真・恋姫†無双~赤龍伝~第41話「官渡の戦い 終結」
荀彧「華琳様。こちらが袁紹を押し切れそうですね」
曹操「そのようね。秋蘭、袁紹が動いたら追撃はあなたに任せるわ」
官渡の戦いは、呂布の参戦で勝敗が分からなくなっていたが、歴史通りに曹操の勝ちになりそうだった。
程昱「袁紹の軍が撤退を始めたようですよー」
夏候淵「なら華琳様、私も行ってきます」
曹操「任せるわ」
夏候淵「はっ! 出られる者から私に続け! この大戦の総仕上げ、我々の手で果たすぞ!」
夏候淵は部下を連れて袁紹の追撃に出た。
曹操「赤斗は?」
荀彧「深紅の呂旗は見当たりません」
曹操「見当たらない? 呂布を討ったの?」
荀彧「分かりません。そのような報告は来ておりませんが……」
郭嘉「華琳様ーーっ!」
曹操「何ごとか!」
郭嘉「はっ。赤斗殿と典韋殿が戻ってきました。それと……」
曹操「それと?」
郭嘉「そ、それが……飛将軍呂布が、赤斗殿と一緒に」
曹操「呂布が?」
郭嘉「如何いたしましょう?」
曹操「分かったわ。ここに連れてきてちょうだい」
荀彧「華琳様っ! 捕虜になったとはいえ、相手は飛将軍呂布です。あまりにも危険すぎます!」
郭嘉「あの、それが……あれを捕虜と言ってもいいものなのか」
曹操「どういうことかしら?」
郭嘉「…………」
郭嘉はひどく困惑している。
曹操「いいでしょう。とにかく、赤斗、流琉、そして呂布をここに連れてきてなさい」
郭嘉「は、はい!」
郭嘉は返事をすると赤斗たちのもとに走っていった。
郭嘉に連れられて赤斗、典韋、呂布が曹操の前にやってきた。
荀彧「っ!!」
程昱「…………おぉ!」
曹操「…………」
やってきた呂布を見て、全員が驚愕する。
呂布は縄などでは縛られてはおらず、むしろ自由に歩いている。そして、腕には冷たくなった陳宮が抱かれていた。
赤斗「ただいま。曹操」
曹操「赤斗。説明してくれるかしら?」
赤斗「ああ、そうだね。どこから説明していいものやら……」
曹操「なら、なんで呂布が一緒にいるの?」
赤斗「それは、僕が一緒に来ないかと誘ったから」
曹操「なるほど。じゃあ次ね。誘ったのは呂布一人? 呂布隊の兵士も連れてきたの?」
赤斗「兵士は…………消えちゃったそうだ」
曹操「消えた? ……どういうこと?」
典韋「曹操様。ここからは私がご説明します」
曹操「頼むわ」
典韋が赤斗に代わって、事の次第を説明した。
曹操「呂布の部下を連れ去った女と赤斗を殺そうとした男……ねぇ」
郭嘉「何者でしょうか?」
曹操「さあね」
赤斗「……兵を連れ去るという手口には心当たりがある」
荀彧「何ですって! さっさと吐きなさいよ!」
曹操「本当なの?」
赤斗「洛陽で董卓の兵士も連れ去れている。それに洛陽で僕は、呂布の兵を連れ去った氷雨に会っている」
呂布が氷雨の名を聞いて、ピクっと僅かに動いた。
曹操「董卓の? 氷雨という女は董卓の兵も連れ去ったというの?」
赤斗「董卓たちを嵌めて、兵を連れ去ったのは黒ずくめの男だ」
曹操「……黒ずくめ」
郭嘉「その黒づくめの男と氷雨という女、そして赤斗殿を襲った男は仲間でしょうか?」
曹操「そうとも考えられるわね」
典韋「あの……曹操様、赤斗さんを襲った男なんですが……」
荀彧「何ですって!! あの男、前から怪しいとは思っていたのよ!!」
荀彧は典韋から、玄武の顔が司馬懿に似ていることを聞いて、興奮し大声を出した。
郭嘉「しかし、顔が似ているだけで司馬懿殿が奴らの仲間とは」
曹操「…………」
程昱「服装も黒ずくめ。偶然ですかねー?」
赤斗「君たちの内部事情に口出しする気はないけど、僕も司馬懿には注意した方が良いと思うよ」
曹操「それは何故?」
赤斗「少し前なんだけど……僕は司馬懿と話をしたんだ。その時に司馬懿は妙な術を使ったような気がする」
曹操「ような気がする?」
赤斗「実際、僕は何ともなかったから……」
曹操「はぁー、それで黙っていたと……」
赤斗「ごめん。知らせておくべきだった」
曹操「あなたは私の部下ではないのだから仕方がないわ。……仲達は城に居るはずね」
荀彧「はい。城で待機しております」
曹操「私が直に話を聞くわ。春蘭たちも呼び戻しなさい! 城に戻るわよ!」
一同「はっ!」
曹操の命令で、城に戻る準備を開始した。
荀彧「華琳様。呂布は如何いたしましょう?」
曹操「そうね。呂布、私のもとで働く気はあるかしら?」
曹操は思い出したかのように、呂布の方を見て尋ねる。
呂布「(フルフル)」
陳宮を腕に抱きながら、首を振り断る。
曹操「ならば敵将として、斬首になるわよ」
赤斗「曹操っ!」
斬首と聞いて、赤斗大声で叫ぶ。
曹操「耳元で大声出さないで、何かしら?」
赤斗「呂布を斬首にするのは駄目だ! 呂布は僕が一緒に来ないかと誘ったんだぞ!!」
荀彧「何を馬鹿なことを言っているの! 敗北した敵軍の将が降らないなら、斬首にするのは当然でしょう!!
赤斗「と・に・か・く、斬首にするのは駄目だ!」
赤斗は荀彧と睨み合い始める。
曹操「二人とも止めなさい。呂布、何故断るのかしら?」
呂布「…………赤斗に……ついていく…から」
曹操「赤斗に?」
呂布「(コクン)」
曹操「……分かったわ。好きにしなさい。赤斗、呂布はあなたに任せるわ」
荀彧「華琳様っ! それは危険です。こんな男に呂布を預けるなんて!」
曹操「桂花、気持ちは分かるけど、今は仲達のことが先決でしょ」
荀彧「うぅ……はい」
赤斗「ふぅー。さてと……恋」
肩を撫で下ろして、赤斗は呂布のほうに向きなおった。
赤斗「恋。……いつまでも、ちんきゅをそのままにしておくわけにはいかないよ」
呂布「(フルフル)」
いまだに陳宮を抱いたままの呂布は、子供が駄々を捏ねるように首を振る。
赤斗「恋。気持ちは分かるよ。けど、このままじゃ駄目だよ」
呂布「……どうして?」
赤斗「ちんきゅだって、こんな恋の姿を見たくないはずさ。僕だって、いつまでもこんな姿の恋を見たくない」
呂布「…………」
赤斗「だから、ちんきゅを早く眠らせてあげよう」
呂布「……分かった」
その後、赤斗と呂布は陳宮を埋葬して、司馬懿のいる許昌の城に戻ることになった。
――――許昌――――
鴉「はーっはははは……。お前がその姿を見せるなんて久しぶりだな。はーっはははは……」
玄武「くっ……」
いつもの魏軍の鎧を着ていない玄武を見て、鴉が大笑いしている。
氷雨「確かに玄武の素顔を見るのは久しぶりだね♪ でも、どうする? 曹操の奴、戻ってくるみたいだけど」
玄武「申し訳ありません、仲達様」
司馬懿「よい。私やお前たちを結ぶ確実な接点はない。いくら曹操が私を問い詰めても何も変わりはしない。……だが、私は一旦“魏”という舞台から降りよう。お前たちは今まで通りにな」
玄武「はっ」
鴉「あいよ」
氷雨「分かった……で、どこに行くの?」
司馬懿「そうだな。どこか、静かなところが良い。時が来るまで……な」
その後、許昌から司馬懿の姿は消えていた。
つづく
~あとがき~
呂です。読んでくださって、ありがとうございます。
真・恋姫†無双~赤龍伝~に出てくるオリジナルキャラクターの紹介
オリジナルキャラクター①『風見赤斗』
姓 :風見(かざみ)
名 :赤斗(せきと)
字 :なし
真名:なし
武器:花天と月影……二振りの日本刀(小太刀)。赤色の柄で赤銅の鞘に納まっているのが“花天”で、黒色の柄で黒塗りの鞘に納まっているのが“月影”。
本編主人公の少年。
身長168㌢。体重58㌔。年齢17歳。黒髪黒眼。
放課後に道場で古武術の達人である先生に稽古をつけてもらうのが日課だったが、ある日道場で黒尽くめの男に襲撃される。
その際、赤い光に包まれて恋姫の世界に飛ばされる。
死にかけていた所を、火蓮によって保護され“江東の赤龍”という異名を付けられる。
古武術 無双無限流を学んでおり、その奥義を使えば恋姫の世界の武将とも闘えることができる。
無双無限流には、『全ての奥義を極めしとき、その身に龍の力が宿る。』という伝承がある。
奥義には“疾風”“浮葉”“流水”“月空”“烈火”“絶影”“龍鱗”“狂神”などがある。
奥義の同時発動は可能だが、奥義単体の発動以上に身体に負担がかかる。
能力値:統率3・武力4・知力4・政治2・魅力4
オリジナルキャラクター②『孫堅』
姓 :孫
名 :堅
字 :文台
真名:火蓮(かれん)
武器:南海覇王……やや長めの刀身を持つ、両刃の直刀。派手な装飾はないものの、孫家伝統の宝刀。
孫策(雪蓮)たちの母親。
身長173㌢。腰まで伸びる燃えるような赤い髪の持ち主。
血を見ると雪蓮以上に興奮してしまう。
孫尚香(小蓮)には非常に甘い。周りの人間が呆れるほどに甘い。
この外史“赤龍伝”では孫堅は死んでいない。
能力値:統率5・武力5・知力3・政治4・魅力5
オリジナルキャラクター③『諸葛瑾』
姓 :諸葛
名 :瑾
字 :子瑜
真名:藍里(あいり)
武器:風切羽(かざきりばね)……火蓮から受け取った護身用の短刀。諸葛瑾(藍里)の実力が低いので、あまり役に立っていない。
諸葛亮(朱里)の姉。
諸葛亮(朱里)とは違い、長身で胸も大きい女性。髪は金髪でポニーテール。
温厚で気配りのできる性格で、面倒見も良い。赤斗の世話役として補佐につく。
一時は、自分たちとは違う考え方や知識を持つ赤斗に恐怖心を持っていた。
政治、軍事、外交と様々な仕事をこなすが、諸葛亮(朱里)には僅かに及ばない。
能力値:統率3・武力1・知力4・政治4・魅力4
オリジナルキャラクター④『太史慈』
姓 :太史
名 :慈
字 :子義
真名:嶺上(りんしゃん)
武器:雷電(らいでん)……二本の小型の戟。
非常に勇猛かつ、約束に律儀な武将。銀髪レゲエの女性。
孫策(雪蓮)と一騎打ちして引き分けたことがある。
それ以来、孫策の喧嘩友達になっており、よく喧嘩をしている。
また、諸葛瑾(藍里)と仲が良い。
弓の名手でもあり、その腕は百発百中。
能力値:統率4・武力4・知力3・政治2・魅力3
オリジナルキャラクター⑤『司馬懿』
姓 :司馬
名 :懿
字 :仲達
真名:不明
武器:不明
黒尽くめの衣装を身に纏った、曹操軍の軍師。
曹操軍に属しているが、曹操からの信頼はないといっても良い。
色々と裏で暗躍しており、虎牢関では張遼を捕え、術により自分の傀儡にしている。
能力値:統率5・武力?・知力5・政治5・魅力?
オリジナルキャラクター⑥『玄武(げんぶ)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:魏軍正式採用剣……魏軍に配備されている剣。
司馬懿の部下。
普段は何の変哲もない魏軍の鎧を身に纏い、普通の兵士にしか見えない。
しかし、眼の奥からは異質な気を醸し出している。
鎧の下には黒の衣を纏っており、素顔は司馬懿に似ている。
虎牢関では、鴉と一緒に張遼を捕えた。
能力値:統率2・武力4・知力3・政治1・魅力2
オリジナルキャラクター⑦『鴉(からす)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:爆閃(ばくせん)……司馬懿から受け取った回転式拳銃。
司馬懿の部下。
性格は軽く、いつも人を馬鹿にしているような態度をとる。
司馬懿と同じ黒い衣装だが、こちらの方がもっと動きやすい軽装な格好をしている。
寿春城では、孫堅(火蓮)を暗殺しようとした。
能力値:統率2・武力4・知力2・政治1・魅力3
オリジナルキャラクター⑧『氷雨(ひさめ)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:氷影(ひえい)……氷のように透き通った刃を持つ槍。
司馬懿の部下。
青い忍者服を着た長い白髪の女。
背中には“氷影”を携えている。戦闘時には全身からは氷のように冷たい殺気が滲み出す。
洛陽で董卓(月)と賈駆(詠)を暗殺しようとした所を、赤斗と甘寧(思春)に妨害される。
能力値:統率2・武力4・知力3・政治1・魅力3
オリジナルキャラクター⑨『宮本虎徹』
姓 :宮本(みやもと)
名 :虎徹(こてつ)
字 :なし
真名:なし
武器:虎徹……江戸時代の刀工が作った刀。
赤斗の古武術の師匠。
年齢は50歳。実年齢よりも、肉体年齢は若い。
赤斗と一緒に、恋姫の世界に飛ばされたと思われる。
最初は河北に居て、それからは用心棒をしながら、色々と辺りを転々としている。
赤斗曰く、『無双無限流の妙技を見せてやるっ!』が口癖で、その実力は呂布(恋)以上。
能力値:統率?・武力6・知力5・政治?・魅力?
※能力値は「5」が最高だが、呂布の武力と劉備の魅力は「6」で規格外。
Tweet |
|
|
29
|
3
|
追加するフォルダを選択
この作品は、基本的に呉√にそっては行きますが、他√に
脱線することもあります。
赤斗が曹操の保護下に入ったので、ただ今は魏√に脱線中です。
主人公も含めてオリジナルキャラクターが多数出てきます。
未熟なため文章におかしな部分が多々あるとは思いますが、長い目で見てくださると助かります。