ある意味拠点
純夏
一刀「・・・・・んん~~~~~・・・・・今日もいい天気だな~~~」
部屋の窓から差し込む光は晴天の証
一刀は布団から起き上がり、横に立て掛けていた忠久を腰に差し部屋の扉へ向かった
ガチャ
???「きゃあっ!?」
一刀「え!?」
いきなり可愛い叫び声が聞こえて一刀が見下ろすと
純夏「いった~~~い」
尻餅をついている純夏の姿があった
一刀「大丈夫か、純夏?」
純夏「いやいいのよ、こっちも用があってきたから」
一刀「・・・・・もしかして、ずっと部屋の前で待っていたのか?」
純夏「・・・・・悪い?」
一刀「いや、悪くは無いけど」
純夏「それはそうと、今日一刀って暇?」
一刀「うん、今日は誰とも何の約束もしていないからな」
純夏「よかった、今日はあたしも非番なの、だから今日一日あたしに付き合ってくれない?」
一刀「また秘密の特訓場か?」
純夏「いいえ、今日は別の所よ」
一刀「・・・・・まさか、これからすぐに行くのか?」
純夏「あ、いけなかったかしら?」
一刀「全然、むしろ大歓迎さ」
純夏「なんでよ」
一刀「そりゃ、純夏みたいな可愛い子と一緒ならどこだって楽しくなるに決まってるだろ」
純夏「・・・・・///////////」
一刀「??・・・・・どうしたんだ?」
純夏「ううううう五月蝿いわよ!とっとと支度しなさい!」
一刀「はいはい」
そして、一刀はもう一度自分の部屋に入り身支度を始めた
純夏「・・・・・・・・・・ばか////////」
そして、一刀が連れられた場所は
一刀「・・・・・ここは」
純夏「ここはね、あたしの秘密の釣り場よ」
一刀「・・・・・綺麗な川だな」
この前行った特訓場とは反対側の山奥
そこには大自然に囲まれた綺麗な川があった
純夏「え~~~と、確かここに・・・・・」
純夏は茂みを掻き分け何かを探し始めた
一刀「・・・・・・・・・・」
前屈みになり突き出された純夏のおしりは、ふりふりと揺れてなんとも色っぽい
もちろん純夏が美人ということもあるが、来ている服がなんとも悩ましく、なんといってもあの脚線美
一刀「(本当に純夏って美人なんだよな)」
冗談抜きで心のそこからそう思う一刀であった
純夏「よしあった♪」
釣竿を二本草叢から引っ張り出して、一刀のところに戻ってきた
純夏「はい、これ一刀の分ね・・・・・どうかしたの?」
一刀「・・・・・なんでもない////」
純夏「???」
そして一刀と純夏は釣り糸を川にたらす
純夏「ねえ、どっちが多く釣れるか競争しない?」
一刀「面白そうだな」
純夏「それじゃあ、行くわよ~♪」
純夏「・・・・・うそ」
一刀「俺の勝ちだな、純夏」
勝負は一刀の圧勝、魚を入れる籠の中には大量の魚があった
純夏「一刀って、釣りの経験ってあるの?」
一刀「いや、初めてだよ」
純夏「それにしては糸が切れないし、かかった獲物は一度も逃がさなかったわよ」
一刀「なんとなく、魚の気配というか意思というか、そういったものが川から伝わって来るんだよ」
純夏「ふ~~~~ん、とても素人とは思えない台詞ね」
一刀「俺は今まで釣竿を使って魚を取ったことは無いからな」
純夏「それじゃあ、どうやって取っていたの?」
一刀「こうやって」
一刀は履物を脱ぎこの世界のズボンを膝までめくり上げ川の中に入っていった
純夏「まさか、手掴みで!?」
一刀「そういったことも出来るけど、俺は主にこうやるんだ」
そういいながら一刀は目を瞑り集中する
一刀「・・・・・・・・・・」
純夏「・・・・・(これは)」
川の中は一刀を中心にまるで時間が止まったかのようになる
大自然に囲まれ目を瞑り立ち尽くす一刀の姿は、まるで仙人のようであった
純夏「・・・・・////////」
あまりに神秘的な一刀の立ち姿に純夏が見とれていた次の瞬間
シュピッ
純夏「!?」
一瞬何が起こったのか純夏も解らなかった
ピチピチピチピチ
純夏「え!?」
後ろを振り向くとどこから来たのか、水を失った数匹の魚が苦しそうに跳ねていた
純夏「・・・・・・・・・・」
もう一度一刀を見る
シュピッ シュピッ
純夏「・・・・・そういうことか」
一刀は目にも留まらぬ蹴りで水中の魚を掬い上げていたのだ
シュピッ シュピッ
川の中でかなりの抵抗があるはずなのに、一刀は面白いように魚の山を築いていった
一刀「・・・・・こんな感じで取っていたんだ」
純夏「ねぇ、それあたしに教えてくれない?」
一刀「うん、いいよ」
純夏「それじゃあさっそく♪」
純夏「ん!・・・・・ふっ!」
バシャ! バシッ!
一刀「だめだめ、力が入りすぎてる、それに魚の動きを見るんじゃなくて感じるんだよ」
純夏の後ろで一刀が指導をしていた
純夏「ずいぶんと簡単に言ってくれるわね」
一刀「俺だって、これができるようになるのにかなりかかったんだから」
純夏「む~~~~~~~」
一刀「そんな膨れっ面にならないの・・・・・それに蹴りの速さはなかなかいいから、もっと心を落ち着けて、脱力してやってみなよ」
純夏「・・・・・・ふぅ~~~~~~~~・・・・・・」
一刀に諭され、もう一度水面に向き合う
純夏「(一刀は魚の動きを感じろと言っていたけど、今のあたしにはそれは無理だわ・・・・・ならば)」
純夏は殺気を殺し、体から力を抜き、流れる水面を見つめた
少しずつ、魚が集まってきている
純夏「(まだよ)」
数匹の魚が純夏の足元に近づいてくる
純夏「(まだよ・・・・・まだまだ)」
そして二匹の魚が純夏の足元にやってくる
純夏「・・・・・・・・・・・・・・・っ!」
シュビッ!
一刀「っ!!」
ピチピチピチ
数匹逃したが、一匹だけ岸に蹴り上げることができた
純夏「やった♪」
祭に鍛えてもらった眼力で魚の動きを先読みすることでなんとか一匹掬い上げた
一刀「まいったなぁ・・・・・まさかこれほど短い時間で出来るなんて」
純夏「はははっ♪それじゃあもっと♪」
一刀の悔しそうな顔を見て純夏はご機嫌になった
しかし
純夏「・・・・・しっ!わあっ!?」
一刀「うわっ!?」
バシャーーーーーーーーーーーン!!!
純夏は足を滑らせ一刀を巻き込み思い切り川の中にダイブした
純夏「いたたたた・・・・・」
一刀「あいったぁ・・・・・純夏、大丈・・・・・夫・・・・・か・・・・・」
純夏「・・・・・??」
一刀は、純夏の姿を見て呆然とした
純夏の服は水を含み透け透け状態となっていた
おまけに体にしっかり張り付き、裸よりまずいことになっていたかもしれない
一刀「ああああああああの!!??/////////」
純夏「・・・・・♪//////////」
一刀が焦りまくっている中で、純夏は怪しい笑みを浮かべる
純夏「いいわよ♪//////////」
一刀「・・・・・へ?」
純夏「あたし、一刀にだったら見られてもいい♪////////////」
一刀「・・・・・・・・・・・・・・」
純夏「なに、鳩が豆鉄砲くらったような顔しているのよ・・・・・それに、初めてじゃないでしょ♪//////////////」
一刀「そ、それはそうだけど・・・・・」
純夏「なら気にしない♪//////////」
そう言って純夏は一刀に抱きついた
一刀「おいおい!純夏止めろって!」
純夏「なに恥ずかしがっているのよ♪一刀もこうしてほしいくせに♪それ~~~~~♪////////////」
むぎゅううううううううううううううううううううううううううう
一刀「(む、胸が~~~~~~~~~~~!)」
純夏は、一刀の反応を楽しむかのように胸を押し付けた
純夏の形のいい豊満な双乳はぐにゅぐにゅと形を変え一刀の心をかき乱す
そんな、バカップルのようなやり取りをしばらくし、取った魚を全部平らげた二人は建業へ戻っていった
ある意味拠点
祭
祭「はっ!」
カンッ!
純夏「しっ!」
カンッ!
中庭に鳴り響くのは弓で的を射る音
七乃「それにしても、お二人とも見事ですね~」
彩「祭は呉の中でも最強の弓使いだというのに、純夏もそれに引けをとらないからな」
雪蓮「そりゃそうよ♪純夏は弓の腕だけは祭と互角よ♪」
小蓮「二人共、呉では三指に入る弓将なんだから~♪」
雛里「さっきから一回も外していませんね」
中庭の中には二人の弓勝負を見学するギャラリーが出来上がっている
一刀「・・・・・・・・・・」
その中に当然の如く一刀も含まれていた
一刀「(太史慈の弓か・・・・・)」
またしても歴史を思い出す一刀
史実の太史慈も弓を扱えば百発百中の名手であったと言われている
孫策と共に山賊討伐を行った時、遠くに見える砦の上から罵声を浴びせかけてきた一人の山賊が木を掴んでいるのを見ると、その手を狙い、掴んでいた木と共に手を貫いたという逸話があるくらいである
さらに言えば、黄蓋も蜀の黄忠、魏の夏侯淵と並ぶ弓の使い手であったと言われている
一刀「・・・・・・・・・・」
祭の弓のフォームは、一刀のような素人が見ても分かるくらい実戦的で、かつ美しい
これは、現代日本のスポーツ化された弓道では決して到達できない領域だろう
祭「はっ!・・・・・ふぅ・・・・・そういえば北郷よ、お主は弓の腕はどれくらいあるのじゃ?」
一刀「え?」
純夏「あ!それあたしも聞きたかったんだ!」
小蓮「シャオも興味ある~♪」
美羽「おお~~、わらわも見たいのじゃ♪」
百合「どうなんですか~?一刀君~?」
一刀「俺は、弓はからきしですよ」
彩「今まで弓術を嗜んだことはあるのですかな?」
一刀「嗜むどころか、弓に触れたこともありませんね」
祭「ならばワシが教えてやろう、こっちに来い」
一刀「え?いいんですか?」
祭「遠慮することは無い♪・・・・・それともワシが教官では不満か?」
一刀「・・・・・イイエ、ミニアマルコウエイデス・・・・・」
祭の背後のオーラを見て、一刀はぎくしゃくしながら純夏から弓を受け取った
祭「これこれ、そんなに硬くなってはまともに射れんぞ・・・・・どれ、ワシが一つ揉んでやろうかのう」
そう言いながら祭りは一刀の背後に回りこむ
一刀「黄蓋さん?」
祭「よいよい、ワシに任せておけ」
もみもみもみもみ
一刀「・・・・・・ふぅ~~~~~~・・・・・」
祭に肩や腕を揉まれ、一刀はリラックスしていった
祭「(・・・・・それにしても、これほどの肉体、一朝一夕ではとても出来んの)」
服越しでも分かるくらい一刀の体は実戦的で引き締められ、相当に逞しかった
祭「(拙いの、少し変な気分になってきおった)//////」
一刀の体に触れていると祭の顔は少しずつ赤みをおびてきた
祭「・・・・・ふふ♪・・・・・それ♪」
むにゅううううう
一刀「いっ!?」
「!!??」
みんなが見ている前だというのに、いきなり祭が一刀の背中にその反則的といわんばかりの魔性の双乳を押し付けてきた
祭「ほれほれ、また硬くなってきているぞ♪」
一刀「ああ!す、すみません!」
むにゅむにゅむにゅ
一刀「(くっ!煩悩退散!煩悩退散!)」
なんとか精神を集中し祭の胸から意識を逸らそうとする一刀
祭「・・・・・♪♪」
むぎゅむぎゅむぎゅむぎゅ!!
一刀「(無理に決まってんだろーーーーー!!!こんなもんーーーーー!!!)」
祭の胸は、一刀の背中を包み込むようにして形を変えていく
祭「これこれ、そんなに緊張しては的に掠りもしないぞ♪♪♪」
むぎゅううううううううううううううう!!
一刀「(お願いだから押し付けないでーーーーーーー!!!)」
心の中で絶叫する一刀
雪蓮「(祭も一刀と関わると変わっていくわね~~♪・・・・・それにしても、いつまでくっついているのよ)」
小蓮「(ちょっと一刀!そんなに大きい胸が好きなの!?)」
純夏「(あたしも胸には自信はあるけど・・・・・)」
百合「(一刀君も大きい方が・・・・・)」
美羽「(むむむむ~~~、見せ付けてくれるのじゃ~~~)」
七乃「(一刀さんも隅に置けないですね~♪)」
彩「(悪戯が過ぎるぞ、祭)」
雛里「(・・・・・・・・・・)」
雛里は、自分の胸を触って絶望的な顔をしていた
それからしばらく一刀は祭のご指南を受けていたが、まったく集中することができず周りからの冷たい視線に晒され、悪戯に時間が過ぎただけになった
そして、一同は解散し中庭の中には一刀と祭が立っていた
一刀「・・・・・黄蓋さん、わざとやってましたね?」
祭「なんじゃ、お主も初心じゃの~♪それほどの腕と面構えをしていて、女の方が放っておかなかったのではないか?」
一刀「・・・・・自分はまだ童貞ですよ」
祭「・・・・・なんとまぁ・・・・・それでは、お主を戦場で倒すには色仕掛けが一番効果的じゃの♪」
むにゅむにゅむにゅむにゅ
祭は前屈みになり、その反則的な魔乳を自身の腕で強調する
一刀「勘弁してください」
祭「はっはっはっはっは♪♪♪・・・・・北郷よ、ワシの真名は祭じゃ♪」
一刀「・・・・・いきなりですね」
祭「本来であれば、洛陽で策殿が預けた時に一緒に預けるべきであったのであろうが、ワシはワシでお主を自分の目で見極めたかったからのう」
一刀「・・・・・それでどうですか?見極めた感想は?」
祭「うむ、文句無しじゃ、策殿を体を張って救ってくれたしの、これならお主とまぐわってお主の子を生んでやってもよいぞ♪」
一刀「よしてください、俺はご覧の通りの奴です、きっとここには長くはいないでしょうし、誰かを愛することはできません」
祭「・・・・・・・・・・」
一刀「それでも、お気持ちだけ受け取っておきます・・・・・祭さん」
そして、一刀は一礼し中庭を後にした
祭「・・・・・損な性格、ここに極まれり、じゃの~~・・・・・」
ある意味拠点
明命
にゃあ~~~~♪にゃあ~~~~♪にゃあ~~~~~~♪
一刀「ほらほら、いいこだな~~~」
建業の町の裏路地
ここで一刀は多くの猫達に囲まれ餌をあげていた
一刀「ここがいいのか?ん~~~~~」
ふにゃあ~~~~~~~♪♪
膝の上に乗っている猫の尻尾の付け根を撫でてあげると気持ち良さそうな泣き声を上げる
その光景を物陰で眺めている者が一人
明命「(はうあう~~~♪一刀さん、羨ましすぎです~~~♪)////////////」
沢山の猫達に囲まれ、和気藹々としている一刀の姿はまさに自分の理想の姿であった
一刀「・・・・・いつまでそこにいるんだい?明命?」
明命「はうあ!?」
猫達のほんわかオーラに気が抜けて明命の気配は丸分かりだった
明命「すみません、邪魔してはいけないと思って・・・・・」
一刀「気にしなくていいよ・・・・・明命もどうだい?」
明命「いいんですか!?」
一刀「こっちに来たいんだろ、遠慮しなくてもいいよ」
明命「では、僭越ながら//////////」
明命は一刀の隣に座り猫達と向き合った
しかし
つ~~~~~ん
猫達は明命から距離を置く
明命「はうあ~~~~、やっぱりわたくしは、お猫様から嫌われています~~~」
猫達の反応を見てがっくり来てしまう明命
一刀「はははは、それじゃあ駄目だって明命」
明命「はい?」
一刀「自分からかまってほしいような仕草をしちゃ駄目だよ、猫というのは本当にツンデレだからな」
明命「つん・・・・・でれ・・・・・ですか?」
一刀「ん?・・・・・ああそうか、こっちではそういう言葉は無いのか」
明命「一刀さん、つんでれとは、どういう意味なのでしょうか?」
一刀「普段は厳しくて、人を寄せ付けないような態度をつん、そしてその厳しさの中にある優しさがでれ・・・・・かな」
明命「????」
一刀「つまり猫というのは、一人にして欲しい時と、かまって欲しい時とがあるんだ・・・・・そこを見極めて、放っておいて欲しい時は放っておく、かまって欲しい時はかまってあげる・・・・・そのメリハリをつければちゃんと懐いてくれるよ」
明命「めり・・・はり・・・・ですか?」
一刀「強弱をはっきりさせるという意味だよ」
明命「は~~~・・・・・」
一刀の言うことにいささか疑問が湧く明命だあったが
にゃあ~~~~~♪
一匹の猫が明命の膝に寄り添ってきた
明命「はうあ♪お猫様が自分から♪」
一刀「それがでれだよ」
明命「はうあ~~♪でれでれ~~♪もふもふです~~~♪お猫様大好きです~~~~♪」
一刀「ははっ、御機嫌だな・・・・・あと、餌を持っているとつられてやってくる猫もいるからね」
明命「・・・・・一刀さんは、動物の扱いには慣れているのですか?」
一刀「う~~~~ん・・・・・昔から動物には懐かれていたからな」
明命「・・・・・きっと、動物達には分かるんですよ」
一刀「ん?なにがだい?」
明命「一刀さんがお優しい方だということがです♪」
一刀「・・・・・・・・・・」
明命「動物には野生の勘というものがあります、その勘が「違うんだよ」・・・・・一刀さん?」
一刀「明命・・・・・俺は、明命が思っているほど優しくて善良な人間じゃない」
明命「・・・・・・・・・・」
一刀「さてと・・・・・猫のことなんだけどね・・・・・」
それからおやつの時間まで一刀の猫講習会は行われた
明命「(一刀さん、一刀さんは、お優しい方です、誰がなんと言おうとそうです)」
ある意味拠点
亜莎
あくる日、一刀の部屋では一刀を含めた呉の軍師達が秘密の会議をしていた
亜莎「一刀様、わたくしは北荊州の村へ行ったことがありますが、そこで生産されている紙の生産技法は一刀様が発案したものだと聞きましたが」
冥琳「それはわたしも気になったな」
穏「それに、洛陽で楽進さんに渡した紙、あれは一体なんだったんですか~?」
一刀「紙の生産技法は俺が職人さんに教えて作ってもらったんだ、凪と沙和に渡した紙は俺が前居たところにあったもので、これなんだよ」
荷物の中から手帳を取り出しぱらぱらとめくる
一刀「これを千切って渡したんだ」
穏「でも、この大きさだとあまり多くは書けませんね~」
一刀「そりゃ筆を使っていたらそんなに多くは書けないだろうな」
冥琳「その言い方だと、筆とは違うもので書いたということか?」
一刀「その通りだよ」
一刀は荷物の中からボールペンとシャープペンを出した
穏「なんですか~それは~?」
亜莎「見たことも無いものですね」
一刀「これは俺が前いたところでおもに使われている筆記用具だよ」
冥琳「ということはそれで文字を書くということか?」
一刀「ああ、こうやって」
カチッ サラサラサラ
一刀「な」
冥琳「な、なんと!?」
穏「おお~~!」
亜莎「流石は天の世界ですね~」
一刀「・・・・・何度も言っているように、天でもなんでもないんだって」
冥琳「北郷よ、いい加減自覚したほうがいいぞ」
穏「そうですよ~、これだけのものを持っているのに、どうして天の御遣いじゃないだなんて言えるんですか~?」
亜莎「一刀様は、どうしてそこまで否定なさろうとするんですか?」
一刀「これらのものは、俺のいたところではごくありふれた珍しくもなんでもない日常的にあるものなんだよ」
亜莎「こんなに高度な技術で造られたものがですか!?」
一刀「確かに、こっちでこれを造れと言われれば無理があるけれど、それでも筆や墨や竹間と同じ役割しかしないんだよ」
冥琳「・・・・・北郷、雪蓮から聞いたんだが、北郷の暮らしていた国は重職についているものから庶人までほぼ全ての者が文字の読み書きができるらしいな」
穏「ええええ!!?」
亜莎「そ!そんな国があるんですか!!?」
識字率がほぼ100%というのはこの時代では驚異的を超えて天文学的である
一刀「俺の国では、学校制度と言って、この国で言う私塾を国が運営して国民に義務として勉強させる制度があるんだ」
穏「へ~~~、確かに全ての民が字の読み書きができるならかなり便利ですね~」
亜莎「はい、民達はこちらが決めた法律や決まりごとを理解してくれますからね」
冥琳「我が国でも取り入れてみるか?」
一刀「・・・・・・・・・・」
三人が学校制度という未知なる知識に目を輝かせているのに、一刀の顔は思い悩んでいた
冥琳「ん?・・・・・どうした北郷?」
一刀「・・・・・この制度、今のこの国に取り入れるのはあまりお薦めできないな」
穏「どういうことですか~?」
一刀「まず第一にこの制度は、各地域に専用の施設を作ってそこに子供達を集めなければならない」
冥琳「それはそうだろう、一人ずつ教えていたのでは効率が悪いからな」
一刀「子供達を集めるということは田んぼや畑で農業をしているところから連れてきて教えなければならない、もしその子達の家族がその子が仕事を手伝うことによって食ていたなら、その家族には最低限の保証をしなければならない」
穏「・・・・・確かにそうですね~、とても進んだ新しい制度でも民達が付いて来れなければ話になりませんし~」
一刀「そして第二に、今は群雄割拠の時代だ、その農村で働いている大人達を兵の徴集で連れていかないといけなくなった時、残された人達はどうなるんだ?それこそ賊を自分達で生み出してしまう結果になる」
亜莎「・・・・・なるほど」
一刀「だから、この制度は取り入れるとしたら平和になってからの方がいいと思うんだ」
冥琳「・・・・・分かった、急な法律改正で民達に余計な不安を抱かせるのは我々もしたくないからな」
一刀「ん?・・・・・もうこんな時間なのか?」
最初に会議をした時には、真上にあったはずの日光はだいぶ傾いていた
冥琳「それでは、ここで休憩にしようか」
穏「では、わたし達はおやつとお茶を持ってきますね~♪」
亜莎「お手伝いします」
冥琳「北郷を一人にしておくわけにも行くまい・・・・・亜莎よ北郷の傍にいてくれ」
亜莎「はい?」
穏「おやつはわたし達が用意しますので、亜莎ちゃんは一刀さんの相手をしてあげてください♪」
亜莎「ええええ!?あ、あの!」
冥琳「では、すぐに戻ってくるからな」
ガシャ
そういって冥琳と穏は一刀と亜莎を部屋に残して退出した
亜莎「・・・・・・・・・・」
閉められた扉を見て亜莎はただ呆然とするしかなかった
一刀「・・・・・なぁ、亜莎」
亜莎「はははははいぃぃぃ!!?」
一刀「そんなに緊張しなくてもいいのに」
亜莎「しもしますよ~~!天の御遣い様と同じ部屋で二人きりなんて~~!」
一刀「・・・・・亜莎・・・・・俺は本当にそんなご大層なものじゃないんだよ」
亜莎「・・・・・一刀様・・・・・一刀様は、いくらなんでもご自分のことを過小評価しすぎです、あなた様はもっと大きいことができる人です、なのにどうして旅なんてしているんですか?どうしてその溢れんばかりの才能を生かさないんですか?」
一刀「・・・・・俺は、自分でも笑っちゃうくらい不器用な奴なんだよ」
亜莎「え?」
一刀「本当なら亜莎のような可愛い子と「そそそそそんな可愛いだなんて!!わわわわたくしなんて皆さんに比べたら!!///////」
亜莎は一刀の言葉に嬉し恥ずかし顔を赤くする
一刀「っははは・・・・・そんなところも可愛いな」
亜莎「うううう~~~~~~~~/////////」
もう一刀の顔を真っ直ぐに見れない亜莎であった
一刀「・・・・・亜莎」
亜莎「はい?・・・・・きゃあっ!?」
突然一刀に抱きしめられ亜莎は混乱する
亜莎「かかかか一刀様!!?////////」
一刀「亜莎は、もっと自信を持ったほうがいいな」
亜莎「・・・・・そんな・・・・・わたくしなんて冥琳様や穏様の足元にも及びません」
一刀「それは今の話だろ、将来君はこの国の大都督になるんだから」
亜莎「だだだだ大都督だなんて!!わわわわたくしが冥琳様の後なんてとても継げるわけがありません!!」
一刀「・・・・・亜莎・・・・・俺の世界の呂蒙子明がどんな人だったか聞きたいかい?」
亜莎「え?」
一刀が1800年後の世界からやってきたことは亜莎も知っていたので、かなり興味があった
一刀「俺の世界の呂蒙子明は、亜莎と同じもと武官で猛勉強の末に、見事呉の大都督になった人なんだよ」
亜莎「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
一刀「だから、亜莎もきっとなれる、亜莎も雪蓮の役に立ちたいと思っているんだろう?」
亜莎「それは・・・・・もちろんです!」
一刀「だったら大丈夫、俺が保障するよ」
その後一刀と亜莎は冥琳と穏と一緒に運ばれてきたおやつに舌鼓を打った
亜莎「(あ、結局一刀様にどうして国に属さないのか聞きそびれてしまいました・・・・・まぁいいです、そのうち聞けます)」
ある意味拠点
百合
一刀「・・・・・・・・・・」
百合「♪~~♪~♪♪~~」
スタスタスタスタ
一刀は廊下を歩いていた
その後ろには百合が鼻歌を歌いながら付いてきている
一刀「・・・・・・・・・・」
百合「♪♪~~♪~~~♪~~」
スタスタスタスタ
一刀「・・・・・・・・・・」
百合「♪♪♪~~~♪~~♪♪~~~~」
スタスタスタスタ
一刀「・・・・・ねぇ、百合さん」
百合「なんですか~?一刀君~?」
一刀「なんで、俺の後を追ってきているわけ?」
百合「・・・・・いけませんでしたか~?」
百合は上目遣いで一刀を見上げた
一刀「いいえ!そんなことはありませんが・・・・・」
百合「なら~、問題ありませんね~♪」
一刀「・・・・・はぁ」
こんな笑顔を見せられては断れるはずも無く、しばらくの間一刀の後ろには百合の姿があるのが当たり前だった
雪蓮「・・・・・・・・・・」
冥琳「・・・・・・・・・・」
蓮華「・・・・・・・・・・」
思春「・・・・・・・・・・」
一刀「もぐもぐもぐもぐ」
百合「もぐもぐもぐもぐ♪」
一刀が食堂で百合の料理を食べさせて貰っている
百合も一刀と一緒に食べる
小蓮「・・・・・・・・・」
雛里「・・・・・・・・・」
一刀「よし行くぞ!凪!」
凪「はい!一刀様!」
百合「♪~~~~♪~~~~~」
一刀が凪と稽古をしている
少し離れた所で百合が椅子に座りが手拭と竹水筒を持って待機している
沙和「・・・・・・・・・・」
真桜「・・・・・・・・・・」
星「・・・・・・・・・・」
純夏「・・・・・・・・・・」
明命「・・・・・・・・・・」
一刀「これで、チェックメイト」
穏「ああああ~~~」
百合「♪♪~~~♪♪~~~♪~」
一刀と穏が東屋で将棋をしている
一刀の後ろに百合がいる
風「・・・・・・・・・・」
稟「・・・・・・・・・・」
亜莎「・・・・・・・・・・」
零「・・・・・・・・・・」
百合「さてと~・・・・・」
今日も一日が始まる
寝台から起き、寝巻きから仕事着に着替え髪をセットし準備完了
百合「さあ~♪今日も一日~♪・・・・・」
冥琳「どうするのだ?」
百合「そりゃあ一刀君に~・・・・・って!?冥琳様!?それに皆さん!?」
いつの間にか百合の部屋には、呉の陣営の人達がいた
思春「子喩!最近の貴様は仕事を放棄して北郷の世話ばかりをしているじゃないか!」
純夏「いくらなんでも、あれは目に余るわね」
蓮華「なんだか、完全に一刀を百合さんに取られた気分よ」
小蓮「いくらなんでも百合さん一刀にベタベタし過ぎだよ~~」
明命「わたくしも一刀さんとお猫様のお話がしたいです~」
亜莎「どうしちゃったんですか、百合さん?普段の百合さんらしくありませんよ」
百合「・・・・・わたくしは・・・・・」
穏「はい~?」
百合「・・・・・わたくしは、なんだか一刀君を放っておけないんです・・・・・自分でもお節介とは思うんですけど、どうしても一刀君を放っておけないんです」
雪蓮「・・・・・まぁ、その気持ちも分からなくはないわ、一刀って凄く強くて賢いくせに、妙に危なっかしいのよね」
祭「なるほど、母性本能を擽られるか」
百合「ですから~、わたくしは一刀君にかまってあげたくてしょうがないのです~」
冥琳「わたしもお主の気持ちは分かるつもりだ・・・・・しかし、だからといってそれで自分の仕事を疎かにするのは感心せんな」
百合「・・・・・はい~」
思春「とにかく、今後こういった行動は慎め!!いいな!!」
百合「・・・・・はい~」
そして、一同は百合の部屋を解散しそれぞれの仕事に戻っていった
そして昼
百合「・・・・・・・・・・」
百合は仕事をしながら廊下を歩いている
しかし、あまり集中できていない
百合「・・・・・はぁ、自分でも分かっているつもりですけど~」
自分でも不思議だった
どうして自分はこうも一刀にかまってあげたくなるのか
その理由を考えても全く分からない
そして、中庭に差し掛かると
百合「あれ~?あそこにいるのは~・・・・・」
ふいに東屋に居る人影が気になった
百合「あれは~・・・・・一刀君~?」
気になって百合は東屋へと向かった
一刀「すぅ~~~・・・・・すぅ~~~~・・・・・」
百合「・・・・・お昼寝中ですか~」
一刀は、フランチェスカの制服を着て椅子に腰掛けた状態で寝息を立てていた
一刀「すぅ~~~・・・・・すぅ~~~~・・・・・」
百合「・・・・・//////////」(ウズウズウズウズ)
暖かな日の光に包み込まれ、整った寝息を立てる一刀の姿は、あまりにも儚なかった
一刀「すぅ~~~・・・・・すぅ~~~・・・・・」
百合「・・・・・(もう我慢できません~~~~!!)」
心の中で絶叫し百合は一刀の後ろに立つ
もみもみもみもみ
そして一刀の肩を揉む
一刀「・・・・・ん~~~~~~~・・・・・」
百合「どうですか~♪一刀君~♪気持ちいいですか~♪」
一刀「ん~~~~~~~・・・・・はい~~~・・・・・」
百合「・・・・・うふふふ~♪それはよかったです~♪」
寝ぼけているのか無意識なのか、一刀は気の抜けた返事をする
百合「(それにしても~、一刀君の髪って綺麗ですね~、羨ましいです~)」
一刀の髪は長いこと旅をしているにも拘らず、光沢を帯びサラサラでかなり質がよかった
百合「♪~~♪~~♪~~~・・・・・・あ、そうだ~♪」
冥琳「まったく、百合はどこに行ったのだ?重要書類を預けているというのに」
穏「また一刀さんにかまってるんですかね~?」
亜莎「わたくしも百合さんの気持ちは分かりますが・・・・・」
凪「あ、皆さん」
沙和「こんにちはなの~♪」
真桜「おはようさん~」
冥琳「おお、お主達か」
穏「こんにちはです~♪」
亜莎「こんにちは」
廊下でばったりと会った呉の軍師と魏の将が挨拶をする
かなり奇妙な光景である
冥琳「ちょうどよかった、お主達百合を見なかったか?」
凪「諸葛瑾さんですか?」
沙和「子喩さんなら見てないけど~」
穏「う~~~ん、何処に行っちゃったんですかね~?」
真桜「・・・・・あそこにおるのがそうちゃうか?」
亜莎「え、何処ですか?」
真桜「あそこの東屋や」
穏「あ、本当ですね~」
冥琳「まったく・・・・・二人とも行くぞ」
穏「はいはい~♪」
亜莎「はい」
凪「あ、わたくし達も一緒に行ってもかまいませんか?」
冥琳「なぜだ?」
沙和「沙和達、一刀さんを探しているの~」
真桜「せやから、諸葛の姉さんのところに一刀はんがいないかな~て思って」
冥琳「・・・・・いいだろう」
そして一同は、東屋へと向かった
百合「♪♪~~~♪~~♪~~♪・・・・・はい、できあがりっと♪」
百合は一刀の前へと来る
百合「あは♪可愛いかも~♪」
冥琳「楽しそうだな」
百合「そりゃあもう~♪一刀君のお世話をしているだけで~・・・・・って!?冥琳様!?」
冥琳「お前というやつは、そんなに北郷と一緒に居たいのか?」
百合「うううぅ~~~~~~、そんなに言うならこれを御覧になってください~」
冥琳「何?」
一刀「すぅ~~~~・・・・・・すぅ~~~~~・・・・・」
冥琳「・・・・・これは//////」
穏「まあまあ~♪とても安らかで可愛い寝顔ですね~♪///////」
亜莎「かかかか一刀様!?/////////」
凪「一刀様///////////」
沙和「とても恋さんと引き分けた人と同一人物とは思えないの~//////」
真桜「連合で大暴れした人にはとても見えないで~////////」
一同の顔は、一刀の寝顔を見ているうちにどんどん赤くなる
一刀も疲れているのか、これほどの人が寄ってきているのに眠りに浸っている
冥琳「ん?なんだか、北郷の雰囲気が以前とは違わないか?」
穏「・・・・・確かにそうですね~」
亜莎「あ、髪ですよ、髪が短くなっています」
百合「違いますよ~、切ったわけではありません~」
冥琳「では、どういうことなのだ?」
百合「短く見えるのはこのためです~♪」
「!!??」
一同が目を見開く
一刀「・・・・・う~~~~~ん・・・・・」
流石にこれだけ近くで騒げば起きるだろう
一刀「・・・・・寝ちゃったのか・・・・・あれ?どうしたんだ、みんな?」
百合「おはよう一刀君~♪・・・・・で、どうかなこれは~?」
一刀「これって?」
冥琳「北郷よ、なかなか似合っているぞ♪」
穏「一刀さん可愛いです~~♪/////」
亜莎「よよよよよくお似合いです!かかかか一刀様!///////」
沙和「凪ちゃんとお揃いなの~~♪//////」
真桜「こりゃあかんで~~///////」
一刀「????」
一刀は、どうしてそんな目で見られるのか不思議でたまらない顔をしている
百合「一刀君~♪これを見て御覧~♪」
一刀「・・・・・って!?なんだこりゃ!?」
一刀の後ろ髪は凪と同じように三つ編みにされていた
凪「一刀様、わたしとお揃い/////////////」
一同の中で凪が一番赤くなっていた
その後、百合は冥琳達に連行され、一刀は凪、沙和、真桜と稽古をしていた
その間の凪はというと
凪「(一刀様とお揃い)//////////////」
一刀が自分と同じ三つ編み状態になっているのが嬉しすぎて全然集中できないでいた
ある意味拠点
美羽&七乃&彩
美羽「一刀~~~、こっちなのじゃ~~~♪」
一刀「待てよ美羽、そんなに走ったら転ぶぞ」
美羽「大丈夫なのじゃ~~~♪」
七乃「・・・・・あんなに楽しそうな美羽様、久しぶりに見ますね~」
彩「ああ、まったくだ」
一刀は美羽、七乃、彩に案内されて河南の城下町に来ていた
一刀「(それにしても、前きたときと比べるとかなり良くなったな~)」
前に一刀が来た時はそれは酷い状況だった
道にはゴミが溢れ、道行く人には影が差し、みんな口々に袁術の悪口を言っていた
それが今では全くの真逆になっている
七乃「それもこれも、一刀さんが色々助言をしてくれたからでしょうね~」
七乃と彩は一刀に教えてもらった割れ窓理論の基本的なことを実施していた
彩「しかし、一番利いたのは洛陽での一刀殿の叱責であろうな・・・・・本来ならその役目はわたしであったのにな」
七乃「仕方ありませんよ~、美羽様ったら可愛いんですからとても怒れませんよ~」
美羽「うははは~♪どうじゃ一刀♪この河南の変わりようは♪もう暴政をしているなんていわせないのじゃ♪」
半分は一刀のおかげだが、こんな嬉しそうな笑顔を見たらそんなことはどうでもよくなってくる
一刀「ああ、偉いぞ、美羽」
なでなでなでなで
一刀は美羽の頭を笑顔で撫でてあげた
美羽「あうううううう~~~~~~///////////」
洛陽でのあの叱責が嘘であるかのようなその笑顔に美羽の心は揺れていた
七乃「ああ~~~ん♪一刀さんに撫でられて赤くなっている美羽様可愛いです♪きゃ~~♪」
彩「・・・・・これが本当の一刀殿なんだな」
その夜、美羽を寝かしつけた七乃と彩は一刀を誘って屋台に来ていた
七乃「ささ、一刀さんどうぞこちらへ~♪」
彩「遠慮することは無い、座られよ」
一刀「は、はい」
真ん中に一刀が座り右に七乃、左に彩が座る
バスガイド顔負けの笑顔で案内する七乃と彩
一刀もこんな丁寧な案内をされればそれに応えてあげたくなるのが心情であった
彩「一刀殿、何でも頼んでくれてかまわない、今回は我々の奢りだ」
一刀「え?・・・・・でも・・・・・」
七乃「いいんですよ、一刀さんにはずいぶんお世話になっていますからね、これくらいはさせてください♪」
一刀「・・・・・では、店主さん」
店主「へいまいど!」
一刀「店主さんのお薦めをお願いします」
店主「分かりやした!」
七乃「わたしはいつものでお願いしますね~♪」
彩「我もだ」
店主「へい!張勲様に紀霊様!いつもご贔屓にしてくださってありがとうございます!」
一刀「ここは七乃さんと彩さんの行きつけの店なんですか?」
七乃「はい♪」
彩「河南の屋台ではここが一番うまいのでな」
店主「褒めて貰えて嬉しい限りです!」
七乃「・・・・・それでは、お料理が出てくるまで少しお話しましょうか」
彩「そうだな、一刀殿には色々言いたいことがあるのでな」
七乃「一刀さん・・・・・一刀さんは美羽様のことをどう思いますか?」
一刀「・・・・・どうしたんですか?いきなり?」
彩「別に変な意味で聞いているわけではない、正直に答えてもらいたい」
一刀「・・・・・凄く素直ないい子ですよ」
七乃「ですよねですよね~♪美羽様ったらほんと可愛いんですもん~♪」
彩「わたしも美羽様が可愛くて、ついつい甘やかしてしまうのだ」
一刀「その気持ちは分かりますよ、俺だってもしこの大陸に来て始めに美羽に会っていたらどうなっていたか分かりませんし」
七乃「・・・・・わたし達は、今まで美羽様が可愛すぎるせいもあってか、厳しいことを言えませんでした」
彩「洛陽で一刀殿が美羽様を叱ってくれた時から美羽様は変わられた・・・・・本来ならその役目は我々のものだったものを・・・・・情けない限りである」
一刀「もういいでしょう、済んだことをとやかく言ったところで進展はありませんよ」
七乃「・・・・・一刀さん、ここに留まって力を尽くしませんか?」
一刀「・・・・・・・・・・」
彩「我々に一刀殿の御力を貸してはいただけないでしょうか?」
一刀「・・・・・それは無理です、知っているでしょうけど俺はこんな奴なんですよ、一つの場所に留まることができない、とてつもなく不器用な奴なんです」
七乃「・・・・・・・・・・」
彩「・・・・・・・・・・・」
一刀「だから、お二人の気持ちだけは受け取っておきますよ」
七乃&彩「「・・・・・////////////」」
一刀「????」
七乃「(なるほど~~、みなさんこの笑顔にやられてしまったんですね~)///////////」
彩「(いきなりこれは反則だろう)////////」
始めてみる一刀の笑顔に七乃と彩は顔を赤くする
七乃「ならば、えい♪」
彩「・・・・・それ♪」
ふにゅん むにゅん
一刀「えええ!?」
いきなり七乃と彩が一刀の腕を掴み胸を押し付けてくる
店主「・・・・・・・・・・」
店主は、ただただ呆然とするしかなかった
七乃「ねぇねぇ一刀さん~♪いいでしょ~♪ここに残ってくださいよ~♪」
むにゅむにゅむにゅ
彩「いいでござろう♪一刀殿~♪」
ふにゅふにゅふにゅ
一刀「(だからなんでこの国の人達は胸を押し付けてくるの~~~!!)」
左右からの胸の誘惑に一刀は四苦八苦していた
店主「(そういったことは余所でやってくれ~~~!!)」
一番気が気でないのは店主であった
そして、別れの朝はやってきた
星「一刀殿・・・・・一刀殿には世話になりっぱなしになってしまいましたな」
雛里「このご恩は、一生忘れません」
一刀「大袈裟だよ、お礼を言うなら真桜に言ってやってくれ、俺一人では塩の量産はあそこまでできなかったからな」
真桜「それを言うならウチかて一刀はんがいなかったらあないなもん創れんかったで~」
星「それでは、一刀殿と李典殿、両方にお礼を言わせてもらおう・・・・・本当にありがとう」
雛里「ありがとうございます」
一刀「どういたしまして」
真桜「・・・・・なんや、人からお礼を言われるのって嬉しいもんなんやな/////」
雛里「では周瑜さん、塩の売買は予定通りでよろしくお願いします」
冥琳「心得た、塩の量産は軌道に乗り始めて来たからな、もうしばらくすれば貿易も始められるだろう」
あの後、冥琳達は巨大釜をいくつも作って塩の大量生産に乗り出していた
この塩作りは、冥琳達に取っても初めての試みで、焦って作ろうとするとかえって失敗する恐れがあるので研究を兼ねてゆっくりやっていくことになった
星「では一刀殿、また」
雛里「一刀さん、百合お姉さん、みなさんもお元気で」
そう言って星と雛里は蜀へと帰還していった
風「・・・・・では~、風達も参りましょうか~」
稟「孫策殿、此度のことは真に失礼いたしました」
雪蓮「いいのよ、一刀が許しているんだし」
零「そう言ってもらえると、こちら側としては大助かりね」
風「それもこれも、お兄さんの仲介の賜ですね~」
蓮華「一刀、本当に行っちゃうの?」
一刀「ああ」
雪蓮「一刀、もう少しだけここに居てくれない?まだ大した御礼もしていないんだから」
一刀「これで十分だよ」
一刀は自分の服を指した
これまで着ていた服と外套はすでにボロボロだったために雪蓮達が代わりの物を用意したのである
祭「本当にお主は欲が無いのう、我らがお主に作った借りはこんなものではすまないのに」
一刀「祭さん、俺は別に貸しを作った覚えはありませんよ」
祭「まったく・・・・・・来たければいつでも来い、歓迎するぞ♪」
蓮華「絶対来てね、一刀」
純夏「一刀、また来なさいよ」
思春「・・・・・また来い」
明命「また来てくださいね、一刀さん♪」
美羽「一刀~~♪またなのじゃ~~♪」
七乃「いつでも来てくださいね~」
彩「我らはいつでも一刀殿を迎え入れるぞ」
小蓮「一刀~~♪沙和~~♪またね~~~♪」
百合「一刀君~、沙和ちゃん~、また会いましょうね~♪」
沙和「またね~~♪シャオちゃん♪百合さん♪」
どうやら百合も沙和と真名を預け合ったようである
沙和「シャオちゃん♪今度また一刀さんを女装させてあげようね~~♪」
小蓮「うん♪その準備はいつでもばっちりだよ♪」
一刀「勘弁してくれ~~~~~~!!!」
「あはははははははははははははははは♪♪♪♪」
全員の楽しそうな笑い声を最後に魏の使者達は一刀と共に去っていった
雪蓮「・・・・・行っちゃったわね」
冥琳「本当に北郷には世話になったな」
雪蓮「ええ、もうこの借りは一生かけても返せないかもしれないわね~」
冥琳「まったくだ」
蓮華「・・・・・お姉様」
雪蓮「なに?蓮華?」
蓮華「一刀は、このまま董卓のところに帰るのでしょうか?」
明命「はうあ!?そうです!このままでは一刀さんが敵になってしまいます!」
雪蓮「・・・・・それはないわね」
思春「??・・・・・どういうことでしょうか?」
雪蓮「一刀は、董卓の所には戻らないということよ」
冥琳「いつもの勘か?」
雪蓮「いいえ、これは確信よ」
小蓮「どうしてそんなことが言えるの?」
雪蓮「一刀は、ああ見えてかなりのカタブツだからね」
祭「そうじゃの~、敵にならんことに越したことは無いが、このまま行けばあやつは・・・・・」
雪蓮「ええ、確実に壊れるわね」
百合「・・・・・なんとかならないんでしょうか~?」
穏「こればかりは、一刀さんが思い留まってくれることを願うしかありませんね~」
亜莎「・・・・・心配です」
雪蓮「・・・・・・・・・・」
雪蓮は一刀達が去っていった方向を見て、思い人の心が晴れることを祈っていた
風「それにしても、今回はお兄さんにはとことん助けられましたね~」
稟「一刀殿には感謝してもし足りません」
凪「本当にありがとうございます、一刀様」
沙和「本当にありがとうなの~」
真桜「ほんま助かったわ~」
零「今回ばかりはわたしもお礼を言わないといけないわね・・・・・ありがとう」
一刀「そんなことはもういいよ・・・・・・・・・・それより・・・・・」
風「?・・・・・どうしたんですか~?」
凪「一刀様?」
突然狛煉を止めた一刀に全員が頭の上に?マークを浮かべる
一刀「みんなとは、ここで別れよう」
風「お兄さん!?」
稟「一刀殿!?」
零「!!?」
凪「一刀様!?帰らないんですか!?」
沙和「月様達、心配してるの~!」
真桜「一刀はん!なんでなんや!?」
一刀「俺は多分・・・・・今後二度と月達の下に戻ることは無いと思う」
凪「な、何を言いだすんですか!!?一刀様!!?」
風「一体いつまで旅を続けるおつもりなんですか~?お言葉ですがお兄さんがどんなに山賊狩りの旅をしても意味ないです~」
稟「そうですよ!それにそんなことを続けていたら、いくら一刀殿でもいつか必ずのたれ死んでしまいますよ!」
一刀「構わない」
稟「・・・・・馬鹿ですよ、あなたは」
一刀「ははっ、そうだろうな、俺はこの上ない馬鹿野郎だ・・・・・でも、俺は今更この生き方を曲げられない、自分で決めたことは最後までやり遂げるつもりだ」
凪「そんな・・・・・」
沙和「そんなことしても月様達は喜ばないの~!!」
真桜「一刀はん!!」
零「・・・・・・・・・・」
一刀「それじゃあな、みんな・・・・・縁があったらまた会おうな」
そう言い残し、一刀は去っていった
風「・・・・・本当に・・・・・馬鹿ですよ・・・・・お兄さんは・・・・・」
どうもseigouです
自分で書いていてもこの一刀は相当なカタブツですね
一度決めたことを曲げないことはある意味美徳ですが、度が過ぎると痛い目にあっちゃいますからね
さて、これにて呉のある意味拠点は終了です
次回は菖蒲の身に何かが起こる?
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呉のある意味拠点(後編)
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