No.196291

でぺ・たね ―デペイズマン・シード番外①ー

スパロボにグレラガとダイガードとボトムス参戦とな?なにそのバランス度外視。因みに友人はグレラガの螺旋族のアレにゲッター線が絡むの超期待してる。
さて。むしろ原作本編に絡む展開を番外編で書こうというあんまりなんも考えていません話。
だから本編ぶった切るなよ、ってはなしですけどまぁいつものことなので(反省がない
番外編なので時間軸とか展開とかあんまつながってなくてもご了承ネガイマス。今回はまさかのなのはさん墜落時話です。とはいえなのはさんよか、その周辺の話。むしろメインは太一とクロノという華のない話(いつものこととも言う

2011-01-16 19:48:05 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2348   閲覧ユーザー数:2272

 

 

「最近さぁ。はやてと連絡とれないんだが、何か知らないか?クロノ」

 

さぁ来たぞ。

時空管理局本局次元慣行部隊L級艦船第八番艦アースラ所属執務官、クロノ・ハラオウンは開口一番、そう聞いてきた年上の友人に対してかなう限りのポーカーフェイスを保ちながら、心の中だけで居住まいを正し、気合いを入れ直した。

少し乱れる画面向こうには、予測されていた人物の姿。

20歳前後まで保護されている世界でありながら、聞く限り、正直下手な時空管理局所属の魔導師よりもずっと修羅場を抜けてきた、なんとも形容詞がたい百戦錬磨の戦士。

もっとも今いるのは連絡の取れないいとこを心配したただの少年なのだろうが・・・・・・

 

「さぁ。彼女は本部勤務の上に機密任務も多いのだし、僕は海だし。フェイトなら連絡を取り合ってるだろうけれど、彼女も忙しいしな」

「よけいなこととわかってるけど、ガキが忙しくならなきゃ成り立たん組織なんぞつぶれてしまえ」

「まったく。世界が広いと知らなければ、自分の知る世界だけ守って満足できたのにな」

 

とんでもないことを、だが軽口とわかる口調で投げてくる。

それを柳に風といった軽い調子で切り替えしながらだが内心は落ち着け落ち着けと自己暗示を投げ続けるクロノに、わかっているのかいないのか、友人・八神太一は懐が深くて結構だ、と皮肉とも言える言葉を投げてくる。

 

「翠屋が臨時休業だったんだ」

「・・・・・・基本的にどうにかやり過ごしたかっただけだ。なのはと面識あったんだな」

「まぁな。そうか、結局経費請求そっちに行ってないから知らないのか」

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

「なんの話だい?」

「ちょっとした日常の話。さて、そんなわけで友人の見舞いくらいはうまくいかないかなって話なんだが」

「なぜ見舞いと?」

「隠すのは基本そんな感じだろ」

「なるほど」

 

 

 

 

 

彼女は病室の中ではなく、その外部にあるソファの脇、車いすでじっとしていた。

この場所であるからこそ、まるで移動中に体調を崩しているようだ。下手をするとナースコールをされるんじゃないと思うくらいに顔色は悪い。

 

「はやて」

「たいちにぃ・・・なんで」

 

かけられた声はもとより、異世界に当たり前のように立っているいとこに、彼女、はやては目を丸くした。

状況をある程度きいてはいたが、太一はいつもの調子でよっ、軽く手を挙げる。

 

「クロノが捕まったからな。アースラに便乗させてもらったんだ」

「はは。あのアースラをヒッチハイクなんて流石や」

 

力ない笑顔が彼女の疲弊を物語っていて、その様子が思った以上だったため、太一は眉をひそめた。

自身の麻痺の時よりもあからさまな不安と焦燥。

それが彼女が得たものの代価だとは思いたくないが。

 

「なのはちゃんは?」

「一命は、取り留めとる。ただ、もう飛べへんかもて」

 

ほとんど考えて応答しているわけではないのだろう。

ちぎれるんじゃないかと思わせるほど唇を噛んでうつむいてしまったいとこに、だが太一はぽつり、と自分でも驚くほど穏やかに「よかった」と呟いた。

罰当たりともいえるその言葉にがばりと彼女は顔を上げ、すべてを呪い尽くせるような目線で、いとことはいえ容赦のない怒りをぶつける。

 

「どこがよかったねん?!」

「だって"かも"なんだろ?」

 

果たして返ってきたのは、悪びれのない、きっぱりとした確証だった。

あまりにも自然なその言い方に、彼女はぽかん、と間の抜けた表情になる。

太一はなのはに1度あっただけなのに。

なぜそんな平然とそんな風にいえるのかとあきれたといってもいい。

だが太一はそんな風に不振がってすらいるはやてに笑いかけてすら見せた。

 

「逢ったのが数える程度だけだって、わかるさ。あれだけ印象深いしな」

「うーん」

 

確かに濃密な時間だったのは否定できないだろうが。

 

「それにはやて。おまえの友達は、一度墜ちたくらいで空をあきらめるか?」

「あきらめん」

 

聞かれた言葉に、考える間すら惜しくきっぱりと、言葉がこぼれた。

ほろり、と目の前のいとこが笑う。

その言葉を聞きたかったんだと目で告げられると、自分自身の言葉が一気に現実味と熱を帯びる。

 

「せや。相手はあのなのはちゃんやで。どれだけかかっても、どんだけくじけても。絶対空に戻ってくる」

「そうか」

 

そうと先から確証していたはずなのに、太一は彼女の言葉を穏やかに肯定するにとどめた。

ほろり、と少女が笑う。

ありがとう、と。そういう代わりに。

 

 

 

「サンキュ、クロノ。助かった」

「こっちの科白かもしれない。アースラをタクシー代わりにするなんていうのは君ぐらいだろうが」

「んー。俺よくわかんねぇけど、その気になればDW経由でここにこれるとは思うんだけどな」

「聞かなかったことにしておくよ。できるだけ自重してくれ。できる限り融通は利かせる」

「そりゃどうも」

 

幸い彼らのついた休憩場は無人で、局員がいたら正直聞き捨てならないだろうやりとりを訊き咎めるものはいなかった。

会話をしていた当人ですら聞き流さないといらえなような可能性などそれこそ右から左に受け流さずをえない。

缶コーヒーを手に一つのベンチに腰を下ろし、おにーちゃん二人はしばらく沈黙をしていたが、言葉少なにクロノが感謝を発したことで再び時間が動き出す。

 

「こんなことを僕が言うのも義理じゃないんだが」

「ん?」

「はやてに声をかけてくれてありがとう。

それにしてもうらやましい位だ。僕はフェイトにうまい言葉ひとつもかけてやれないからな」

 

本当に情けない顔で情けないことを言うものだから、太一は吹き出していた。

それはまるっきり、自分の妹への対応がわからなかったころの幼い自身そのものの顔だったからだ。

 

「おいおい。おまえにーちゃんだろ。なに情けないこと言ってるんだよ」

 

冗談めいた口調で、攻めているわけではないが、そんなことをいうなと太一は自嘲するクロノを笑う。

だが彼は軽く頭を降り、まあ初心者さと言い訳のようなことをいう。

 

「それにフェイトにとってなのははいかんせん特別だから」

「・・・・・・そういやなんか聞いたな。

なのははフェイトのおかーさんだとかなんとか」

「おかーさん、か。いい得て妙だな」

「・・・・・・・」

 

否定がないことに驚いた。

仮にも兄妹、実際「母」もいるというのに年端もいかぬ少女に家族以上の何かを認めるというのはいわゆる「ふくざつなかていのじじょう」なのか。

別段訊きたいとは思わなかったし、当人の許可なくそういうことをばらしても問題だ。ただ、多分「先輩おにーちゃん」としてのアドヴァイスを求めているのだろうと結論付け、おとなしくクロノがはなしていいと判断した部分はおとなしく訊くことにする。

まさかのタクシー代であるが、しかたない。 

 

「フェイト・T・ハラフオンは高町なのはに救われた。

その事実が彼女の始まりだからな」

「根が深そうだ」

 

それが率直な感想。

そうだね、すごい深いよ。あっさり返ってくる肯定はため息混じり。

それを承知で、家族になることを望んだのは、こちらだけれど。

ふ、とそのため息と、多分一緒に、こぼれるのは。

 

「なぁ太一」

「うん?」

「翼がおれたことはあるかい?」

「あるぜ」

 

即答はクロノの耳に、すぐ入ってはこなかった。

 

だってその言葉はむしろ誇らしげに。

そんなこともまた、道の一つと。

そして、また取り戻したのだという自信がにじむ。

 

「君でも、そんなことがあったんだな」

「いろいろあったからな。奪われて、頭に血が上って、冷静になれとぶん殴られたこともある。それなりにな」

「そうか」

 

缶コーヒーをあおる。

新米にーちゃんは苦悩している。

だが家族のつきあい方はそれぞれで、決めつけるようなアドヴァイスは逆効果だろう。

 

「フェイトは、心の翼がおれたことが一度ある。

もがれた言い換えてもいいだろうな。実の母親が、彼女を自分の娘じゃないといった」

「・・・・・・」

 

太一は、そんな話を部外者の自分にしていいのかとといかける。

クロノは公然のことだと皮肉を込めて返した。

大体、そんなものはもう些細なことなのだ。少なくとも彼女にとっても、周囲にとっても。

太一の仲間にも、血のつながっていない親子関係を持っている奴がひとりいるが、彼も今の家族を愛してるから、それをしっているから、素直に信じる。

だがどうやらフェイトの新しい家族は、それ故に無力感を抱いているらしい。

いや、家族だからこそ、彼女の拠り所をだれよりも理解して。

 

「彼女に新しい翼を与えたのはなのはだ。

ほんの数年前のこと。いくら就職年齢が低いミッドチルダにあっても、3歳やそこらの子供は自立できないだろう?」

「フェイトちゃんは、まだなのはちゃんに育てられているって?」

「少なくとも僕にはそう見える。彼女は無自覚に自分をそうと判断しているところもある。

そして彼女は本来の母親を見限っているわけでもない」

「もしかしてTの部分?」

「察しがいいな」

「どうも」

 

当初から違和感があったのは確かだ。

兄弟であって異なるのは、とってつけたようななぜかアルファベット。まぁ会話できてる時点であまり考えてはいけないのだろうが。

 

「彼女は一度失うという経験をしている。

だからよけい心配なのさ」

「それって主に、暴走するかどうかって点?」

「あぁ」

 

やっぱそんな方向だと思った。

っていうかおまえの周り核弾頭だらけだな。

あぁ君たちも含めてな。

 

「ひどい友情もあったものだ」

「人間、経験すれば良くも悪くも悟るのさ」

「そーかい。いっとくけど、俺たちは暴走しないぜ?」

「・・・・・・・」

 

その信用ない目線はなんですか?

 

「いや、信じてもらうしかないんだけどな」

「まぁそうだな。せっかくの管理局に対しての切り札だ。僕が信用しなきゃ」

「悪いがおまえの方が暴走してるぞ、発言的な意味で」

「ふむ?」

 

首を傾げるな、首を。自覚しろ、といってもアレなので、話を変える。

 

「そーいやなのはちゃんをオトした奴はわかってるのか?」

「いや」

「本当に?」

「あぁ。今のところな」

「とりあえず、わかってもバレねぇようにな」

「無理さ。彼女自身が復讐を遂げる」

 

ちょっとだけ、意外なことを聞いた。

あのはやてですら不惑を貫けなかったというのに、この友人は案外あっさりとそんな風に彼女の復活を信じる言葉を吐く。

 

「おまえは彼女が空に還るのを確信してるんだ」

「あぁ。彼女は奇跡を起こすのが得意なんだ。何度も現場に立ち会ってると、心配するのがバカバカしい」

「そうかよ。そのこと、彼女に言えばいいんじゃないか?それで十分だろ」

「そういうものかい?」

「案外、な。結局俺がはやてに言ったのもそんな内容だし。聴いてなかったのか?」

「プライベートだからな。はやての表情に生気が戻ったのをみればそれで十分だったんだ。・・・そうか。試してみよう」

「あぁ。案外上手くいくんじゃないか?話聞いてる限り、なのはちゃんを一番信じたいのはフェイトちゃんみてーだしな」

「そうだな」

 

 

 

 

=====

おにーちゃん講座でした。

それにしてもクロノの発言が色々おかしいのと、いい加減ふぇれっとの出番くらい作ってやればいいのにと思うのと。流石に太一はフェイトを元気づける立場じゃないのでその辺りはおにーちゃんにがんばってもらいましょう。

出番がないっつーとヴォルケンズもないよねぇ?ごめん。


 
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