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真・恋姫†無双~赤龍伝~第23話「虎牢関の戦い 司馬懿の暗躍」

さん

この作品は、基本的に呉√にそっては行きますが、主人公も含めてオリジナルキャラクターが出てきます。
未熟なため文章におかしな部分が多々あるとは思いますが、長い目で見てくださると助かります。

2011-01-20 03:49:08 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:5209   閲覧ユーザー数:4500

真・恋姫†無双~赤龍伝~第23話「虎牢関の戦い 司馬懿の暗躍」

 

 

 

赤斗「……居たっ!」

 

まだ乗り慣れない馬に乗って、何とか呂布のもとまでたどり着いた。

 

呂布の目の前で馬を下りると、呂布も手を止めて、こちらを見ている事に気がついた。

 

呂布「…………誰?」

 

赤斗「!!」

 

夢に出てきた“恋”と姿だけでなく、声も話し方も一緒だったので驚いた。

 

赤斗「か、風見……赤斗だ。君の名前は?」

 

呂布「ぁ…………呂布」

 

呂布は僕の名前を聞いて、少し驚いた顔を見せたが、すぐにもとの顔に戻った。

 

赤斗(やっぱり、恋だ。でも……いきなり真名で呼んだら斬られよな)

 

暫くの間、戦場のど真ん中で二人は対峙し続けた。そこだけ、戦場ではないようだった。

 

赤斗「あのさ…………」

 

斬られそうになることを覚悟して、呂布に真名について尋ねようとした。その時

 

明命「赤斗様ーーーっ!!」

 

そこに明命と思春が、僕と呂布の間に割って入った。

 

思春「貴様、何を考えている」

 

明命「お怪我はありませんか?」

 

目のにいる呂布から目を離さずに、二人が僕に話しかけてくる。

 

赤斗「大丈夫だよ。少し彼女と話をしてみたいと思っただけだから」

 

思春「なっ!?」

 

僕の言葉に思春は絶句した。

 

呂布「…………邪魔」

 

そこに、いきなり呂布が斬りかかってきた。

 

思春「ぐっあ!!」

 

何とか呂布の斬撃を剣で受け止めて防ぐも、思春は吹き飛ばされてしまう。

 

明命「思春殿っ!! 許せません!」

 

赤斗「やめろ、明命!!」

 

僕の静止を聞かずに、明命が呂布に斬りかかった。

 

呂布「……お前も…………邪魔」

 

しかし、明命の攻撃よりも速く、呂布の方天画戟の柄が明命の身体に食い込み、明命はその場に倒れてしまった。

 

呂布「弱い奴は………死ね」

 

気絶してしまったのか、動かない明命に向かって、呂布はとどめを刺そうと方天画戟を明命に振り下ろした。

 

赤斗「やめろーーっ!!」

 

叫ぶと同時に奥義“疾風”を発動される。

 

方天画戟が命中する寸前の明命を、その超スピードで攻撃をくぐり抜けて何とか助ける事ができた。

 

呂布「…あ」

 

赤斗「ふぅーー。危なかった」

 

呂布「……何で」

 

赤斗「え?」

 

呂布「何で……助ける…?」

 

不思議そうに呂布は僕に尋ねる。

 

赤斗「何でって、仲間だもの当然だよ」

 

呂布「そいつら……邪魔」

 

呂布の顔に一瞬、怒りの表情が浮かんだように見えた。

 

赤斗「思春。明命を頼むよ」

 

思春「お前……」

 

僕は何とか立ち上がった思春に、気絶している明命を預ける。

 

赤斗「本当は君とは戦いたくはない。でも、これ以上、僕の仲間に手を出すなら……僕が相手になる」

 

二振りの小太刀“花天”と“月影”を抜いて構えた。

 

呂布「…………」

 

呂布は、それ以上は何も言わずに方天画戟を構えた。

 

 

赤斗(やっぱり凄いな。全然、流れが読めないや)

 

奥義“浮葉”や“流水”を使っても、まったく呂布の動きの流れが全く読めない。

 

こんな事は初めてだった。火蓮と戦った時は、火蓮の殺意に飲み込まれて、奥義の威力を半減させてしまった。

 

しかし、呂布の殺意は、あの時の火蓮と比べたら小さい。なのに呂布の流れが読めない。 

 

赤斗(……自然体すぎて読めないのかな?)

 

呂布「……来ないなら、こっちから行く」

 

そう言って呂布は攻撃を仕掛けた。

 

方天画劇を振り下ろす。単純だが確実に命を奪う一撃。

 

赤斗「“烈火”」

 

呂布の攻撃を“烈火”で強化した斬撃で迎撃したが、身体ごと弾き飛ばされた。

 

赤斗「うわっ!……くっ、“龍鱗”」

 

地面に叩きつけられる前に“龍鱗”を発動し、気の鎧を纏って落下の衝撃から身体を守った。

 

赤斗「……“烈火”で強化したのに、一方的に力負けするなんて…………力は華雄以上か」

 

何とか地面から身体を起こす。

 

呂布「……もう、お終い?」

 

赤斗「終わりにしたいけど、僕がここで止めたら………君は僕の仲間を傷つけるだろ?」

 

呂布「…………」

 

赤斗「何としてでも、君をここで止める」

 

再び構え直し、呂布に対峙した。

 

赤斗(まともにやっても戦いにすらならない。……僕が彼女より勝っているもので勝負するしかない)

 

赤斗「行くよ!“疾風”」

 

僕が唯一、呂布に勝るもの。それはスピードだ。

 

“疾風”で呂布の横を一気に駆け抜け、呂布の背後を取る。

 

そして、背中に目がけ峰打ちを繰り出す。

 

呂布「…ちっ」

 

しかし、峰打ちは命中する寸前で防がれてしまった。

 

赤斗「ならば、これなら!!」

 

 

赤斗と呂布が戦い始める少し前。

 

張遼の部隊が、袁紹と袁術の部隊の兵士達に対して、存分にその武を振るっている様子を曹操は見ていた。

 

曹操「……欲しいわね」

 

夏候惇「また悪い癖が……華琳さま」

 

夏候淵「張遼をですか?」

 

曹操「張遼と、そして呂布もよ」

 

夏候淵「今回ばかりはお控え下さい。張遼はともかく、呂布の強さは人知を越えております。……もしどうしても呂布をご所望とあらば……そうですね。姉者と私、あと季衣と流琉あたりがはいなくなるものと思っていただきたい」

 

曹操「……随分と弱気ね」

 

夏候惇「秋蘭共々、それほどの相手と認識しております。呂布相手ならば、関羽でさえ、一人では数合と保たないでしょうね」

 

曹操「……分かったわね。……呂布は諦めましょう。でも張遼だけならどうなのかしら?」

 

夏候淵「張遼の強みは個人の武より用兵にあります。兵を奪い取った上で捕らえろという命であれば、兵は桂花が。張遼は姉者が何とかしてくれるでしょう」

 

荀彧「お任せ下さい!」

 

夏候惇「わ……わたしか!?また無茶を……」

 

曹操「あら、してくれないの?春蘭。桂花はしてくれるようだけど?」

 

桂花「……ふふん」

 

夏候惇「くぅぅ……っ!張遼ごとき、ものの数ではありません!十人でも二十人でも、お望みの数だけ捕えて参りましょう!」

 

司馬懿「お待ちください!曹操様、張遼捕縛の命は、どうかこの私に」

 

夏候惇「司馬懿!お前、いきなり何のつもりだっ!!」

 

司馬懿「夏候惇将軍、あなたの代わりに張遼を捕らえる命を、曹操様より頂戴したいと言っているのですよ。私なら貴女より効率良く、張遼を捕らえられますからね」

 

夏候惇「何だと貴様ーーっ!!」

 

曹操「止めなさい、春蘭っ!!」

 

司馬懿に殴りかかろうになった夏候惇を、曹操が止めた。

 

曹操「どういうつもりなのかしら、仲達?」

 

司馬懿「どういうつもりも何も、私の忠誠心を、曹操様に示したいだけでございます」

 

曹操「…………」

 

司馬懿の言葉を曹操は黙って聞いていた。

 

夏候惇「下がっていろ司馬懿っ!張遼は私が捕らえるっ!!」

 

曹操「……張遼は仲達と桂花に任せるわ。見事、捕らえてみなさい」

 

司馬懿「はっ!」

 

荀彧「お任せを!」

 

夏候惇「そんな、華琳様」

 

曹操「けれど仲達。失敗しても、捕らえられませんでしたじゃ済まないわよ」

 

司馬懿「ふふっ。もし失敗した時は、この首をお刎ね下さい」

 

自信満ちた顔で司馬懿は答える。

 

曹操「その言葉に二言はないわね」

 

司馬懿「はい」

 

曹操「では桂花。全体の動きの指示を」

 

荀彧「はっ!」

 

 

張遼「く……っ!やっぱ、この戦力じゃ厳しいかっ!恋とも華雄とも合流できへんし……賈駆っちは、洛陽へ逃げ出したやろうなぁ」

 

虎牢関には連合軍が群がっている。堕ちるのは、もう時間の問題だった。

 

張遼「これは一旦ウチらも洛陽に引いた方がええやろなぁ……」

 

司馬懿「お待ちください。張遼殿ですね?」

 

張遼「あちゃぁ……このクソ忙しいときに。一騎打ちの申し込みなら、もう締め切っとるぞ!」

 

いきなり目の前に黒い衣装を纏った細身の男に現れ、呼び止められた。

 

司馬懿「ご安心を。一騎打ちなどいたしません。私は司馬懿。曹操軍の軍師です」

 

張遼「曹操んとこの軍師が、なんのつもりやっ? 軍師がウチの前に一人で立って、あんた正気か?」

 

司馬懿「貴女の戦いぶり、見させて頂きました。見事な戦いぶりです。……ぜひ、貴女には私の手駒になって頂きたいのですよ」

 

張遼「ウチを嘗めとんのか?」

 

司馬懿の言葉に怒りを覚えた。

 

司馬懿「いえいえ、嘗めてはいませんよ。私は本気です」

 

張遼「それが嘗めとるというんや!!」

 

張遼は馬を下りて司馬懿に斬りかかった。

 

司馬懿「……愚かな」

 

そう呟くと同時に、司馬懿は“パチン”と指を鳴らした。

 

張遼「何やっ、これ!?」

 

司馬懿に斬りかかろうとした張遼の身体は、突如現れた鎖で封じられてしまった。

 

張遼「なっ、コイツら、いつの間に!?」

 

張遼を封じている鎖の先には、二人の男たちが居た。

 

一人は、何の変哲もない魏軍の鎧を身に纏った普通の兵士。

 

もう一人は、司馬懿と同じ黒い衣装、こちらの方がもっと動きやすい軽装な格好だった。

 

司馬懿「彼らも、私の手駒。貴女の新しい仲間ですよ」

 

張遼「ふざけんなーっ! この卑怯モンがーーっ!!」

 

張遼の怒声が周囲に響く。

 

司馬懿「仕方ありませんねぇ……玄武、鴉」

 

玄武「はっ!」

 

鴉「あいよっ」

 

司馬懿の合図で、張遼を封じている鎖が、さらにきつく張遼を絞め上げた。

 

張遼「ぐあっ」

 

司馬懿「そのまま、動かないで下さいね」

 

司馬懿が張遼に近づく。

 

張遼「いくら、やったって、ウチはお前の仲間になんかにならんで」

 

司馬懿「ふふっ。別に貴女の意思など関係ないのですよ」

 

張遼「……何やて?」

 

司馬懿が張遼の頭に右手を乗せた。

 

張遼「何をするつもりやっ!?」

 

司馬懿「大丈夫。すぐに終わりますよ」

 

黒い笑みを浮かべながら司馬懿は言うと、司馬懿と張遼は黒い光に包まれた。

 

司馬懿「玄武、鴉。もう良いぞ」

 

司馬懿と張遼を、包んでいた黒い光は1~2秒で収まり、張遼を封じていた鎖は外された。

 

ようやく解放された張遼は、その場に蹲る。

 

司馬懿「張遼。さあ立て!」

 

司馬懿の命令通りに、張遼は立ちあがった。

 

司馬懿「さあ、お前はこれから曹操軍に降る。時が来るまで、曹操軍の武将として生きろ」

 

張遼「…………(コクッ)」

 

司馬懿の命令に無言で頷く。

 

司馬懿「良し。玄武、鴉。私たちは曹操のところに戻る。次の命があるまで待機しておけ」

 

玄武「はっ!」

 

鴉「まったく、いつもいつも人使いの荒いことで……」

 

玄武「鴉っ! 貴様、仲達様に対しての非礼。許さんぞっ!!」

 

鴉「許さないのなら、何だ?」

 

玄武と鴉の殺気が周囲に充満する。二人は一気に一触即発の状態になった。

 

司馬懿「……止めないか」

 

玄武「……申し訳ありません」

 

鴉「……命拾いしたな、玄武」

 

司馬懿の一言で、二人は殺気を消して、それぞれの持ち場に戻って行った。

 

司馬懿「しょうがない奴らだ。では行くぞ」

 

司馬懿は張遼を連れて、曹操のもとに向かった。

 

 

夏候淵「華琳様。司馬懿が戻って参りました」

 

司馬懿「曹操様。ご命令通り。張遼を連れて参りました」

 

張遼「…………どもー」

 

曹操「そう、見事に役目を果たしたのね。仲達。良くやったわ」

 

司馬懿「これも曹操様への忠義の力でございます」

 

曹操「よく来たわね、張遼」

 

張遼「当分世話ンなるで。よろしゅうな!」

 

張遼が明るく挨拶をした。

 

于禁「曹操さまーっ!」

 

楽進「失礼します。曹操様!」

 

曹操「何事か?」

 

楽進「はっ。飛将軍呂布を見つけました!」

 

曹操「そう」

 

夏候淵「呂布だと!?まさか、華琳さま!」

 

曹操「安心なさい。呂布は諦めているわ。だけど、呂布の戦いを近くで見てみたいわ」

 

夏候淵「なっ!?」

 

荀彧「危険です、華琳さまっ!!」

 

曹操「大丈夫よ。春蘭や秋蘭たちが守ってくれるでしょう?」

 

夏候惇「お任せ下さい。命をかけて華琳様をお守りします!!」

 

曹操「ありがとう、春蘭。では行きましょうか」

 

一同「御意っ!!」

 

 

呂布の攻撃が空を切る。

 

赤斗は既に呂布の間合いから離脱している。

 

追撃が出来ないように“疾風”による超高速移動で一気に間合いから離脱。

 

そして、超高速で地面を駆け、地表上空、前後左右から目まぐるしく呂布に迫った。

 

着ている服装も相俟って、その走り抜ける赤斗の姿は、一匹の赤い龍のように見えた。

 

しかし、並の兵士では捉えられないであろう超高速の猛攻を、呂布は迎撃し圧倒していた。

 

赤斗「くっ……」

 

呂布に迎撃されるたびに、赤斗の身体に傷が増えていく。

 

本来、赤斗と呂布の実力の差は明確だ。

 

かろうじて致命傷をさけているのは、赤斗が攻め続けて、呂布の攻撃を防いでいるからだった。

 

“攻撃は最大の防御”それしか赤斗には作戦は無かった。呂布に攻撃に転じられたら、勝負は一瞬だ。

 

赤斗「はぁ、はぁ」

 

“疾風”の連続使用で、赤斗の体力はどんどん消耗しいく。

 

なのに、未だに呂布に傷一つも付けられない。

 

赤斗の攻撃は呂布に一撃すら届かない。

 

体力も技量も戦闘経験も、呂布が赤斗に勝る。

 

赤斗にとって唯一勝っているスピードを失った時こそ、勝負は終わる。

 

 

思春「…………」

 

思春は黙って赤斗と呂布の戦いを見守っていた。

 

雪蓮「思春っ!!」

 

思春のもとに雪蓮たちがやってくる。

 

思春「火蓮様、雪蓮様……」

 

雪蓮「思春、これはいったいどういうこと!? 明命は大丈夫なの?」

 

思春「明命は気を失っているだけです」

 

雪蓮「そう、良かった。けど、これは……」

 

冥琳「戦っているのは、風見なのか?」

 

思春「……はい」

 

冥琳「信じられん。呂布を相手に……」

 

穏「赤斗さんの姿、全然見えませんねぇ~」

 

冥琳と穏には赤斗の姿が捉えられないようだった。

 

火蓮「まさか……本当に、赤龍のようになるとはな……」

 

歓迎会で赤斗に“江東の赤龍”と名乗るように言った時のことを思い出す。

 

雪蓮「でも、このままじゃ……」

 

火蓮「あぁ。このままでは、赤斗が負けるのは時間の問題だな」

 

火蓮と雪蓮は、赤斗が限界に近づいていることを見抜いていた。

 

 

曹操「呂布と一騎打ちをしているのは、誰?」

 

呂布の姿を見に来た曹操は驚いた。

 

呂布が赤い龍と、まるで戯れているかのように戦っているからだった。

 

張遼「あれは……汜水関で華雄を倒した小僧。確か風見……赤斗」

 

曹操「!!」

 

夏候淵「……あの男か!」

 

張遼「それにしても、なんちゅう速さや。ウチの目でも全部捉えきれへん」

 

神速張遼すら、赤斗の超速に驚愕する。

 

荀彧「一体何なの?」

 

荀彧は赤斗の姿を捉えられない。

 

司馬懿「これは……」

 

夏候惇「あの男、何者なのだ?」

 

夏候淵「孫堅のところに居る天の御遣いを名乗る男だ。姉者」

 

夏候惇「天の御遣いだとーっ!!」

 

曹操「春蘭、ちょっと静かにしなさいっ!!」

 

夏候惇「華琳さま~」

 

曹操「……欲しいわね」

 

荀彧「えっ、まさかっ!!」

 

夏候淵「まさか、あの者を……」

 

曹操「ええ、そうよ。是非、あの男を手に入れたいわ」

 

夏候惇「何ですとーっ!!」

 

夏候惇だけでなく、その場に居た者全てが驚きの声を上げた。

 

 

もう赤斗の体力は限界。すでにスピードは下り坂に入っていた。

 

呂布もそれが分かっていた。

 

呂布「……これで、終わり」

 

赤斗「“龍鱗”」

 

ついに呂布の一撃が赤斗を捉えた。何とか防御に間に合った赤斗だったが、当然身体は吹き飛ばされてしまった。

 

赤斗「ぐうぅうぅ…」

 

受け身を上手く取ることができずに、背中から地面に叩きつけられた。

 

雪蓮「ここまでのようね」

 

赤斗「しぇ…雪蓮」

 

いつの間に赤斗の横に雪蓮が居た。

 

雪蓮「呂布相手によくやったわ。あとは私に任せなさい」

 

赤斗「だ、駄目だ」

 

雪蓮「えっ!?」

 

赤斗「呂布の相手は僕だ。雪蓮は手を出すな」

 

身体を起こしながら、雪蓮に言った。

 

雪蓮「何をバカな事を言ってるのよ。もう身体ボロボロじゃない。いいから私に任せて休んでなさい」

 

赤斗「だから、それは駄目だっ!」

 

雪蓮「何が駄目なのよ。意味が分かんないわよ!」

 

雪蓮と赤斗はどちらが呂布の相手をするか争いを始めてしまった。

 

呂布「…………」

 

火蓮「二人して、何しているかっ!!死にたいのかっ!?」

 

見かねた火蓮が二人の頭を殴って止めた。

 

雪蓮「痛ーい!」

 

赤斗「くぅーー!」

 

二人とも頭を押さえて火蓮を見た。

 

火蓮「呂布の相手は私がする」

 

赤斗・雪蓮「えっ!?」

 

火蓮は二人を無視して、呂布の前に歩み出た。

 

火蓮「待たせてすまないな、呂布。私が相手だ」

 

火蓮と呂布はお互い武器を構えて対峙した。

 

赤斗(この二人が戦ったら、どちらか確実に死ぬ。止めなきゃ)

 

陳宮「呂布殿ーーーーっ!!」

 

赤斗が火蓮と呂布の戦いを止めようとした時、聞き覚えのある声が聞こえた。

 

赤斗「あれは…………ちんきゅ!?」

 

現れたのは、やはり“恋”と一緒に夢に出てきた”ちんきゅ”だった。

 

赤斗(そうか。“ちんきゅ”じゃなくて、“陳宮”だったのか)

 

陳宮「呂布殿。ここは一旦退却ですぞ」

 

呂布「……ちんきゅ、でも」

 

陳宮「もはや、虎牢関が落ちるのは時間の問題なのです。だから一旦退くのです」

 

呂布「……わかった」

 

呂布は構えを解いて、火蓮に背中を見せる。

 

そして、もう一度赤斗の方に振り向いた。

 

呂布「…………赤斗。またね」

 

そう言って呂布は陳宮と一緒に退却していった。

 

赤斗「……あっ」

 

赤斗には呂布が一瞬笑っているように見えた。

 

冥琳「追撃しますか?」

 

火蓮の横にやってきた冥琳が尋ねる。

 

火蓮「いや追撃は無用だ。かえって被害が大きくなる」

 

冥琳「分かりました」

 

火蓮たちは呂布を追撃せず、そのまま呂布たちを見送った。

 

 

曹操「行ったようね」

 

荀彧「すぐに追撃させます」

 

曹操「無用よ、桂花」

 

荀彧「しかし……」

 

曹操「もう勝負はついたわ。これ以上無駄に兵を損失させる必要はないわ」

 

荀彧「分かりました」

 

曹操「それじゃ、私たちも戻るわよ」

 

一同「はっ!」

 

司馬懿(呂布相手にここまでやるとは……これは……以外と使えるかも知れませんねぇ)

 

司馬懿はそう思いながら黒い笑みを浮かべていた。

 

 

 

つづく


 
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