁ。そうだ。それに俺はここに来る前に甘寧に実際に会っている」
凌統「・・・そうですか。北郷殿は嘘をつくような人間ではないと私の勘が告げています。だから信じます。しかし、私と仕合をしてもらいます」
一刀「はい!?」
凌統「武人は武で語りあうものです。それに北郷殿からは強者の匂いがします」
一刀「・・・いいよ。そのかわり、俺が勝ったら俺と一緒に旅をしないか?」
凌統「いいでしょう。しかし、北郷殿だけでは不公平ですので、私が勝ったら呉まで連れて行ってもらいます」
一刀「・・・そっか。それはやっぱり親の敵をとりたいということかな?」
凌統「もちろんです!私は今まであの女を殺すためにこうして鍛練をしてきたんです!」
一刀「分かった。さっそく始めよう」
凌統「・・・やぁ!」
一刀「ふっ!」
凌統の武器は三節棍のようだ。
凌統はその三節棍を振り回し、時には連結を解きヌンチャクのようにも使う。
三節棍は素人には難しい代物だ。
一刀(それをいとも簡単にこうも扱えるとは・・・彼女の復讐という想いと強さは本物だ。)
一刀「珍しいものを使ってるんだね」
凌統「喋ってる余裕があるのですか・・・。これはお父様から譲り受けたものです。私はまだまだお父様には遠く及びませんが、いつか超えるためにこうして日々鍛錬して、あの女を殺します!」
一刀「・・・・・」
凌統「まずはあなたを倒します!」
一刀「・・・無理だよ」
カキィィィン
ドスッ
凌統「うっ・・・」
一刀「みねうちだ」
凌統は目の前が真っ暗になった・・・。
凌統「・・・ん、う」
一刀「目が覚めたかな?」
凌統「・・・負けました」
一刀「・・・そうだね」
凌統「約束どおり旅に同行しましょう」
一刀「あぁ、あれね。凌統が嫌なら無理はしなくてもいいよ」
凌統「えっ?」
一刀「敵討ちがしたいんだろ?だったら案内してやるよ」
凌統「本当ですか!?」
一刀「でも、今の君じゃ絶対に勝てないよ」
凌統「そんなことはありません!それに、刺し違えてでも私は・・・」
一刀「それは駄目だ!」
凌統「私はどんなことをしてでも勝たなくてはいけないんです!」
一刀「自分の命を粗末にしてでも殺していい命なんて有りはしない!」
凌統「それなら私はどうすれば・・・私はあの女を殺すためだけに今まで鍛練をしてきました!」
一刀「甘寧はその時は確か黄祖の元にいたはずだ。甘寧は仕えていた主の指示には絶対を守っている。だから、主のためだと思ってしたことだ。甘寧は恨まれはすれど、殺されることはないはずだ」
凌統「だったら私は・・・敵討ちをするなと言われたら私の今までの鍛練の意味、生きてきた意味が無くなります!」
一刀「ならばその武、俺のために使わないか?」
凌統「えっ?」
一刀「今までのことは今までのことだ。これからは復讐だの敵討ちだの考えないで、俺のことを考えろ!それに1人旅って寂しいし、俺1人じゃ出来ることに限界があるんだ。だから、凌統さえ良ければ俺の仲間にならないか?」
凌統「・・・こんな私を?敵討ちしか考えてこなかったこんな私が、御遣い様である北郷殿の仲間にですか?」
一刀「御遣いとか関係無しでさ。君は鍛えればもっと強くなる。十分素質があるからね」
凌統「本当ですか!?」
一刀「うん。でも、約束がある。俺が君を鍛えるけど、今後は敵討ちのことは忘れること!」
凌統「えっ?でも・・・」
一刀「ただ、いずれ甘寧とは戦わせてやる」
凌統「本当ですか!?」
一刀「あぁ。俺は嘘はつかない。それに、今の甘寧は昔とは違うと思う。だから、自分の目で確かめてみてくれ」
凌統「・・・はい」
一刀「俺の知識が正しければそんなに遠くない未来で会える」
凌統「そうですか」
一刀「どうかした?」
凌統「北郷殿は大変不思議な方です。」
一刀「え?俺ってそんなに変なやつなの?」
凌統「いえ、そうではありません。北郷殿は私の心を一瞬で温めてくれました。それに・・・話しているとなんだか幸せな気持ちになります」
一刀「自分じゃ分からないけど、そういってくれるのは素直に嬉しいよ。ありがとう」
凌統「北郷殿のような優しく強い方に仕えることが出来て私は、本当に・・・幸せです」
一刀「俺は凌統を仕えさせるつもりはない!俺は仲間になってほしいと言ってるんだ!」
凌統「どのような違いが?」
一刀「全然違うよ!仲間っていうのは、まぁ、友達みたいな感じかな。だから、友達になろう!」
凌統「うぇぇぇ!?」
一刀「嫌だったかな?」
凌統「いえ、その・・・分かりました。北郷殿、それでは私のことは純と呼んでください」
一刀「分かった。ありがたく預かるよ、純。それから、俺のことは一刀と呼び捨てにしていいから」
純「そうですか。分かりました一刀様」
一刀「様!?ま、まぁ、いいか」
純「それで一刀様、これからどこに行かれますか?」
一刀「まずはもう一振り刀を作りたいからどこか職人がいるところがいいかな」
純「それでしたら、最近魏に三国一の職人がいると聞きました」
一刀「それじゃあ、魏に行こうか。純にはそこで俺と一緒にこの日本刀という武器の作り方を知ってもらうからね。それから純のその三節棍も作り直そうか」
純「はい!ありがとうございます!」
一刀「それじゃあ、一路魏へ!」
純「行きましょう!」
こうして新たな仲間、凌統を加えた北郷一刀は新たな日本刀を作るために魏へ進路を決めた。
この出会い、そしてこれからの出会いがどう変えていくのか。
それはまだ、誰にも分からない。
あとがき
まずはごめんなさい!
最近コメントを返せていませんでした。
また後ほどまとめて返させて頂きます。
今回は私が思う、恋姫無双的な凌統を書いてみました。
どうでしたか?
また不完全燃焼だったかもしれない・・・。
真名を考えるのって難しいですね。
事前に調べてすでに他の作者さんが書いている凌統と被らないようにしてみました。
もしいたらごめんなさい。
三国無双での凌統がヌンチャクを使っているので、ちょっとレベルを上げて三節棍にしてみました。
本当は七節棍にしようかと思ったのですが、あれを扱えるのは烈海王だけだと考えているので、三節棍に定着させました。
私のこの凌統像は、おとなしい性格で、だけども芯はしっかりしていて復讐心が燃えていることを感じさせないようにしようと思い、こうしてみました。
モデルは大喬なんですがね・・・。
一刀に対してはベッタリではなく、尊敬と恋心の間で揺れる感じにしていきたいです。
それから、私は基本的に人が死ぬのは好きではありません。
死ぬぐらいなら歴史を改ざんしてやります!
それではまた次回お会いしましょう。
次は軍師あたりが仲間になったらいいなぁ。
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第12話投稿完了!
三国無双6やってはいますが・・・蜀をやる気になれないですねぇ・・・
蜀を好きな人は多いと思うけど、自分は嫌いなんですよね・・・
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