本作品は北郷一刀強化物に分類されるかと思います。
ですので強化物が駄目な方はお気をつけ下さい。
因みにたぶんですが、将を圧倒的にねじ伏せるほど強くはありません。
詳細はキャラ解説を設けたいと思います。
それでは、お楽しみいただけると幸いです。
― 序章 ―
俺には両親の記憶がない。
物心がついたころには隣にいたのは爺ちゃんと婆ちゃんだけだった。
歴史学者の爺ちゃん。
そして道場で武術を教える婆ちゃん。
両親は俺が幼いころに俺を実家に預けて結婚記念日の旅行に出かけたときにトラックに追突されて亡くなったそうだ。
寂しくないとは言わない。
でも、いつも隣には優しい笑顔で傍にいてくれた二人がいた。
でもその二人もいなくなってしまった。
別に事故でいなくなってしまったわけじゃない。
先に逝ったのは爺ちゃん。
自分の書斎で眠るように天に召された。
そのときの婆ちゃんはとても優しい笑顔で爺ちゃんを撫でながらお別れを言っていたのが印象的だった。
数年後その婆ちゃんも眠るように天に召された。
俺の手を弱々しく握りながら、一言ゴメンネといって涙を流した。
「俺は大丈夫だから」
そう言うと婆ちゃんはいつもの笑顔を浮かべてそのまま息を引き取った。
それから2年後、俺はフランチャスカ学園に通っていた。
好きなことは世界史、たぶん爺ちゃんの影響。
幼少時から道場で祖母に教えてもらっていた武術もそれなりの腕にはなっていたかな。
勉強もそれなりにがんばった・・・・・はず。
婆ちゃんがいなくなって寂しさを紛らわすように、血反吐を吐くほど鍛錬した。
強くなりたかった。
婆ちゃんには大丈夫と言ったけど・・・・・寂しかったんだと思う。
自分の周りには馬鹿騒ぎできる友人もいるし部活の先輩もいる。
だけど。
だけど、寂しかった。
―――――――
ある朝ふと、気がつくとそこは何もない荒野でした。
「・・・・・・・・・・・え?」
辺りを見回してみる。
うん、どこだ此処。
状況がまるっきりわからない。
一度脳内を駆け巡る思考を止め状況を整理することする。
「確か昨日は・・・・・・」
いつも通りに授業を終えて、部活。
部活が終わって腹が減ったから寄り道して間食。
満足したから家に帰って日課の鍛錬。
鍛錬が終わって風呂に入ってその後晩御飯。
満足してそのままベットに直行。
目が覚めると荒野。
「あれ?」
あれ?
なんで?
どうして?
どうしてこうなった!?
「ここはどこだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「此処か?此処は襄陽」
「襄陽?・・・・・なるほど此処は襄陽なのか・・・・・・あれ?」
うーん、襄陽って地名日本にあったっけか?
襄陽・・・・・襄陽・・・・・・・・・・。
「っあぁ!!!!!!!」
襄陽って確か古代中国の・・・・えーっと誰だった?
「何を一人でうなっている?」
ヒタリと首筋に冷たいものが当てられてあることに気がついた。
っていうか、気がつくの遅くないか俺・・・・・・。
「・・・・・・・・えーと、いつからそこに?」
半笑いを浮かべて俺は振り向いた。
「ほぉ、いつからときたか。そうだの、こんな真昼間に、とんでもない光を纏って流星が落ちてくるのが見えてな
何事かと思い陣から此処まで急いで駆けつけた。
でだ、その場所にたどり着くとそこに見たこともない格好をしている男が一人倒れているではないか」
・・・・・・・・
「えーと、要するに、俺が起きる前からここにいたってことですね・・・・・・」
なんてこった・・・・・。
余りの出来事に自分が思っているよりも混乱していたみたいだ。
そんなことを考えながらあることに気づいた。
「質問いいですか?」
「なんだ?」
「今映画の撮影か何かしてるんですかね?」
俺の首筋に冷たい物を当てている人の姿を見てたずねてみる。
切れ長の目。
長い髪を頭の後ろで纏めている。
スラリとした体格に目を見張るような胸の美しい女性。
美しく凝った刺繍のされたチャイナドレスに似た服装に左腕、そして肩から左胸にかけて銀一色の鎧のような物を身に着けている。
その手に握られているのは剣。
その剣は俺の首筋に当てられている。
「えいが?何だそれは?儒子、お前は何者だ?どこから来た?」
あれ?
映画を知らない?
どういうことだ?
「早く答えぬか!!」
「ッサー!! 自分は、『北郷一刀』であります!出身は東京浅草であります!」
あれ?
つい、こんな口調になってしまった・・・・・・。
そうか、目の前にいる人のオーラというか気迫の所為か・・・・・。
死んだ婆ちゃんも鍛錬の時にこんな感じの気迫をぶつけて来たからなぁ・・・・・。
「姓は北、名は郷、字が一刀か? 可笑しな名だの。・・・・・・して、『とうきょうあさくさ』とはどこにある村だ?」
「っは?」
村?
いやいやいや・・・・・。
そんなはずは・・・・・・。
「・・・・・日本の東京都浅草です」
俺の思考が何かおかしいと告げたので確認のために『日本』という単語をあえて口にしてみた。
「『にほん』?だからそれはどこのことだ?」
あー・・・・・・・。
「すいません、一つ尋ねたいことがあるんですけど・・・・・・」
「なんだ?」
もしかして、もしかするとだけど、当たって欲しくないけど、っていうか当たらないでくれ!!
「今、国の頂点にいるのはどなたです?」
「霊帝、劉宏殿じゃ」
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
あぁ、これは夢なんだな。
だって、劉宏って言えば、たしか後漢の皇帝だろ?
ってことは今この場所は三国時代に突入する寸前ってことだ。
そんな場所に俺がいるってことは夢以外の何者でもないもんな。
うん、これは夢だ。
・・・・あ、あは、あはははははは
「っいてえええええええええええええええええええええええ!!」
「何を一人でへらへらしておるのだ!!」
首筋から生暖かい液体が流れているのを感じて悲鳴を上げてしまった。
何これ!!
何で痛いの!?
って言うかこれ血!?
その剣は本物!?
って言うかこれ夢じゃないのかよ!!
「・・・・イテェ、・・・・・すいません、自分の置かれている状況がわからなくて混乱してました・・・・・・」
「ほぅ、どういうことだ?」
俺は、腹をくくって自分の置かれた状況を目の前の人物に話す事にした。
「ふむ、今の話を聞くに儒子はこの国の人間ではないと?」
「はい」
以外なことに、目の前の人物は俺の話を嬉々として聞いてくれた。
その目は、なんと言うかさっきとは違って面白いものを見つけたような子供みたいな目をしている。
「ふむ、・・・・・もしかすると先日立ち寄った村で聞いた話は本当だったということか・・・・・」
小声で何かぶつぶつ言っているが余り聞き取れなかった。
俺は意を決して一つの疑問をぶつけてみることにした。
「あの、失礼ですが」
「なんだ?」
「名前を教えてもらってもいいですか?」
目の前の人物が誰かわからない。
それもあるが目の前の人物の服装や装備を見て明らかに後漢時代の庶民や兵が身に着けることができる物ではないと思ったからだ。
それなりの地位がある人物、または地位がある人物に仕えているかも知れない。
それに先ほど聞いた『襄陽』という地名。
確か治めていたのは劉表。
今が何年かわからないから確定ではないけど劉表は襄陽に州治?だったっけ?それを移したはず。
俺が色々考え込んでいると目の前の人物から予想外の名前を告げられることになる。
「我が名は・・・・・・・・」
あぁ、俺は何でこんなところに来ちゃったんだろう。
この時はそう思わずには居られなかった。
でも、この出会いがきっかけで、この出会いから始まる後のすべては俺の中で日に日に大切な物となっていく。
そう、俺の『命を懸けてでも守りたい』と思えるほどに・・・・・・。
あとがきっぽいもの
さぁ、始まりました獅子丸です。
今回は序章ということでどの√かは伏せておきます。
そして次回からは突如話が飛びますのであしからず。
話の進め方としては
メインフェイズ→拠点フェイズ→メインフェイズのようにゲームのように進めていこうかと
拠点フェイズでは各武将にスポットを当てていきたいと思います。
ですので次回以降数話のメインフェイズが終わった時点で拠点フェイズに移行します。
拠点フェイズは最初から一刀といちゃいちゃは無理ですが
こんな誰々が見たいとか要望があれば要望通りとはいきませんが頑張ってみますw
それともう一つご報告を。
魏アフターの誤字指摘に関してですがしれっと修正しています。
ご指摘ありがとうございました。
コメントのお返事に関しては今後は後書きにではなくコメント欄の方へ書きたいと思います。
それでは毎度の一言
生温い目でお読みいただければ幸いです。
追伸 『思いついたから書いてみた』
ネタを数個思いつきましたので
『真・恋姫無双 萌将伝的日常』
という題名で不定期連載一話完結式で書きます。
期待しないで下さい!!
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作者の都合により一部修正しました。詳細は第六話まえがきをお読みください。
さて、始まりました新作です。
とり合えず前回仮投稿した序章を。
さぁ、大まかな話の筋しか決まっていないこの物語。
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