No.196490

デペイズマン・シード 5th season③

作中、ご都合主義展開があります。アースラのいろいろとか。
作画設定集とか持ってないんだ。まぁいろんな意味で今更ですが。
相変わらずの黒子郎モード全開中。
あとエイミィ以外のアースラスタッフ名がわからない。
いや、正しくは顔がわからない。

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2011-01-17 20:58:22 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2345   閲覧ユーザー数:2229

 

「すっかりタクシーだな」

 

大げさなため息は、でも苦笑い混じりだったので、いくらか和やかな印象があった。

太一はそうはいうが、素直に迎えてくれた友人に頭を下げる。

 

「捕まってくれて助かるよ、クロノ」

「それにしても、デジモンてあの世界でしかいきられないんだよね?なんでミッドチルダに」

 

エイミィが当然の疑問を投げたが、ヤマトが肩をすくめた。どうしてって。

 

「原因があるとすりゃ十中八九管理局でしょう。それとも一般が好き勝手に管理外世界って言ってるトコまで次元観光できるなら別ですけど?」

 

もちろん、そんなことはない。

たとえ管理世界同士でも、容易に移動はできない。

それこそ、「海」勤めでもなければ。

 

「所詮管理次元ですら、偉い人間の御名目だけだものね」

 

リンディがしみじみとつぶやくが、さすがに問題発言しまくった前回を反省したのか話題を変える。

主に本題をもって。

 

「ところで、その今回出現したっていうデジモンというのはどういうものなのか、聞いていいかしら?」

 

問いかけに応じるのはもちろん情報班長である。

 

「クラモン。現段階においての敵の名前はそれです」

「現段階?」

「えぇ」

 

奇妙な言い方だという目線に、太一が頭をかく。

そりゃ知らないよな、と。

 

「デジモンてのは進化するごとに名前が変わるんだ。

アグモンだったらグレイモン、ウォーグレイモンていう風に」

 

実際はそんなに単純ではないのだが、分かりやすくそう説明する。

進化の課程で枝分かれするとかワープだアーマー進化とかジョグレスとか暗黒とか、別に今必要な情報ではない。

 

「ふむ。つまりそのクラモンというのは、いずれ間違いなく”進化”すると?」

「あぁ。これまでのパターンからすれば間違いなく」

「特性は情報食い。あとストーカー?」

「だよなぁ」

 

変な言葉がわいてでた。

だがかれらはしみじみそれを肯定する方向で。

 

「二度目の時なんかひどかった」

「上場企業でしたもんね、お二人」

 

実はメンバーの中で唯一アースラの面々とは初顔合わせのはずの京が軽く笑い飛ばす。

参加メンバー一人きりの女子というのにも全く引けなく、しみじみと過去を思い返す。

 

「その辺りはよくわからないけれど、その前に叩けないのかしら?その様子だと、当初から危険な存在であるようなんだけど」

「簡単ですよ。ミッドチルダのコンピューターすべて破壊すれば奴は存在できなくなります」

 

さらり、と提案ともいえないことを告げる光子郎。

確かに事実っちゃぁそうだ。今の段階では、と頭につくが。

 

「それを実行するとなると、間違いなく被害が尋常じゃないでしょうね」

 

さすがのリンディもその提案には苦笑いするしかない。

単なる提案以上の意味もないのか、光子郎もそれ以上食い下がるようなまねはしなかったが、今度は京のターン。

 

「でもそこがこの存在の面倒なところなんですよぅ。

実際、こいつは数年前現実世界にネットワークで力を付け、結果的に実体化(リアライズ)しています。やっつけましたけどねー」

 

は?事情を知る由もないアースラスタッフは、そろって耳を疑った。

いや、だって、情報が実体化するって。それはミッドチルダにおける「魔法」そのものなのだ。

いや魔力がそこに伴わない分、もっと性質が悪いのか。

が、当人たちはそんな爆弾発言にもちろん自覚などなく。

 

「なんで京が偉そうなんだよ。がんばったの俺たちだろー」

 

大輔が口をとがらせて文句を言う。

笑うところはここまでの会話に彼がいっさいは言ってこなかったことだ。をとこのこのあこがれtheSFなこの光景に心奪われていたから。

そして京は本人は決して本気でそう思っているわけではないだろう軽口といえる切り替えしで反論する。

 

「連中を集めたのは私の手腕だもん。それに君等"だけ”でもないでしょ」

「それはそうだけどさ」

 

それをいわれると弱い。そんな大輔の様子に賢が隣でクスリと笑う。

果たしてエイミィが目を丸くする。

 

「協力者がほかにもいたの?」

「協力者って言うか、なぁ?」

「なぁ」

「?」

 

太一とヤマトが意味ありげに目線を交わし、苦く肩を竦めあった。

二度目の戦いで負けたのは、一度目の時が二人で戦っていなかったことを忘れたからだと彼らは結論づけている。なにもできなくて、ただがんばれとだけしか声を上げることができなかったたくさんの「えらばれしこどもたち」の手を借りて、二つの戦いを彼らは勝利という形で終わらせた。

だが今回はそれを抜きに勝利しなければならない。

本来何の関わりもないはずの世界なのに、自分たちはその世界に対してなにより信用をおいていない。

全く、面倒な舞台を用意されたものであるなと思っている彼らに、リンディが提案する。

 

「とりあえず、アースラのセカンドブリッジを君たちに開放するわ。もちろん、非公式にだけど」

「公式にされたら困ります。感謝はしますけど」

 

光子郎がまるで忠告するように告げる。

曖昧ないいまわしではあったが、彼がとことん管理局を嫌っているのを承知しているし、その分、アースラに迷惑がかかることを申し訳なく思っていることが伺える表情である限り、リンディからすれば十分な言葉でもあった。

 

「その言葉で十分よ。アースラ内には箝口令を敷いておくから」

「お手数かけます」

「むしろそんな形でしか協力できないこちらこそ謝るべきね。情報生命体なんてつまりこちらでいう魔法で構築されたようなものなんだから、討ててもおかしくないのだけど。実際デジタルワールドは魔法を無効化するフィールドを作り上げたわけだし」

 

なにか手をかせないかと首を傾げる彼女に、京が残念ながら、と感謝を込めて拒否する。

 

「絶対条件と十分条件の関係ですねー。いくらか事情が変わってしまいまってますから」

「聞く限り、君たちはそのクラモンという存在と何度か対立しているらしい。

その、こう聞いてはなんなんだが、デジモンというのは死なずの存在なのだろうか?」

 

ふ。と。

クロノがある意味で当然の疑問を抱いた。

一瞬、そういう意味では初めて言葉を詰まらせた彼らの中、ぽつり、と一番おとなしそうな雰囲気をまとった少年が今にも崩れそうな表情でそれに答えた。

 

「デジモンも、死にますよ」

「・・・・・・」

 

賢の様子になにかを察し、申し訳なさげに眉をひそめたクロノに、今度は大輔があわてたように声を上げた。

 

「ただ、基本的に、転生っての?そういうシステムが組み込まれてる。これはデジモンていうよりもデジタルワールドっていう世界に、なのかな。本来は記憶を引き継がないらしいけれど、何度か覚えて生まれ変わったって事例も、ないわけじゃないんだ」

「それがそのクラモンだと?」

「まぁ、な」

 

ちらりと彼らの目線は再び賢に集まるが一瞬だけだ。それ以上は言う必要はないと誰もが無言で確認する。

切り替えるのにちょうどいいのは、光子郎の声。

 

「作戦の確認をいいですか?」

「あぁすまない。余談に時間をとらせてしまったな」

 

実際、今回の作戦にはあまり関係のない話題だ。

だが光子郎はふっ、と少しだけ笑って首を振る。

 

「いえ。クロノさんの考えは情報として活用できますのでお気になさらず。いえ、それが根本だと思いますよ」

(情報?なんの・・・・・・・)

 

再び新しい謎が生まれるがそれを聞ける空気は既にない。

 

「本題に入りましょう。

アースラから僕らはミッドチルダのネットワークに進入します。

幸いなのは件のネットワークコンパニオンがミッドチルダ内でのみ使われていること。

いわば管理世界と言われる広範囲には出回っていないということです」

「まぁ実際管理世界といっても管理局以外はほとんど出入りできない。形ばかりの国境線だからな」

「さすがにおもちゃを使ってお仕事されても困るしね」

「比較的低年齢層受けの商品だったからね」

「それもあるとは思うんですが」

 

当然のことを並べるアースラクルーの意見はもっともだというが、専門家である彼らはわかっていた。

目線を、さっきとは別の意味で交わし、太一が代表者であるように意味ありげにつぶやく。

 

「世界が違っても、デジモンだから、だろうな」

「妙なことを言うな」

 

クロノの率直な感想も、無理はないのだが。

率直といえる意味で、彼らの確証も存在する。

 

「まぁこればっかりは理屈じゃないっていうか。な」

「ふむ?」

 

とりあえず、本題に戻る。

 

「たぶん向こうでメタライズすれば、奴のことです。花に群がる蝶か蜂の如く引き寄せられてくるでしょう。そこを叩きます」

「まぁ実際全力でそれしか作戦のたてようがないな」

「さっきから進入とかメタライズとか言ってるんだけど、どゆ意味?」

 

技術者気質でエイミィが首を傾げた。

ネットワーク戦ではあるだろうが、もとよりポストペットというものは一カ所に集まっているものではない。

最初からそれを期待しているような口振りだが、プログラムの餌となるものでもあるのだろうか?

常識的な疑問に、大輔がそういう意味では非常に彼らしい説明を返す。

 

「そのままっすよ。生身でネットワーク進入」

 

さも当たり前な言い分すぎて、変な言い方だが、どちらの方が魔法じみてるかって。

 

「まさに管理外、などとはおこがましいだろうがな」

「自覚してくださったのならば幸いです」

 

ついていけないという意味合いなら、それでも。

アースラはあくまでタクシーで間借りの作戦本部だ。

彼らの話は続く。

 

「選抜に太一さん、ヤマトさん。

一応名指しですからね、ご挨拶と参りましょう」

 

当然の意見ともいえたが、当人たちはおもいっきり顔をゆがめた。不本意だと全力で言ってる態度。

もっともはやてが破壊した時点で、彼らの名を呼んだ個体は消失しているだろうが。

 

「そこがおかしいだろ」

「パターンでいけば大輔たちだろ?なんで俺たちの名前」

 

まさか矢面にたたされると思っていなかった後輩組は顔を見合わせる。

 

「そうは言われても」

「一勝一敗勝ち越しねらい?」

 

大輔はそんな風に、リズムだけ考えた適当な切り替えしを口にして。

 

「ありがたくねぇ」

 

とあこがれの先輩から、珍しくも愚痴をこぼれさせた。

 

 

 

果たして光子郎は覗き見してきそうな人に釘を一本。

 

「そうそう。作業中はのぞかないでくださいね?」

「あはははー。まるで鶴の恩返しだね」

「・・・・・・異世界の方からそのつっこみをいただくとは思いませんでしたけど」

「なははは」

 

とりあえず不可侵をルールに約束を再確認し、クロノがメンバーをセカンドブリッジに案内する流れになる。

その際、この執務官と情報班長の間では奇妙なやりとりが交わされていた。

 

「不死かもしれない、という考え方はそんなに重要なのか?」

「そうですね。おそらくデジタルワールドにちょっかいを出す最たる理由でしょうから」

「ふむ。先だっての話も含まれるだろうが、つまり老害、か。どの顔とて拝む気にもならないが、手前の健康維持に組織を使われるのは不快だな」

「察しがいいですね、さすが執務官です」

「だがどれくらい古い連中なのかはまだわかってない。高々150年の組織なんだけどな。まぁ上なんて年寄りばかりなんだが」

「クーデター起こしてくださいよ。このタイミングなら悪くない。全面協力しますよ」

「おもしろい考えだが、トップは性に合わないよ。前も言ったけれど、現場肌だからね」

「残念です」

 

 

「っていうかさわやかな語り口の内容じゃないですよね?

あの二人の会話」

「よくわかんねー部分もあるけど、基本俺らの意思確認なくすごいことに巻き込まれるところだったよーな」

「まぁ光子郎流の冗談って認識で」

「冗談、かなぁ」

 

「さぁ着いた。ここがアースラのセカンドブリッジだ。

運航システムは申し訳ないが回線を遮断させているが、ネットワーク等には支障がないはずだ」

 

ブリッジよりはふた周りほど小さいが、人数としてはちょうどいいくらいか。

メインモニターとサブモニターが何台か。

 

「10分ください。システムの癖を覚えます。京さん」

「はいはいー」

 

情報班がいくつかあるデスクに飛びつく。

一瞬ためらって、本来戦闘班で出向いた賢も同じように作業のために席に着いた。一時ほどの無駄な頭脳はなくとも、彼も十分そちらに席を置ける技能を持っている。

 

「で、俺らはどーする」

「準備運動しとくか」

「おぃーっす」

 

とはいえ精密機械の中でできる準備運動などたかがしれているが、なんとなくいやな予感がしてクロノは簡単な衝撃吸収用の結界を張った。暴れるならこの中にしてくれ。なんともさわやかさのない信頼の兆しである。

 

「じゃぁクロノもつき合えよ。丁度二対二で」

「へ?」

「魔法使うなよー。はい、ぐーっぱ」

「ぱ?」

 

全く意味が把握できていないうちからとっさに手がでた。

ぱー。

そして同時に出したほかの3人は。

 

「やっり、俺太一さんとだ」

「っし、がんばろーぜ、大輔」

「よろしくな、クロノ。手がわからんだろーが、あいつらはどっちも猪突猛進だ。サッカーやってるからリーチは長いがよけやすい。あと体力バカだから振り回して自滅狙うよか、確実に打ちにいった方がいいぞ」

「ちょっ?!」

「誰が体力バカですか!けーおんちゃらおが」

「いったな大輔。ねらい打つ」

「んじゃ俺クロノとか。っし、どんなかね。楽しみだ」

 

って。そんなアドヴァイスが投げられるわ物騒飛び交うやりとりの準備運動ってなにするつもりだ?!

 

(もしかして賢が向こうについたのはこれを見越したからか?!)

 

そんなはずはないと思うのに、クロノは目線を走らせた先にいるオペレーターシートのおとなしそうな少年がニヤリと笑ったような、そんな気がした。

 

 

 

~~~~~~==

ぬぅ、情報量が無駄に多い。

作中「逆襲でオメガモンが負けた理由」を彼らなりに分析してもらっていますが、映画の仕様からすれば実際こんな結論に至ってもありじゃないかなと思ってます。そこに立ち会った子供みんなが「選ばれし子ども」なんだよ!とか言ってみる。まぁ公式からしてさほど離れていない発想だと信じたい。あの大量のメールが切り札になったりいろいろ。それにしても02組すげぇ空気と思ってラストちょっと追加してみたがやっぱり空気の謎。

 

 


 
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