とある学園の無双譚
第1話 ~北郷一刀の日常~
桜の季節が終わり、日の光は強く、緑はより濃くなっていた。
俺の名は北郷一刀。
そこらへんにいるただの高校二年生だ。
何の特技もなく、特に目立たない高校二年生。
「おはようございます、先輩。」
「おはよう、凪。朝早いね。」
「いえ、いつもの癖とでも言いますか、早く起きてしまうので。そういう先輩は、朝練か何かですか?」
「いや、今日は生徒会の集まりがあってね。風紀委員の活動報告をしなきゃいけないんだ。」
「・・・・・・頑張ってください。」
朝から疲れた顔をする一刀に凪は苦笑いを浮かべる。
「まぁ、これが俺の仕事だしね。」
凪と何気ない会話をしながら学校に向かう一刀。
この何気ない日常が幸せと思う。
そして、こういった事があるから今日一日頑張ろうって思うんだ。
――生徒会室――
中に入った瞬間だった。
前言撤回。
朝の凪との会話が最後の思い出になりそう・・・・・・そう思うほど部屋の空気が重い。
そして視線が痛い。
「今朝は誰と歩いてたのかしら?」
見られてた・・・・・・・そう考えると今の空気に納得できる。
だからか・・・・・・。
「・・・・・・・凪とだよ。たまたま会ったから一緒に来たんだ。」
「へぇ~、たまたま・・・・・・・ね。」
「そう、怒らないでくれよ。」
「別に怒ってなんかないわよ。ただ・・・・・無性に機嫌が悪いだけ。」
それを、怒る以外に何て言うんだ・・・・・・。
「話なら後でちゃんと聞くから、今は会議をしよう。な?」
「・・・・・・・・・・・ふん。言われなくてもわかってるわよ。・・・・・秋蘭、話をはじめて。」
「はい。」
秋蘭、俺より一つ上の三年生。
生徒会では書記のはずなのだが、こういった会議の司会なども彼女の仕事だ。
本来なら副会長がやるべきことなのだろうが副会長である春蘭は見当たらない。
・・・・・・・寝坊か?
春蘭、秋蘭といえばこの学園で知らないものはいない双子の姉妹だ。
姉の春蘭は一言で言えば喧嘩番長、妹の秋蘭は文武両道の完璧人間。
春蘭は持ち前の運動能力の高さから各運動部の助っ人、秋蘭は弓道部の部長でエースだ。
そんな二人なのだが、家柄の関係とか何とかで生徒会長の付き人をしている。
逆に言うと家柄の関係とは言え、付き人として二人を従えている生徒会長が凄い。
では、その生徒会長とはどんな人物なのか?
完璧人間を越す、完璧超人とでも言おうか。
勉学では常に学年の上位、腕の強さも俺なんか足元にも及ばない。
何でも出来る。その一言につきるだろう。
そんな生徒会長こそ、俺に一番に話しかけ、この空気を作った張本人。
華琳・・・・・・・通称学園の覇王だ。
そして、何故か俺の許婚を宣言している・・・・・・・この話はまた後日にしておこう。
ただ・・・・・会議中ですら視線が痛い。
怖いので眼を合わせていないが・・・・・・・確実に睨まれている。
「以上だ。では来週からあいさつ週間を兼ねた風紀週間を始める。北郷良いか?」
「!!・・・・・・あ、あぁ。」
「ちゃんと話を聞け。」
「すみません。」
「来週から動けるか?」
「もちろんです・・・・・・・と言いたいですが、生徒会からも人員は使えますよね?」
「それは問題ない。姉者はやる気まんまんだ。」
「・・・・・・・・・・・それが一番不安だ。」
おもわず、素で不満をもらす一刀。
「そう言うな。姉者もお前を認めておるからはりきっているのさ。」
「・・・・・だったら嬉しいけどね。」
「ふふふ・・・・自信を持て、北郷。・・・・・華琳さま、今日は以上ですがよろしいですか?」
「えぇ。」
「では、解散!!」
「一刀・・・・・お昼休み、屋上で待ってるから。」
「・・・・・わかった。」
だからその視線は痛いからやめてほしい・・・・・。
生徒会室を後にすると、美しい黒髪の少女と凛々しい赤髪の少女に声をかけられた。
「朝から大衆の面前でイチャイチャするとは良い度胸をしてますね。」
「そう、怒るなよ愛紗。北郷も好きでやってるわけじゃないんだからな。」
「・・・・・いや、何ていうか・・・・・今朝も普通に話してただけで、怒られる俺が被害者なわけでだな・・・・・。」
「その普通が怒られる原因であると自覚なさってください!!」
「ご、ごめん・・・・・。」
「まぁまぁ落ち着けって。北郷も悪いわけじゃないけど・・・・・な?」
「はぁ・・・・・。」
先ほどから怒りをあらわにしている黒髪の少女の名は愛紗、学年から数名出される生徒会役員で言わば学年の代表だ。
容姿もさることならが、手が行き届いた黒髪の美しさは学園の話題だ。
そして、その容姿の美しさから男女関係なく好かれている。
好かれているというのは、片思いの相手という意味だ。
去年のバレンタインデーは本当に凄かった・・・・・・いろいろな意味で。
そんな愛紗も俺以上に凄い人で、学年も同じなんだけど、何故か俺に敬語を使う。
んで、先ほどから俺のフォローをしてくれているのが三年の白蓮先輩。
部活委員長なるこの学園全ての部の代表だ。
同じ委員長として、俺は良くしてもらっている。面倒見の良い先輩だ。
目立った活躍や話題は無いけれど、前生徒会長の片腕として活躍したってことだけは事実らしい。
「それはそうと・・・・・ほら、そろそろ授業だろ?遅刻するなよ。」
「あれ?意外と時間が過ぎてたのか。すみません、失礼します。」
「白蓮先輩、お先に失礼します。」
頭をさげ、去って行く一刀と愛紗。
・・・・・愛紗、何も不安がること何てないさ。お前らはお似合いだよ・・・・・
肩を並べ廊下を走り去ってゆく二人に、少し寂しそうな視線送る白蓮だった。
時間は進み・・・・・
――昼休み――
俺は授業終了のベルが鳴ったと同時に屋上へと足を進めた。
普段なら購買に出かけるところなんだけど・・・・・。
「あら、思ったより早かったじゃない。」
「華琳に呼ばれたからな。」
「殊勝なことね。」
屋上の扉を開けると、そこに一つの芸術作品のごとく華琳がいた。
やはり人一倍・・・・・それ以上に存在感がある。
そして、なんと言うか・・・・・やっぱり綺麗なんだよな。
「私の顔に何かついてるかしら?」
「目と鼻と口とその他もろもろ?」
「・・・・・・・・・・そんなつまらない事を聞いたわけではないのだけれど?」
「だってなぁ・・・・・。」
俺は視線をとある方向へと向ける。
華琳の足元。
まるで主人に従う犬のよう・・・・・。
そんな犬は、俺に殺意を向けている。
「桂花、やめなさい。」
「・・・・・・・はい。」
桂花。
俺と華琳と同じ二年。
彼女は秋蘭たちとは違い、家柄とかではなく純粋に華琳を愛し、華琳に付き従っている。
そして、生徒会に所属し会計をしているのだが・・・・・・。
「そういえば、今朝会議にいなかったよな?」
「あんたに関係のないじゃない。」
「いや、生徒会役員の台詞かそれ?」
俺は彼女に一方的に嫌われている。
「桂花はね・・・・・女の子が酷くて今朝は来れなかったのよ。」
「か、華琳さま!?」
余談だが、桂花をいじめている時の華琳の顔はとても素晴らしい。
「さて、一緒にお昼を食べましょうか。」
「華琳さま~。」
あぁ・・・・・完全に桂花をスルーしてる・・・・・とても素晴らしい笑顔で。
「今日は秋蘭がつくったわけではないのよ。」
「へぇ~、珍しいな。」
泣いている桂花を尻目に俺たちは弁当に箸を伸ばす。
普段は秋蘭が見た目・中身ともに豪華なお弁当を毎回作っているのだが、今回は・・・・・。
「何か容器が普通だな。」
「まぁね。でも味は保障するわ。」
「和食か、どれ・・・・・・。」
肉じゃがを一口・・・・・。
「・・・・・・ん!!うまい!!」
「そうでしょ?」
「本当に秋蘭じゃないんだ?」
「あぁ、さすがにこの味だけは真似できん。」
「秋蘭にここまで言わせるなんてただものじゃないな。」
「何といったか、入学式が終わって1週間くらいで新しい部活の申請にきた・・・・・。」
「あぁ~手芸部の子達か。」
「そう、それだ。その中にいるのだよ。料理の腕がたつ奴がな。」
「流琉と言ってね・・・・・この味は本当に凄いわ。」
「んで、その子をどうしたいんだ?」
「あら、話がはやいじゃない。そうね、彼女たちが良いと言えば生徒会で無くても私の目の届く範囲に置いておきたいのだけれども・・・・・。」
「会長なんだから、どこにいたって目は届くだろうに。」
「そういうものではないの。わかってるでしょ?」
「・・・・・はいはい。」
「ちょっと何!?そのやる気の無い返事は!?」
「桂花、よしなさい。」
「うぅ~・・・・すみません。」
「それで、俺は何をすれば良いんだ?」
「彼女たちを風紀委員に入れたいのよ。」
「・・・・・こちらとしては人数が増えるからいいけど・・・・・。」
「不満?」
「風紀委員は華琳の玩具じゃないぞ。」
「そんなことはわかっているわ。風紀委員は私の大切な宝物だもの。」
その言葉と華琳の笑顔に俺は心を奪われてしまう。
そして、俺の心は簡単に折れる。
「・・・・・・・・・・わかった。来週の風紀週間に誘ってみるよ。」
やっぱり華琳にはかなわないな。
「頼むわね。」
「その前に華琳、一つ質問があるんだけど。」
「何かしら?」
「彼女たちってのは?」
「流琉の親友に季衣って子がいてね・・・・・そうね、小さい春蘭みたいな子って思えばいいかしら。」
「・・・・・なるほど。」
「それに季衣と流琉、二人とも体力測定の結果は一年にして学園のトップクラスよ。風紀委員としても使える存在・・・・・だから安心しなさい。それに、流琉の方は言い方が悪いけれど出来れば連れて来て。風紀委員として、確実に必要なのは季衣って子の方よ。」
「わかった。じゃあ俺は華琳のために頑張るよ。」
「ありがと。」
この日、二度目の俺に向けられた笑顔。
やっぱ・・・・・かなわないな。
「そう言えば、春蘭は?」
「・・・・・・・・・・。」
いや、何で目線をそらすんですか、華琳さん?
「ふん!!」
桂花は・・・・・・まぁいつもか。
「・・・・・言ってなかったか?姉者は助っ人だ。」
ばつが悪そうに秋蘭が言葉を紡ぐ。
「そうだったんだ。今度は何の?」
「・・・・・・・・・・レスリングだ。」
そのとき、屍の山の上に立ち勝ち誇る春蘭を、俺は簡単に想像することができた。
チャイムが鳴り、お昼の終わりを知らせる。
「・・・・・・・・・さて、俺は授業に戻るけど?」
「私も暫くしたら戻るわ。」
「・・・・・いくらつまらないからってサボるなよ、華琳。」
「安心しなさい、今日は出るわ。」
「今日はね・・・・・。」
悪気のない華琳の笑みに苦笑いをうかべ、俺は足早に屋上を後にした。
その後は特に何をするわけでもなく、授業の消化。
一刀の席は窓側の一番後ろ。
普段は真面目に授業を受ける一刀なのだが、今日はずっと空を眺めていた。
――放課後――
ほとんどの学生は部活動や委員会活動などで、青春を謳歌する時間。
一刀も例外ではなく、まずは剣道場へと向かう。
「か、一刀・・・・・。」
「ん?」
声をかけられ、振り向いた先にいたのは一人のお姫さま。
何故、お姫さまなのか?
容姿、物腰もさることながら・・・・・彼女には華琳同様、付き人がいる。
華琳が覇王でこの子はお姫さま。
と言ってもこの子にお姫さまって、そんな事を言っているのは俺だけなんだけどね。
「・・・・・剣道場まで一緒に行かない?」
「いいよ、行こう蓮華。」
「えぇ。」
その返事が嬉しかったのか無邪気な笑みを浮かべ一刀と共に歩き出す蓮華。
彼女の頬はわずかに紅い。
「そう言えば思春は?」
「今日は家の用事で先に帰ったわ。」
蓮華、俺と同学年で演劇部少女役のトップ。
容姿端麗の一言につきる。ただ、負けず嫌いで頑固なところがたまにキズだ。
けど、そこも蓮華の良いところ。
そんな蓮華の家は学園の裏山にある大きな神社だ。
思春っていうのが蓮華の付き人で、同学年。寮ではなく蓮華の家に部屋を借りている。
そのためなのかどうなのかは知らないけど、思春は常に蓮華の周りで目を光らせている。
悪い虫がつかないようにしているんだけど・・・・・その矛先がいつも俺なんだよな、毎回睨まれるし。
「き、今日はどうだった?」
「ん~、いつも通りかな。」
「そ、そう・・・・・。」
「「・・・・・・・・・・。」」
会話したのはたったそれだけ。
他に何かするわけでも無くただ短い道のりを一緒に歩いた。
蓮華が何を考えているかわからないけど、横を歩いている蓮華の顔は幸せそうだから・・・・・
俺は何かしようとも話そうとも考えなかった。
俺も蓮華のそういう顔が好きだから。
「じゃ、お互いがんばろうな。」
「え・・・・・えぇ。」
剣道場につき、俺は蓮華に軽く手を振る。
蓮華も頬を少し紅らめされながら手を振り返してくれた。
そんな蓮華の後姿を見送って、道場に入ろうとしたその時だ、
扉が開いたかと思うと飛び出してくる一つの影。
俺は影を受け止めると、一つのため息を漏らす。
「ちょっと何でそこでため息をだすの?せっかく、妹を送ってくれたお礼をしてあげたのに。」
頬を膨らます。
「悪い意味ではないですよ、雪蓮さん。」
「一刀は女の子に抱きつかれるのは嫌いだっけ?それに何で敬語なのよ。」
「いや、だって今から部活ですよね?」
「つまんないわね。」
影の正体は雪蓮、去年この学園を卒業した先輩だ。
そして、蓮華の姉で当代孫堅神社の長。
神主というべきかもしれないが、本人曰く違うらしい。
では、その先輩が何故こんなところにいるかというと・・・・・・。
剣道部の特別顧問で、正式に学園から依頼されているためだ。
「公私はつけるべきですよね?」
「お堅いなぁ~一刀は。」
頬をまた膨らませ何かを訴える雪蓮。
「・・・・・・・・・雪蓮が自由すぎるんだよ。」
さっきと同じくため息をもらす一刀。
「そういうことにしておいてあげる♪」
そして、二人同時に笑みを浮かべるのであった。
一刀と孫堅神社の人たちとのお話はまた別の機会に語らせてもらおう。
何故か?
理由は1つ。
剣道場がある場所は、武道館と呼ばれ剣道をはじめ柔道、空手、弓道など数多くの武道の道場が集まっている。
つまり・・・・・・・・・・
「一刀殿?」
「や、やぁ・・・・・愛紗」。」
薙刀部も例外では無い。
「じゃ、一刀頑張って~。遅刻はなしにしておいてあげるから♪」
「ちょっと雪蓮!?」
私は悪くないでしょ♪そう、言わんばかりの満面の笑。
そして楽しそうにスキップしながら、この場を去っていく。
「あなたと言う人は・・・・・・・・神聖な武道館の前で何をなさっているのですかっ!」
「だから俺は悪いことはなに・・・・・うぉ!!」
問答無用と振り下ろされる。
しかも愛紗が今持っているのは薙刀ではなく、堰月刀といって正真正銘の武器。
武道場に飾ってある、数多の武器の展示物の一つなんだけど・・・・・・・どっからだした!?
「ち、ちょっと!!」
「その性根、いや・・・・・・全てを私が叩きなおしてさしあげましょう!!」
「洒落にならない!!」
「本気ですから!!」
「そういう意味じゃやない!!」
「問答無用!!」
この後、武道館の周りで壮絶な鬼ごっこが繰り広げられた。
だが、他の学生はいつものが始まったのだと、誰も気にかけないでいるのであった。
「誰か助けて!!マジで死ぬって!!」
愛紗から逃げ、部活では雪蓮にしごかれ・・・・・一刀の身はボロボロだった。
だが、彼は休むまもなく特別棟に向かっていた。
特別棟とは家庭科室、コンピューター室、理科室などの実習や授業の実験等で私用する教室が集まった場所である。
「結構、遅くなっちゃけど・・・・・・いるかな?」
特別棟に着き、暗がりの廊下を歩く一刀。
そして廊下にもれるわずかな光を見て家庭科室の扉をたたいた。
「すみません、お邪魔してもでいいすか?」
「は、はい・・・・・・。」
扉が開き、目の前に立っていたのは背が小さい青い髪の女の子。
帽子をふかくかぶり顔が見えない。
「え、えっと・・・・・手芸部はここでいいですか?」
「あ、あわ・・・・・・。」
「あの・・・・・・。」
「あわわわわわ・・・・・・・。」
何故だろう・・・・・怯えられてしまった。
どうしよう・・・・・・?
「は、はい!!そうでしゅ!!」
響くのは大きくも噛み噛みな声。
「え、えっと手芸部でいいんですよね?」
「は、はい!!」
「こちらに流琉さんと季衣さんはいらっしゃいますか?」
「い、今は出かけてましゅので、もう直ぐ戻ってくると思いましゅ!!それまで待っててくだしゃい!!」
「は、はい。」
なんだろう・・・・・この空気。
教室の隅に座った俺の前に、さっきの青い髪の子と噛んだ子がお茶とお菓子をだしてくれた。
「いいんですか?」
「ど、どうぞ・・・・・。」
「ありがとうございます。」
では、さっそく一口・・・・・・・
「ん!?」
「あ、あの・・・・お味はどうですか・・・・・?」
「ん、美味い!!」
「ほ、本当ですか!!」
「うん!!凄く美味しいね!!」
「よかったね、雛里ちゃん!!」
「う、うん。そうだね、朱里ちゃん。」
「えっと、朱里さん、雛里さん。こんなに美味しいものをありがとうございます。」
「!!い、いえ!!こちらこそ、北郷さんに美味しいと言われて光栄でしゅ!!」
「あわわわわ・・・・・。」
「ん?俺のこと知ってたの?」
「は、はい!!おそれながら!!」
「俺って・・・・・・・「良い匂いだ~~~!!」・・・・・・・ん?」
扉をもの凄いで開け大きな声で、5人の少女達が入ってきた。
「季衣ちゃん、流琉ちゃん!!」
「・・・・・・・沙和に明命さんに、亞沙さん。」
「うにゅ?」
「はい?」
「あ~、一刀さんなの~」
「一刀先輩!!」
「一刀さん!!」
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・。
「「「「「はい?」」」」」
「そう言うことですか。」
この子の名前は明命。
黒い長い髪が特徴的な、真面目で明るい女の子だ。
猫が大好きでたまらない子で、確か生物部の内部でお猫様ファンクラブの会長をしているという変な噂を聞いたことがある。
あと運動能力も高く、確か短距離とか幅跳びとか高飛びだとかで活躍しているはずだ。
「けどまさか、こんなところでお会いするとは思ってもいませんでした。」
この子は亞沙。
茶色の長い髪を二つの大きな団子にしている。
亞沙も真面目で成績は超がつくほど優秀。
とても良い子なんだけど、恥ずかしがり屋なのが特徴かな。
へぇ~、手芸部に所属してたんだな。
そう考えると意外と人数多いんだな。
この二人も孫堅神社に部屋を借りていて、その関係で知り合いだったりする。
「そうなの~、でも勧誘って凄いことなの~。」
んで、最後のこの子は沙和。
俺と同じ風紀委員なんだけど、お洒落が大好きでたまらない。
手芸部に入ったのは最近で、服飾系をがんばっているそうだ。
まぁ、うちの学校もそこまで服装とかに厳しいわけではないから良いけど・・・・・校長と理事長があれだし・・・・・・・・・・・やばい、思い出すだけで背中から冷や汗が。
とまぁ、今俺は皆に俺が何でここにいるのか話したんだけど・・・・・この子達3人と流琉さん以外は話し聞いてなさそう・・・・・・・・・・。
んで、さっき噛んだ子が部長で朱里、んでこっちの青い髪の魔女帽子の子が副部長の雛里。
二人とも凄い緊張しているし、肝心の季衣って子はお菓子を食べていて話を聞いていなさそう・・・・・・・・・・。
「それで、二人とも委員会活動にもし興味があるなら来週から参加してもらいたいんだ。もちろん、部活やプライベートを優先してもらってかまわない。何しろ風紀委員なんて言ったって、学校の校則があれだから、厳しいわけでもないしね。」
服装に関して、持ち物に関して、恋愛に関して・・・・・正直言ってこの学校の校則は甘い。
かなり自由だし許されているものも多い。
自主性が強いのだが、はめをはずしすぎる奴らもいるわけで・・・・・・。
「えっと、わ、私はやって・・・・みたいで・・・・です。」
最後のあたりは、恥ずかしさのあまり小声になってしまったが、黄緑の髪の子・・・・・流琉がよい返事をくれた。
「ん?流琉がやるなら僕もやるー。」
一番の当事者である季衣は確実的に流れで返事をしている。
「ま、まぁ・・・・・そう言ってくれる事は嬉しいんだけど・・・・・・本当にいいの?」
「一刀さん~。そういう返し方は失礼だと思うの~。」
「いやまぁ、そうだと思うけど・・・・・何だろう今の流れで良い結果がかえってくるとは思わなくて。」
「いえ・・・・・実は私と季衣は生徒会に憧れているんです。」
そう言葉に出したのは流琉だ。
「私がこの学校の説明会に来た時、秋蘭先輩が案内してくれたんです。」
・・・・・そう言えばそういう事してたな。
「それで、生徒会の人って学校のために色々なことをして、頑張っていて、本当に凄いなと思いました・・・・・だから・・・・・・・。」
「そういうことなら、大歓迎だよ。これからは一緒に頑張ろう。まぁ、秋蘭の直属ってわけでもないから、そこはごめんとしか言えないけど。」
「い、いえ!・・・・・・・・・・・それに本当は・・・・・・。」
「ん?」
頬を赤らめて俯いてしまった。
なにやらモジモジしているし・・・・・・・・。
「体調悪い?」
そして、自然と流琉の額に手をあてる。
「ひゃっ!!」
「熱はないみたいだ。」
「だ、大丈夫です。」
「「「じっーーーーー。」」」
そして、ふと気付く。
邪悪なる視線。
「な、なんだよ。」
「なんでもないの~、ぶ~。」
「・・・・・なんでもありません・・・・・あぅ・・・・・。」
「・・・・・・な、なんでもないです!」
明らかに何かあるだろ。
「そ、それに!!季衣は季衣で春蘭先輩に憧れていますし。」
この空気を打破すべく声をあげる流琉。
まぁ、等の本人は恥ずかしさを紛らわしたいだけなのだが。
「うにゅ?」
「そうなの?」
「うん!!だって、初めてなんだ。」
「初めてって・・・・・何の事か聞いていいかな?」
「うん、えっとね・・・・・体力でも力でも僕に勝っている人に会ったの!!」
季衣が言うには、今まで体を動かす事柄について自分に勝てる人が周りにはいなかったそうだ。
大人でも季衣には負けていた。
そんな中、流琉と来た学校の説明会で初めて目の辺りにしたそうだ。
自分よりも早く走り、力持ちで、誰よりも強い人に。
確かに、あの時春蘭はスポーツ部門の勧誘等を一気に引き受けていたからな。
余計に目立ったんだろう。
それで、この学校に入って、勝負してみたくなったのか・・・・・・本当に小さい春蘭だな。
「だけど、凄いよねこの学校って。僕より強い人が沢山いるんだもん!!」
「それがわかっても春蘭に憧れているんだ。」
「うん!!だって、カッコイイだもん!!・・・・・・・・それに・・・・・・・・。」
「ん?」
流琉と同じように頬を紅くしてモジモジしだす。
「大丈夫か?」
また、額に自然と手が伸びる。
「ひゃっ!!だ、大丈夫だよ。」
「そうなら良いんだけど。」
「「「じっーーーーー。」」」
もう、この際この視線はスルーしてしまおう。
「と、いうことなんだけど、二人ともお借りしていいかな朱里さん?」
「は、はわっ!?だ、大丈夫でしゅ。る、流琉ちゃんにはお料理を教えてもらうお時間がいただけれびゃ、も、問題ないでしゅ。しょ、しょれに、季衣ちゃんはもともと試食とかにつきあってもらっているだけ、で、でしゅから。」
「しゅ、朱里ちゃん・・・・・噛みすぎだよ~。」
「大丈夫なら・・・・・いいんだ。」
何だかんだで良い結果になれたし、それに・・・・・こんなに可愛い子達と知り合いになれたしね。
そして、ふと一刀は思う。
まだ、学年がはじまって間もないのにこの子達には親友と呼べる確実な信頼関係がある。
それが見れて何故かとても嬉しい。
「よしっ!!沙和!」
「何なの~。」
「・・・・・・・・何に不貞腐れているかは知らないが・・・・・これから何処かに遊びに行かないか?ほら、はやいけど二人の歓迎会って事で。」
「それって~、一刀さんの~?」
「あぁ、奢りだ。ただし、高いのはたかるなよ。」
「そんなのわかってるの~!!凪ちゃんや真桜ちゃんも誘っていいよねぇ?」
「当たり前だろ。」
「きゃ~、やった~!!」
手を振り上げ、飛び跳ねて喜ぶ沙和。
「という流れだけど二人は?」
「は、はい!!行きます!!」
「うん!!僕も!!」
「うん。良い返事だ。・・・・・・・皆もどうだい?」
「「はいっ!!」」
「はわっ!あ、あの、ここのお片づけが終わってからでも良いでしゅか!!」
「もちろん。それに俺も手伝うよ。」
「あわ・・・・あ、ありがとうございます。」
この後、俺達は凪と真桜と合流して、一路おいしいと評判のアイスクリームを食べに行くことになった。
――生徒会室――
「ふふふ・・・・・。」
窓の外を楽しげに見つめる華琳。
「どうかなさいましたか?」
「・・・・・一刀たちが上手く言ったみたいよ・・・・・。」
そう言われ、秋蘭も窓の外を見る。
「ふふっ・・・・・本当に北郷はおもしろい。」
「ええ・・・・・だって唯一の人間だもの。」
「それも、そうですね。」
はしゃぎながら帰る娘(こ)達に囲まれて、一人笑う一刀を二人は微笑みながら見つめていた。
第2話へつづく?
予告
「季衣だよ!」
「流琉です!」
「次のお話しは僕達があいさつ週間に挑むんだ!!」
「私達の活躍を、是非見てください!!」
「「次回、恐怖?あいさつ週間!!」」
「色々な恋姫達が出てくるから見逃さないでね!!」
「えっと・・・・・・えーーーーー!!こんな恋姫達が!!ねぇ、季衣。私達じゃ無理だよぉ~。」
「大丈夫だって~。だって兄ちゃんいるし。」
「そ、そうよね。兄様がいるもんね。」
「お話しとは直接関係ないですけど~、■も出るのですよ~、くふふふ。」
「私も出ますので、どうぞよろしくお願いします。」
作者からの一言言い訳コーナー
ついにはじまってしまいました無双譚!!完全に作者の自己満足の作品となっています。まぁ、某純愛エロゲーにはまり学園物でハーレムいいなぁ~と思ったのが運のつきでした。なので、原作を完全に無視をしていますが・・・・・・ここまで読んでくださった方々はそんな事を気にしない!!って人たちだろうと勝手に解釈します。
読んでくださって、本当にありがとうございます。
今回は、アニメっぽく1クールで作品を終わらせようと考えていますが、書きたいことが多すぎで悩んでいます。また、続けるつもりではありますが、本当に気長にまってください。心・恋姫シリーズと同じように今月中に設定などを投稿しようとは思います。本当は順序がぎゃくなのでしょうが、ご了承ください。ちなみに、何か書いてほしい学校行事等がありましたら、どしどし意見をください。
ちなみに今のところ⇒遠足、テスト、運動会、学園祭、修学旅行といった、まぁ通常の学校イベントは話しにするつもりですのでよろしくお願いします。また、このキャラのこんな話を読んでみたい!!的なものでも構いません。といっても書くのは作者ですので、そこのところよろしくお願いします。
では、また会う日まで!!
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この作品は真・恋姫†無双の二次創作となっております。完全に原作を無視しており、かなりオリジナル設定にあふれております。ですので、苦手な方は申し訳ありません。また、駄文ですので誤字、脱字等がございましたら、申し訳ありません。では、どうぞごゆっくり。
ちなみに、設定としては恋姫の学園モノです。