No.201763

とある学園の無双譚 第2話

南風さん

やってきました、第2話です。
時間と投降日が遅くなってしまいました。すみません。
また、長文ですのでところどころ誤字脱字があると思いますのでよろしくお願いします。
この作品は恋姫の二次創作となっておりますので、苦手な方は申し訳在りません。

続きを表示

2011-02-15 17:17:12 投稿 / 全17ページ    総閲覧数:8761   閲覧ユーザー数:7334

 

とある学園の無双譚

 

 

 

第2話 ~恐怖?あいさつ週間!!~

 

 

 

「では、改めまして・・・・・皆さん!!よろしくお願いします!!」

 

一日が、そんな俺の掛け声から始まった。

 

1学期恒例とも言えるあいさつ週間。

 

それが今日から始まる。

 

じゃあ、ちなみに何をするのかというと・・・・・

 

まぁ単純に門に立って、“あいさつをする”というのと“制服のチェック”とか、“遅刻者の取り締まり”だ。

 

あいさつは生活の基本!!とおっしゃる理事長や校長の言葉は良く理解できるけど・・・・・あの人たちの服装が自由すぎるからな・・・・・服装にかんしては自由度が高いのである程度は許される。普段もピアスとかさすがに目立ちすぎる服飾系のみ注意するぐらいだ。

 

んでもって、ここが一番大変で重要だ。

 

遅刻者のとりしまり・・・・・遅刻者に関しては問題児が多いからなぁ・・・・・・

 

「おい北郷!!ぼさっとしてないで、さっさ指示をださんか!!

 

「わかってるよ。」

 

俺の思考とは裏腹に、さっきからはりきっている春蘭。

朝から元気で、はきはきしている・・・・・

・・・・・・・・・・あらためて見ると顔は凛々しい・・・・・・・・・・

長い黒髪も愛紗とはまた違った感じで綺麗だ。

季衣が憧れるのも納得する。

 

「何をさっきからジロジロ見ている?」

「ん?いや、春蘭ってさ・・・・・・・・こういう言い方は失礼かもしれないけど・・・・・凛々しくてカッコイイよな。」

「・・・・・・・・・・・・・にゃ!?・・・・にゃ、にゃ、にゃ、にゃにを言う!!」

「いや、新しい風紀委員の・・・・・・ほら、あそこにいる。」

俺は門の前で凪たちと話している季衣に視線を向ける。

「あの季衣って子がさ・・・・・春蘭に憧れてるんだって。」

「う・・・・・・うむ・・・・・・・・・・・・むぅ。」

「何だよ。歯切れ悪いな。」

しかも、ジト目で俺を睨むな。

「別になんでもないわ!!」

「わかったから、怒るな。」

「怒ってなぞおらんわ!!」

「わかったから!!」

じゃあ、その手に持っている木刀はなんだ!?しかも無駄にでかいぞ!?

「ほら、姉者も大人しくしてくれ。」

「む・・・・・むぅ。」

「北郷も、あまり姉者を怒らせないでくれ。」

「・・・・・ごめん。」

「では、頼むよ。北郷風紀委員長。」

「・・・・・・・。」

「何だ?」

「・・・・・わかった、ごめん。」

「何故、謝っているのだ?」

「いや、いいよ。」

いや、秋蘭さん。その眼は怒っている眼です。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・春蘭、秋蘭。」

「なんだ?」

「どうした?」

「今日の放課後空いてる?空いてたら久しぶりに3人で遊ばない?」

「「・・・・・・・・・・。」」

沈黙。

そして、当の双子は顔を見合わせている。

 

「で、どうしますか?春蘭先輩。」

「・・・・・・・ま、まぁ、特に今日は・・・・何も・・・・・・無い・・・・・。」

「うむ、いいぞ。」

「おぅ。」

「しゅ、秋蘭!?」

「姉者も乗り気だしな。だが、我らは安くは無いぞ?」

「いや、ちょっとまて、私は・・・・・・。」

「わかっているよ。精一杯、ご奉仕しますよ。お嬢様。」

「相変わらず口だけは達者だな。」

「どうも。」

「と、言う事だ姉者。では、こちらも精一杯お洒落をしないとな。」

「むぅ・・・・・・北郷!!」

「ん?」

「楽しみにしているからな!!」

「あぁ、任せとけ。」

 

これで解決!!

 

だが、俺は知っている。

 

背後から突き刺さる鋭い視線と何とも言えぬ・・・・・オ~ラ。

 

「先輩・・・・・。」

「一刀さんがまた口説いてるの~。」

「まぁ、いつものことやな。」

「流琉、口説くって何?」

「え!?ち、ちょっと私に聞かないでよ!!」

「ええか、ボクっ子。口説くちゅうんわな「真桜!!」なんや?」

「なんや?じゃない。いくら学年が同じだからって、初めての人に変な事を教えないでくれるかな?」

「何ってありのまんまやないか。それにぃ、うちらかて初めてやで。風紀委員の仕事なんて。」

「高校が初めてってだけだろ!似た事なら何年一緒にやってきたって思ってるんだ。」

「それはそれ、これはこれや。」

「ねぇ~?」

「どうしたん?」

「真桜ちゃんと兄ちゃんってどういう関係?」

「ん、うち?・・・・・そりゃあもぅ、それそれはとてもお熱い「「「真桜(ちゃん)!!!!」」」・・・・・・えぇやん。冗談やって。」

へらへらとおどける真桜。

その様子に沙和は頬を膨らませ、凪は頬を赤くさせながらも真桜に注意している。

「ったく・・・・・季衣、俺と真桜、凪、それに沙和は・・・まぁ幼馴染ってやつだ。」

「へぇ~じゃあ、僕と流琉と一緒だね!!」

「二人も幼馴染なんだ。」

「うん!」

「は、はい。」

流琉は少し恥ずかしいのか顔を赤らめる。

「そんなわけで俺らは小学校から・・・・・何て言うんだろなぁ。小学校のあいさつ週間?みたいなとかさ、似た事はずっとしてきたんだ。4人一緒でな。」

「すごいね。」

「すごいですね。」

「まぁ腐れ縁とも言うかもしれないけど・・・・・そんなわけで真桜たちはある意味初めてでは無い・・・・・・・・と、言うわけで季衣と流琉は俺と一緒に正門に立つ。んで、凪たちは春蘭達、他の生徒会の人たち連れて裏門にいってもらえるかな。リーダーは凪で。真桜と沙和は凪のサポートよろしく。春蘭、秋蘭もよろしく頼む。」」

「はい!」

「はいなの。」

「任せとき。」

「任せとけ!!」

「精一杯頑張るさ。」

 

「二人もいいかな?」

「うん!!」

「はい!!」

 

こうして・・・・・というか、何だかんだであいさつ週間の一日が始まった。

 

 

「「「おはようございます!!!!」」」

俺達が一斉にあいさつすると、皆笑顔で返してくれる。

まぁ時には無視をする奴らもいるんだが・・・・・・・・

「・・・・・おはようございます。」

「お、おはようございます。」

俺と一緒に元気にあいさつする季衣とは別に、流琉は恥ずかしがりながらも、あいさつをしてくれなかった奴の前に立ちあいさつをする。すると皆、流琉にはあいさつを返す。

 

 

 

まぁ、ここまでされてあいさつを返さない奴がるなら、俺がぶん殴るけどな!!

 

 

 

流琉が小走りで帰ってくる。

 

その姿は本当に愛おしい。

 

季衣の方を見ると本当に嬉しそうに笑っている。

 

 

 

この二人を風紀委員に誘った日。

 

皆でアイスを食べている時の事だった。

 

「兄ちゃんって呼んでいい?」

「兄様って呼んでいいですか?」

 

突然の告白。

 

「・・・・・・・・えっと、かまわないけど。」

 

その場はそれしか言えなかった。

 

ただ、その時の二人の笑顔は忘れない。

 

どこか悲しそうで・・・・・・・・それでも心の底から出ていた・・・・・あの「笑顔」を。

 

 

 

俺の手は自然に流琉の頭を撫でていた。

 

年頃の少女の頭を撫でるのは正直どうかと思う。

 

でも、俺はこの子達の兄として頭を撫でる。

 

この子達の笑顔を守れるから。

 

しかし、本当に二人は仲が良い。

 

流琉の頭を撫でると季衣は少し羨ましそうに頬を膨らます。

 

だから、季衣の頭も静かに撫でる。

 

「季衣もありがとな。」

「うにゅ~。」

 

二人は親友でライバルなのだ。

 

本当に負けず嫌い・・・・・この二人を見ているとあいつらも同じだったと思いだす。

 

 

 

いや・・・・・今も変らないか。

暫く会って無いけど・・・・・元気かな俺の実妹たちは。

 

 

 

そんな中、二人の少女が俺の目の前を静かにとおり過ぎる。

 

「「「おはようございます。」」」

 

気持を切り替え、元気にあいさつをする。

 

そして、二人の少女のうち先頭を歩いていた黒髪の少女と眼が合った。

 

青い瞳が綺麗だ・・・・・いつか行ったあの青い空と青い海のよう。

 

「おはよ・・・う・・・・・・。」

 

その瞬間だった。

 

黒髪の少女は歩みをとめ、まるでこの世の者ではない者を見た・・・・・本当にそんな感じに目を見開く。

 

そして、後ろを歩いていた少女は黒髪の少女の背中にぶつかってしまった。

 

「う~、急に止まらないでください・・・・・・・・・・稟ちゃん?」

 

少女も不思議に思ったに違いない。

 

稟と呼ばれた黒髪の少女の驚きぶりに。

 

そして、もう1人の少女は俺の顔を見ると

 

「お兄さん・・・・・?」

「へ?」

 

 

 

静かに呟いた。

 

 

 

「いや、何でもないですよ~。」

「・・・・・はぁ。」

「ほらほら、行きましょう~稟ちゃん。」

「え?・・・・・あっ、そうですね。すみませんでした。」

稟と呼ばれた少女の背中を押し、二人は足早に俺から遠ざかって行った。

 

「ねぇ、兄ちゃん。」

「何?」

「知り合い?」

「いや、初めて会ったはずだけど・・・・・・。」

「で、でも兄様の事を知ってるみたいでしたよ?」

「・・・・・・ん~・・・・・・・・・・ごめん、本当にわからない。」

「そうですか・・・・・。」

「流琉と季衣は知らないの?制服を見る限りじゃ同じ学年だけど。」

「わかんないや。」

「すみません、私も初めて会いました。」

「・・・・・・・・・・そうなんだ。」

 

この不思議な少女達の出会いが・・・・・俺の普通の人生に一つの波乱を呼び起こすなど・・・・・この時はまだ俺は知らなかった。

 

「あれ?」

「ん、何かあった?」

「変なキーホルダーが落ちてる。」

確かに輝く金具を付けた物が落ちていた。

「変なって・・・・・・・・。」

キーホルダーを拾い上げる。

「変でしょ?」

「ちょっと、季衣。独創的って言うんだよ。」

「はははは・・・・・。」

流琉・・・・・それはフォローになってないよ。

 

正直、確かに変だ。

今どき珍しい木製の・・・・・珍妙な人形?のキーホルダー。

けど・・・・・どこかで見たような・・・・・・・。

キーホルダーの裏面をみると掠れてはいるが・・・・・何か彫られている。

 

 

 

宝・・・・・あと1文字だけど・・・・・・・・・・読めない。

 

 

 

 

キーホルダーは俺が預かるって事で落ちついて、今は俺のポケットの中。

頭を落ち着かせないと・・・・・・・・もう、そろそろ時間だ。

そして、俺は上着を脱ぎ身軽な格好にフォルムチェンジ。

他のメンバーも季衣と流琉もフォルムチェンジ。

そう、ここからが正念場。

そして、これが俺の学校・・・・・聖フランチェスカ恒例のあいさつ週間の真の姿。

 

 

 

遅刻者の取り締まりだ。

 

 

 

今から説明しよう。

俺の学校は本当に自由度が高い。

だけど、幸いなことに通常時間に登校してくる生徒は注意されるほど・・・・・さほど悪い事はしていない。

でも、遅刻者・・・・・遅刻常連者たちは正直そうではない。

服飾はもちろん服装がアウトの奴が多い。

しかも、そのアウトの人たちは幸いな事に俺の顔見知り・・・・・・・・・・いや、知りすぎているかな。

 

まったく・・・・・懲りないんだから・・・・・・・・・・。

まぁ、今回も助っ人を頼んだから大丈夫だとは思うけど。

 

「さぁ、皆気合を入れてこう!!」

「うん、任せてよ!!」

「任せてください!!」

「「「はい!!!!!」」」

「・・・・・・・・さぁ、始めますか。」

 

・・・・・・・・・・・・・・・。

 

・・・・・・・・・。

 

・・・・・。

 

 

 

「一刀~、頑張って~~~♪」

職員室の窓から雪蓮が笑顔で手を振ってくる。

「去年まで追われる立場だったくせによく言うよ!!」

「過去を引きずる男はもてないぞ~~~♪」

「はいはい!!」

 

 

 

そう、これがあいさつ週間恒例の・・・・・遅刻者VS風紀委員の鬼ごっこ!!

 

そして、鬼ごっこの真っ最中!!

 

 

 

「季衣、流琉今だ!!」

先周りしていた季衣と流琉が茂みから飛び出す。

「任せて!!」

「逃がしませんよ!!」

「そんなぁ~、親友のよしみで見逃してぇ。」

観念したのだろう、走るのをやめて両手をあげる。

変なとこだけノリが良い。

「うざい、キモい、黙れ。」

「ひっど!!」

 

「それに親友だぁ?・・・・・悪友の間違いだろ・・・・・・・・・・・・及川。」

 

「かずぴ~のいけず~。」

「だったら、遅刻すんな。」

「えぇ~、こういうのって楽しんだもん勝ちやん♪」

「そういうのは雪蓮だけでいいんだよ。」

「んもう、簡単に先生を呼び捨てにするかずぴ~!!そこに痺れる憧れる~!!」

「連れてって。」

本当にうざい。

「きゃ~!!やぁめぇてぇ~!!たぁすぅけぇてぇ~!!」

風紀委員に引きづられながらも、おもしろおかしく叫ぶ及川

「・・・・・・・・・・季衣、流琉。」

「はい?」

「うにゅ?」

「及川を黙らせてきて。好きにしていいから。」

「わかった!!」

「はい!!」

 

さて・・・・・季衣と流琉はどうするかな・・・・・・・。

 

小走りで及川に近づく二人。

 

おっ、何か話してる。

 

「えいっ!」

 

「ぐふっ!」

 

うん、普通に腹殴ったよ。綺麗な右ストレートだ。

 

「ごめんなさい。」

 

流琉よ・・・・・謝りながら、ガムテープでぐるぐる巻きにするのはどうかと思うよ俺は。

 

「やったよ、兄ちゃん!!」

「これでいいですか!?」

 

うん。素晴らしい笑顔だ。天使の笑顔だ!!

 

「良くやった。じゃあ・・・・・次に行こうか。」

この二人を怒らせるのはやめよう・・・・・・・・神様に誓います!!

 

 

――場所は変り、裏門

 

「・・・・・・なぁ、凪。」

「どうした?」

「うちら、いる意味あるん?」

「沙和も同感なの~。」

「先輩からは、お二方が無茶をしないようにしろと厳命を受けている。」

「んなん、それこそ無茶な命令や。」

「そうなの~、あの二人を止められるのは生徒会長だけなの~。」

「・・・・・大丈夫だ。」

「なんで?」

「あのお二方が問題を起こした場合、先輩から生徒会長へ直接電話が行く。」

「なるほどなの~。」

「少しカッコ悪いけど・・・・・まぁしゃあないなぁ。」

 

「はぁ~はっはっはっは!!どうした!?逃げたいのなら逃げていいのだぞ!?」

「そういうな姉者。我らから逃げると言うのはどういう事か、皆わかっている。そんな命知らずは・・・・・私の知っている限り、一刀とその悪友達数名だけだ。」

「それもそうか!!」

 

春蘭、秋蘭が遅刻者の屍の上に蹂躙していた。

 

 

 

――場所は戻り、正門

「ねぇ~兄ちゃん。」

「ん?どうした。」

「兄ちゃんの男友達って、あの及川って人以外いるの?」

「・・・・・・・・・・・・・・・それは、どういう意味かな?」

「ん~、だって兄ちゃんと話してるの女の子ばかりなんだもん。ボク、あの及川って人が初めてだよ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・ま、まぁ・・・・・言われてみれば確かに・・・・・・・・・・そうかもしれない。」

凄く、認めたくないけどな!!

でも、思い返すと・・・・・季衣と流琉の前だと確かに無い。

「そうだよねぇ。で、いるの?」

「い、いるぞ。及川だろ・・・・・早坂、森口、高藤、貴島・・・・・・・・・。」

「他には?」

「・・・・・・・・・・白銀、河野、衛宮、遠野・・・・・・・・・・。」

やべぇ・・・・・指が1本余ってるよ。

「結構いるんだね。」

「うん・・・・・そうだね。」

なんだろう、悪意の無い言葉なのに胸に刺さる。

 

 

 

「兄様~!!」

流琉が校舎の方から戻ってくる。

「・・・・・・・・・・・・・・・なんだい?」

「な、何かありました?」

「うん、俺の高校人生について考えてた。」

「はぁ・・・・・。」

「それで、どうだった。」

「はい。えっとですね・・・・・今のところ逃した人はいないそうです。あと、凪さんと秋蘭先輩からこちらを預かってきました。」

さしだされる二つの紙。

「んと、何だ。」

まずは凪の紙から。

 

『戦死者、早坂先輩以下3名。後で、保健室へ顔出してあげてください。』

うん、あいつらも懲りないな。

後は、簡単な報告か・・・・・・・・裏門は大丈夫そうだね。

 

「んで、こっちは秋蘭か・・・・・・おぉ、遅刻者のリストか。あいかわらず仕事が速いな。」

関心しつつ名前を一通り見る。

「まだ、来てないのか・・・・・霞・・・恋・・・・・・それに・・・・・・・・・・・・麗羽。」

 

 

 

 

「え、誰ですか?」

「ん~、問題児。」

「・・・問題児ですか。で、でも、季衣もいますから大丈夫ですよね。」

「そうだよ!!任せてよ!!」

「いや・・・・・・・・多分、無理かな。」

「なんで!?兄ちゃんはボクの事信じられないの?」

「そうですよ。いくらなんでも酷いです。」

「いや、季衣の実力はわかってるよ。ただ、霞と恋は規格外だ。」

「それってどういう意味ですか?」

「まず、霞はあの春蘭と同等だ。」

「「え?」」

「それに、恋は・・・・・・・・・・名実共に学園最強だ。」

「「最強?」」

「あぁ、春蘭と秋蘭ふたりがかりでも倒せない。」

「「・・・・・・・・・・・・。」」

「そんなわけだ。と言っても二人は話しが通じるから・・・・・さほど問題ではない。」

「え?・・・・・・じゃあ麗羽?って人が問題なんですか?」

「うん、凄くね。でも、そこは助っ人がいるから大丈夫だろうけど・・・・・まぁ二人とも勉強だと思って良く見といて。」

「は、はい。」

「う、うん。」

 

そして、それから5分もたたず彼女は現れた。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・。」

俯きながら歩いてきた少女の赤髪の触覚?が揺れる。

というか、何かを感じ取ってかのように刎ねている。

 

あいかわらず俺を察知するのはそこなのね。

苦笑しながら、一刀は手を振った。

「恋!!おはよう!!」

 

「!!」

恋は走り出す。

理由は簡単、北郷一刀がそこにいるから。

周りの視線を気にせず、一刀に抱き付き、胸に顔を埋める。

その様子はまるで小動物。

「・・・・・おはよう、一刀。」

「うん、おはよう。でも、遅刻だ。」

「・・・・・・・・ごめんなさい。」

「で、今日は何で遅れたのかな?」

「ん・・・・・。」

一刀に言われると、恋はおもむろに鞄をあける。

鞄の底には、プルプルと震える子猫の姿。

「みゃー。」

生まれて間もないのか、声は小さく弱弱しい。

でも、鞄の中で懸命に動き回っている。

「恋、わかってる?」

「・・・・・・・・・・(コクッ)」

「・・・・・じゃあ、いつもどうりに・・・・・・・・・・で、ちゃんと職員室に言って先生にも謝る事

・・・・・いい?」

「・・・・・・・・・・(コクッ)」

「よし、じゃあ行ってらっしゃい。」

「・・・・・・・・・・(コクッ)」

恋は、一刀から離れると一人歩いて行った。

 

「あ、あの・・・・・。」

「どうした、流琉。」

「今のが恋さんですか?」

「あぁ。」

「何か強そうに見えないね。」

「でもな、季衣。恋を怒らせたら誰にも止められない。」

「ふ~ん。ねぇ、兄ちゃんと恋ちゃんってどんな関係?」

「恋ちゃんって・・・・・どんな関係かぁ・・・・・。」

 

「んとな、言葉が変だけど・・・・・・・・『家族』かな。だけど、本当の家族でも無いし、ましてや兄妹とかでも無い・・・・・・・・だけど、俺と恋は『家族』だ。」

 

「な、何か大人の世界ですね。」

 

「・・・流琉、どんな想像した?」

 

「へ?・・・・えっ!?決して変な想像はしてませんよ!!」

 

「・・・・・なら良いけど。」

耳年増ってこういう子のこと言うんだな。

 

「そ、その・・・・・羨ましいって思っただけです。ねぇ、季衣?」

 

「うん!!」

 

「羨ましいって・・・・・・・・二人は俺の妹だろ?」

二つの小さい頭を撫でる一刀。

「「・・・・・・・・!!」」

二人の顔が赤く染まる。

恥ずかしそうに、そしてくずぐったそうに・・・・・それでも顔は笑顔だ。

そんな、掛け合いを見て一刀からそして周りの生徒達から笑い声がこぼれた。

 

 

「さて・・・・・・・。」

頭を撫でていた一刀が声を発する。

けど、その声は真面目で本気。

怒っているわけではないのだが、その声からは強さがにじみ出る。

「どうかしましたか?」

「ん~、もう1人の問題児が来た。」

一刀の視線の先。

そこには正門に仁王立ちする1人の少女がいた。

 

季衣と流琉は目を丸くした。

それはそうだろう。

正門に立つのは少女だ。

豊かな女性の象徴があるし、紫色の髪は髪留めで止めている。

けど、その少女は男子制服を身に纏い、胸元ははだけサラシを巻いている。

正直言って、異様だ。

「よぅ、一刀やないかぁ~。」

少女が声を発する。

その声は先ほど一刀が発した声と一緒。

「おはよう、霞。」

「おはようさん。」

あいさつを交わす二人の顔は笑っている。

ただ、目はいたって真面目・・・・・否、闘志がやどっている。

そう二人は既に臨戦態勢なのだ。

「また、遅刻だぞ?」

「わざとや。」

「だろうなぁ・・・・・けど、服装に関しては毎回注意しているぞ。」

「うち、スカート嫌いやねん。あんな、股がスースーするのなんて履けへん。」

「股って言わない・・・・はぁ・・・・じゃあ、せめてスカートの下にジャージを履いてくれ。」

「カッコ悪いやん。それに、うちにはこういう方がお似合いやろ?」

「・・・・・確かに、似合ってるけど・・・俺は霞のスカート姿の方が可愛いし好きだ。それに髪をおろしてくれたら、なお良い。」

「っ!!・・・・・・・・あいからず、口先だけは上手いなぁ。けど、今回はそうもいかへん。」

「本心だって・・・・・・・・でも、俺も嫌いじゃない。」

姿勢を低くする一刀。

「そうやろ?じゃあ始めよか。」

霞も姿勢を低くする。

二人に合わせ、周りも臨戦態勢にはいる。

「季衣と流琉は何があっても俺の傍にいて付いて来て。いいね?」

「はい!!」

「うん!!」

「作戦会議は終わったかいな?」

「おぅ、いつでも来い。」

「そうか、なら遠慮はいらへん・・・・・なっ!!!!!」

一瞬だった。

 

相変わらず速い!!

 

霞がこちらに来ると思った時にはずでに遅く、一刀はいとも簡単に抜かれる。

 

そう、霞は駿足の持ち主であり、その速さは学園最速。

 

だが、一刀もただでは終わらない。

 

「へぇ・・・・・やるやないか一刀!!」

 

「どうも!!」

 

霞の髪が風に舞う。

 

「でも、髪留めだけじゃぁ・・・・あかんなぁ!!」

 

そう、一刀はあの一瞬で霞の髪留めを取ったのだ。

 

だが、確かに意味は無い。

 

「後で、返してもらうでぇ!!」

 

霞は気にせず、また走り出す。

 

 

 

季衣と流琉は唖然とした。

 

何も出来なかった。

 

ただ、この二人の駆け引きに見とれてしまったのだ。

 

「季衣、流琉!!行くぞっ!!」

 

一刀の声に我に帰る。

 

「う、うん!!」

「は、はい!!」

 

三人と霞の鬼ごっこが始まった。

 

 

 

 

学園の中を1人走る霞。

速さを緩めず、ただ追っ手を振り切るために走る。

そして、逃げ口を探していた。

 

さてと・・・・・一刀の事やからぁ~

このままタダで終わるわけない・・・・・・・・・・

今回は・・・・・どんな手を・・・・・・・

「・・・・・ん?なんや・・・あれ?」

中庭を走る霞の目に人影が映る。

 

 

 

「こちら、風紀委員特務『雪』。標的確認、攻撃開始。」

「『月』了解です!攻撃開始します!」

「『花』も了解です!」

合図と共に影は霞めがけ、飛びかかった。

 

 

 

「ちょ!!人が降ってくるってどんな状況やねん!?」

 

霞に数多の影が飛びかかるが、二つの影が突出する。

 

ヒュン!!

 

「なんやっ!?」

 

何かが猛スピードで霞に投げられる。

 

なんやこれ!?・・・・・・って!!ビー玉とおはじき!?

 

着弾したそれはどう見てもただのビー玉とおはじき。

 

だが、たかが子供の玩具が地面にめり込むだろうか?

 

一発でも当たったらあかん!!

 

ッフ!!

 

っ!?

 

いつの間にかもう一つの影に間合いをつめられていた。

 

影は何の躊躇もなく、喉をめがけ突く。

 

「ってえぇぇぇ!?・・・・・・・・・・はあぁ、変な声がでた。」

 

奇声と共に、体を反らせ何とか避けるが、

 

「余所見している暇はないぞ?」

 

ふいに背後から声が聞こえ、霞は咄嗟に屈む。

 

拳が空を切る。

 

「危なっ!!」

 

足を蹴り上げる。

 

影は蹴りを避け、距離をとる。

 

「・・・・・・・・あんたら誰や?見た限りだと。ただの怪しい集団やけど。」

 

「間違ってはいない。」

 

「黒づくめって・・・・・・漫画の見すぎちゃうか?」

 

「・・・・・ふん。」

 

「・・・・・・・・へぇ、あんたも強いやん。」

 

「・・・・・・・・・・貴様もな。だが・・・・・残念だ。」

 

「は?」

 

「貴様の相手は我らではない。」

 

 

 

「見つけたー!!」

「待ちなさいー!!」

ふいに聞こえる季衣と流琉の声。

霞の視線が二人に映った瞬間だった。

「捕まえた。」

ふいに肩に手を置かれる。

「げ・・・・・一刀。・・・・・・って、黒づくめは?何処行きよったん。」

10人以上いたはずの黒づくめがいない。

「何の事かな?」

「・・・・・はぁ~、ええよ。うちの負け。」

「どうも。」

「兄ちゃん凄いね!!」

「そうですよ!!どうやって先回りしたんですか!?」

「ん?霞の考えることならだいたいはわかるからね。それに裏技を少々。」

「どこらへんが少々やねん・・・・・・でもなぁ~。」

「不満か?」

「当たり前や!!今年も愛紗と戦えると思うてたのにぃ。」

「いや・・・・それで、去年どれだけ死闘したと思ってるんだ。」

 

去年のあいさつ週間で繰り広げられた愛紗VS霞の死闘はもはや伝説だ。

壊れた学校備品12点。割れた窓ガラス8枚。

そして、俺はとばっちりを受け・・・・・あやうく死ぬところだった。

 

「ぶぅ~、つまらん。」

「愛紗と試合したいなら、部活に顔をだせ。」

「そうかもしれへんけど、うちかて忙しいねんで。」

「わかってるけど・・・・・。」

「・・・・・・しゃあないなぁ。あと、髪留め返して。」

「駄目。季衣と流琉、霞を連れて行って。霞、ちゃんと着替えたら返すよ。」

「一刀のケチ。」

「はいはい。」

季衣と流琉に連れて行かれる霞を見送る。

 

 

 

「・・・・・ありがとう。おかげで助かったよ。」

「ふん・・・・・。」

「これからも、よろしくね。」

「言われるまでも無い・・・・・だが、それも貴様の態度しだいだな。」

「精進する・・・・・・・・さて、次で最後。よろしく頼む。」

「・・・・・任せておけ。」

 

――鬼ごっこは最終幕へ

 

 

 

裏門を閉め、全風紀委員と手伝ってくれている生徒会役員が正門に集合する。

「まだか、北郷!!」

「姉者・・・・・北郷を責めても仕方が無い。それに少し静かにしてくれないか?3度目だ。」

「うううぅぅぅぅぅ・・・・・・秋蘭~。」

「「「あはははは・・・・・。」」」

二人の掛け合いはこれで三回目。

さすがに、同じ掛け合いが三回も続くと皆が苦笑するしかない。

 

正直、春蘭の気持は良くわかる。

 

もう少しで1時間目が始まろうとしているのだ。

 

3年生にもなると色々と忙しい・・・・・まぁ後は単純に嫌いなんだよな・・・・・・・・・・はぁ。

 

今のところ来ていない遅刻常連者は2組。

 

・・・・・・・・・・いつもの事とは言え・・・・・本当にあいつらは・・・・・・。

 

 

 

「けど、春蘭。いつも通りだとそろそろだ。」

「本当か!?」

「100%ってわけじゃないけど。」

「では、お前の力で100でも200にでもしろ!!」

「いやいや、無理を言わないでくれ。」

「なら、連れて来い!!」

「・・・・・なぁ、秋蘭。」

「決して、会話になっていないから安心していいぞ。」

「・・・・・・・・・・・極まれに秋蘭が春蘭の事を嫌いじゃないかと思う時がある。」

「そうか?そう考えるのであれば、まだまだだな。私は姉者が大好きだ。」

「・・・・・・・・・・さいですか。」

 

そんな会話をしていると耳に聞き慣れた音が入ってくる。

 

沢山の車の音。

 

この学校に車で来るのは先生達と・・・・・・・。

 

「来た。」

「あぁ、どうやらそのようだ。」

「皆!!1人も逃がすなよ!!」

「「「はい!!」」」

 

 

 

黒塗りのリムジンの集団が校門の前に並ぶ。

その光景は異様。

だが、この学園においては特に珍しいものではない。

なぜなら、日常茶飯事なのだから。

 

「こらっー!!遅刻するなって言っているだろうが!!」

これでもかと大声で叫ぶ一刀。

こうでもしないと、彼女達の耳に届かないからだ。

彼女達と言うのは・・・・・・

 

「おーほっほっほっほ!!見なさい!!皆さん総出で私達を迎えてくださってますわ。」

本人曰く“雅な笑い声”をあげる麗羽。

麗羽・・・・・学園の3年生。世界をまたに掛ける大手ブランド会社の社長令嬢で、本人も若者向けのブランド開発・販売に関わっていて、結構凄い。ただ、沙和に言わせると「趣味が悪い」らしい。それで、ここが一番重要なのだが、華琳とは赤ん坊の頃から幼馴染で本当に色々あったらしく犬猿の仲。だから、当然のごとく春蘭、秋蘭とも仲はよろしくない。また、二人の付き人の以外の取り巻きも多い・・・・・そういう意味では人気者でどこか憎めないところがあるのだろう。

 

「本当ですね、麗羽さま!!ワクワクしてきましたよ!!」

興奮しているのは猪々子。俺と同じ2年生で、麗羽の付き人。底抜けに明るく元気な娘だ。

ただ、ノリが良すぎるため、麗羽の天然悪巧みに好き好んで参加し悪化させる。天性の賭博し、博打うち・・・・・当たるときは当たるけど・・・・・はずれる時はトコトン駄目。悪い奴じゃない。俺も猪々子は好きだが・・・・・・・・・・・悪い娘じゃないんだ。

 

「どう見たらそう見えるんですかあぁ!!」

この状況を一番わかっているのが斗詩。猪々子と同じように麗羽の付き人で2年生だ。誰にも優しい慕われるお姉さん的な娘だ。ただ、本当に優しすぎるし真面目すぎる・・・・・だから、自身の立場から麗羽と猪々子に強く反発できる。斗詩が二人みたいにノリが良ければ、あんな風に困ることも無いだろうに。

 

 

 

そしてもう一組。

「ふわぁ~、なんじゃ?今日は祭りでもあったかのう?」

大きな欠伸をしているのは、麗羽の従姉妹の美羽。一年生で今年から増えた期待の問題児だ。麗羽と同じく社長令嬢、しかも麗羽と肩を並べられるほど我侭で天然。しかし、その性格も世間知らずというのが大きな原因だ。だから、本当は純粋で素直な娘なんだ。環境がまともなら普通に育ってくれるのだろうが・・・・・。

 

「もぅ、お嬢様ったら。寝ぼけないでくださいよぉ~。今日からあいさつ週間で、あの人達は私達を捕まえるためにいるんですよぉ~。」

「ほぅ、そうか・・・・・なんじゃと!?」

七乃・・・・・全ての元凶・・・・・じゃなくて俺と同じ2年生で美羽の付き人だ。美羽が好きすぎてたまらないと言っても過言ではない。しかも、困ったり泣いている美羽、悪気も無く悪い事している美羽が一番好きらしい・・・・・俺には良くわからないが。今の美羽をつくりあげた娘。

 

「聞いてるかー!?」

「もぅ、うるさいですわね。聞いてますわよ。」

「麗羽・・・・・いい加減、遅刻はやめようか。」

「遅刻?何の事ですの?私はいつも通りの時間に登校しましてよ。」

「それが遅刻なんだよ!」

「そんな事、知りませんわよ。私の時間に合わせられない皆さんが悪いのではなくて?」

「・・・・・はぁ・・・・・猪々子、斗詩。」

「よぅ!あたいはいつでもいいぜ?」

「す、すみません。」

 

「美羽、七乃。」

「な、なんじゃ!わらわは悪い事なぞしておらんぞ!七乃の言う通りに登校して来ただけじゃ!!」

「あははは、おはようございます~、か・ず・と・さん♪」

 

「おはようじゃない!!・・・・・・・一部を除いて、今の現状を把握しているみたいだし・・・・・覚悟はいいな?」

 

「私を誰だと思っているのかしら!?そんなの朝飯前から出来ていますわよ!!」

「おぅアタイはいつでもいいぜ!!」

「一刀さん・・・・・本当にごめんなさい。」

「ぷるぷるぷる。」

「じゃあ、お嬢様。さっさと逃げましょうかぁ。」

 

「皆、かかれ!!」

 

 

・・・・・・・・・・・・。

 

・・・・・・・・。

 

・・・・。

 

――正門前――

「久しぶりだな、猪々子!!」

「おぉ~春蘭先輩じゃないですか。アタイと遊びたいんですか?」

「ふん、お前に先輩呼ばわりされると気色が悪い!!それに、お前程度の奴が遊びになるとも思えん!!」

「なら、試してみましょうか?」

「御託はいい。さっさと来い!!」

 

「向こうは闘う気のようだが・・・・・お主はどうする?」

「できるなら、闘いたくありません。」

「なら、投降するか?」

「はい。・・・・・・いつもの事ながらすみません。」

「気にするな。それに、私も問題児が凄く身近にいるからな。お主の気持はよくわかるぞ、斗詩。」

「あははは・・・・・。」

二人の見つめる先には、猪々子と春蘭が木刀を振り回し周りの人間を巻き込んでいた。

 

 

 

―――場所は変り、校舎裏

「ほらほら、お嬢様~、向こうで麗羽さん達が暴れていうちに逃げますよぉ~。」

「わかっておる!じゃが、七乃のせいで酷い目にあったのじゃ!」

「ですけど、たまたま麗羽さん達と登校時間が重なっただけで、今日も寝坊したのを忘れないでくださいね。」

「それは、七乃が起こして暮れないのが悪いのじゃ!!」

「もぅ、人のせいにして責任を逃れるお嬢様の姿、とても素敵です~。」

「もっと褒めるのじゃ!!そしたら、此度ことは不問にいたすぞ。」

「本当ですか?だったら・・・・・「待て。」・・・・・はい?」

「ひぃ!?」

黒づくめが、いつのまにか美羽と七乃を囲んでいる。

「あらあら、えーっと、どなたですか?」

「・・・・・。」

「何も言わないとは何たる礼儀知らずな者達じゃ!!それに、顔も見せず、全身真っ黒なんて趣味が悪いのじゃ!!」

黒づくめのリーダーと思われる三人が顔を見合わせる。

「・・・・・・・・我々は風紀委員だ。それだけは覚えておけ・・・・・・・・。」

美羽を睨む。

「ぴぃ!がたがた、ぶるぶる。」

「一刀さんも、おもしろい人達を部下に持ったものですね。いつ頃できたのですか?」

「つい、先日だ。」

「そうですかぁ、では、私達はこれで・・・・・「待て。」・・・・・駄目ですか?」

肩を捕まれる七乃。

「当たり前だ。」

「じ、じゃあ・・・・・優しくしてください♪」

「ま、待つのじゃ七乃!!わらわはこんな得体の知れぬ者達に捕まりとうないぞ!!」

「そんな事、言われましても。この状況じゃあねぇ?」

「どうにかするのじゃ!!」

「無理☆」

「七乃~!!!!!」

「・・・・・漫才はすんだか?」

「優しくお願いします。」

「・・・・・無理な相談だ。」

 

 

 

「きゃあああああぁぁぁぁぁ~~~。」

「ぴゃあああああぁぁぁぁぁ~~~。」

 

 

 

校舎裏で断末魔が響きわたる。

 

 

――正門前――

「先輩。」

「どうした凪?」

「いえ、私達は参加しなくていいのですか?」

「そうなの~。これじゃあ、他の人に迷惑なの。」

「せや。一応、うちら3人幹部やで。」

「いいんだよ。他の人達にも経験をつんでもらわなきゃいけないしね。」

「先輩がそうおっしゃるなら・・・・・。」

「むぅ~何か納得いかないの~。」

「ほんまやで。」

「俺的には、沙和や真桜がやる気を出しているのが不思議だ。」

「ちょっ!ひどっ!」

「そうなの!せっかく、たまのやる気をだしているのに~。」

「普段の行いが悪いからな。仕方がない。」

「ちょ、凪も友達なら弁明してやぁ。」

「無理だな。」

「凪ちゃん酷いの~!」

「はははは、まぁそう言う事だから。」

 

「北郷!!」

土ぼこりに汚れた春蘭がやってくる。

「ん?・・・・・お疲れ様、春蘭。」

「ふん、猪々子相手に疲れてなぞおらぬは!」

「そう言っても、猪々子に地面に投げつけられ汚れたのは姉者だ。」

後ろから、笑みを浮かべながら秋蘭がやってくる。

「へぇ、猪々子も凄いな。」

 

猪々子と春蘭の闘いは一方的な勝利ではなかった。

拳や蹴りの手数、威力では春蘭が勝るとしても、単純な力では二人にあまり差は無い。

一瞬の隙をつき春蘭の袖をつかんだ猪々子は、単純な力技で春蘭を引き寄せ、地面に投げ付けたのだ。

ただ、春蘭もそれで終わるわけも無く、逆にスイッチが入り・・・・・猪々子を空高く殴り飛ばし、決着がついた。

 

「次はあんな不覚はとらん!」

「いや、そう言う問題じゃなくて・・・・・・・・・・ケガだけはするなよ。」

一刀はポケットから、ハンカチを取り出し春蘭の顔の汚れをふく。

「む、むぅ。」

「秋蘭、猪々子は大丈夫だった?」

「無事だ。姉者に飛ばされ目を回していたが、斗詩が保健室に連れて行ってくれてよ。」

「そうか、ありがとう。」

「何、私は何もしておらん。姉者が頑張った、それだけだ。それに、肝心の麗羽はいつの間にか逃げていたしな・・・・・いつもの事ながら逃げ足は速い。」

「まったくだ!あの腰抜けめ!!」

「ほら、動かない。」

「・・・・・むぅ。は、はやくしろ!」

「はいはい。それに、麗羽には季衣と流琉を向かわせたから大丈夫だよ。・・・・・ほら、お終い。」

「す、すまん・・・・・そう言えば二人がいなかったな。」

「あぁ、春蘭と秋蘭が闘っているのを見たら感化されたらしくてな、二人で意気投合して探しにいったよ。」

「そうか。しかし、なれぬものだな・・・・・誰かの目標になるということは。」

「そうなのですか?秋蘭先輩を目標としている方は多いと思いますが。」

「そうなの~、部活では部長だしね。」

「いや、私は姉者と違って目立つ存在ではないからな。それに部活とこう言ったものは別の話しだよ。」

 

なぁ、一刀。

何だ?

秋蘭先輩って、美人やし結構目標とされてると思うんやけど。

まぁ、そう意味ではあるだろうけど・・・・・それとは違うんだよ。

何が、うん?うち、ようわからん。

流琉は秋蘭の存在その者を目標としている。容姿もそうなんだろうけど、秋蘭自体の性格とか全てな。

ふ~ん。そう言うもんかぁ。

そう言う真桜にはいないのか?見た目も、性格もその全てが目標ですって人は。

う~ん、昔の発明家とかは目標にしとるけど・・・・・何か違う気がする。

そうだろ?だからだよ。

さいか。

さいです。

 

「さて、北郷よ。ここも、もう終わりだ。それに授業も始まるからな、いい加減戻ろう。」

「そうだね。じゃあ、凪、沙和、真桜撤収を始めてくれ」

「わかりました。」

「了解なの。」

「まかしとき。」

 

 

 

――3年生校舎内、廊下――

「まったく皆さんったらだらしないですわねぇ。私以外が全員脱落するなんて。」

1人、悠々自適に教室に向かう麗羽。

麗羽はここまでの道中、風紀委員に出会っていない。

これも逃げ足の速さと悪運の良さのたまもの。

「まったく、こんな時間に登校か?いい身分じゃないか麗羽。」

 

「あら、その声は地味で普通担当の白蓮さんじゃないですの。」

 

「くっ、人の気にしている事を・・・・・。」

 

「気にしていらしたの?というか何か様ですの?私教室に行きたいんですけども。」

 

「・・・・・はぁ、少しは反省しろよな。遅刻してきたんだから、まずは職員室に行くのが道理だ。」

 

「何をおっしゃっているのかしら。私は遅刻なんてしていませんわ。ただ、いつも通りに登校しているだけですわよ。」

 

「・・・・・本当に悪びれもせず・・・・・いや、ここまで来たら逆にすがすがしいか。」

 

「1人で何言ってますの。それに、何もないのであればどいてください。」

 

「それは無理だ。お前の主張なんて知らないし、私だって頼まれてここにいるんだ。」

 

「頼まれた、誰に何をですの?」

 

「北郷に麗羽を捕まえてくれってな。」

 

「もぅ、北郷さんもわかっておりませんわ。私は遅刻なんてしてませんのに。」

 

「・・・・・もぅ、いいや。」

 

「何ですの。その、人を哀れんだ瞳は。」

 

「まんまだよ。それに、教室に行きたきゃ行けばいいさ。まぁ、後ろの二人から逃げられたらだけどな。

 

「後ろの二人?」

静かに振り向くが、誰もいない。

「誰もいませんわ。」

「・・・・・麗羽。」

「さっきから何ですの。」

「生きて会える事を祈ってるよ。」

「はい?あいかわらず・・・・「ガシッ!!!!!」・・・・痛!!」

あまりの痛みに声をあげてしまう。

そして、痛みが走る両手を見ると・・・・・・

青筋を浮べた季衣と流琉がいた。

 

説明しよう、麗羽は単純に振り向いたため視線より下の季衣と流琉に気付かなかったのだ!!

そして、その行為は二人の少女に深い傷をあたえた。

 

ミシッ!!

両手が軋む。

「痛いっ!!痛いですわよ!!それに、折れるぅう!?」

もはや痛みに舌がまわらない。

「麗羽先輩。私達と一緒に職員室に行きましょう。」

「そうだね。途中で逃げ出されても困るし、ボクと流琉でしっかり離さないでおこう。」

「うん、そうしましょう。」

「え!?そんな事されたら、って痛っ!!!!ちょっと白蓮さん助けてくださいまし!!」

「自業自得だ。」

「ほら、麗羽先輩行くよ!!」

ギュッ!!

「ぎゃぁあぁぁあ!?」

「白蓮先輩、足止めありがとうございました。」

「いや、気にするな。北郷の頼みだしな。」

「いえ、兄様も感謝していましたよ。では、また。」

ギュウゥゥゥ!!!!

「!!!!!!!!」

もはや声にもでないらしい。

 

・・・・・・・・・・麗羽は二人にひきづられていった。

 

 

 

こうして、今日も平和に1日が始まった。

 

 

――時は進み、生徒会室――

「てなわけで、これが今日の報告書。これからしばらくは、大人しくなると思う。」

「ありがと。それにしても一刀。春蘭と秋蘭を放課後誘ったんですって?」

「・・・・・まぁね。」

視線が痛いです華琳様。

「・・・・・ふん。まぁいいわ。あの二人をちゃんとエスコートしてあげなさいよ?」

「わかってるよ。」

「なら、いいわ。それと・・・・・・。」

「・・・・・今度は何ですか?」

「そんな身構えないでよ。例の黒い娘達だけど、初めてながら今回の働きは立派だったわ。だから、今後は本格的に動かしていく。そのつもりでいてね。」

「・・・・・了解。」

「じゃあ、二人のところに行ってらっしゃい。」

「おぅ。華琳、またな。」

「えぇ。」

北郷が部屋をあとにする。

 

「けど、珍しいわね。あなたが一刀に力を貸すなんて。」

「・・・・・仕方あるまい。」

部屋の隅に、ふいに現れる3人の少女。

「雪蓮様の命もあるが、あいつ自身が頭を垂れて頼んできたのだ。私とてその気持を無下にするつもりはない。」

「ふーん。あなた、想像以上に素直ではないのね。」

「・・・・・何の話しだ?」

「・・・・・何でもないわ、では今後ごとも一刀の力になってあげてね・・・・・思春、明命、亞莎。」

「言われなくても。」

「はい、一刀先輩は必ずお守りします!」

「微力ながら頑張ります。」

 

北郷のために力を使うと誓う、少女達。

 

その少女達の瞳には明るい光がある。

 

 

 

 

 

だが、同じ学園内に・・・・・

 

漆黒の闇を瞳に宿す者達がいた。

 

 

――学園内、某所――

その場所は放課後になるにつれ、闇がさす。

 

人がいないわけでもないが決して多いわけでもない。

 

本当に限られた人しか集まらない場所。

 

そこに彼女達はいた。

 

「北郷一刀・・・・・。」

蒼天の瞳とは裏腹に、漆黒の闇を瞳に宿す少女。

「まさか、この学園にいるとは思いませんでしたね。いやはや、運命とはおもしろいもので。」

太陽の光のような髪をなびかせ、怒りを瞳に宿すもう1人の少女。

「・・・・・忘れてしまったのでしょうか。」

「・・・・・もぅ、随分と昔の事ですからありえない事ではありませんね。」

「そう・・・・・ですよね。」

「ただ、思い出すかもしれません。そのために、風はわざと大事なお人形を落として来たのですから。」

「・・・・・あいかわらずですね、風。」

「いえいえ、これも全ては稟ちゃんのためですよ~。」

「嘘はいけませんね。自分のためでしょう?」

「・・・・・・Zzzzz。」

「・・・・・・・そうですね、今は寝て待ちましょうか。」

「ん~~~、果報は寝てまつのですよ~。」

「それも・・・・・そうですね。」

 

 

 

DAI3WA NI TUDUKU

 

 

予告

「私には・・・・・大切な約束がある」

 

「風にも何にもかえられない約束があります。」

 

「「ただ、それは幼い時の淡い思い出・・・・・・。」

 

「「次回、漆黒の図書室。」」

 

「北郷一刀・・・・・あなたは忘れてしまったのですか?」

 

「お兄さん・・・・・今度は記憶からも消えてしまうのですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ!?なにこの急展開!!・・・・・っていうか俺が原因ですか!?」

作者からの一言コーナー

急展開!?ってなわけではないです。まぁ、ラブコメには定番?的な演出をしてみたかった作者の妄想が爆発した!!ってな感じです←本人も意味不明。

 

てなわけで、今回はやってきました第2話。遅くなりました、すみません。今回はあいさつ週間を題材にしましたが、まぁ自由すぎたと言うか何と言うか・・・・・鬼ごっこはじまるまで長すぎました。また、もう少し一人一人のエピソードを濃くしたかったですね。あと、空気なキャラが多すぎた。色々な反省がありますが、今後ともこんなのでよければ応援お願いします。

 

では、次に設定資料集的なものです。

 

学年について

今まで登場したキャラのこのお話し上の学年設定です。

先生・・・・・雪蓮

3年生・・・・・春蘭、秋蘭、麗羽、白蓮

2年生・・・・・北郷一刀、華琳、愛紗、桂花、七乃、霞、恋、蓮華、思春

1年生・・・・・凪、沙和、真桜、季衣、流琉、朱里、雛里、明命、亞莎、稟、風、美羽

多分、これで全員のはず。

 

聖フランチェスカ学園

このお話しの舞台となる学園です。敷地が広く、緑が豊かな学園になっています。

また、このお話しの中での設定になりますが、正門から来る生徒は基本実家から学園に登校してくるという感じにしています。正門はスペースが広いくロータリー的な役割もできます。また、正門をくぐると校庭に直結しています。

そして裏門ですが、裏門の方向に男女の寮と孫堅神社が位置していると思ってください。裏門は緩やかな坂道と両脇に桜が埋められているような感じです。ちなみに第1話の冒頭で一刀と凪も裏門を通ってきています。

 

 

勢力図について

勢力が存在します。今後はこの勢力内でのお話しも出てきます。

勢力と言っても、学校内にある仲間内グループを壮大にしたものと思ってください。

 

1つ、生徒会役員を中心とした華琳のグループです。

一刀はどちらかと言えば、このグループ寄りなります。

 

2つ、蓮華を中心とした孫堅神社に縁のある人達のグループです。

また、今特別顧問である雪蓮も一応はこのグループです。

 

3つ、前生徒会長を中心とした桃香のグループです。

まだ登場はしてない桃香ですが、メンバーには原作の蜀の面子が入るものと思ってください。今のところは愛紗、白蓮ですね。

 

4つ、麗羽、美羽のグループです。話しの中でも説明しましたが、お金持ちのお嬢様グループになっています。

ですが、勢力の中では最も多くの人数が所属しています。主要ではなくモブ的な方々ですが。メンバーは、麗羽、猪々子、斗詩、美羽、七乃です。言わずと知れた袁家ですね!

 

5つ、???としておきましょう。

まだお話しの中では出てきませんが、後半の主要人物となります。

まぁ、恋姫ファンの方々なら「へぅ。」とだけ言えばわかるに違いない。

 

最後に北郷一刀のグループです。

一刀は華琳のグループ寄りですが、このグループは単純に北郷一刀を慕ってやまない人達のグループとい事になるため、他のグループと重複するキャラがでてきます。

今のところ、純粋なグループメンバーは凪、沙和、真桜、季衣、流琉と風紀委員となっています。

 

 

その他のキャラについては登場次第説明文をいれていきたいと思います。

また、お話しの中でわからなかったらそのむねをお伝えください。

お話しの進行上で当たり障り無ければ質問に答えたいと思います。

 

では、今度は第3話で会いましょう

 

 

 
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