No.193544

恥ずかしすぎて

tanakaさん

新年一発目は黒猫です。
今年も俺の嫁は可愛いんだぜ☆

2011-01-02 22:18:02 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1801   閲覧ユーザー数:1651

「瑠璃。おーい、瑠璃」

「…………」

「瑠璃さーん。聞いてるかー?瑠璃ー」

「……」

「……黒猫さん。マジで無視しないでください」

「……はぁ。なによ、先輩」

「いや、何で俺を無視するんだ?」

 何を聞くかと思えば、そんなくだらない事を聞くのね。

「何でって、先輩が悪いのよ」

 私の“人間としての名前”で呼ぶからいけないのよ。

 私の名前は“黒猫”よ。

「今まで通りの名前で呼べばいいのに、何故わざわざ“人間としての名前”の方を呼ぶのよ」

「いや、だって……」

 軽く睨むと、先輩は頭を掻きながら――

 

「俺達は恋人同士なんだから、どうせなら名前で呼びたいんだよ」

 そんな事を言った。

「――べ、別にいいわよっ。そんなこと」

 普段通りに呼んでくれれば充分だわ。

 わざわざ、そちら側の名前で呼ばなくても……

「どうしてもダメか?」

「ダメよ」

「絶対にか?」

「絶対よ」

「はぁ……ほんと強情だなお前は」

「うるさいわよ」

 だって、仕方が無いじゃない。

 先輩にそっちの名前で呼ばれるなんて、恥ずかしすぎてどうにかなってしまうわ。

 だから今まで通りでいいのよ。

「分かった。なら、俺の事を京介って呼んでくれ」

「は……?」

「お前いつも俺の事“先輩”って呼ぶだろ?」

「ええ、そうね」

「いつまでも先輩っていうのもあれだし、ちゃんと名前で呼んでくれよ」

「……い、いやよ」

「何でだよ?」

「だって――」

 恥ずかしいじゃない。わ、私が先輩の名前を呼ぶなんてそんな事……

「お前、前に麻奈実のマネで俺の名前を呼んでたじゃんか」

「そ、それは……」

 ただの演技であってそれ以外で名前を呼ぶのは――

 

「じゃあ、瑠璃って呼んでいいか?」

「――くっ」

「ほら、京介って言ってみ」

「……き、京……すけ」

「おう♪」

「~~~~~~~~っ!」

 だ、ダメ……恥ずかしすぎるわ。

 こんなの耐えられないわよ。

 

 ボンッ!!

 

「く、黒猫っ!? おい、大丈夫か!?」

「~~~~~~~っ」

「黒猫―――――――――っ!」

 あ、ああ、あ……あ。

 もう、限界だわ…… 

 

 

 恥ずかしさのあまり黒猫さんはその場に倒れましたとさ。


 
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