No.198824

真・恋姫無双 魏が滅亡した日 Part3 重なる記憶

見習いAさん

記憶の交差の恐ろしさ

2011-01-30 22:26:41 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:5807   閲覧ユーザー数:5136

「あ、あれ・・・・」

 

(俺、なんでこんなに泣いてんだろ)

 

涙が止まらない

俺はわけがわからなかった

 

そんな俺に春蘭と季衣が駆け寄ってくれた

 

「おい北郷、大丈夫か?」

 

「兄ちゃんどうしたの?大丈夫なの?」

 

二人のやさしさに少しだけ気持ちが落ち着く

 

「大丈夫、だけど少し待ってくれ」

 

心配かけさせてる場合じゃないのに

一体どうして・・・・

 

「ふぅ、少し落ち着いたよ。ごめん心配かけて」

 

涙はなんとか止まった

でも動揺は止まらなくて

 

「俺さ、皆を守りたくて、華琳に赤壁の戦いのこと伝えたんだ」

 

赤壁、黄蓋の苦肉の策、連環、複雑な計略の末、曹操軍は壊滅的打撃を受ける

そんなことを見逃せるわけがなかった

 

「皆を守りたいだけだった、けどさ、黄蓋さんのこと、俺が華琳に伝えたから・・・・」

 

どうして俺が黄蓋さんのことをこんなに思って

 

「俺が・・・・祭さんを殺したようなもんだって」

秋蘭は息を呑んだ

北郷はなぜそれほどまでに黄蓋にこだわる

二人に一体何があった

 

「北郷、黄蓋とどの程度の親交があったのだ?」

 

「赤壁で顔を合わせただけのはずなんだ・・・・それなのにどうして」

 

北郷の目から再び涙が溢れ始めた

ここは無理をさせない方がいい

 

「こちらに戻って間もない、無理をするな北郷。季衣、北郷を休ませてやってくれ」

 

「はい、秋蘭様」

 

まだ本調子ではないのかも知れない

 

北郷は季衣にすまないと謝りながら横になった

私は季衣に北郷を任せその場から離れ、姉者と状況を整理することにした

 

「姉者、どう思う」

 

「北郷は、嘘をついてない」

 

「うむ、問題は、いつ黄蓋と真名を交換するほどになったかだ」

 

「北郷は、真名を交わすほどの相手を売るような男じゃない」

 

「ふふ、ずいぶんと素直になったものだな、姉者」

 

「う、うぅ・・・・」

 

北郷と黄蓋、二人の接点

 

「まさか!!」

 

姉者が大きな声を出した

「秋蘭、北郷はあの世で黄蓋と会っていたのではないか?!」

 

「まさか・・・・いくらなんでも」

 

いくらなんでもと言ってみたが、ありうる話かも知れん

北郷の存在がすでにありえないのだから

 

「それ以外考えられないではないか、きっと黄蓋が復讐のために北郷をたぶらかして!」

 

「ちょっとまて姉者、確かに黄蓋の件はそれで説明がつく、しかし周瑜の件はどう説明する」

 

「周瑜?」

 

「北郷は確かに言った、軍師として周瑜の教えを受けたと」

 

「周瑜って・・・死んでないよな?」

 

「うむ、そのような報告は聞いていない」

 

周瑜、黄蓋

いずれも呉の重鎮で、おいそれと親交できる相手ではないはず

北郷との接点は一体どこに

 

「うーん、考えてもわからん!北郷が帰ってきた、今はそれでいいじゃないか秋蘭」

 

あっけらかんと全てを丸投げした姉者

こんな時、私は姉の存在が心から頼もしい

 

「・・・・そうだな、今はそれで十分かもしれん」

 

「よし秋蘭、私は猪でも捕ってくる。これから忙しくなるんだ、体力つけないとな」

 

「ああ、頼んだぞ姉者」

 

姉者はあっという間に森の中へ消えていった

また大木に衝突していなければいいが

そう、北郷が帰ってきた

今はそれだけで大きな前進だ

 

「季衣、北郷はどうだ」

 

「あ、秋蘭様、兄ちゃんはさっき寝付きました」

 

涙も止まり、静かに寝息を立てている北郷

その姿に心からほっとした

 

「季衣、私は次の拠点になりそうな場所を確保してくる。それまで北郷を頼む」

 

「わかりました」

 

季衣は、北郷を独占できるとうれしそうに声をあげた

 

「こら、大きな声を出すな」

 

「あ、ごめんなさい・・・」

 

「ふふ、行って来る」

 

「はい」

 

さて、4人が揃ったのだ

そろそろ動く時が来たかもしれんな


 
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